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現想真魂録~幻想の勇者共が現代入り~  作者: 観測者S
第捌章 The Night Sin Begins
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第59話 EPISODE SIN Ⅰ

剛「おお、左様でござったか!!!」


剛「いやはや、その日は旅行へ行っていたゆえ、迎えに行けなかったことは申し訳ないでござる!!!」


剛「うむ、拙者も同じ考えでござる。慎殿の驚く顔が目に浮かぶでござるよ!!!」


剛「うむ、うむ、それでは、後に学校で!!!」

9月1日 水曜日 朝 慎の研究室



慎(『黄昏の羽根』か。……ヒノカグツチ(アレ)の制御に使えそうだが、月で採れるものをどう調達するか……。)


慎(月で発見された、観測史上最大最強のシャドウの欠片。なるほど、目には目を、と言うわけか。ヒノカグツチがシャドウなのかもよく分からないがな。)


慎(仕方ない。創るか。もっと詳しい解析データが桐条のデータに眠っている筈だ。漁ってみるか。)


咲夜「リーダー、朝食の用意が整いました。」


慎「そうか。今行く。」






波乱の八十稲羽旅行から数日後。

稲羽市立病院に一日検査入院した慎は、一日遅れで帰宅。

彩愛、魔理沙、早苗、妖夢は激しく交戦した慎を気遣い、慎はそれをうっとうしがり。

霊夢は冷静を装いながらも接し方に困り、咲夜のみがいつも通り慎に対応していた。


それから特に何も起きず、新学期。

明るいとは言えない雰囲気の中、二学期は始まる。






放課後 文研部部室



することもなく、なんとなく部室に集まった一行。

集まったはいいが、歯切れの悪い会話がちらほらと起こり、居心地は決していいものではなかった。



勇太「文月までテンション低いのは予想外だったな。」


栞里「そうか?ま、私も色々あったからな。」


勇太「そうか。」


栞里「ああ。」


勇太「……。」


栞里「……。」


彩愛「あ、そうだ!ねぇ知ってる?隣のクラスに転校生が来たんだって!それも二人も!」


慎「まぁウチのクラスも4か月で6人増えてるからな。そこまで珍しくもないだろ。」


勇太「や、それはお前が入れてるからじゃん。」


早苗「転校生と言えば、剛さんはどこへ?」


慎「どうせ新学期が始まったとかで、下らないサプライズか何か考えているんだろう。」


慎「『スペシャルゲストを連れていくから待っているでござる』とかほざいてたしな。」


乾介「……。」


魔理沙「……。」



彩愛が無理矢理空気を温めようとするものの、失敗に終わる。



コンコン。

扉がノックされ、



拓海「失礼するよ……って、なんか暗いね。修羅場でも起きた?」



慎とそこそこ仲のいい、隣のクラスに在籍する疋田拓海とその友人、高橋桃華が現れる。



慎「ある意味でな。で、客でも連れてきたのか?」


拓海「いやなに、転校生への部活動紹介を師走先生に押し付けられてね。」


霊夢「噂をすればなんとやら、ね。」


桃華「二人とも、ここが『文化研究部』。ま、言ってみれば『万事屋(よろずや)』ね。」



そしてそれに続くように男子と女子が一人ずつ、さらには剛も入室する。



黒髪ショートの少年「へぇ、結構部員いるんんだな。」


勇太「ってか何でお前が。」


栞里「颯真!来てくれたのか。」


黒髪ショートの少年「よっ。」


剛「ふっふっふ。スペシャルゲストでござるよ!!!」


拓海「紹介するよ。今朝転校してきた、睦月(むつき)颯真(そうま)君に長月明穂さんだ。」


少年改め颯真「睦月颯真だ。よろしくな。」


明穂「あー、木嶋さんだ!久しぶりー、ビーチ以来だね!ここの生徒だったんだ!」


乾介「『きしま』さん?」


早苗「そんな方いましたっけ……?」



『木嶋』という名前に心当たりのない早苗は、もしかしたら自分たちの知らない部員が、存在感を消してこの部屋にいるのかもしれない。

そう考えた早苗は、確認を取る為慎に質問するが。


慎は『しまった』と言わんばかりの顔をしていた。



慎(前回はやり過ごすために偽名を使ったが……裏目に出ることを予想できないとはな。あの時の俺は馬鹿か?)



