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現想真魂録~幻想の勇者共が現代入り~  作者: 観測者S
第柒章 Summer Vacation !
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第58話 The Highlander

剛「慎殿……。」


乾介「如月先輩……。」


荒垣「……大丈夫だ。お前らの仲間ならうまいことやる。」


荒垣「だから、信じて待ってやれ。お前らのリーダーをな。」


剛「拙者は……また……」


乾介「……僕は、如月先輩が自分を見失うなんてこと、ありえないと思っています。」


乾介「先輩はシャドウなんかに負けない。僕はそう信じてます。」


剛「拙者は……慎殿に何があったのか、知る義務があるでござる。」


剛「そのためにも……こんなところでうなだれている訳には行かないでござるな!!!」


荒垣「……そうか。いい仲間を持ったな、アイツも。」

慎の夢の中



慎「まさか、お前が出るとはな。」


グリム「勘違いするなよ。俺はただ、俺を負かした奴が無様に死ぬ姿を見たくないだけだ。」


慎「……フン。」


グリム「……」


ヒノカグツチ「オオオオオオオオ……」



慎の窮地に現れた、封じられたはずのグリム。

現実世界で損傷と再生を繰り返した慎の肉体は、徐々にグリムの魔力と混じり合い。より深くなった慎とグリムの存在の繋がりは、深層心理にさえ到達し、いつしか慎の夢の中に現れるまでに深くなっていった。



慎「……アレが何だか分かるか?」


グリム「さぁな。だが感じられるのは、アレは殺意と破壊衝動の塊……『俺達』の格好の餌だという事だ。」


グリム「そして、この精神が反映される世界でお前を狙ってくるあたり……大方俺達を食い荒そうとしているのだろうが……」


慎「……なるほど。喰い返せばいい訳か。」


グリム「……そうだな。」


慎「……構えろ。」


グリム「……ハッ!!!」



心が結ばれたのか、利害が一致したのか。

そのどちらかかは分からないが、慎の言葉にグリムは軽い高笑いで返し。



慎「……推して参るッ!!!」



目の前の存在を『喰らい返す』べく、『戦う』のではなく『殲滅』の為、今も尚沸き続けるシャドウと融合し続けるヒノカグツチへと駆ける。



ヒノカグツチ「ガアアアアアアアアッ!!!」



再び口を開き、エネルギーを蓄えるヒノカグツチ。



慎「グリム!!!」


グリム「分かっている!!!」



慎はグリムに注意を促し、そのまま胴体の真下目掛けて駆ける。



ヒノカグツチ「!!!!!!!!!!!!!!」



やがてヒノカグツチから光線が発射される。



グリム「ファランクス!!!」



その光線に、グリムは先程吸収したヒノカグツチの光線に、自身の魔力を乗せ、反撃する。

二つの光線はぶつかり合い、強烈な衝撃波を生み出す。



慎「ッ!!!」



衝撃波の発生にタイミングを合わせ、慎はジャンプする。

やがて慎の後方で発生した衝撃波は慎を襲い、そのまま慎を吹き飛ばすが。



慎「だぁああああッ!!!」



その勢いを利用し、慎は青龍での飛行を開始する。

自身のあらゆる運動エネルギーを自在に操れる青龍は、本来は衝撃波によるブーストなど必要ないのだが、ヒノカグツチの体力が図れないため、極力消耗を抑えるために初速度として利用したのだ。


