第6話 黒夢紫月
「全知……?」
なんだそれ、名前だけ聞くともはやチート能力だぞ。
「妾の全知とは、魔力がなくなる代わりにすべてを知る事が出来る能力じゃ、ここにある書物にすべてが記載されておるのじゃよ。」
チートだった、魔力がなくなるとはいえ情報力という面では無敵になる能力って事だ。
「お主が知りたい事はたくさんあるんじゃろ?鬼殺しについて、使徒について、天照について───」
他にあるか?今挙げられたものは確かに知りたいと思ってる内容だ、だがもうこれ以上はないはず───。
「黒夢 紫月。お主についてじゃ。」
それは俺ですら、うまく自覚出来ていないとこだった。
そう、俺は記憶が抜け落ちている。
そして亀裂にのみこまれここにいる。
そんな俺がいったい何者なのか。
確かにすごく気になる。
「まずはこれじゃな、読んでみるといい。」
ミダラが俺に手渡した本は"鬼殺し"と書かれていた。
多分、鬼殺しについてだろう。
俺は恐る恐る、その本を開く。
『鬼殺しとは、鬼族を封じる宝具である。ほかの種族と比べ魔力が少なく、能力者が少ない種族である鬼族。戦闘能力が高く、能力とは別に鬼族全てが特殊な体質を持っている。戦えば戦うほど魔力を消費し強くなる、というものだ。』
戦えば戦うほど……強くなる?
『その体質は戦いながら魔力を体が取り込む事により発生する。そのため戦闘能力だけの話をすると右に出るものはいない、と言えるほどの戦闘種族である。それに対抗すべく、人間族が作り出したのが宝具"鬼殺し"である。』
……これが鬼殺し?だが、俺は身体能力が上がっていたはずだ。
あれはどういう、そう思いページをめくると『追記』の文字が。
『鬼殺しは鬼を封印した後、最初に触れたものにその鬼の核が体内に移る。』
ようするに?俺の中には鬼の核が存在するということか?
そして、刃の解放は単純に溢れた魔力らしい。
『現在封印されている鬼は『吸収』の能力の所有者で、他人の魔力を吸い身体能力を上げる。』
だから、鬼殺しに魔力を渡すと俺の身体能力が上がるのか。
『そして、鬼神[心]覚醒とは鬼の核に鬼殺しを移す事で一時的に封印した鬼と同等の力を得るもの。』
人間が鬼に対抗するために作った宝具……そういう事なら確かに辻褄は合っている。
そして俺は鬼の体質と、中の鬼の『吸収』を手にしていたという事か。
「どうじゃ?それがお前の大好きな鬼殺しじゃよ。」
獅子王と戦っている時に出来る余裕、鬼殺しが話しかけてきたことなど全てが繋がる以上、これを否定する事は出来ない。
そうなると一番怖いのは黒夢 紫月について。
そう、俺についてのこれにはいったい何が書かれているのか、だ。
「怖いならやめておいた方が良いと思うぞ?それにはお主も予想出来ぬような衝撃的な事実が書かれておる。」
×××
そんな事言われると余計に見たくなる。
俺の正体って事にもなるかもしれない。いや、俺はただの人間なはずだ。
俺は恐る恐る自分の書物に手をかける。
そして、ページを開くとそこに書かれたあまりにも信じがたい事実に自分の時間だけがそこで止まったような感覚に落ちた。
誰だってこんな事が書かれていたら同じような気持ちになると思う。
失礼かもしれないが、こんなものは嘘だ!と言い放ってやりたい。
そこに書かれた内容はあまりにも突拍子なもので。信じれるはずもない。
そこに書かれていたのは……
『黒夢 紫月は半使徒である。』




