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第10話 紅の月

「なんだぁ?その角はぁ。」

「『鬼……だよ。』」

前よりも明らかに一体化出来てる……これが本当の鬼。すげぇ。

息をするように身体能力が上がってるのがわかる。

「鬼?そうか!お前、人でなくなったか!よかったよかった。そりゃ食うのが楽しみだ。」

「『食えるもんなら食ってみろ。その前にお前が死ぬだろうがな!』」

「ふっ、強がりを!」

チャナカドゥが猛スピードで近付いてくる動きすらスローのようだった。

俺はそれを少し横へ退き、チャナカドゥの腹部に強く拳を入れる。

そうするとチャナカドゥは数メートル先まで飛んでいった。

「『おぉ!よく飛ぶな!どうした?俺は今、あん時遊ばれた借りを返してるとこだぜ?まだくたばんなよ!』」

「この化物がァ!」

「『ちげぇよ。鬼だよ。』」

チャナカドゥも気付けないスピードで横に周り今度は顔に拳を当てる。

「ゴファッ!!!」

───楽しい。

今俺はそういうふうに感じている。

『当然だ。鬼とはそういう種族だからな。』

そうか。それじゃ俺はやっとお前と一つに一人の鬼になれたんだな。

『そんなに嬉しいのか?』

あぁ。俺が一つの生き物として認識された事、これがすごく嬉しいんだ。

「『まだ終わりじゃねぇだろ!?チャナカドゥ!』」

俺とチャナカドゥの身体能力に今のとこ大きな差は存在しない。

じゃあ、この差は?と聞かれたら単純に能力があったかなかったか、だ。

やつの身体能力は本物だ。

だが、やはり能力に頼ってた部分があるのだろう。

俺ほどには研ぎ澄まされていない。

逆に俺の場合は能力がない事から研ぎ澄まされた身体能力がある。

『そう、それがシズキ、てめぇの強さだ。』

更に鬼の体質と吸収の能力で差はどんどん出来る。

もう勝ったも同然だな、これは。

可哀想になってきたわ。

「『安心しろ、もう楽にしてやる。』」

ドゴォンッ!!!

「はぁ……許さねぇ。」

またフォームが変わってる?

「これが俺の能力の限界値だ。」

バッ

消えた!?いや……違う。早すぎるんだ。

何百メートルもあったはずの距離を縮めるのがほぼ一瞬だなんてな。

「『だが、まだ殺り合えるレベルだ!』」

俺強くなりすぎじゃないか?

これでもまだ戦えるレベルって……嘘だろ。

右からの拳を俺は両腕をクロスさせ守りに入るが、俺の腕に5発(・・)衝撃が入り、かなり距離を飛ばされる。

「『───っぅー。重たすぎるだろ、今のは。だ、け、ど……。』」

俺は立ち上がりチャナカドゥにドヤ顔をする。

「『お前の能力がわかったぞ!』」

「なん、だとぉ?」

「『力を重複させてるだろう?加速や重複する攻撃もこれで説明がつく。』」

チャナカドゥは高々に笑う

「そうだ、私の能力は───。」


×××


「『重複』この力を使う事で俺はその重複分身体能力が倍になる。だが、お前ぇ。なぜ私の最大5重複についてこれるのだ。初めてだよ。」

「『まぁ、ようするに今のお前が限界ってことだな?じゃあ、もうやめとけ。俺は鬼だ。どんどん強くなる。お前に勝ち目はない。』

半分使徒になってる俺の底知れない魔力も尽きる気配がない。

正直、自分で言うのもあれだが鬼の魔力を消費して強くなる体質もある上に、シズキの吸収で奴から魔力を吸いながら更に強くなる。

もはやこれ負けるわけがない、というかチートだろ。

「お前……気付かないか?」

「『何が……だ?』」

全く変化が起きてるようには思えない。

『おい、空を見ろ。』

「『なっ!?……月が赤い……。』」

「紅の月……。知ってるかぁ?ある種はこの月の力で身体能力が上がるんだよ。」

「『それがなんだってんだ。』」

「こういう事だよ。」

チャナカドゥはかなり速さで動いたのだろう。気が付いた時には俺の前だった。

そう変わっていたのだ。




奴の動きが目で追えないレベルにまで。

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