第14話 ロード『文化研究部』 前編
能力紹介
『友情・ティラノ君』
効果・道具が自立する。
道具・ティラノサウルスのおもちゃ
使用者・寺島 乾介
他の能力とは違い、いちいち起動する必要はなく、常時起動している。
普段は乾介の家で家事の手伝い等をしている。
戦闘能力については未知数だが、あまり期待はできないだろう。
数日後
学校 放課後 文研部部室
乾介「そういえば、どうして文研部には高2の人しかいないんですか?」
寺島が俺に尋ねてくる。
慎「文月が勝手に立ち上げたからだ。」
栞里「そうだな。」
乾介「へぇ……」
まぁ、それに加えて、新入部員の勧誘をしていない、というのもあるのだがな。
乾介「それじゃあ、どうやってこの部は出来上がったんですか?」
早苗「それ、私も気になります!」
勇太「あー、それ多分つまんない話だから聞かない方g」
慎「知りたいか?」
勇太「おい!」
乾介「はい!」
早苗「とっても!」
勇太「流すな!おい慎、マジで話すのかよ?」
慎「なんだ?知られたらマズいのか?」
勇太「マズいっつうか、なんつうか……」
慎「では、話をしよう。あれは確か、俺が転校してきてから一年目のことだったな。」
勇太「マジで話すのかよ……」
栞里「まあいいじゃないか。たまには後ろも振り返ってみないとな。」
勇太「ハァ……」
霊夢「なんか温度差が激しいわね。」
魔理沙「そうだな。」
慎「後から聞かれるのも面倒だし、文月と初めて出会いったところから話すか。」
4年前・入学兼始業式・原校・中等部
担任「それでは、これから3年間、精一杯頑張っていきましょう。」
担任「今日はここまで。君、号令をかけてくれ。」
モブ「起立。礼。さようなら。」
モブ群「さようなら~」
慎「終わったな。帰るぞ。」
彩愛「あっ、ちょっと待ってよ慎くん~」
あの頃の俺は、色々あって、必要最低限しか人と関わろうとしていなかった。
彩愛と一緒にいたのも、寝床をくれている叔父さんに『彩愛を守ってくれ』と言われていたからだった。
文月たちとは、その頃から同級生だった。
俺が原校に来て初めてクラスメイトとして声をかけてきたのが、文月だった。
俺達が帰る直前だった。
栞里「そこの、ち、ちょといいか。」
栞里「私、文月栞里っていうんだ。よ、よかったら、友達になってくれないか?」
四年前の慎side
俺達が帰ろうと教室を出る直前、眼鏡のモブっぽいヤツがいきなり話しかけてきた。
『友達』だぁ?死んでもなるか。『友達になる』なんてのは、『取り込み、付け入り、侵食し、根こそぎ吸い尽して奪い去っていく』ための前準備だ。
『友達なら○○してくれるよね』から始まり、最初こそはちょっとしたことだが、次第に『手伝い』の筈が『代行』になってたり、『小遣い』を要求して来たりする。
『あの事件』があって以来、俺はそういう連中とばかり会ってきた。そこで俺は学習した。『友達』とは『敵』であると。
どうせ今回も同じだろう。なら、どうするか。決まってる。『無視』だ。
慎「フン。」
栞里「あ、ちょっと……」
彩愛「待ってよ慎くん!あっ、ごめんなさい。」
栞里「……。」
眼鏡を無視して帰る。そして、彩愛も追ってくる。
残念だったな。『友達になる』なんて『作戦』じゃ、俺からは一銭も絞れんぞ。
その後も、眼鏡はしつこく俺に友達になるよう要求してきた。なんでも、友達をたくさん作りたいらしい。どんなに財布があっても足りないってか?
友達を作りたがるのも、眼鏡の『最初の友達』に憧れているからだそうだ。まぁ、そんなのこっちは知ったこっちゃないが。
まぁ、適当に拒んでいればいつかそのうち飽きるだろう。
そう思っていたのだが、まさか夏休み明けまで粘られるとは思わなかった。
夏休み明け
栞里「慎!今日こそは私とt」
慎「断る」
栞里「最後まで言わせろ!」
入学してから全ての試験で理論上の満点を取り続けていた甲斐もあって、ほとんどの奴は俺を『凄いヤツ』を通り越して『次元が違うヤツ』と認識し、寄り付かなくなった。
ただ文月を除いて。
栞里「なぜそうまでして私と友達になるのを嫌う!」
慎「『友達』なんぞ二度と作らん。」
栞里「いいじゃないか!彩愛とは仲良くしているのだろう?」
慎「それがどうした?」
栞里「なぜ彩愛が良くて私がダメなんだ!」
慎「胸に手を当てて考えてみろ。」
文月「む、そうか。」
すると文月は真面目に胸に手を当て考え始める。いつも思うが、コイツって馬鹿なのか?
