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現想真魂録~幻想の勇者共が現代入り~  作者: 観測者S
第肆章 Its claws are knives, its fangs are forks.
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第21話 知ら不(ず)の火

H2-3教室前 廊下



天音「慎はどうなった?」


魔理沙「乾介と一緒に病院に預けてきたぜ。」


天音「彩愛は?」


霊夢「慎に付き添ってるわ。」


天音「そうか……。」



妖怪と戦ってズタボロにされた慎達を病院へ届け、私達は学校に来た。



天音「しかし、まさか慎が負ける相手が現れるとはな……。」


魔理沙「慎ってどの位強いんだ?」


天音「私の知る限りでは、1対1で慎に勝てる人はいないだろう。」


妖夢「以前私が戦った時も、楼観剣を引き抜く暇も、ましてやスペルカードや霊子を練る暇も与えてくれませんでした。」


霊夢「ふぅん……。」



天音「それで、何があったんだ?」


早苗「慎さんの携帯に電話がかかって、それを受けた慎さんが飛び出していって……」


霊夢「私達が後から追いかけたんだけど、着いた頃には、もう慎はボロボロだったわ。」


天音「そうか、ご苦労だったな。後は、慎に直接聞くしかない、か。」


霊夢「そうね。ここで唸っていてもしょうがないわ。」


魔理沙「放課後、見舞いに行こうぜ。」


妖夢「あと、他の文研部メンバーにも知らせないといけませんね。」











同時刻・市街地



グリム「ハァ……ハァ……」


不知火「……。」


グリム「ウオァアアァ!!!」



息を切らしたグリムが、全力で不知火に殴りかかる。



不知火「あやめ!!!」



そのグリムの眼前に、一瞬で不知火が飛び込む。


そして。



不知火「龍迅翔りゅうじんしょう!!!」



黒い軌跡を描いた不知火の太刀が、下から上へとグリムを斬りつける。



グリム「グウウウウ……」


不知火「写符『マスタースパーク』。」


グリム「!!!」



重い斬撃を食らったグリムに、漆黒の光線が降り注ぐ。



グリム「グロウラー!!!」



それに応じて、グリムも体に黒いオーラを纏う。


そのオーラは不知火の放つ光線を吸収する。


そして。



グリム「ファランクス!!!」



同質量の光線が、今度はグリムより放たれる。


しかし。



不知火「つかさ!!!」



その一直線の光線は、不知火に届くことはなく。


そのまま弾道が『ねじ曲がり』、そのままグリムへと襲い掛かる。



グリム「何ぃ!?」


不知火「無影無響……旋風……」



光線がグリムに届く直前。グリムが防御の姿勢を取ろうとした時。



不知火「……閃雷!!!」


グリム「ガハッ!!!」



一瞬よりもはやい、こころによって捉えられた一太刀が、その防御を許さない。



グリム「ガッ……グウウ……」



道路を転げまわった狂犬グリムは、全力で不知火を睨みつける。



グリム「さあ……どうした……?俺を……殺さないのか……?」


不知火「……貴様を処理するのは、今の私ではない。」


グリム「アァ!?貴様、この俺を舐めているのか?」


不知火「……貴様では、今の私には勝てはしない。無論、殺す事も出来はしない。」



そう言った不知火は、そのまま踵を返し、何処へともなく立ち去った。











放課後・高天原学園付属御神楽総合病院・病室



慎「じゃ、これ。」


彩愛「分かった。」



俺は彩愛に1枚の紙切れを渡す。



乾介「すいません、僕なんかの為に……」


慎「気にすんな。俺が勝手に突っ込んで、勝手に負けた。そんだけだ。」


乾介「でも……。」


慎「過ぎた事をグダグダ言ってんな。」


