第27話 いぬとおまわりさん
早苗「もうすぐ定期試験ですねぇ。」
慎「そうだな。」
早苗「試験勉強しないとですねぇ。」
慎「あんなもの授業聞いてれば90点は硬いだろ。」
早苗「えっ」(編入時の適性試験で平均より若干下)
慎「えっ」(オール満点)
早苗「私、前回の小テストのために徹夜したんですけど……」
慎「えっ」(何もせずに満点)
早苗「えっ」(徹夜して27/50)
慎/早「なにそれこわい」
グリム「さぁかかってこい!!!この世界の魔導士、いや戦士達よ!!!」
ラビリス「ペルソナ、レイズアップ!!!」
ラビリスは懐からヘッドギアを取り出し、装着する。
ラビリス「来ぃや、『アリアドネ』!!!」
カッ!!
とグリムを睨むと同時に、何かが砕ける音と共に女型のスタンドのようなものが現れる。
アリアドネ「ハァッ!!」
ラビリスのペルソナ、『アリアドネ』。
ラビリスの叫びによって現れたアリアドネは、手から蜘蛛の糸のようなものを放出する。
それはグリムの足元に付着し、やがて幾つもの大きな歯車に変貌し、グリムに襲い掛かる。
グリム「この程度!!!」
しかしそれを易々と蹴りで粉砕する。
里中「護って、『ハラエドノオオカミ』!!!」
里中は
カッ!!
とグリムを睨んで、空中に『戦車』を示す青いタロットカードを出現させ、それを後ろ回し蹴りで砕く。
そして現れるは、鎧を纏ったような女性の姿をした、里中のペルソナ『ハラエドノオオカミ』。
ハラエドノオオカミ「考えずに、感じるのです。『ドラゴンハッスル』!」
三人の周りに、金色の龍のオーラが現れる。
ハラエドノオオカミのスキル、『ドラゴンハッスル』。
その効果は、『味方全体の攻撃力・耐久力・速度を強化する』というもの。
さらに。
荒垣「よし、行くぜ!!」
荒垣は懐から、『S.E.E.S』の文字の入った拳銃の『ようなもの』を取り出し、自身のこめかみに当てる。
そして
カッ!!
とグリムを睨み。
荒垣「来い、『カストール』!!!」
引き金を引く。
そして何かが砕ける音と共に、荒垣のペルソナ『カストール』が現れる。
一本しか足のない一角獣に覆面の男が跨ったような容姿を持つカストールは、その一本の角で猛突進をけしかける。
カストール「行くぞ汝よ!!!『アカシャアーツ』!!!」
グリム「甘い!!!」
しかしグリムはその猛突進を難なく避ける。
しかしこの回避は荒垣の想定内であり。
荒垣「甘ぇのはてめぇだ!!!」
猛突進によってカストールから発せられるとてつもない衝撃波がグリムを襲い、吹き飛ばす。
グリム「グオッ!!」
そしてグリムが体勢を崩したところで。
ラビリス「敵、ダウン!!!総攻撃、行くで!!!」
荒/里「くたばれぇ!!!でりゃあ!!!/これで、終わりだーっ!!!」
グシャッバキッドカッ。
そんなよくある擬音語が聞こえてきそうな勢いで、3人は総攻撃をかける。
そして沸き立つ土埃が晴れる。
グリム「フン……いい戦意だ。」
里中「あれで効いてないなんて……」
そこには平然と立ち上がるグリムがいた。
グリム「で……これで終わり、なんてつまらんことは言わないだろうな。」
グリム「では……今度はこちらから行くぞ!!!」
荒垣「来るぞ!!!構えろ!!!」
グリム「オラァ!!!」
グリムは大ぶりのパンチを目にも止まらぬ速さで荒垣に繰り出す。
荒垣「うおっ!!!」
しかしそれを紙一重で避ける。
荒垣(やべぇ……里中のサポートが無ければ体が反応できてなかったぜっ)
グリム「どうだッ!!!」
さらにその状態から回し蹴りを放つ。
荒垣「チィッ!!!」
それを転がるように回避し、
荒垣「これでも、喰らえッ!!!」
その場にあった鉄骨の廃材で、グリムに殴りかかる。
グリム「遅い!!!」
しかしグリムはそれを片手で受け止める。
ラビリス「そこや!『アリアドネ』!」
アリアドネ「ハッ!!!」
その隙を逃すまいと、アリアドネは糸状のビームでグリムを拘束する。
ラビリス「今や!!!」
グリム「しまった!!!」
里中「せーのっ……」
ハラエドノオオカミ「『チャージ』!!!」
里中がグリムの懐に潜るのに合わせて、ハラエドノオオカミが里中に、『物理攻撃力上昇』のエンハンスをかける。
そして。
里中「どーーーーん!!!」
見事なハイキックが決まる。
アリアドネによる拘束なんてまるで無かったかのように、グリムは吹き飛ぶ。
里中「よし、決まった……。」
ラビリス「さすがに里中さんのチャージハイキックが入れば、意識は飛んでるやろ。」
荒垣「よし、さっさと捕縛して……」
荒垣がグリムを捕縛すべく、一歩踏み出したとき……
グリム「フフフ、フハハハハハ……」
里中「ウソ!?」
荒垣「マジか!?」
グリムは、愉快そうに笑いながら、立ち上がった。
グリム「今の蹴りは中々効いたぞ。『こちら』に来る前の事を思いだす。」
ラビリス「こいつ……」
里中「私の蹴りで、沈まない……?」
