第13話 Wiping All Out 後編
能力紹介
『武扇・鳳翼』
効果・使用者が『舞う』事により、それに乗じて自身の身体能力を上げ、封神・朱雀の威力も上げる。
使用者・霜月 天音
道具・舞扇
霜月家の家訓『武は舞、舞は武』に基づき、『舞』によって『武』を高める。
この舞扇は戦闘用に少々改善されており、並の刃物と競り合ってもそう簡単には折れないし破れない。
天音が長年愛用している代物であり、広げると霜月家の家紋が入っている。
慎「封神・青龍!」
村正が蒼い龍のオーラを纏う。
慎「飛龍閃撃!」
そのまま村正を新島と最上に向け、高速で突進する。
男共「ぐわああああ!」
男共が立ちふさがるが、そんなもの慎にとっては、いてもいなくても変わらない。
一瞬で蹴散らし、そのまま悠理を確保する。
新島「何っ!?」
慎「もらってくぜ。」
悠理「きゃっ!」
新島「貴様ァ!」
すれ違いざまに最上を掴み、そのまま反対の壁まで進み、壁を蹴って加速して元々いた場所へ戻る。
慎「おらよ。」
宮「悠理!」
悠理「宮!」
悠理を拘束していた縄を慎が断ち切り、解放してやる。
悠理「ごめんなさい、宮。心配かけちゃったみたいね。」
宮「それなら、こっちもゴメン。私も、クマさん失くしちゃったから。」
悠理「そんなのいいよ!だってわざわざこんな危ない所にまで来てくれたんでしょ?」
宮「よくないよ!このクマさんは初めて悠理が私にくれたものなんだよ!?」
宮「それに、私達、友達じゃん?」
悠理「宮……」
慎「一ノ瀬!!!」
話していた二人が、慎の声に振り向く。
その先では、慎が二人を護りながら戦っていた。
慎「話は後だ!まずは自分の身を守れ!」
宮「はい、分かりました!悠理、行ける?」
悠理「うん、大丈夫。今までの分、お返ししてやりましょう!」
宮「原校空手部を、舐めるなぁーーーっ!!!」
二人は男共に特攻する。
慎(俺、『自分の身を守れ』って言ったつもりなんだけど。)
男「小娘二人ぐらい、わけねぇぜ!」
男が宮に襲い掛かる。
宮「せい!」
男「ぐっ!」
宮「はぁっ!」
男「ぐあぁっ!」
その男の下腹部に拳をいれ、怯んだところに側頭部に蹴りを入れる。
いくら身体強化をしていても、痛みまでは軽減されていないようだった。
男「このガキンチョがぁ!」
悠理「私たちを舐めないでください!はぁっ!」
男「ぐああああっ!」
同じく襲い掛かるが、顔面に正拳突きを食らい、男は吹っ飛ぶ。
悠理「まだまだ行きますよ!」
宮「今までの借り、全部返してやるんだから!悠理と一緒なら、もう何も怖くない!」
悠理「飛ばすよ、宮!」
宮「悠理を襲ったこと、後悔させてあげる!」
新島「ぐぬぅうううう……」
宮たちの予想外の強さと部下の脆さに苛立つ。
新島「ならばぁ、こうだぁ!」
ポケットから何かを取り出し、それに付いているボタンを押す。
すると工場の床が開き、何かがせりあがってくる。
通信・栞里「気を付けて!戦車が来る!」
慎「ほう、そんなものまで作ってたか。」
通信・早苗「戦車ですって!?」
通信・彩愛「早苗ちゃん、落ち着いて。」
この通信機は使用者全員でつながっている。ゆえに、誰かが興奮するととてもうるさい。
程なくして、戦車が現れる。
新島「これでぇ、死ねぇ!」
戦車は狙いを宮に合わせる。
そして、砲弾が発射される。
慎「そういう話は……っ!しまった!」
悠理「宮!」
慎「間に合え!」
宮「えっ?」
完全に会話に気を取られていた慎は気付くのが遅れ、急いで射線上に入る。
宮と悠理は、もうだめだ、と思い目を瞑る。
宮side
爆発音が鳴り響く。
宮は恐る恐る目を開けると。
そこには。
自分に背を向けて立つ如月先輩。
その先に、ピンク色の巨体が存在していた。
あの模様には覚えがある。悠理にもらった、あのクマさんだ。
慎「ほう……」
宮「クマ……さん?」
巨体「……」
巨体はこちらに目を向けると、サムズアップする。
慎「このタイミングで覚醒するとはな。」
悠理「これは……?」
宮「クマさんが……守ってくれた……」
クマさん「……。」
クマさんはそのまま戦車の方へ向き直り、接近する。
戦車も逃げようとするが、障害物だらけの工場内における戦車の移動スピードなんてたかが知れてる。
すぐにクマさんに追いつかれ、
クマさん「……!!!」
その大きな腕を、爪を、戦車めがけて振り下ろす。
戦車はその力に耐えきれず、潰れ、爆発する。
クマさん「……。」
宮「凄い……」
慎「なかなかやるじゃないか。」
新島「マジかよ……」
新島「だがな、タダではやられねぇぜ!」
新島が悠理めがけて突っ込む。
悠理「……っ!」
新島「ぐあっ!ちぃっ!」
しかし、そこは空手部。見事なカウンターを食らう。
慎「スェア!」
新島「っ!」
新島が怯んだ隙を狙い、如月先輩が切りかかる。
戦い慣れているのか、刀の一振り、蹴りの精度が鋭い。
周囲に目をやると、こちらを銃で狙っている男が結構いる。
宮「クマさん!」
クマさん「……!!!」
クマさんに合図を送ると、向こうも分かってくれたようで、そのまま男共に突っ込む。
クマさん「……!!!」