乾介「はい……。」



コンコン。



病室のドアがノックされる。そろそろか。



栞里「慎!!!乾介!!!入院したと聞いて心配して飛んできたぞ!!!」


乾介「皆さん!!!」


慎「病院で大声出すなこの馬鹿。」


天音「元気そうだな。」


慎「まぁな。」


勇太「それで、何があったんだよ。」



斉藤が俺達二人に問いかける。



乾介「朝家を出てすぐ、あの化け物が現れて……」


乾介「それで、すぐ逃げようとしたけど、結局無理で……」


乾介「その後で、ティラノ君も来てくれたんだけど、全く歯が立たなくて……」


乾介「そして、如月先輩が来たんです。」


慎「ぶっちゃけ言うと、アイツは滅茶苦茶強い。」


慎「あのタイミングで不知火とやらが現れなければ、そこで死んでただろうな。」


慎「それからアイツは、師走の事を探していた。」


天音「師走って、師走先生の事か?」


早苗「ああ、理科の。」


慎「正確には『科学部』の『九重』だがな。まぁ他にこの辺りで他に該当者もいないし、決まりだろう。」


栞里「何で師走先生が……」


慎「知らん。」




霊夢「それで、怪我は?」


慎「見ての通りだ。肋骨を5本と右のももを砕かれた。それに腎臓がやられた。」


魔理沙「ボロボロだなぁ。大丈夫か?」


慎「一応生きてはいる。」


栞里「乾介は?」


乾介「僕は頭を打ったのと腕を擦ったくらいで、すぐに退院出来るそうです。」


栞里「よかった……」




天音「しかし、慎でも倒せない強敵か……」


勇太「慎が倒せないんなら、俺らじゃもう無理じゃん。」


栞里「諦めるのはまだ早い。何か、対策法があるはずだ。」


彩愛「その敵の名前、なんて言ったっけ。」


慎「『グリム』と名乗っていたな。それと、自分の事を『狂犬シーザーク』とも言っていたな。」


魔理沙「狂犬……か。」


霊夢「知ってるの?」


魔理沙「いやなんか、前に『紅魔館』でお茶会したときにさ、なんか『パチュリー』がそんなような話をしてたような……」


魔理沙「現代に来た時にバッタリ出くわして、その時はその場にいた人間と一緒に封じたって言ってたな。もしかしてそれかなぁ。」


霊夢「ふぅん。」


早苗「どんなヤツなんですか?」


慎「簡単に言えば、狼男か。」


天音「師走先生と何かしらの関係があるなら、まずは師走先生を訪ねよう。」




霊夢「それと、不知火ね。」


慎「あの化け物2号は何者なんだろうな。」


魔理沙「あの仮面が、霊夢の言っていた『不知火』ってヤツなのか?」


霊夢「そうよ。」


早苗「どんな感じのヤツなんですか?」


慎「まぁ『仮面』以外、何も表現できるものがないな。」


慎「後はローブを纏っていて、それから全身を隙間ない甲冑で覆っていたな。」


妖夢「それと、彼の太刀、聞いた通り妖刀ですね。」


妖夢「それも結構長いこと使い込まれているようです。」


魔理沙「分かるのか?」


妖夢「ええ。妖刀って、使い込めば使い込むほど、その妖力が増して、製錬されてゆくものなんだけれど、」


妖夢「あれだけ高密度で繊細な妖力、多分1000年以上使い込まないとああはなりません。」


霊夢「1000年、ね……」


勇太「なあ慎、妖力だのなんだのって、何の話なんだ?」


慎「俺にもよく分からん。」




栞里「とりあず、今分かっていることはこれ位か。」


彩愛「次は明日、師走先生に話を聞きに行くんだね。」


天音「よし、今日は解散。あまり病室に大人数で長居するものでもないしな。」


慎「おう、帰れ帰れ。俺も久しぶりにゆっくり寝たいわ。」



この日は解散することとなった。



俺が大人しく寝てるわけねぇじゃん。



面倒がまた一つ増えてしまった。ってか今回俺巻き込まれ損じゃん。

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