第12話 朽ちた英雄
「私がこの村を救ってみせる!」
これは……なんだ?
『お前の能力だ。今まで言わなくて悪かったな。』
シズキは知っているようだ。
この力の正体を……何故か映像が頭に流れてくるこれの正体を。
『ミダラのとこにも書いてあったが、わざとわからないようにしていた。知ったら躊躇に繋がると思ってたな。』
どういうことだ?この力を知ったら俺がチャナカドゥを殺すのを躊躇したってのか?
『お前の能力は"追憶"。殺した相手の過去を強制的に見ちまうんだ。』
記憶を……強制的に?
じゃあ、これは……チャナカドゥの過去なのか?
雰囲気が全く違う。あんな狂人の様だったチャナカドゥの姿はそこになかった。
けど、この過去……結構飛ばし飛ばしだな。重要なとこだけなのか?
ん……?
「お前が……この村一番の戦士か?」
「ああ。私がこの村を守るもの。チャナカドゥだ。」
「そうか……俺は使徒王ロギ!強いやつを探してたんだ!!楽しませてくれよぉ!」
×××
「お前は頑張ったよ。だが、俺に勝てる奴はいねぇ。」
負けたのか……チャナカドゥが。
だが、この時のチャナカドゥは雰囲気だけじゃなく力なども全てが違う。
「今回はお前に免じて村は見逃す。いずれまた来るからよ。その時までにもっと強くなっとけよ。」
ロギ……あれが使徒王、こんなのが何人もいるのか?
チャナカドゥでも歯が立たないようなやつが。
「強く……なりたい。」
×××
「あれは……使徒か。使徒は大量の魔力を……そうか。やつの核を体内に取り込めば。」
そんなバカな。
チャナカドゥは使徒を仕留め、その核を口にしている。
信じられない光景だった。
「力が……みなぎってくる。これならロギにも……使徒王にも負けぬ!」
魔力が格段に増えてる。
あの時戦ったチャナカドゥと同じだ。これが始まりか。
×××
「う、うぅ。私が……私でいられなく、なってい、る?なぜだ。……なぜ?そんなの単純だろう……私を食ったからだよ。使徒を!」
なっ!?チャナカドゥが豹変した。
だが、これが本来俺が知るチャナカドゥの姿。
体内に取り込んだ使徒の核が、チャナカドゥの精神を蝕んだのか。
×××
ん……?大量の使徒に何かを言っている?
「お前らぁ、私が死んだ時は村を襲え、それが最後の足掻きになる。」
使徒が村を襲う!?この数……嘘だろ。
獅子王と村長でどうにか出来る数じゃないぞ。
そこで俺の能力は終わった。
さっきから聞こえる大きな音は村へおりていく使徒の足音か。
どうする。体が動かない。例え動いたって鬼神[心]覚醒どころか、鬼神[刃]解放すら出来ない。
役立たずなんだ。
ここまで来て、俺は無力なんだ。
「クソォ!!!」
×××
「おいおい……村長、あれを俺とあんたでやれると思うか?」
「あれは……無理だろう。」
何十と向かってくる使徒に戸惑う事しか出来ない村長と獅子王。
完全にお手上げ状態だ。
「下がっておれ……お主ら。」
「ミダラ!?」
魔力もなく、戦闘能力は村人よりは高いがとてもこの数の使徒を仕留められるほどの人物ではない。
だが、そこにいるミダラは1本の薙刀を持っている。
その薙刀の周りを光る四角い物体が四つ回っていた。
「久しいのお。妾が外気に触れる時がまた来ようとは。」
「ミダラ殿でもどうにならんだろう。下がってくれ、ミダラ殿。」
村長はミダラに下がる様に言う。
「大丈夫じゃ。すぐに終わる。」
そう言いミダラは1歩前へと踏み出し、手に持つ薙刀を空気を裂くように振る。
そうすると、まるで別の空間に繋がっているかのような亀裂が現れる。
「宝具"扉の番人"……。時空に亀裂を入れ別空間への扉を開くものじゃよ。」




