第8話 捧げ物
「へー、意外とデカイ祭りなんだな。」
「でしょ!?10年に1回のお祭りなんだもん!」
10年か、そういえば天照を扱う者も10年で変わるんだよな。
それにしてもたこ焼きとかイカ焼きとか色々あるが、この世界にもイカやたこがいんのか?
それとからあげややきとりとか肉系はないな、やっぱ共食いになるのか?
何よりも不思議なのは獣人なのに火を扱えてるとこだ。
そんな事を考えながら歩いていると、ふと変わった名前の屋台が目に入る。
───骨。
なんといいますか。斬新でらっしゃいますね、獣人のお方達は……。
「美味しい骨はいかがですかぁ!?」
店主が大声で宣伝してるが人間の俺からしたら全くそそらない、というかあんなの誰が欲しがるんだ、とまで思う。
「……ん?」
俺が隣を見るとヨダレを垂らしながらそれを凝視するコロナがいた。
お前かよ。
「欲しいのか?買ってやるよ。」
「あ、え?いいの!?」
俺は生きてる間に見たことがなかった。骨1本でここまで目を輝かせる女の子の顔を……いや、人の顔を。
俺は骨を1本買おうとすると味を聞かれた。
骨に味なんかあんのか!?
おいおい、冗談だろ。1本400円するだけでも信じがたいんだぞ。
「メープル、チョコ、プレーン」
なんでどれも甘い系なの?甘い系で骨食うの?てか、しゃぶるの?獣人のお方達は。
「後、やきそば味ね。」
なぜ一つだけジャンル違うの!?そして、1番食欲そそらねぇよ。
「で、どれがいいんだ?」
「やきそば!」
あ、それなんですか……。
俺は店主に注文をし、やきそば味の骨を買い、それをコロナに渡す。
「あぁ、美味しぃい。」
それはよかった。
俺が見てる光景は非常におかしい気がするが。
「あ、シズキも一口どう?」
「いや、結構です。」
思わず敬語で答えてしまった。それほどまでに遠慮したい代物だった。
バァーン
花火だ。獣人は花火も扱えるんだな。
「ねぇ。シズキ?」
「ん?今度は何が欲しいんだ?」
コロナは俺に目を合わせてくる。
「欲しい……ものは。シズキかな。」
「ははっ、俺か!……え?俺?」
あまりに急な出来事で頭が追いつかない。
それはようするにコロナは俺の事が好きって事なのか?
「私!……私ね、シズキの事が……好きなの。」
俺は何も言えなかった。
どうすればいいのかわからなかった。
「わりぃ……。」
俺はその場から逃げてしまった。
コロナを置いて。
×××
なんで俺は逃げちまったんだろう。
コロナの事が嫌いなわけじゃない、じゃあなんで。
獣人だからか?勝手に距離を作ってるんじゃないか?
コロナは人間である俺を好きになったのにか。
「謝ろう、コロナに。」
俺は家を出ると祭りはもう終わっていた。
少し歩くとコロナのお父さんがいるのに気が付いた。
「おじさん、コロナどこにいる?」
「何言っとんじゃ?シズキ。コロナならチャナカドゥ様の像に捧げ物として行くって話じゃろ。」
コロナが……捧げ物?
「天照の使い手は大量の魔力があってな、娘が行ってしまうのは悲しいがチャナカドゥ様がその魔力でこの村を守ってくださるのじゃ。やむを得ん。」
「なっ!?」
俺は全力でチャナカドゥの像へと向かった。
あいつは守り神なんかじゃない。怪物なんだ。
無事でいてくれ、コロナ。
×××
俺は……俺はどこで間違えたんだ。
こんな事になるなら、あの時……。
あいつは、あの時が最後だから伝えてくれたのか。
なのに俺は……。
『おい、シズキ……。』
「鬼殺しか?なんだ、今忙しいんだ。」
『お前、なぜチャナカドゥのとこへ行く?』
「そんなん、コロナを助けるためだ。」
『そうか、ならもう自分の気持ちを偽るなよ。』
当たり前だろ、そんなの。
もう同じ後悔はしたくないんだ。
×××
「コロナぁ!!!」
「シズキ!?」
間に合った。よかった。
「お前はこの前の弱き者か。何しに来た?」
チャナカドゥ……そんなの決まってんだろ。
「コロナに俺の気持ちを伝えに来た。」
「ほう?それだけで?」
「んなわけあるか。ついででてめぇもぶっ殺してやるよ。」