早苗「慎さん?」


明穂「えっ?『慎』……?」


慎「……色々あってな。偽名だ。俺のな。」


剛「……以前に慎殿そっくりの『木嶋』なる男子と会ったと言っていたが、こういう事だったでござるか。」


慎「文化研究部部長、如月慎だ。」



慎の自己紹介に、軽快に返す颯真。

しかしそれとは対照的に、明穂はその目に涙を浮かべる。



颯真「慎か。よろしくな。」


明穂「ホントに……慎なの?」


慎「……。」


剛「ああ、(まこと)でござるよ、明穂殿。彼は紛うことなく、れっきとした如月慎殿でござる。」


彩愛「……お知り合い?」



突然、明穂は慎に向かってダッシュし、そのまま泣きつく。



彩愛「!?」


霊夢「ちょっ!?」


明穂「ずっと会いたかった!!!どうして急にいなくなったの!?何で私を置いてったの!?どうして……どうして!!!」


剛「明穂どの……。」


慎「……そう言えば、お前は『あの場面(とき)』、『あの場所』にはいなかったな。」



慎は明穂を強引に引きはがし、鞄を持ってそのまま教室を後にする。



慎「あの時に何があったか、剛から聞いているかは知らないが、お前も敵なら斬り伏せる。」


勇太「ちょっ、どこ行くんだよ?」


慎「今日は帰る。依頼が来たら、文月が対応しろ。咲夜、彩愛を任せる。」


咲夜「承知いたしました。」


天音「おっと、早速見学か……って、これは一体どうした?」



慎と入れ替わりに、天音が入室する。

物静かな雰囲気と、泣いている転校生。教師としては、口にせざるを得ない質問だった。



天音「慎が泣かせるにしても、意味もなく転校生をいびるとは思えないのだがな。」


明穂「えっと……?」


天音「この部の顧問で、お前たちの古文の授業を担当する霜月だ。何があったか、聞かせてもらえるか?」


明穂「だい、じょうぶです。ちょっと昔の友人に会って感動しちゃっただけですから。」



涙をぬぐい、無理矢理落ち着く明穂。



勇太「……なぁ剛、お前ら何があったんだ?」


剛「何が、とは?」


勇太「前から気になってたんだ。アイツ、出身地が同じお前にだけ当たり強いし、それに普通の友達が久しぶりに会った時に『なんで私を置いてったの』なんて質問はしない。」


勇太「アイツが高天原に来たのは中学に上がる時だ。小学校の頃の親の都合での転校とかなら、普通に歓迎会とかやるだろうし、なんにせよ普通に再開を喜べるはずだと思う。」


勇太「暴走した時のアイツの言葉にも気になることがあった。『自分以外が基本的に敵』って言ってたし、ヒノカグツチが言ってた『貴様が絆を否定したあの日』ってのも気になる。」


颯真「絆を否定……?」


明穂「暴走……?」


勇太「俺は、アイツを助けたい。結果的には暴走は収まったけど、いつまたヒノカグツチが出てくるかもわからないし、暴走の原因が過去にあるなら、しっかりと知っておきたい。二度と暴走を起こさせないように、出来ることはやってやりたいんだ。」


勇太「それに俺、過去が云々言うより、根本的にアイツの事知らねぇしな。」


剛「勇太殿……。」


明穂「私も知りたい。何で『みんな』がいなくなったのか、何で慎が引っ越したのか。何で……『小夜ちゃん』やおじさんたちが死んじゃったのか。」


明穂「高天原(ここ)へ来たのは、それを知りたいからでもあるから。」


剛「明穂殿まで……。」


拓海「……積もる話だろうから、僕たちはいなくなろうか?」


剛「いや、是非お主らにも聞いてほしいでござる。思えば、今の慎殿の心を『あの頃』に戻すには、理解者が必要でござろう。」


剛「本当は慎殿の事を思えば黙っているのが一番でござろうが、こうなっては致し方あるまい。」


剛「話すでござるよ。『あの晩』に起こったこと、そしてその全てを。」











同時刻 どこかの研究施設



ハットを被った男「どうです?アメノトツカの調整の進捗の程は。」


白衣に片眼鏡の男性「皐月か。約9割……と言ったところか。まだ微調整が残っている。」


ハットを被った男「そうですか、いつ頃完了予定で?」


白衣に片眼鏡の男性「最終的には、能動的に如月の末裔を殺させることで完成する。今はそのための戦闘訓練中だ。」


ハットを被った男「ま、彼女は所詮『鞘』ですしね。しかしわざわざ『鞘』を作らせる辺り、『今回』のゲイザーさまは慎重なようだ。」


白衣に片眼鏡の男性「『他』に比べてどうだろうと、私には関係ない。」


ハットを被った男「そうですか。しかし、感動の再会が殺し合いなんて、なんて悲しいシナリオなんでしょう。私、思わず泣いてしまいそうです。」


白衣に片眼鏡の男性「貴様のウソ泣きは見ていて反吐が出る。確かに、新島が逮捕されたことで資金提供が無くなり、設備の維持が困難であるという点では泣けるがな。」


ハットを被った男「あらつれない。そうですねぇ、あの置物社長ときたら、資金確保くらいしか使い道がないものの、ろくに相手の人間関係も調べずに誘拐するものだから、あっという間に出し抜かれて。」


ハットを被った男「おかげでウチの蛇を3匹も無駄にしましたよ。ま、データが取れたからいいんですけど。」


ハットを被った男「ところで神無月博士、弥生博士は今どちらに?」


白衣に片眼鏡の男性「弥生なら、奥でデータの整理をやらせている。」


ハットを被った男「そうですか。それでは、私はこれで。」







同時刻 ???



荘厳な着物を纏った女性「……八雲紫か。どうした?」


紫「……。」


荘厳な着物を纏った女性「……そうか。まぁいい。あの幻想郷(はこにわ)からほぼ全ての反乱分子を取り出せたのだからな。」


荘厳な着物を纏った女性「放っておけば、そのうち勝手に崩壊するだろう。」


紫「……。」


荘厳な着物を纏った女性「名残惜しいか?まぁそう嘆くでない。どうせそのうち『何もかも無くなる』。気にすることは無い。」


紫「……。」


荘厳な着物を纏った女性「何者かが現代(こちら)に反乱分子を逃がしたらしいが……そのうち処分する。とくに問題はないな。」


紫「……。」


荘厳な着物を纏った女性「今更何を喚いても無駄だ。お前の全ては、すでに余が掌握している。その気になれば、その手でお前の手駒(しき)を殺させる事も可能なのだぞ?」


紫「……!!!」


荘厳な着物を纏った女性「なら従え。全ての事象を把握する余を前に、お前に選択肢は無い。」


紫「……。」


荘厳な着物を纏った女性「そうだ。それでいい。『お前の意志』で余に従うことに意味がある。」


荘厳な着物を纏った女性「この私……オスニヴァーチ=ゲイザーにな……。」

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