第31話 The wheel of Fate is Turning REBEL.2
術式機構紹介
『操蟲指揮紋』
能力・紋章蟲を操作・指揮する
主な使用者・疋田 拓海
形状・魔方陣が刻印された手袋
拓海が開発した術式機構。元々は飼育している紋章蟲を操るためのものだったが、紋章蟲に改良に改造を重ねるうちに、戦闘も可能な仕様に。
術式機構である為、誰でも使うことはできるが、今まで拓海と、時たま世話を手伝っていた慎と桃華以外に紋章蟲が懐いた試しは無く、この3人以外が使用しても紋章蟲たちはいう事を殆どどころか全く聞かず、最早3人以外が使ったところで意味は無い。
天音「さっきは高橋の砲撃を吸収・反射してた。注意していくよ。」
早苗「弾幕主体の幻想郷勢にはちょっと厳しい相手かもしれませんね。」
天音は一歩踏み出し、舞扇を構える。
天音「『鳳翼』起動、封神、『朱雀』!さて、舞おうかね!」
天音の持っている舞扇が緋く光り、体に緋い衣を纏う。
そして、その上に朱い鳥のオーラを纏う。
グリム「ほう。蟲の次は鳥か。」
早苗「行きます!開海『海が割れる日』!」
そしてそれに倣って早苗も一歩踏み出し、スペルカードを宣言して発動する。
するとグリムの両脇に水の壁が現出し、グリムを押しつぶさんと狭まってゆく。
早苗「これで……どうです!!!」
そして激流の壁はグリムを飲み込み、その身を砕こうと怒涛の水流がグリムを襲う。
しかし。
グリム「水の魔法……というわけではないようだが、なかなかやる方ではあるな。だが!!!」
閃光。
理解したのは、一瞬の光が辺りを覆った後で。
ピリッとした空気と共に、水の壁が消えていた。
早苗「一体何が!?」
通信・栞里「これは……電気分解!?」
天音「なるほど電気分解、確かに知能は高いようだな。」
グリム「ほう、この現象は『デンキブンカイ』と言うのか。」
天音「……空気を一か所に集められれば、うまく使えるんだがな……」
早苗「……やってみます!!!」
早苗は新たに一枚のスペルカードを取り出し、宣言する。
早苗「大奇跡『八坂の神風』!」
すると、辺りに風が吹き荒れる。
それはやがて竜巻となり、グリムを中心に形成される。
グリム「今度は風か。しかし、この俺の身を削るには少々威力不足のようだな。」
しかしグリムはその中心で、身を守るでもなく悠然と、暇そうに立ち尽くしていた。
だがそんなことはさほど問題ではない。天音の狙いは別にある。
天音「七転八倒!!!」
天音が舞扇を大きく振り払う。
するとその動きを追うように燃える軌跡が残り、それはやがて千切れて8羽の緋い鳥となり、
天音「行け!!!」
竜巻の近くでも吹き消されない鳥たちは、天音の号令で竜巻目指して突撃する。
同時に。
天音「走るぞ!!!」
早苗「は、はい!」
二人は急いで、近くにあった建物の影に隠れる。
瞬間。
響いたのは、爆音。
竜巻はその姿を変え、燃え盛り渦巻く一本の炎の柱と化していた。
水素爆発。
竜巻の中心部に風によって集められた空気中の水素に、天音が着火した結果。
瞬間的な燃焼により、それは爆発となり。
水素ガスの柱となっていた竜巻は、一瞬にして業火の槍へと姿を変えた。
早苗「すごい……。」
天音「水素爆発。私は古文の教諭だけど、これくらいの知識は持ってるさ。」
早苗「でも流石にここまでの爆発を食らえば……」
グリム「そうだな。流石に今のは少し効いたぞ。」
天/早「!?」
焔の柱が散り、そこには。
全身が焼けただれた、グリムと思われる人影が。
早苗達がその光景に驚いている間に、ほんの数秒でその火傷も完治してしまう。
天音「なるほど……化け物か。」
早苗「っ……!!!」
そして愉しみを見つけた狂犬は、猟奇的な笑みを浮かべて早苗達に歩み寄る。
グリム「どうした?もう手詰まりだなんて言わないでくれよ。それではつまらないじゃないか。」
そして軽く手を広げ、
グリム「しかし、爆発はさっきもくらっているのでな。慣れというのもあってか、それほど驚きはしなかったな。」
不敵そうに、そう言った。
天音「大丈夫。これは『勝つ』戦いじゃなく『繋ぐ』戦い。焦る必要はないよ。」
