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現想真魂録~幻想の勇者共が現代入り~  作者: 観測者S
第陸章 Operation: Capture the Mad Dog
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第44話 対峙する2つの魔

慎(そういや、あの時俺達が事件にかかわらずに済んだのは、ちょうどその時旅行に行ってたからだったな。)


慎(斉藤の親も人が良すぎる。まさか保護者として同行することを条件に旅費と宿を全て用意してくれたんだからな。)


慎(しかし祭りの次の日朝一で出発とか、その後の工程も今考えてみれば結構ハードだったな。いい暇つぶしになったからいいが。)


霊夢「ねぇ、ここはどうやるの?」


慎「ああ、ここはこっちを先に式変形して……」


慎(今年は……久々に誰もいない実家に帰ってみるか。気は進まないが。)



霊夢「なんか0=0になったんだけど。」


慎「……その式は恒等式じゃないんだがな。」


霊夢「高等式?」


慎「いいからやり直せ。ほら。」

健次郎「……これは……ッ!!!」


パチュリー「大分暴れてるわね。」



健次郎たちがグリムを探してたどり着いた先に在ったのは、大量の死体と少数の生存者。

魔力に耐性のない健次郎は、グリムの放つ魔力に押しつぶされそうになる。



特殊部隊A「君達!!!今すぐここを離れるんだ、正直我々も足止めで精いっぱいだ!!!」



現場に来た健次郎たちに交戦中の特殊部隊の人間が駆け寄り、避難を促す。



特殊部隊A「ドライバーズキーパーの増援も今は到着を待っている状態だ、君達学生では無理だ!!!」


特殊部隊B「こちらアルファ、増援はまだか!!!」


特殊部隊C「こんのおおおおお!!!」


特殊部隊D「何だコイツ、撃っても撃っても、被弾した傍から傷が回復していく!!!」


特殊部隊E「体が重い、体力が必要以上に持っていかれる!!!何が暴走したらこうなるんだ!!!」


グリム「いい加減……この(飛び道具)も飽きたわ!!!」


グリム「オラァ!!!」ブン


特殊部隊C・D・E「「「うわああああああああ!!!」」」


特殊部隊B「あ、ああ……」


特殊部隊B「ハッ!?増援!!!増援はまだか!!!」


特殊部隊B「こうなったら、時間は俺が稼ぐ!!!」


特殊部隊A「ちくしょう、これ以上殺らせるかァアア!!!」


特殊部隊A・B「うおおおおおおおおおおお!!!」


グリム「フンッ!!!」ブゥン


グリム「この世界の人間は魔法を使わない代わりに道具が発達しているのだな。だがその程度では、俺の回復を上回ることなど出来ない!!!」


グリム「俺の『暴呑暴喰プロズデリヴォスト』は常に貴様らの『戦意』を喰らい続ける!!!さぁ、大人しく俺の餌となれ!!!」


グリム「いや、大人しくてはつまらん!!!せいぜい足掻き続けろ!!!そして俺を楽しませろ!!!」



グリムは銃などまるで効いていないようにふるまい、次々と特殊部隊を蹴散らしてゆく。

『まるで効いていない』のではない。本当に、『全く効いていない』のだ。



パチュリー「成程、だからさっきまでとは魔力の量が違うのね。」


健次郎「魔力?どういうことだ?」


パチュリー「私達魔法使いは、相手の魔力を自分との相対的な量で感覚的に把握することができるのだけど」


パチュリー「さっきのあのアイツと今のアイツ、魔力量が比較にならないくらい増えているわ。」


パチュリー「恐らくアイツは、相手の『戦意』に呼応して自身の魔力を上げるような魔法か何かを使ってるのね。」


パチュリー「アイツの討伐に人数をかければかける程、アイツを強化することになるわ。」


健次郎「……魔力が高まると、どうなる?」


パチュリー「見ての通りよ。使う魔法も強化されるし、身体能力も上がる。割合的にね。」


パチュリー「アイツはもとが狼男ウェアウォルフだから、効果も高いのでしょうね。」


パチュリー「見たところ、アイツは治癒魔法も使ってるわね。アレを倒すにはちょっと骨が折れそうね。」


健次郎「どうすればいい?」


パチュリー「魔力そのものを封じる事が出来れば一番なのだけれど……」


パチュリー「魔力の質も今まで観測た事がない物だし、魔法の術式も分からない以上魔力の封印は出来ないわね。」


健次郎「ならどうする?」


パチュリー「本当はブランクの魔道書があればそれに閉じ込めて実験台にでもしようと思ったのだけれど……」


パチュリー「ま、なるようになるわ。レミィにでも祈っとこうかしら。」


パチュリー「まずは様子見ね。私が魔法を撃ってみるから、陽動してもらえる?」


健次郎「よし、分かった!!!『エレクトロ・スライダー』起動!!!」



健次郎は懐から腕輪を二つ取り出し、両腕にそれぞれ嵌める。

起動された腕輪もとい健次郎の能力ドライブ、エレクトロ・スライダーはパチパチと電流を帯びる。



健次郎「うおおおおおおおおおおッ!!!超電磁!!!」



腕をスクラップと化した特殊車両に向けると、腕輪から稲妻が走り、電流ビームによって腕輪と繋がる。



健次郎「どうだァッ!!!」



そして腕をそのまま大きく振り回すと、それに引っ張られて特殊車両も宙を舞い、放り投げられた特殊車両はグリム目がけて飛んでいく。



グリム「……今度は鉄の塊か。」



しかしグリムはそれを蚊を撃ち落とすかのように殴り返し、特殊車両は爆発する。



グリム「目くらましか。爆発する鉄塊、ちと火力不足だが面白いな。」


パチュリー「月木符『サテライトヒマワリ』」



グリムの目の前で発生した爆炎のサイドから、向日葵の花びらを模した魔力の弾幕がグリムに襲い掛かる。



グリム「……舐めているのか?」


