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現想真魂録~幻想の勇者共が現代入り~  作者: 観測者S
第肆章 Its claws are knives, its fangs are forks.
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第20話 The Tyrant

グリムがその場で回転蹴りの構えをする。その間合いでは届きそうにはないから、大方ソニックムーブとかそんな感じか。

それならばその衝撃波を切り払えばいい。



グリム「ヴァリアント!!!」


慎「ッ!!」



そう思ったのもつかの間。ヤツはなんと、高速かつ蹴りで突進してきた。

しかも、その推進力は回転蹴りの回転のみである。

そしてその足には炎が灯っている。


すんでの所で横によける。

グリムはそのまま俺の後ろに在った民家に突っ込み、全壊させる。



慎「……意外と速いな。」



これは意外と大変そうだ。



グリム「なるほどな。やはり貴様は、今までの奴とは違うようだな。」



煙の中からグリムが姿を現す。



慎「『今までの奴』?」


グリム「俺がここ数日『喰らって』来た奴等のことだ。今までは、たった一撃で動かなくなる連中ばかりだったのでな。」


慎「……そいつぁ大体何人位だ?」


グリム「あ?あー、人数など一々覚えてはいないが、そうだな……大体10人ちょっと位か。」


グリム「だが今はそんな事どうでもよかろう!!!さぁ、続きをしようではないか!!!」



大変に加えて面倒な奴だな。

この口ぶりからして、最近の殺人はコイツが犯人か。

なるほど、犯人が人間じゃない、それも知能が割と高いヤツが犯人だと、警察も特定出来ない訳か。


ヤツを再び捉え、村正を構えなおす。



グリム「グスタフ!!!」


慎「青龍!!!」



今度はパンチで突っ込んでくる。流石にあの速度を青龍無しで対処しきれはしないだろう。

体に蒼い龍のオーラを纏う。

そしてヤツが目の前2メートルぐらいになったところで。



慎「龍迅翔ファフナー!!!」



体を横に反らし、村正で下から上に斬り上げる。

するとそこに、蒼く質量を持った残像が現れる。


そしてそこに吸い込まれるようにして、グリムが突っ込んでくる。



グリム「グッ……」



グリムは少し後ろにのけ反った。その隙を逃す俺では無い。



慎「龍牙刃ダハーカ!!!」



オーラを纏った村正で斬りかかる。だが。



グリム「グロウラー!!!」



ヤツの周りに黒いオーラが現れる。

そしてそのオーラに村正の刃が弾かれる。



慎「チッ……。」


グリム「ホーネット!!!」


慎「ッ!!!」



体勢を崩した俺の足元に、ありえない速さでグリムが飛び込んできた。

そして。



グリム「飛べ!!!」


慎「グアッ!!!」



そのまま空中へ『殴り飛ばされ』た。

今ので肋骨が数本折れたな。



グリム「そして……」



飛ばされている俺に追撃をかけようとグリムが跳躍する。

そして空中で拳を振りかぶり。



グリム「沈め!!!」


慎「やべっ!!!」



ロードが間に合わない。どうする!?



霊夢「慎!!!」



ヤツの拳が俺に当たる直前、空中の俺は飛んできた霊夢に拾われた。

そのまま地上に降りる。



霊夢「大丈夫?」


慎「大丈夫、まだ肋骨が4,5本折れただけだ。」



まだ肺に刺さっていないのが救いか。



霊夢「それって大丈夫なの!?」


慎「まだ生きてるからな。」


霊夢「そういう問題……?」


グリム「ほう、乱入者が来るとはな。いいぞ。大歓迎だ。一匹残らず喰い尽くしてやる。」


魔理沙「霊夢!慎!」


妖夢「援護に来ました!」



やがて魔理沙と妖夢もやってくる。



魔理沙「コイツが、さっきのバカでかい魔力の源だ!」


慎「なるほどな、そんな気はしてたが。」


グリム「数が増えたなら、今一度尋ねよう。カガクブのココノエという女を知らないか?」


霊夢「知らないわ。」


グリム「そうか。それは残念だ。」


慎「それより、彩愛はどうした?」


魔理沙「早苗に任せてきたぜ。」


慎「そうか。……グフッ」


魔理沙「大丈夫か!?」


霊夢「慎!」


妖夢「慎さん!」



吐血した。さっきので内臓も潰れていたらしいな。


こうなると長期戦は無理だな。とはいえ、この狂犬を短時間で相手しきれるとは到底思えない。

さて、どうしたものか……



グリム「苦しいか。ならば俺の情けで、今楽にしてやろう。」


グリム「楽しかったぞ。お前は俺が『檻』から出た後で初めて戦いになった相手だ。」


グリム「敬意を表して、全力で葬ってやろう。」


グリム「ブラックホーク……」



グリムが拳を後ろに、大きく構え、その拳に力を溜める。

そして黒いオーラを纏う。

さっきの蹴りの加速を考えると、この体では避けられまい。

『無想転生』が無難か。


霊夢も魔理沙も妖夢も身構える。無理だ、お前らじゃこの状況は覆らん!



グリム「……スティンガー!!!」


慎「夢そ……」



速すぎる!!!間に合わん!!!









ドォォォオオオン。





辺りに轟音が鳴り響く。





気付けば、自分は地面に転がっていた。


辺りを見回すと、他の三人も同じような感じで転がっている。


恐らく、先ほどの攻撃が何らかの形で防がれ、衝撃波で吹っ飛んだのだろう。


そしてグリムを探すと。


謎のローブの男が、グリムの拳を『片手で』受け止めていた。


化け物2号かよ。



霊夢「……不知火!?」


慎「不知火?あいつがか?」


グリム「……今日は客が多いな。まぁ、その分喰らい応えがあっていいのだが。」


不知火「……ズェア!!!」



不知火がグリムを左手で受け止めたまま、右手の大きな太刀で斬りつける。



グリム「グアッ!……フフフ……」



グリムは大きく吹き飛ぶが、体勢を整えると、不敵に笑った。



不知火「……退け、如月 慎よ。」


慎「あ?」



何故こいつは俺を知ってる?



不知火「……今はまだ、貴様が相手出来る存在では無い。」


慎「お前は、何者だ?」


不知火「……。」



だんまりか。まぁいい。



霊夢「あなたは味方なの?」


不知火「……さぁな。」



はっきりしねぇな。


とりあえず立ち上がろうとする。



慎「っ!」



しまった、さっきの衝撃波で左足も折っていたか。

こいつぁ大人しく退いた方が良さそうだ。



慎「そんじゃ、お言葉に甘えて。」


霊夢「立てる?」


慎「物理的には。」


霊夢「もう。ほら肩。」



霊夢に肩を貸される。



霊夢「行くわよ。」


妖夢「乾介君も。」


乾介「ありがとうございます、魂魄先輩。」


魔理沙「ほらお前もだ。」


小さくなったティラノ君「すまねぇ……。」



それぞれがそれぞれを抱え、その場から飛行し離脱する。



グリム「喰らい損ねたのは少々名残惜しいが、貴様もなかなか喰らい応えがありそうだ。」


不知火「……斯様な化け物を飼っているとはな。我ながら悍ましいものだ。」


グリム「さぁ行くぞ仮面!!!」


不知火「我は『えん』。我は『ごう』。我は『しん』。」


不知火「我がこころは仇成す全てを捉え、我が刃は捉えた全てを滅す!!!」


不知火「我が名は『不知火』!!!推して参る!!!」


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