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第36話 熱き魂(こころ)

『斑鳩大量殺人事件』

2014年2月14日、××県北滝市斑鳩で起きた、大量殺害事件。

被害者は、当時、斑鳩中央小学校の児童だったものが大半で、斑鳩中央小学校の児童ほぼ全員と教職員数名が殺害された。

未だ現在犯人は逮捕はおろか特定もされておらず、事件は迷宮入り一歩手前となっている。

また、この事件の被害者には、十二宗家であり全国屈指の成績を上げている『如月剣術道場』の師範でもある如月きさらぎしゅん(当時35歳)、その妻の如月(はるか)(当時33歳)、そして長女の如月小夜(さや)(当時8歳)も含まれており、この事件を以って如月家は長男の如月慎(当時10歳)一人に。

この小学校の児童の生き残りが如月慎と他二人の3名のみとなっているこの事件は、当時多くの共感を浴び、今でもなお解決を願う声は絶えない。

6月17日(木)・朝。



慎の部屋・演習場



慎「はぁあああああああ……」



慎は、新たに手に入れた『魔力』の扱いを覚えようとしていた。



慎「魔力は観測えた。後は、コントロール……」



何かと物事を覚えるのに要領のいい慎は、3時間くらいで、己の中にある魔力を見つけ、今はコントロールする術を探していた。


仁王だちし、村正を右手に持ち、水平にして胸の前で構え、左手を村正ののみねに添えて。

目を閉じ、集中する。

それを2時間くらいぶっ続けでやっていた所に、声がかかる。



霊夢「あ、いた。」


慎「ふぅううううう……」


霊夢「慎、朝ごはんよ。」


慎「ふぅ……分かった。」


霊夢「病み上がりだってのに無茶しすぎよ。汗びっちょりじゃない。」


慎「なかなかうまくいかなくてな。シャワーを浴びてから行く。少し遅れていくと言っておいてくれ。」


霊夢「分かったわ。」










朝・原校H2-3の教室



栞里「いや~しかし、慎が見事復活してよかったな~。」


慎「いつまでその話をするつもりだ。」


勇太「そういえば、『珍しく如月が休んだ』って事で結構騒がれてたな。」


彩愛「慎くん今までずっと皆勤だったもんね~。」


早苗「そういえば、皆さん試験勉強の方は?」


霊夢「試験?」


魔理沙「アレだアレ、来週から始まる前期中間試験。」


妖夢「やっていはいるけど、中々捗らなくて……」


勇太「まぁ慎はいつも通りオール満点だろうけどな。」


栞里「いつも思うのだが、何したら満点なんて取れるんだ?」


慎「むしろそこまで難しくないだろう。」


霊夢「ま、勘でどうにかなるでしょ。」


早苗「勘でって……」


慎「原校ウチは生徒数が多いから、定期試験はマーク式。勘で満点も不可能じゃないな。」


魔理沙「『まーくしき』って何だ?」


彩愛「それはね……」



ガララララッ。



天音「ほ~らお前たち、席に着けー。」



教室に入ってきた天音の声で、若干カオスと化していた教室が静かになり、慎達も着席する。



天音「きょうはHR(ホームルーム)の前に、転校生を紹介する。」


生徒(A)「まーた転校生?」


生徒(B)「いや待て、またかわいこちゃんかもしれないぞ!」


生徒(C)「でもまたどうせ如月と繋がってんだろ?」


栞里「慎と……繋がって……」


慎「ハッ!!!」消しゴム投擲


栞里「アガッ!!!」側頭部にヒット・撃沈


天音「し~ず~か~に。」



再び天音の声で静まり。



天音「入っといで。」



1人の男子生徒が、教室に入ってくる。



慎「マジか……」


霊夢「慎?」



その姿を見るなり、慎はあからさまに嫌な顔をして顔を伏せる。


転校生は黒板にでかでかと自分の名前を書き、そして大声で自己紹介する。



転校生「拙者、斑鳩第一高校より参った、獅子神ししがみ つよしと申す!!!」


剛「よろしく頼むでござるよぉぉぉおおおう!!!」




他の生徒「……。」




剛「……反応がイマイチでござるな。ならばもう一度!!!」


慎「煩い。諦めろ。さっさと着席しろ。」