パチュリー「予想通り効かないわね。なら次。」



前段命中するものの大した効果は見受けられないが、それはパチュリーの想定の範囲内だった。すぐさま新しいスペルカードを構える。



パチュリー「火水符『フロギスティックピラー』」



地面から噴き出す幾つもの火柱がグリムに迫る。

次々に地面が赤くなり、火柱を上げていく。

そしてグリムの目の前の地面が赤くなったとき。



グリム「今度は火遊びか!」


グリム「センチネル!!!」



グリムは赤くなり火柱を噴き上げんとする地面に向かって、大きく振りかぶり拳を打ち付ける。



パチュリー「あなた、こっちに来なさい!!!」


健次郎「分かった!!!」


パチュリー「水符『ジェリーフィッシュプリンセス』」



火柱を上げる事が出来なかった地面は、そのエネルギーを持て余し大きな爆発を起こす。

それを察知したパチュリーは泡のバリアで健次郎と自身を覆い身を守る。



健次郎「……凄いな。ここまで多様な能力ドライブがあるとは。」


パチュリー「能力ドライブ?その言葉が何を指しているのかは分からないけど、私のコレは魔法とスペルカードよ。」


健次郎「魔法?それにスペルカード……?」


パチュリー「考えるのは後。今は戦いに集中しなさい。死ぬわよ。」


グリム「……なかなかやるな。今のは流石に少し効いたぞ。」



爆発のあった地点にはクレーターが生まれ、その中心からグリムは煙をかき分け現れる。



パチュリー「そのわりには火傷一つ無いみたいだけど?」


グリム「どれだけ傷を負っても瞬時に回復するのでな。安心しろ。痛みは感じている。」


パチュリー「それだけの治癒魔法なら、さぞ消費も激しいのでしょうね。魔力が尽きる前に尻尾巻いて帰ったら?」


グリム「俺の治癒能力は魔法じゃなく体質でな。それに魔力切れなら心配はいらない。戦う意思、戦意があれば、俺の魔力は無尽蔵だからな。」



相手を見下して投げかける魔法使いの問いに、極上の餌を見る目で狼男は応える。



グリム「これが俺の固有オリジナルスキル、『暴呑暴喰プロズデリヴォスト』。知能や感情を持つ存在の俺に対する戦意、敵意を魔力に変換する魔法。」


グリム「他の魔法と違い魔力を必要としない。俺が生きている限り常に発動し、喰らい続ける。」


パチュリー「……魔道書や魔界の悪魔よりよほど性質たちが悪いわね。」


健次郎「……何の話をしているんだ?」


パチュリー「だから、このくらいでもしないと、あなたは抑えられないのでしょうね。」


グリム「何のことだ……ん?」



突然、グリムの周りが紫に光り、魔方陣が浮かび上がる。



グリム「魔力を持った円形の陣……魔方陣か!!!」


パチュリー「Per Shi Genie abditis in terra, sive in terra, et in carcere et canes inpudentissimi Naru in brachio extento.」



パチュリーが呪文を詠唱すると同時に、コンクリートの地面から手の様な物が伸び、グリムの足を掴む。

グリムが蹴り砕いて逃れるも、コンクリートの手は無数に表れ、全てグリムを覆いかぶさらんと蠢く。



グリム「何だこれは!!!」


パチュリー「Flebilis catulo, cujus non agnoscebam vultum Minohodo placet nexibus continentiam.」



そしていつしか、完全にコンクリートの腕に絡めとられたグリムは、そのまま地面に吸い込まれ、消えた。



健次郎「やった……のか?」


パチュリー「まだアイツの魔力は感じる。恐らく意識までは封じきれてないわね。」


健次郎「何をやったんだ?」


パチュリー「土の封印魔法よ。私が出さない限り出られないわ。」


パチュリー「他に封印を解くような馬鹿がいなければ、の話だけど。」


健次郎「とりあえず、解決したのか?」


パチュリー「してないわね。」


健次郎「えっ?」


パチュリー「アイツの意志が封じきれてないって事は、アイツは己の持つ器官で観測することができる。」


パチュリー「生きてる限り戦意や敵意に反応して魔力を回復するのなら、いつかは自分で出てくるわね。」


健次郎「でも、そんなことが無ければ……」


パチュリー「あなた、アイツが現れてから今までに何人死んだか分かってるの?確実にあの狼男に恨みを持つものが現れるわ。」


パチュリー「人間が人間である以上、仕方のないことよ。『許せる人間』というのがいるのなら、逆もまたしかり。」


パチュリー「寧ろ事件の収束の仕方に疑問を抱いて、復讐を企てる者であふれかえるでしょうね。」


健次郎「なら、また復活するって事か!?」


パチュリー「残念ながらね。だから、より強力な封印の方法を探る必要があるわ。」


パチュリー「まあ今夜突然復活する、なんてことはないでしょう。今日はとりあえず休んで、明日また考えましょう。」


健次郎「それなら、明日朝10時に、またあの部室で。」


パチュリー「ええ。それじゃ。」


健次郎「そうだ、一つ、訊いておきたいことがある。」


パチュリー「何?」


健次郎「どうして、手をかしてくれるんだ?」


パチュリー「そうね……最初は実験のつもりだったんだけど」


パチュリー「『現代で問題を起こさない事』……スキマとの約束だけど、もう問題は起こってしまった。いや、関わってしまった。」


パチュリー「ならせめて、解決位はしておかないとね。それに逃げ帰ったら、レミィや魔理沙に馬鹿にされるわ。それだけは嫌だから。」


健次郎「そうか……ありがとう。」


パチュリー「それじゃ、明日。」

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