地表スレスレの低空飛行を続ける慎は、そのままヒノカグツチの両手を目指し進む。

そして右手が接地している場所にたどり着いた慎は。



慎「ロード、『頭脳の檻(ブレインケージ)』!!!」



ヒノカグツチが立ち上がる事を防ぐため、まずは右腕を地面に縛り付ける。

文字の羅列によって作られた鎖がヒノカグツチの右腕を縛り、拘束を確認した慎は速度を殺さずに左腕へと向かう。


その最中、光線の衝突は終わり、ヒノカグツチは己の拘束された右腕に気付く。

動かそうにも地面を離れない右腕に気を取られ、左腕に接近する慎に気が付いたのは、慎が左腕を封じようとする直前だった。


自らの四肢に近づく羽虫を振り払うため、左腕を大きく振るうヒノカグツチ。



慎「うおっと!」



間一髪当たる直前に回避した慎は、浮いてしまった左腕の拘束を諦める。



グリム「ブラックホーク……スティンガー!!!」


ヒノカグツチ「ッ!?!?!?!?!?!?」



ヒノカグツチの体が大きく揺れる。

それは、完全に慎に気を取られていたヒノカグツチに、グリムが強烈な一撃をぶち込んだ事で発生したものであり。

左腕が完全に浮いていたヒノカグツチは、そのまま体制を崩し地に伏す。



グリム「貴様から受けた殺意の全てを返してやった。さぞ効いただろう。」



気付けば、シャドウの発生は収まっており、融合も止まっていた。



慎「このまま一気にたたむ!!!」



そのまま一気に上空へ飛び立つ慎。

そしてグリムも、ヒノカグツチの顔の真下に入り込む。



グリム「……貴様も中々洒落た事を考えるものだな。」


慎「だろう?行くぞ!!!」


グリム「全方陣、解放!!!」


グリム「魅せてやろう……最高の暴力を!!!」



グリムを中心に、赤い魔方陣が広がり、目の前の巨人から溢れ出る感情を全て魔力へと変換された、『膨大』という言葉では到底表現しきれないほどの魔力が、グリムへ蓄えられ。