剛「むっ?その顔は……慎殿!!!慎殿ではござらんか!!!」


慎「だからうるせって


剛「会いたかったでござるよおおおお!!!慎殿!!!いざ再会のハグをおおおお


慎「ムサい!!!煩い!!!さっさと……」



慎目がけて飛び込んでくる、転校生の剛目がけて。



慎「黙れ!!!」


剛「何と!?」



文字通り『飛び込んで』来ている剛の背後に一瞬で飛び乗り、慎は背中に右の拳を打ち付ける。



剛「ふ、不覚……。」



そしてその勢いで剛は床に打ち付けられ、教室は三度静まり返る。



彩愛「……慎の知ってる人?」


慎「こんな奴が知り合いにいてたまるか。」


天音「……一応紹介しておく。転校生の獅子神剛だ。皆、仲良くするように。」


他の生徒「は、はーい。」


天音「それじゃ、今日の連絡を……」


生徒(D)「先生、この転校生どうしたら……」


天音「……保健室にでも運んでおk


剛「復ッかァァァァつ!!!いやはや、慎殿の腕も、落ちていないようでござるな!!!」


天音「……獅子神。」


剛「なんでござろうか。」


天音「……あの空席に、静かに座れ。」


剛「分かったでござる。」



そして、ようやく、この教室に静寂がやってきた。











昼休み



勇太「……なかなか騒がしいヤツが来たな。」


彩愛「それも試験直前なんて、大変だね~。」


栞里「ホントに彼は慎の知り合いじゃないのか?」


慎「だからあんな奴は知らん。」


剛「慎殿~~~!!!」


慎「はぁ……来た……」


早苗「剛さんって、慎さんのお知り合いなんですか?」


剛「よくぞ聞いてくれた!!!拙者と慎殿は、幼少の頃より共に汗を流す間柄でござった!!!」


栞里「共に……汗を……」


魔理沙「なぁ栞里、話しが進まん。」


慎「なんでお前がここにいるんだよ……」


剛「それはもちろん、お主を追いかけてきたからでござる。」



今まで傍にいるだけで灰塵と化しそうなほど暑苦しかった剛が、キリッとした態度となる。

目つきが、鋭くなる。



妖夢「それって、どういう……」


剛「話を、訊きに来たでござる。」


慎「……場所を変えよう。彩愛達は大人しく弁当でも食ってろ。」


霊夢「慎?」



慎と剛は階段に向かって目にも止まらぬ速さで駆けていった。



勇太「……はっや。」


彩愛「……取りあえず、食べよう?」


霊夢「……そうね。」











高天原学園・Hエリア屋上



慎「で……何を訊きに来たって?」


剛「あの時……お主に、何があったでござるか?」


慎「あの時?」


剛「みなが己を忘れ、小夜殿が……命を落としたとき、お主になにがあったでござるか!?」


剛「あの時のお主は、いつもとは『何か』が違っていた、そう!!!瞳でござる!!!あの時のお主の瞳は、澄んだ黒ではなく、狂気に満ちた金色こんじきでござった!!!」


剛「正気であったならば、お主は『あんなこと』はせず、皆を救う事だって出来た筈!!!訊かせてくれでござる、あの時、何があったのかを!!!」


慎「……『友』と思ったものが全て『敵』だっただけだ。だから全て、滅した。」


剛「どうして……どうしてお主は……!!!」


慎「俺を憎んでいるのか?それとも恨めしいか?」


剛「……拙者は、ただあの時無力だった自分が許せないだけでござる。」


慎「お前の都合に付き合ってる暇はない。」



そう言い残し、慎は屋上を去る。



剛「お主は……変わられた。」


剛「以前のお主は……熱く、友情を何より重んじる、よきライバルであった。」


剛「しかし今のお主は……」


剛「慎殿……」



剛は腕を組み、慎が去った方を見続ける。



剛「しかし、しかぁし!!!」


剛「親友の心が凍てついてしまったのならば、溶かしてやるのもまた親友の役目!!!」


剛「待っているでござるよ!!!慎殿、そして明穂どのぉ!!!」


剛「いつかまた拙者が、いつかの様に皆で笑い合える日を取り戻して見せるでござるぅぅぅううう!!!」

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