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第11話 目覚めし追憶

「『ゴフッ……っ!』」

なんだ、急に早くなりやがった。

今までとは違う、それに重複は限界値の5のまま……あの、月なのか。

やつを強くしているのは。

『それはどうだろうな。』

シズキ……何か、知ってんだろ。

俺はシズキに問いかける、自分の知識ではわからないのだ。

この赤い月とやつの関係性が。

『紅の月とは、吸血鬼種の身体能力が上がる月だ。チャナカドゥは獣人の守り神で、尻尾なども見える。間違いなくやつは獣人だ。』

じゃあなぜやつはあんな魔法を身につけたんだ。

それにどうやってあの月によって強くなったんだ。

『それは考えなくていい。勝つ事だけを考えろ。方法がある。』

勝つ方法!?この状況で勝つ方法があるのはありがたい。

というか、こんなに強くなってまだ奥の手があるって。

本当に鬼ってチートか?

『だが、チャンスは1回だ───。』


×××


まずは出来る範囲でやつの攻撃を受けながら、やつの動きに反応出来るくらいの強化をする。

簡単に言ってくれたがキツイ。

もうかなりの防御をしているが、入る攻撃は5重複。

1発がかなり重い。

「『これ、本当に大丈夫なんだよな。』」

その時、チャナカドゥが勢いよく俺の斜め下へ移動をするのに気付いた(・・・・)

それに対し俺はまた防御を決める。

攻撃の威力により少し飛ばされ、その場で身を隠す。

これの繰り返しをしている。

『お前気付いてないのか?』

「『何にだ?』」

『お前もうチャナカドゥの動きに反応できてるだろ。』

……そういえば、さっきから完全にやつの動きを捉える事に成功している。

けど、そんな長い時間がかかったわけでもない。

やっぱ鬼ってチートな気がするぜ……。

ダメージだって体がどんどん強くなるから減っていくしな。

だけどまだ俺はやつの攻撃をくらえば吹っ飛んでしまう。

これだとその、奥の手?とやらを使っても反撃できないんじゃ。

『大丈夫だ。使えばお前がやつに反応できるだけで勝てる』

その時のシズキは、とても自信に満ち溢れていた。


×××


「ふははは!!私の強さ思い知ったか、どこだぁ?すぐに楽にしてやるよ。」

俺を探してやがる。

俺から出ていくのはNGらしい、あくまで奴が俺へトドメを刺そうとして、気の緩んだ一瞬。

そこを狙わければならない、との事だ。

「スンスン……この鬼の匂い……そっちか!!!」

気付かれた。

『奥の手はさっき説明した通りだ。やってみろ。』

俺は全身に魔力を行き渡らせる。

あるだけの魔力を……全身に───。


×××


『鬼には最後の手段として、魔力を使って戦闘力をあげる体質を利用する手がある。全身に魔力を行き渡らせ、最大値まで身体能力をあげるんだ。』

「『なんだ、それ。それ使っとけばいいじゃんか。』」

『これを使うと魔力がなくなるのは当たり前だが、同時にそれは鬼の戦闘力上げが消えることにもなる。一定の魔力を捧げることによる契約のようなものなんだよ。』

「『ようするに自殺行為のようなもんって事か?』」

『あぁ、使ったとこでその状態はもって数分、とてもオススメされないな。だが、俺とお前ならできる。』

「『そうか!俺の大きな魔力があれば───。』」

『そうだ。鬼は本来魔力が少ない、だからこれを使ったとこで爆発的には強くならん。だが、俺らには大量の魔力がある。奥の手を使った時の強化は計り知れないだろう。』


×××


ようするに……一撃を耐えて、そのまま一撃をぶち込む。

単純でわかりやすい作戦だ。

俺はチャナカドゥが現れたのを確認するとギリギリまで発動せずにタイミングをはかる。

「『今だ!』」

俺は全身に全ての魔力を行き渡らせる。

それと同時にチャナカドゥの強烈な拳が右頬を直撃する。

「なぜ……効いてないのだ?」

「『今俺は最高の状態だからだよ!!!』」

渾身の一撃をチャナカドゥの腹部に直撃させると胸部より下が吹き飛ぶ。

凄まじい殺傷能力に少し驚きそうになると同時の事だった。

頭に直接何かが流れてきたのだ。


「私がこの村を救ってみせる!」


見覚えのない青年。だが、この声に聞き覚えがあった。




───その声は今殺したはずのチャナカドゥに似ていたのだ。

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