慎「貴様なんぞに喰われてたまるか!!!俺は俺であり続ける!!!」



グリムの魔力に感化され、真っ黒に染まった青龍……『覇龍』をその身にまとい、慎は空中で木刀を構え。



慎/グリム「龍狼合狩・双咢喰砕フェンリルクロスバイト!!!」



真下からのグリムの全力の拳と。

上空からの慎の全力の一太刀。

全力で敵を刈り取る為に放たれた二つの力は、一瞬でヒノカグツチの頭を砕き。

一瞬でその姿は霧散し、消滅する。

後に残ったのは、ヒノカグツチの顔を模した一つの仮面。



慎「……一応使えそうだから、取って置いてやるか。」


グリム「龍の剣士よ。俺は貴様の肉体とある程度繋がっているから把握できるが、今の貴様の体は、今倒した巨人のいわば『本体』に操られている。どうする?」


慎「どうするもこうするもあるか。喧嘩を売ってきたのは向こうの方だ。きっちり潰すさ。」


グリム「そうか。なら、俺の魔力を使うといい。俺の意志は表には出られないが、貴様なら可能だろう。」


慎「どうした?やけに協力的じゃないか。九重の時みたいに俺を殺そうとしないのか?」


グリム「再び貴様と戦えるのは喜ばしいことだが……貴様と共に戦うのも、存外悪くない。まさか、この俺が共闘に愉しみを見出すとはな。」


慎「そうか。まぁなんにせよ、使えるものは使わせてもらう。」



慎は仮面を拾い上げ、そして目を閉じ、大きく息を吸い込む。











八十神高校 校庭



慎(ヒノカグツチ)「ぐあああああああッ!!!」



不知火の回転蹴りを受け、大きく吹き飛ぶ慎。



不知火「夢想……三日月!!!」



そして大きな太刀(阿修羅)を上段に構えた不知火は、その刀身に霊力と妖力を溜め、振り下ろす。

斬撃は黒い光の刃となって慎へと飛んでいき、かすめられた右のかぎ爪は粉々に砕ける。



霊夢「何でアンタが、私の技を!?」



他の幻想郷勢も声こそ出さないが、不知火が霊夢の技を発動したことに多少なりとも驚いていた。



不知火「早く立て直せ。今貴様に疑問を抱く(いとま)はない。」


霊夢「……。」



不知火に言われるまでもなく、投げられた霊夢は立ち上がる。

そしてその周りに幻想勢、そして浮遊しているペルソナに乗って飛行してきた山岸を除くペルソナ使い一行も降り立つ。



慎(ヒノカグツチ)「許さん……許さんぞ羽虫共がァッ!!!」



そして大きく吹き飛ばされた慎も立ち上がる。



慎(ヒノカグツチ)「こうなれば……この躰の力を利用してまでも、貴様らを滅ぼさねば気が済まん!!!」



そのまま慎は、もといた屋上へと手を伸ばす。

ヒノカグツチが憑依した際に手放された村正は慎の手元へ飛来し、右手に収まる。



慎(ヒノカグツチ)「この血に封じられし荒ぶる神よ!!!火之迦具土神(ヒノカグツチ)の名の下、我に力をよこせ!!!」


不知火「……頃合いか。メティス、退くぞ。」


メティス「了解。戦闘行動終了。撤退。」


ラビリス「ちょっ、どこ行くん!?」



慎が無理矢理封神を発動させようとすると同時に、メティスは一瞬で姿を消し、不知火も太刀を下ろし、その場を後にする。



不知火「言っただろう。『ある程度は』私が削る、と。」


不知火「奴は最早封神に頼らなければ戦線を維持できない。それは即ち、『ヒノカグツチ』としての力が弱まっている証拠だ。」


山岸の声『如月君のシャドウ反応、薄くなっています。もうあとひと踏ん張り、頑張って!!!』


天音「……結構勝手な奴だな。」


魔理沙「どのみち、もう今回は不知火には頼れない。気を引き締めていくぞ!!!」



魔理沙の号令で、一行は構え直し。



慎(ヒノカグツチ)「現れ出でよ!!!」


山岸の声『……これは!!!』


早苗「どうかしたんですか!?」


山岸の声『如月君から、前回の暴走体特異個体の反応をキャッチ!!!』


里中「特異個体って……あの狼男!?」


魔理沙「このタイミングで封印が緩んだのかッ!?」



慎の体かが、黒い龍のオーラが現れ。



慎(ヒノカグツチ)「死ねぇえええええええ!!!」


一同「「「ッ!!!」」」



そのオーラを纏ったまま、村正の牙突が一向に襲い掛かる。



妖夢「ここは私が!!!」


慎(ヒノカグツチ)「ぬがぁッ!!!」


妖夢「ッ!?」



妖夢が一歩前へ踏み出し、二振りの刀で受け止める。

しかし思いのほか慎の突撃は強く、一瞬で弾き飛ばされ。

勢いはとどまる事を知らず、そのまま直線状にいた魔理沙を狙う。



魔理沙(ッ!!!)



魔理沙は人間の防衛本能から目を閉じる。


その間、ほんの一瞬。

人間の脳が、情報を処理できるかできないかの刹那。



村正は



魔理沙の首を











跳ねることは無く、数ミリ手前で止まっていた。



慎(ヒノカグツチ)「……どういう……ことだッ!!!」


魔理沙(一体、何が!?)



