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現想真魂録~幻想の勇者共が現代入り~  作者: 観測者S
第肆章 Its claws are knives, its fangs are forks.
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第32話 Don't think, Feel!

術式機構ユニット紹介

偶然性必然イカサマオーダー

能力・トランプで様々な技を繰り出す

主な使用者・高橋 桃華

形状・54枚セットのトランプ

元々賭け事が好きな(高校生としてはどうかと思うが)桃華が、それを生かせないかと思い考え付いたのがこの術式機構ユニット

賭け事が好きでそれを生かすとイカサマになるという事は何をしてるかお察しではあるが、慎と九重と勇太を除いて、『気付いてはいるけどどうやってるか立証できない為訴えられない』為、一応ジャッジキルを食らったことはない。

なお、その3人が参加するゲームには絶対に参加しない模様。

高天原学園付属御神楽総合病院・廊下(慎がいた病室の前)



乾介「あれ……いない。ホントに3日で退院しちゃった。」



慎と言葉を交わしたあの夜。乾介の中で、慎のイメージが崩れ去っていた。

目の前で自分を襲う暴走体を鎮め、そして生徒からの依頼で悪い社長を倒した慎は、乾介の中では正義のヒーローになっていた。

だが、それは慎の言葉で崩壊する。



回想・慎「俺は別に、『皆の為』とか、『世界平和』とか、そんなものはどうでもいい。『正義』も『悪』も、興味ない。」


回想・慎「暇だから、その暇を潰す為に、暇つぶしを集めている。ただそれだけだ。」



最上悠理誘拐事件。世間には『匿名の通報により逮捕』となっているが、その実は慎達文化研究部が解決した事件。

大金を払い、涙を流して、土下座までして親友を助けてほしいとせがんできた彼女の依頼を、彼はただの『暇つぶし』として処理した。

『正義のヒーロー』に憧れて文研部に入った乾介にとって、それはとても衝撃的なことだった。勢いで入部した乾介にとって、それは文研部にいるべきかを疑ういい材料たりえた。


今日は慎に、退部の相談をしようとやってきたのだった。元々乾介はわがままで入部した身。部をやめるかどうかはじっくり考えたつもりだが、やっぱり部長である慎や顧問の天音と相談するべきだと考えた。

