第19話 唐突な招待状
朝・平日・弥生家・朝食中
テレビ「……では次のニュースです。昨日未明、○○県御神楽市の□□通りで、遺体が発見されました。」
テレビ「遺体には全身に打撲痕があり、またほぼ全ての骨が粉砕骨折しているようです。」
テレビ「これで同様の遺体が御神楽市内で12体発見されたことになり、警察は『完全なる連続殺人』として更なる捜査を続けることを表明しています。」
テレビ「また、この一連の事件に関する情報は少なく、暴走体またはその他の人外による被害とする可能性もあり、」
テレビ「世間には『シャドウワーカー』の出動を示唆する声もあります。」
テレビ「警察は御神楽市内における不審者の情報の提供や、注意の喚起を行っており……」
早苗「なんか物騒ですね。」
慎「というか、11も例がありながら見つけられてねぇのかよ。警察も無能だな。」
彩愛「なんか噂では、その事件の現場を見た人はみんな殺されてるんだって。」
霊夢「妖怪かなんかじゃないの?」
魔理沙「ここ最近、たまーに魔力を感じることがあったんだが、なんか関係あんのかなぁ。」
妖夢「まぁ私達なら、遭遇しても問題ないでしょうけどね。」
やめろ妖夢。その手のフラグはしょっちゅう成立する。
しかし全身打撲か。暴走体なら、人型の脳筋あたりか。
しかも自身の素性を隠して行動しているあたり、そこそこ理性と知能はあるみたいだな。
そうなるともう『暴走』体ではないような。まぁネーミングと定義は、ほとんど関係が在って無いようなものだがな。
そして登校中。
俺のスマホに電話がかかる。
慎「はいもしもし。」
スマホ「あの、寺島由紀恵ですけど……!」
慎「どうしました?」
由紀恵「乾介が、襲われて、助けてください!」
嫌な予感しかしない。しかしここで無視すると、さらに面倒になりそうだ。
仕方ない。行ってやるか。
慎「今、乾介はどこに?」
由紀恵「あの、○条○丁目の……」
慎「分かりました、すぐ行きます。」
通話を終了する。
彩愛「何かあったの?」
慎「まぁな。俺はたった今急用ができたから、お前らは先に学校へ向かっててくれ。」
魔理沙「……っ!!!」
慎「どうかしたか?」
魔理沙「ものすごい量の魔力を感じるぜ……ってかこれ……」
魔理沙「軽くマジ切れした時の『幽香』を超えてるぜ!!!」
霊夢「ホント!?」
慎「ヤバいのか?」
魔理沙「ヤバいなんてレベルじゃないぜ!下手すりゃあたりが焼け野原になる!」
霊夢「アレを鎮めるのは結構骨が折れるのよね……」
なるほど、強いのか。
慎「とにかく、俺は行かねばならない。彩愛を任せる。」
慎「来い、村正、起動。」
手の平に幾何学模様が現れ、そこに村正が出現する。
鞘から抜き、村正を起動する。
村正の刀身が黒く光る。
彩愛「気をつけてね。」
慎「おう。ロード、『博麗霊夢』。」
霊夢「?」
名前を呼ばれたと思っていそうな霊夢が不思議そうな顔をする。そんなことはどうでもいい。
俺は体を浮かし、目的地へと急行する。
到着すると、確かに人外ではあるが暴走体ではなさそうな存在が寺島とティラノ君を襲っていた。
見た感じは、お伽噺の狼男と言ったところか。二足歩行している狼のようだが、体型はアメフト選手によく似ている。
寺島は壁にもたれかかって頭から血を流しており、ティラノ君は暴走体の時のように巨大化しているが、両足と胴体が砕けている。
……は?
いやいや。どうやってあの硬さを砕いたんだよ。
俺が手加減せずに思いっきり蹴り込んでも罅一つ入らなかったのに。
能力化した際に弱体化したことも考えられるが、それにしても馬鹿力ってレベルじゃねぇぞ。
ってかティラノ君って自力で巨大化できたのな。
乾介「如月……先輩!!!」
ティラノ君「旦那!!!」
慎「よう。」
狼男「……何だ貴様は。」
寺島ににじり寄っていた狼男がこっちを向く。
乾介「先輩、コイツ無茶苦茶強いです!」
ティラノ君「ケンスケだけでも連れて逃げてくだせぇ!!!」
まぁお前らに比べれば大抵の相手は強いだろうな。
狼男「お前の知り合いか?だったら詫びねばな。いやなに、人探しをしていて、たまたまそこにいた小僧に話を聞いたら、知ってはいるようだが話してはくれなくてな。」
狼男「これは俺に対する挑戦だと思い、相手をしてやっていたのだが……」
狼男「当の本人は戦わず、よく分からん魔獣でもないゴミクズをぶつけてきたものでな。」
狼男「少々腹が立ってしまってな。気付いたらこうなっていた。」
人語を話せるのか。しかも内容は特に支離滅裂でもない。本当に暴走体か?
それに『魔獣』とは何だ?
慎「……お前は何者だ?」
狼男「まだ名乗っていなかったか。俺はグリム、前いた場所では『狂犬』とか呼ばれていたな。」
狂犬……ね。聞いたことないけど。
慎「人探しと言ったな。誰を探してる?」
グリム「カガクブとか言うところにいるココノエという女だ。それと、その部下のケンジという男と、アカネという女についてだ。」
科学部……ココノエ……なるほど。
慎「残念だが、心当たりがないな。他所を当たってくれ。」
グリム「そうか。それは残念だ。ああ、それともう一つ。」
グリム「貴様からは強者の匂いがする。いや、血の匂いと言ったところか。」
慎「……何の話だ?」
『血の匂い』については、身に覚えがありすぎる。だがそれをこの獣人はどこで知った?
グリム「誤魔化すことはあるまい。貴様のその俺に対する警戒、それはもはや『疑心』ではなく、完全に『敵意と殺意』を持っている!」
グリム「初見の相手にここまでの殺意を抱けるものなど人間にはそうはいない。いるとすれば、相当な修羅場をくぐってきた者のみだ!」
グリム「このようにあからさまに強いヤツと相対した時はどうする!答えは一つしか無かろう!」
グリム「目の前に極上の『餌』があるなら!!『喰らう』他には無い!!」
グリム「さぁ!!!殺し合おうではないか!!!」
何だコイツ、『餌』とか『喰らう』とか、何の話だ?
一瞬体が重くなるのを感じる。一体何をした?
乾介「先輩、逃げて!!!」
グリム「どうした?来ないのか?ならば……」
グリム「こちらから行くぞ!!!」




