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第3話 チャナカドゥ

「んん?この匂い……クンカクンカ。やはり、お前人間か。何故こんなところに人間がいるのだ。」

体が……体がすくんで動けない。

なんだこいつの威圧感、何かをされたわけではない。

それでもこの威圧感、いや威圧感よりも圧倒的な力に対しての恐怖心、本能的に体が怯えている。

「答えぬ……か、安心しろ人間。今私はすごく気分がよくてな。危害を加えたりはしないさ。」

「なぜ……気分がいいんだ?」

ふふふふふ、とチャナカドゥに似た男は笑い

「5日後に久しぶりの食事が出来るからさ」

と言い出す。食事……だと?久しぶりの。

一体どういう事だ?

「───逃げろ。」

誰かにそう言われた気がした、俺は我に帰りその場から走り去る。

体のすくみは自然となくなり、ただ奴から逃げたい。

その気持ちだけで俺は逃げ出した。

「予定変更……殺さない程度に遊んでやるよ。お前も食えりゃいいが、獣人しか食わんのでな。」

は……?そいつは床をたった一蹴りで10m程の移動をしていた。ありえない。

俺の目の前にいるこいつは偽物だ。そうだ。

混乱を抑えられない、だが逃げることも出来ない。

俺は自然と悟った。

そして、奴の殴りを顔にくらい、俺は気を失う。

だが、この時感じた違和感が一つあった。

何故か俺に届いた衝撃が二つだったのだ。


×××


「うぅ……ここ……は?」

見たことのない天井だった。

「起きたか……。」

そこにいたのは銀色のライオンのような仮面を付けた男だった。

「あの、あんたは。」

「お前のいる村でいう『獅子王』ってやつだ。」

こいつが……『獅子王』。確かに言われてみればそれっぽさはある。

「次に、俺はどうしてここに。」

「森で倒れていたんだ。」

そうか、俺は昨日チャナカドゥのような奴に会ってそのまま……。

「あの───。」

「チャナカドゥに出会ったのか?」

俺の言葉を遮ってまで言うその人から、俺は真剣さを感じた。

「……はい。」

「奴に会ってどう思った。」

「危険……かな。あいつを殺さなきゃ、そんな気はした。ただ、圧倒的な強さを……感じたんだ。」

コトンッ。

と、彼はコーヒーカップを俺の前に置き

「そうか。」

とだけ答える。

「あいつに勝つ事って───。」

ピクリッ。

「表に出ろ。」

彼は俺が勝てるのかを聞こうとした瞬間に声色が変わっていたのだ。


×××


「俺と一戦しよう」

「なんでだ?」

「チャナカドゥは昔から気に入らんのだ。お前に見込みがあればやつを頼みたい。まぁ、その可能性はかなり低いがな。」

そう言うと彼の体は数回り大きくなり髪が伸びたてがみの様になった。

「見せてやるよ。獅子王の強さをな。」

これはまたとないチャンスだ。一度やってみたかったんだ、こいつと。

俺が鬼殺しを構え契約したと同時に、獅子王は姿を消す。

消したのではなく、それは一瞬の出来事で気付けなかったのだ。

獅子王が俺の前に移動している事に、そして大きく振りかぶる腕に気付き、鬼殺しで防ぐがそのパワーのあまり俺は吹き飛ばされる。

「うぐっ。……どうなってんだあれ。勝てるのかよ。あんなのに。」

鬼殺しの二段階契約……鬼神[刃]解放も即座に発動し、迎撃態勢に俺は入っていた。

俺から攻めても勝てるわけがない。

確実に……確実にやつの攻撃を見極め反撃する。それしかないんだ。

ガサガサッ……ザザッ!

獅子王が後ろから現れたのがわかった。

俺は間もなく鬼殺しを振るうがかわされた、え?もしかしてよまれてた?

そのまま俺は死ぬ気で防御に入るがやはり攻撃が重い。

俺はまた数メートル飛ばされる。

「はぁ……はぁ……こんなのどうにもならねぇよ。」

チャナカドゥはこれよりもヤバいって事か?嘘だろ……。

どうにか、どうにかして反撃を……そんなふうに俺が慌てている時だった。

『あぁ、流石に見てられねぇな。』

何かが俺の頭に直接話しかけてきた。

誰だ?この声の主は。

『下だよ……下。』

俺が下を見るとそこにあったのは───。




宝具『鬼殺し』、それだけだった。

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