3人にとって、里中のチャージハイキックは『切り札』、いわば『必殺技』であった。
あらゆる敵を一撃でノックアウトしてきたそのキック。しかし、今回は相手が規格外過ぎた。
こうなるともう、ぶっちゃけ3人にはどうしようもない。
グリム「そうだな。久々にいい蹴りをもらった。ならばお返ししなければな。」
気が付けば、グリムは里中の目の前に移動していた。
グリム「スカッド……」
里中「!?」
グリム「パニッシュメント!!!」
里中が理解する暇もなく、グリムの真っ黒なオーラを纏った二段突きが腹部にクリティカルヒットする。
里中「がっ……はっ……」
グリム「散れっ!!!」
そして体を支えられなくなった里中の真上から、グリムのかかと落としが降りかかる。
ラビリス「ッ!!!」
グリムの蹴りが里中に当たる寸前、背面のブースターで加速したラビリスが里中を狂犬の目の前から救い出す。
グリムの脚は里中を踏み抜くことは無く、代わりにアスファルトに大きなクレーターを作った。
荒垣「里中!!!」
里中「……」
ラビリス「あかん、意識飛んでしもてる。」
荒垣「ここは一旦撤退するしかねぇかッ!!!」
グリム「逃がすと思うか?」
2人がどう撤退したものかと考えているとき。
突然、2人の頭の中に声が響く。
声「荒垣先輩、千枝ちゃん、ラビリス、聞こえますか!!!」
荒垣「この声……山岸か!?」
ラビリス「聞こえてるで!!!」
グリム「ん?なんの話だ?」
山岸風花。2人に通信している彼女は警察組織の人間ではないが、とある事情により今は警察の協力員として今回の事件解決に携わっている。
というのも、彼女もまた『ペルソナ使い』。いま彼らに通信機なしで通信しているのも、彼女のペルソナ『ユノ』の能力である。
『ユノ』には戦闘能力は無いが、代わりに『味方の周囲の状況や敵の状態を把握できる』という能力がある。今行っている通信も、ユノの能力によるものだ。
そしてこの通信は今は荒垣とラビリスと里中に向けて行われているものであり、グリムがそれを聞き取るすべはない。
山岸「すいません、ついさっき○○署に到着しました。それで、状況は……千枝ちゃんが戦闘不能!?っていうかこの大きすぎる反応……」
荒垣「コイツが連続殺人の犯人だ。しかし思いのほか強くてな。里中の蹴りでもダメだった。」
グリム「なるほど、念話の類か。この俺を差し置いて話に夢中とはなっ!!!」
当然通信が終わるまで待っててくれるなんて良心がグリムにあるはずもない。そんなことはお構いなしに、ラビリスに襲い掛かる。
ラビリス「ああっ!!!」
右腕ででガードできたものの、里中を抱えている状態で十分な防御姿勢を取ることもできず、荒垣のいる方向に飛ばされる。
荒垣「ラビリス!!!」
ラビリス「損傷率13パーセント、もう右腕は使えんな。」
荒垣「山岸!『エスケープロード』だ!!!」
山岸「分かりました。お願い、『ユノ』!!!」
荒垣たちの周囲が光に包まれる。
『エスケープロード』。それは、味方を全員ユノのもとへ転送するスキル。
やがて光は強くなり、グリムも思わず目を瞑る。
グリム「グッ……目くらましかッ……!!!」
そして光が弱くなるころには、3人の姿は無かった。
グリム「逃げたか……。まあいい。次合うときに改めて喰らえばいいだけだ。」
○○署・使われていない会議室
山岸「皆さん、大丈夫ですか?」
会議室に転送されてきた荒垣に、きれいな薄い黄緑色の髪をもった、柔らかな雰囲気の女性、山岸風花が声をかける。
荒垣「ああ、俺はな……。」
山岸のペルソナ『ユノ』はとても大型であるため、建物の中で展開するにはそれなりの広さが必要である。
そのため、ユノを召喚できる十分な広さをもった会議室に山岸はおり、そして荒垣たちも転送されてきた。
ラビリス「まずは里中さんやな。速いとこ病院連れてかんと。ウチは腕一本や。後でメンテナンスせんと。」
山岸「そうですね。荒垣さん、千枝ちゃんお願いできますか?私ラビリスのメンテしますので。」
荒垣「わかった、手配しよう。それとクリーンルームは二階に上がって階段を……」
山岸「分かりました、ありがとうございます。行こう?ラビリス。」
ラビリス「ほなな、荒垣さん。」
荒垣「おう。」
そして、里中は重症の為、高天原学園付属御神楽総合病院に入院することに。ラビリスの腕も、パーツの調達等の関係で5日間は右腕が使えなくなった。
ゲイザーの固有境界
ゲイザー「ここまでは今まで通り。問題はこれからだね。」
ゲイザー「今の彼が言う通りなら、現在の彼によって結末は変わるそうだけど、果たしてどうなる事やら。」
ゲイザー「ほんと、観測者って立場が煩わしいよ。今すぐにでも介入したいのに。」
ゲイザー「でも、ボクたち観測者が、傍観者の領分を踏み越えてはならない。」
ゲイザー「だというのに、ほんとキミは、やってくれたよねぇ、『初号機』。」
ゲイザー「そのうち、ボクと不知火が討ちに行く。首を洗って待ってなよ。」