恐る恐る魔理沙が目を開くと。

本来なら村正と同時に自分の首を飛ばしていた龍の首が、村正の刃に噛みつき、その勢いを完全に殺していた。



霊夢「ッ、そこっ!!!」



一瞬動きが止まった慎に、霊夢が霊力を込めた掌底を鳩尾に当たる部分にねじ込む。



慎(ヒノカグツチ)「グオッ!!!」



村正を落とし、そのまま数歩後ずさる。



霊夢「……どうやら、アンタにこれは振れなかったみたいね。ヒノカグツチ!!!」



村正を拾い上げ、そう言い放つ霊夢。

すると、慎から黒い龍のオーラが分離し、霊夢に纏われる。



霊夢「ッ!?」



一瞬血が沸騰するような感覚に襲われた霊夢だが、やがてオーラは霊夢に馴染み。



魔理沙「霊夢が……魔力を!?」


霊夢「これは……」


慎の声『なるほど、こうなったか。』


霊夢「慎!?」



霊夢の頭の中に、慎の声がこだまする。



慎の声『ややこしい話は後だ。まずは目の前のアイツを処理する。』


霊夢「……そうね。でも、アイツは今まで普通の攻撃が効かなかった。何か有効打でもあるの?」


慎の声『肉体の制御を外側から奪い返す。いいか、よく聞け……』


霊夢「……わかった。やってみる。」


早苗「霊夢さん?大丈夫ですか?」



どうやら、慎の声が届いているのは霊夢のみであった。



霊夢「大丈夫。心配ないわ。」


慎(ヒノカグツチ)「おのれ、どこまでも……!!!」



霊夢はゆっくりと目を閉じ、腰を落とし、村正を顔の横で水平に構え。



霊夢「……推して参る!!!」



眼を見開き、キッと慎を見据え、駆け出す。



霊夢「援護お願い!!!」


魔理沙「よし、任された!!!」



霊夢は上空へと飛び上がり、魔理沙は地上を駆け、慎に迫る。



山岸の声『オラクル、発動します!!!』



山岸が、ユノのスキル『オラクル』を発動し、一瞬地面が光る。。

何が起こるか分からないとされるそのスキルは、霊夢達一向に『次の技の威力を跳ね上げる』効果をもたらした。



魔理沙「これならいける!!!」


早苗「行きます!!!」


天音「逃がさないよ!!!柔鴎芭瑠冠(じゅうおうばるかん)!!!」



天音の朱い朱雀のオーラが、慎を取り囲むように低空を旋回する。

朱雀が通り過ぎた後の地面からは緋色の炎が上がり、外界からの視覚情報を完全に奪う。



魔理沙「おら防いで見せろ!!!マスター……スパーク!!!」



続いて魔理沙は慎に八経路を向け、近距離からマスタースパークを放つ。

その光線は先程の3倍を超える幅・密度で撃ち出され、相手に避ける隙を与えはしない。

避けることは諦め、耐え凌ぐ為に踏ん張る慎を襲ったその光線は、吹き飛ばしはしないものの、行動の余地を与えない程度に制圧しており。



早苗「九字刺しッ!!!」



光線が消滅する直前に慎の四方から襲い来る光の柱により、慎の防御は完全に崩され。



妖夢「見えたッ!!!円心流転斬!!!」


里中「ゴォッドォ……ハンドォ!!!」



その隙に、遠距離からの急加速を伴った妖夢の居合と、ハラエドノオオカミの拳を巨大化し打ち付ける『ゴッドハンド』が炸裂。

オラクルにより強化された連撃に耐え切れず、たまらず慎は膝をつき。



山岸の声『体勢を崩しました!!!総攻撃チャンスです!!!』


天城「今がチャンスよ、準備はいい?」


咲夜「言われずとも!!!」


ラビリス「今待っててな、すぐに元に戻したる!!!」



天城の合図に応じ、三人が総攻撃を仕掛ける。

激しい土煙の中、各々の攻撃が着実にヒノカグツチの防具にダメージを与え……



慎(ヒノカグツチ)「馬鹿な……この我が、再び羽虫共に……ッ!!!」


霊夢「これで、終わりよ!!!」



遥か上空でオーラを纏った霊夢は、慎目がけて急降下し。



霊夢「夢想魔狼(むそうまろう)龍皇(りゅうおう)断牙蹴衝(だんがしゅうしょう)!!!」



重力加速と覇龍により強化された、霊夢の霊撃。

その蹴りは、正確に慎の頭を捉え。



覇龍(慎)「俺の体、返してもらう!!!」


慎(ヒノカグツチ)「馬鹿な……この我が……再び人間に敗する……など……」



覇龍のオーラが霊夢から離れ、慎の体へ潜り込む。ヒノカグツチの赤い防具は消滅し、慎はその場に崩れ落ちる。

倒れる慎を、霊夢が抱き留める。



山岸の声『如月君のシャドウ反応、消失。早く手当てを!!!』


霊夢「慎……。」


里中「よし、救急車はもう手配したから、あとは救急の人が来るのを待って、私達は旅館に戻ろっか。」


彩愛「あの、私、慎くんに付き添います!!!」


早苗「私も!!!」


咲夜「私も、付き添う義務があるかと。」



気が付けば、空は若干明るくなっており、月はその姿を朝の明るさに溶け込ませていた。

高天原駅



少年「……ここが高天原か。三峰とは違って都会だけど、なかなか住みやすそうな街だな。」


栞里「……。」


少年「……結局、(さとし)は見つからなかった。けど、ここでうつむいてたら駄目だ。」


少年「俺達が、二人の分まで、生きてやりゃいい。」


栞里「……分かってる。」


少年「ともあれ、新学期からは同じ学校だ。またよろしくな。」


栞里「……ああ。」






明穂「やーっと着いたー。」


明穂「ここが高天原かぁ。斑鳩より何か色々と凄いなぁ。」


明穂「ビーチでは会えなかったけど、剛の話ではこれから同じ学校に通うはずだし、会えるよね……。」


明穂「慎……。」

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