そして俺も気配を消しながら立ち去る。文月は俺がいなくなったことに気が付かず、そのまま立ち尽くしていた。
そんな毎日を繰り返していた、ある日。
勇太「よ、よう、如月。」
慎「あ?」
同じクラスのモブが突然話しかけてきた。
勇太「お前さ、今日放課後空いてる?」
面倒事のにおいがする。
慎「あいにく暇じゃなくてな。」
勇太「てゆうか来てもらわないと困るんだよ!」
ほらビンゴ。
慎「お前の都合なんざ知るか。」
勇太「ほら、矢車と景山っているだろ?アイツラにお前を呼ぶよう言われてるんだよ!」
栞里「何の話だ?」
急に栞里が話に入ってきた。
それにしても、矢車に景山、か。たしか、ちょっと暴力を使えるくらいで頭に乗ってる同期だったか。
命令を聞いているあたり、コイツもその二人に何かされてるといったところか。まぁ、知ったこっちゃないが。
慎「人に用があるならテメーで来いと言っておけ。代理やパシリは相手にしない主義だ。」
勇太「それじゃ俺が困るんだって!来てくれないと、俺が殴られる!」
栞里「まさか、矢車たちの事か!」
まぁ、あいつら割と校内では有名だし。知ってて当然か。
慎「とにかく、『俺は忙しい』。そういう事で。」
勇太「ちょっと待てって!ホントに頼むよ!」
慎「用があるのはお前じゃなくアイツらなんだろう?なら向こうが来るのが筋なんじゃねぇの?」
勇太「いやそうなんだけど、でも行ってもらわなきゃ俺が困るんだって!」
栞里「お前、アイツラに目を付けられたのか!?」
慎「そんなに驚くことなの?」
栞里「驚くも何も、アイツラは先週も先輩を二人病院送りにした奴らだぞ!?」
慎「それで?」
栞里「それで?って、そんな奴らを相手にしたら、いくらお前でも……」
慎「その先輩とやらがザコかっただけじゃねぇの?とにかく俺は面倒が嫌いだから行かない。」
慎「そもそも自分で来れないような臆病者に応じるつもりはない。それは相手が誰だろうと変わらない。」
慎「まぁ、なにか『報酬』でもあれば、考えないこともないがな。」
これ以上の会話は無駄だ。そう判断し、俺は二人から離脱した。
帰り道
慎「……。」
彩愛「……。」
越してきて三か月。特に会話があるというわけでもなく、俺から見れば『ただ同居しているだけ』の彩愛には特に興味はなかった。
お互い言葉を交わすこともなく、ただ並んで歩いている。
付き合いたてのカップルとかそういう雰囲気は微塵もない。
今日もいつも通り帰っていた。
ただ、今日はいつもとは違った。
気付かれていないとでも思っているのか。向こうの角に、こちらを狙う人影が二人見える。
体は民家の塀に隠しているが、事故防止の鏡に映っている。
向こうも鏡越しにこちらを見ている。なるほど、ただのバカか。
普通に考えれば、鏡で向こうを見れるということは、同じ鏡、同じ角度なら向こうからもこちらが見える。それすら知らず、本気で隠れられていると思っているらしい。
面倒事の匂いしかない。とはいえ、その為に進路を変えるのもなんだか癪だ。
ケンカを売ってくるようならぶっ飛ばそう。
角を曲がる。分かっていたことだが、声がかかる。
態度の大きい男子「よう、奇遇だな、如月。」
慎「そうだな。それじゃ。」
小物そうな男子「まぁちょっと待てよ。折角あったんだ。お話ししようぜ。」
そういって小物は路地裏を指す。
慎「俺には話なんてない。」
その場を立ち去ろうとする。
態度「待てっつってんだろ!!!」
殴りかかられる。でもさ、隙が多すぎて全然『攻撃』ってレベルじゃないんだよね。
がんばっても『威嚇』止まりかなぁ。
慎「フン。」
態度「ぐおっ!」
隙だらけの脇腹にカウンターをねじ込む。反撃は予想していなかったらしく、一切受け身を取らずにそのまま倒れる。
彩愛「……。」
隣で彩愛が唖然としている。まさか、殴り合いとかを見るのは初めてか?
小物「や、矢車ぁ!」
態度「て、んめぇ……。」
慎「売られたケンカは買う主義だが、これ以上続けるなら容赦はしないぞ?」
この呼び方から察するに、態度のでかい方が矢車か。そして、多分この小物臭が半端ないのが景山だな。
俺は普通に目を見て言ったつもりだったが、なぜか矢車は怯えている。そんなに俺って目力強いかな。
矢車「お前、憶えてろよ!」
景山「憶えてろよ!」
二人は逃げてった。後はこの二人が二度と現れてくれないことを祈ろう。