そしてまずは慎からと思いやってきたのだが、出鼻をくじかれた。



  「あ、そこ、昨日退院したからいないよ。」


乾介「えっ?」



現在進行中のティラノ君の修復作業を進めるためにも、今日はもう引き返そうと考えていた矢先。

横から、聞き覚えのある女性の声が聞こえる。



乾介「あっ、どうも。」


里中「えっと確か……そう、寺島乾介君。」


乾介「乾介で、いいです。」



3日前に取り調べに来た刑事、里中千枝が、まるで入院中という出で立ちで現れた。



里中「如月君に、何か用事でもあった?」


乾介「いえ、まぁ……。」


里中「何かあったんなら、お姉さんとお話でもする?って、もうお姉さんって歳でもないか。」



よく考えてみると、これも勢いで退部することになる。一回誰かと落ち着いて話した方がいいのかもしれない。



乾介「えっと、じゃあ……」










高天原学園付属御神楽総合病院・屋上



里中「そっかぁ……それは、難しいね。」


乾介「あの、里中さんは、どうして警察になろうと思ったんですか?」


里中「私?私はね……地元を護ろうって思ったから。」


里中「乾介君はさ、『稲羽市連続誘拐殺人事件』って知ってる?」


乾介「えっと、分からないです。」


里中「そりゃそうか。今から10年くらい前に起きた事件でね。」


里中「私が生まれ育った、『八十稲羽』って所で起きた事件でね。町で報道された人が攫われて、殺される。そして遺体が朝方に電柱に吊るされるって事件だったんだ。」


里中「そして、私の親友がその事件で誘拐されたんだ。」


乾介「えっ?じゃあ……」


里中「いやいや大丈夫大丈夫。殺される前に見つかったし、今すっげーピンピンしてるから。」


里中「それでね、その事件の犯人、当時私達の知り合いの刑事だったんだよ。今は確か服役中だね。」


乾介「刑事が、殺人事件の犯人!?」


里中「そう。その人が警察を目指した理由はね、『合法で本物の銃を持てるから』。」


乾介「そんな理由で!?」


里中「うん。そして犯行の動機は、『現実がつまらなかったから。』」


里中「だから私は、そんな自分勝手な人から、自分の住む町を護ろうって思って、警察になったんだ。」


里中「それがまぁ色々あって、今はこの高天原にいるんだけどね。」


乾介「そんなことが……」


里中「ちょっとは、参考になったかな?」


乾介「……はい。あの、もう一ついいですか?」


里中「何?」




乾介「里中さんにとって、『正義』って何ですか?」


里中「まーた難しいコト訊いてきたね。うーん……」


里中「簡単に言えば、『その人の信念』だと思う。」


乾介「?どういうことですか?」


里中「その人が絶対に貫きたい何か。それが正義だと、私は思ってる。」


乾介「えっ?それじゃ『悪』は?」


里中「『人に迷惑をかける』事……とも言い切れないか。『周りから見て都合の悪い』事、かな?」


乾介「周りから見て都合の悪い?」


里中「例えばさ、よく嘘をつくことは悪いことって言われるじゃん?」


里中「でもさ、ある理由があって、誰かを護るために、嘘をつき続けなきゃいけない人がいるとしたらさ、その人は『悪い人』なのかな?」


乾介「それは……やっぱり、嘘つきだから、『悪い人』になるんじゃ……?」


里中「それってさ、その『誰かを護る事』も、悪いことになっちゃうよ?」


乾介「それは……うーん……」


里中「私はね、『正義』の反対は『悪』とは言えないって思ってるんだ。」


里中「そして、人によって『正義』は違う。『正義』の反対は、『また別の正義』だと、私は思うな。」


乾介「人によって、正義は違う……」


里中「まぁあんまり深く考えてもしょうがないよ。『考えるな、感じろ』ってね!」


乾介「『考えるな、感じろ』、ですか。」


里中「うん。」


乾介「……ありがとうございます。なんか、深く考えすぎてました。」


里中「多分、如月君には如月君の『正義』があるんだよ。そして、彼の仲間はそれぞれの『正義』をお互いに認め合ってるんだと思う。」


里中「もう一回、考えてみたら?」


乾介「分かりました。」


里中「よろしい。じゃ、あんまり外に長くいると風邪ひくし、戻ろっか。」


乾介「はい。」










私立高天原学園・九重の研究室



魔理沙「ホントに、いいんだな?」


慎「ああ。」


魔理沙「あまり気は進まないが、始めるぜ。」


慎「うっ……くっ……あぁっ……!!!」




魔理沙「……終わったぜ。」


慎「はぁ……これで……完成だな。」



『慎の右腕と融合する』。その最後のプロセスを終えて、新たな封印機構くびわは完成した。



慎「名付けて、『第666拘束機関』。」


九重「なるほど、666(あくま)か。」



第666拘束機関。

それは、慎の生命エネルギーを糧に稼働する新たな『檻』。いや『首輪』。

グリムという存在を封じる為だけに作られたそれは、『封じられた対象の能力を抽出する』機能が付いており。

万が一中でグリムが暴れても、そのエネルギーは全て慎のモノへと変換される。

そして、規則的な機械式の封印と違って、魂を持った生命体に封印する。

そうすることで、今回グリムがやってのけた『術式を解析して解除する』なんて荒業は不可能になっている。



健次郎「結局日にちを跨いだか。」


慎「だがまぁ調整している暇はないだろう。今すぐ出撃る。」


魔理沙「そんな!お前一睡もしてないだろ!」


慎「そんなものは知らん。」


山岸「行くんだね。」


魔理沙「アンタも止めてくれよ!」


山岸「例え止めても、行くんでしょ?」


慎「ああ。言っとくが、拘束なんて意味ないぞ?」


魔理沙「……わかったよ。」


慎「じゃあ、昨日のブリーフィング通り。アンタがナビゲート、後の3人はサポート。狂犬ヤツには俺が一対一でぶつかる。」


慎「第666拘束機関(このうで)でヤツを捉えたら、機関作動。封印する。」


山岸「荒垣先輩たちが、今朝から街全域に警戒態勢を敷いているおかげで、一般の市民は殆どいないと思う。」


慎「了解。おーいそこにいる彩愛。」


物陰「!!!」


慎「バレてないと思ったのか。文月達あいつらに行っとけ。これから出撃るってな。」


物陰「……。」カサカサ


山岸「教えて……『ユノ』。」



カッ!!



山岸が、自身の頭を『S.E.E.S』の文字の入った拳銃の『ようなもの』、ペルソナの『召喚器』で打ち抜き、

山岸を包み込むように、大きな球体のような下半身と美しい女性のような上半身の山岸のペルソナ『ユノ』が現れる。



慎「よし……行くか。」

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