第22話 科学部
霊夢side
放課後・私立高天原学園Hエリア
私達は今、文研部のメンバーで科学部の部室の前に来ている。
ただ彩愛は慎からの頼み事とかで席をはずしているけど。
目的は、昨日慎から聞いたことをもとに、理科の九重に話を聞きに来たのだ。
栞里「失礼する。」
中に入る。
科学部部室
拓海「おっと、君たちが来るのは予想外だなぁ。」
眼鏡の女「知り合い?」
拓海「皆、文研部の人で、如月の知り合いなんだ。」
眼鏡の女「ああ、なるほど。」
教室には、以前に慎から紹介を受けた疋田拓海と、もう一人眼鏡の女子生徒がいた。
なんというか、雰囲気は永琳に似ている。色んな意味で。
拓海「紹介するよ。科学部副部長の、高橋桃華だ。」
桃華「タクとは同じクラスなの。よろしくね。」
早苗「よろしくお願いします。」
拓海「それで、今日は何かあったのかな?」
栞里「師走先生に用があったのだが、今はご不在だろうか?」
拓海「ああ、もうすぐ帰ってくると思うから、適当に休んでいてよ。」
魔理沙「何しに行ってるんだ?」
桃華「分からないわ。でも今日、部室に先生が来てすぐに、『すぐ戻る』って言って教室から出ていったから。」
拓海「そういえば、ここ最近ずっとそんな感じだよね。」
魔理沙「ふぅん……。」
妖夢「何かあったのでしょうか?」
霊夢「さぁね。大方勘だけど、あのグリムとかいう妖怪絡みじゃないかしら。」
「何処でそれを知った?」
話しているところに、後ろから声がかかる。
振り向くと、そこには理科の九重と、もう一人まるで地底の鬼のような男子生徒がいた。
勇太「うわっ!でかっ!」
桃華「部長の、金剛寺健次郎先輩よ。」
拓海「先生、部長、お帰りなさい。」
九重「今帰った。で、高橋。こいつらは何者だ?」
桃華「なんでも、先生に話があるとかで……」
九重「ほう、話してみろ。」
栞里「先生、グリムについて、何かご存じですか?」
九重の表情が変わる。
九重「何故私に訊く?」
霊夢「あの妖怪、あなたを探し回ってるらしいのよ。」
九重「実際に遭遇したのか?」
霊夢「そうだけど。」
九重「アレと遭遇して無傷……だと……!?」
霊夢「それがどうかしたの?まぁ、確かにあの時にあいつが来なかったら、まだ分からなかったけど。」
九重「……何があった。」
栞里「E3年の寺島君と、如月君がやられました。」
九重「そうか。それは……残念だったな。」
魔理沙「?二人ともまだ生きてるぜ?」
九重「なん……だと……?」
九重「おいケンジ、ちょっと来い。」
健次郎「どうした九重。あ、申し遅れた。部長の金剛寺だ。」
九重「この連中、あの狂犬と遭遇して、死者0だそうだ。」
健次郎「なに?あのバケモノ相手に死者0だと!?」
早苗「そんなに凄いことなんですか?」
九重「奇跡だな。」
妖夢「そんなに強いんですか?」
九重「お前ら、その時は何人で戦った?」
魔理沙「ざっと四人だな。」
健次郎「ヤツは、相手の人数が増えれば増えるほど強くなる。」
健次郎「ヤツは相手の『戦意』が高ければ高いほど、その能力が強化される。」
霊夢「つまり、大人数は得策ではない、と。」
勇太「なんでそんな事知ってるんだ?」
九重「……2年前、アレを封印したのが私達だからだ。」
早苗「封印?倒すんじゃなくて?」
健次郎「ヤツの物理的な破壊は、ほぼ不可能だ。」
九重「アレの細胞は異常なまでに再生スピードが速くてな。体にダメージは通るが、再生スピードを超えられる損傷を与えることが出来なかった。」
魔理沙「つまり再生する隙を与えなきゃいいんだな。」
健次郎「さらに、ヤツの一撃一撃の威力は、人間の比じゃない。成人男性でも一発で死ぬだろう。」
妖夢「当たらなければどうという事はない、と。」
早苗「あの、そのグリムって妖怪、封印してたんですよね。」
九重「つい先日、その『檻』から脱走したようだがな。」
霊夢「封印を自分で解いたって事?」