早苗「……ありがとうございます。少し、焦ってました。」
グリム「では今度はこちらの番だな。」
早苗「先生、私が陽動します。その隙にデカいのぶちかましてください。」
天音「分かったよ。明鏡止水!!!」
グリム「作戦会議は終わったようだな。では……行くぞ!!!」
天音が炎を纏って舞い始めると同時に、グリムは天音に向かって拳を繰り出す。
通常腕の長さから当たることは無い距離から繰り出される拳は、その持ち主が急に加速することでその距離をものともせずに襲い掛かる。
天音「確かに速い……けどっ……!!!」
それを舞うように、そして華麗に避ける。
グリム「ちょこまかと……」
天音「生憎、速いヤツの相手をした経験も、あるんでねっ!!!」
天音(確かに慎にゃちと厳しい相手だね。今は鳳翼のおかげで見切れているけど、一発もらったらアウトだろうね。)
早苗「はっ!!!」
グリムが攻め、天音が避ける。その繰り返しの状況を壊したのは、空中から放たれる早苗の弾幕だった。
グリムの体から僅かに火花が散る。
グリム「……何だ?」
早苗「あなたの相手は私です!!!」
グリム「この俺の相手を買って出るか。いいだろう。ハァッ!!!」
その姿を確認したグリムは、空中の早苗目がけて跳躍する。
早苗「こっちです!!!」
それを見た早苗は後退し、天音から一定の距離を保って飛び回る。
しかしグリムには空を飛ぶ術はない。早苗のいる真下に着地し、見上げる。ならばグリムはどうするか。
早苗(どうやら空は飛べないようですね……かといって下手にぶっぱしたら跳ね返ってくる……どうしましょう……)
グリム「空を飛び回られては少々厄介だな。撃ち落とすか。」
グリム「ネヴドラジヴ・スパーク!!!」
グリムが黒いオーラを纏った直後。
早苗「キャァッ!!!」
通信・栞里「早苗!!!」
早苗の周囲が蒼く光り、早苗が墜落する。
その正体は電流。離れた場所に電撃を送り込む。それが、『ネヴドラジヴ・スパーク』。グリムの放った魔法である。
天音「東風谷!!!大丈夫か!?」
早苗「大丈夫……でも……体が痺れて……」
そして、墜落した早苗の目の前に、グリムが迫る。
グリム「わが身に宿りし死の力。その身を以って教えてやろう……」
早苗「神奈子さま……諏訪子さま……っ」
黒いオーラを纏ったグリムが大きく振りかぶる。
グリム「ブラックホーク……」
早苗が目を瞑った瞬間。
天音「業破抱擁!!!明鏡止水!!!」
爆発音とともに、吹き飛んだのは。
グリムであった。
天音「すまんね、でもおかげでチャージが間に合ったよ。」
早苗「霜月先生……」
天音は早苗に駆け寄り、手を貸す。
天音「立てるかい?」
早苗「ちょっと……きびしいかもです。力が入らなくて……」
天音「わかったよ。文月!!!交代だ!!!」
通信・天音「分かりました。霊夢、妖夢、頼む!!!」
通信・勇太「弥生さんから連絡!!!慎達が動いた!!!」
妖夢「分かりました。後は任せてください。」
霊夢「2Pカラーは休んでなさい。しっかり慎に繋いでみせるわ。」
早苗「2P言わないでください。でも、後はお願いします。」
天音「よし、後退する。」
そしてその場を離脱する天音たちと入れ替わるように、霊夢と、二振りの刀を携えた妖夢が現れる。
霊夢「別に倒してもいいんでしょう?」
妖夢「魂魄流剣術指南役兼庭師、魂魄妖夢!参ります!」
グリム「何だまた選手交代か。つまらん。」
グリム「だがせめてお前らだけでも、俺を楽しませてくれよ。」
第3ラウンドの火蓋が、切って落とされる―――
どうも、久しぶりにあとがきを書く観測者Sです。
今回、30話を突破したという、キリがいいのか悪いのか曖昧なタイミングではありますが、『不知火』のスピンオフを書くことにしました。『現想真魂録/外伝~Unknown Blaze~』です。もしよければ、読んでいただけると幸いです。本編ではあまり登場しておらず、意味深な言動ばかりを起こす彼ですが、このスピンオフでは、彼の成り立ちと過去について書いていこうと思っています。
両作品共々、お付き合いいただけると幸いです。
今後も『現想真魂録』をよろしくお願いいたします。