九重「ああ、まさかあの拘束陣のコードを全て学習するとはな。困ったものだ。」
九重「で、まさかとは思うが……」
九重「お前らであの狂犬を倒す、なんてことは言わないだろうな。」
栞里「ああ、そのつもりだ。私達で倒す。」
九重「やめろ。今すぐ中断しろ。そのほうがいい。」
栞里「こっちも退く気はないんだ。何しろ仲間が二人もやられたからな。」
九重「そのうち片方はお前らのエースだろうに。これ以上は手も足も出まい。」
栞里「『一人』では慎が一番強い。だがな、仲間がいれば、1+1は3にも4にもなる!」
九重「アレは私達の失態だ。私達で片付ける。」
魔理沙「こっちだって二人もやられてんだ。無関係とは言わせねぇぜ?」
九重「お前たちの覚悟は認める。だが確実性が無い。」
栞里「そんなことはやってみれば分かることだ!」
ガララララッ。
不意に部室のドアが開く。そして、一人の女子が入ってくる。
紫髪ロングの女子「すいません、先生に呼び出しを食らっていて遅くなりまし……た……」
紫髪の女子「って、なんか今日は大勢いますわね。お客様ですの?」
桃華「ああ智美ちゃん、なんか今お取込み中みたいなの。」
早苗「その方は?」
拓海「後輩の藤田智美さんだよ。」
智美「H1-2の藤田と申しますの。以後お見知りおきを。」
九重「ハァ……」
栞里「師走先生?」
智美とか言いう女子生徒の入室とともに、九重がため息をついて部室を出ようとする。
魔理沙「どこ行くんだ?まだ話は終わって無いぜ?」
九重「私には話すことは無い。それに、今こうしている時間が惜しい。無駄口をたたく暇があるなら、一刻も早くあの狂犬を探し出し、どうにかしなければならない。」
九重「高橋。今日も時間になったら下校させていい。レポートがあれば教卓の上にでも置いておけ。ケンジは連れていく。」
桃華「分かりました。」
九重「それと疋田。」
拓海「何でしょう?」
九重「蟲いじりに口を挟むつもりはないがな、『余計な事』には手を出すな。」
拓海「……。」
九重「……行くぞ、ケンジ。」
健次郎「了解。」
魔理沙「あっ、おい!」
栞里「師走先生!」
九重先生と部長さんは部室から出て行ってしまった。
早苗「どうしましょう……。」
妖夢「どうしようもありません。今日は解散ですね。」
魔理沙「どうしてあそこまで秘密にしたがるんだ?」
栞里「私達を巻き込みたくないからか?」
勇太「いやでも、それなら俺達はもうすでに巻き込まれてるし。」
霊夢「ここで唸ってても仕方ないわね。今日はもう帰りましょう。」
霊夢「失礼したわね。」
拓海「ああ、また何かあったらおいで。」
私達も、科学部部室を後にする。
科学部side
智美「……ところで、彼女らは誰でしたの?」
拓海「みんな文研部だよ。」
智美「文研部?あの如月&弥生先輩の所属する?」
拓海「そうだよ。ってそういえば、弥生さんはここ3年くらいミスコン1位だから有名なのは分かるけど、如月君は何が有名なの?」
智美「何をおっしゃいますの。超ぼったくりだけど依頼はきちんとこなす。そしてここ3年は裏ミスタコン1位。」
智美「文研部に如月あり。弥生さんのナイト、あの如月先輩の存在を知らない者など、この学校には誰一人おりませんわ。」
桃華「そういえば、何年か前に校内で派手にやってたあの矢車たちを原校から追放したのも、彼だって話よね。」
拓海「ふーん。結構凄いんだね、彼。」
智美「というか、『お友達』ですのにそんなことも知らなかったのですか?」
拓海「『お友達』ねぇ……彼曰く、僕はただの『遊び相手』だそうだよ。実際そんな感じだしね。」
桃華「……ねぇ、どうしてさっきは如月君、いなかったのかしら。」
拓海「そういえばそうだ。彼は絶対に人任せにはしない。動くときは極力人を使わないからね。」
智美「では、なぜ先程の場におられなかったのでしょう?」
拓海「僕たちが気にする事ではないとはいえ、少し気になるな……」