男共「く、来るな化け物ォォォォォ!!!」
男共「ぐあああああああ!」
一撃で薙ぎ払われる。
新島「ならば、こうだ!」
新島は別のボタンを取り出し、押す。
すると、壁の向こうから、プロペラの音が聞こえてくる。
慎「そこまでやるか。」
爆音が響き、壁の一部が崩れる。
その向こうには、武装ヘリが空中に佇んでいた。
新島「空中に行けばいくらお前の剣でも届くまい!」
そのまま空中に身を投じた新島は、武装ヘリが射出したワイヤーにつかまり、そのままヘリに乗り込む。
さらに、追加の武装ヘリも来た。
空なら、例えクマさんでも届かない。どうしよう。
色々と考えていると、ヘリがこちらめがけて撃ってきた。
慎「隠れろ!」
先輩の合図で物陰に隠れる。
悠理side
なぜか助けに来てくれた如月先輩の合図で、私達は物陰に隠れる。
如月先輩のことは、校内でも有名。中等部時代から、裏ミスタコンでは毎年優勝している。
おおかた、宮が『依頼』でもしたのだろう。報酬はけっこう高いって聞いたし、何だか宮に悪いことしちゃったかな。
慎「さて、どうしたものか。」
宮「対処法、あるんですか?」
慎「あるにはあるが、効率が悪い。こっちもなにか、機関銃のようなものが欲しい所だな。」
さっきから、私は守られてばかりだ。
あの男たちも、正直先輩が数を減らしてくれているから相手を出来ているし、
さっきの戦車だって、宮とクマがいなければきっと死んでいた。
そんな事を考えていると、何かが手元に落ちてくる感触が来た。
これは……ボールペンだ。ポケットから落ちてきたのだろう。
宮にクマのストラップを上げたとき、お返しにってもらったもの。
さっきクマは、急に巨大化して私達を守ってくれた。
もしかしたら。
宮「とりあえず、悠理を避難させましょう!クマさん、護衛して!」
クマさん「……。」
悠理「私は……」
宮「悠理……?」
慎「……。」
そうだ。私は。
悠理「私は、もう護られてるだけのお姫様じゃない!」
ボールペンを掴み、祈る。
悠理「お願い!私にも、護る力を!」
その時。
祈りに応えるように、手の中のボールペンが発光する。
それはどんどん大きく、重くなり、やがて片手では持てなくなる。
光が収まると、手には大きなガトリング銃が握られていた。
慎「願ったり叶ったり、といったところか。」
宮「悠理、それって……」
悠理「これが、私の能力……」
これで、私も戦える。
拡声器・新島「さっさと降参したらどうだぁ!」
悠理「降参するのは、そちらです!」
両手で構え直し、立ち上がり、照準を武装ヘリに合わせる。
拡声器・新島「っ!そんなもん、一体どっから!?」
トリガーを引く。
一機、また一揆とヘリを撃墜していく。
残るは、新島の乗るヘリ一機となった。
新島「こうなったら、もう逃げるしかねぇ!」
拡声器・新島「憶えてやがれぇ!!!」
慎side
新島が超小物くさいセリフを吐いてヘリで逃げる。なんだ。あの会長室は見かけ倒しか。
宮「あっ、逃げちゃいますよ!」
慎「ちょうどいい。ここいらで試運転といくか。」
村正を構える。
慎「ロード、『博麗霊夢』。」
確か、『こう、ふわーっと』だっけか。
それに倣い、俺もふわーっと、体を浮かせようとしてみる。
浮いた。よし、行ける。
狙いを新島のヘリに合わせたとき、遠くから声が聞こえる。
声・霊夢「『夢想天生』!」
声・男「銃も効かない!どうしろと!」
なるほど、それが『全てのものから浮く』時の技名か。
使わせてもらうとしよう。
慎「行くぞ新島ァ!」
全速力で飛行し、新島のヘリを追いかける。
意外とスピード出るな。確かに、これなら自動車より速い。
ほんの数秒で追いつく。
慎「龍瀑旋!」
青龍の蒼いオーラを纏った村正で、空中を斬る。
その斬撃に合わせ、オーラから円盤のようなエネルギーが飛んでいく。
新島「ひっ!」
紙一重で避けられた。
新島「それなら、落ちろ!」
ミサイルが飛んでくる。
慎「夢想天生!」
そのミサイルは、自分の体を貫通し、そのまま空中へ消えていく。
もちろん、俺自身にはダメージは無い。
新島「なにぃ!」
避けられても面倒だ。広範囲技で一気に落とす。
慎「行くぜ!龍覇・蒼焔塵!」
ヘリを斬るように、村正で空を切る。
それに合わせ、オーラの龍がヘリに向かって蒼いブレスを吐く。
そのブレスはヘリを一瞬で飲み込み、ヘリは完全にぶっ壊れる。
新島「うわあああああ!」
このまま死なれては面白くない。空中で回収し、工場に連れ帰る。
工場の先ほど俺が交戦していた場所まで戻ると、文研部全員が集まっていた。
天音「お前、飛べたのか。」
慎「霊夢の能力をパクった。」
霊夢「えっ、そんなこと出来るの?」
魔理沙「幻想郷じゃ最強じゃねぇか。」
担いでいた新島を放り投げる。
新島「うっ!」
慎「さて。」
新島「やめてくれ!悪かった!俺が悪かったから、命だけは取らないでくれ!」
新島が土下座する。
悠理「新島さん……。」
慎「分かった。『命だけは』取らないでやる。」
新島「それじゃあ……」
慎「『命だけは』、な。」ニタァ
新島「えっ?それは、どういう……」
慎「お前には、もう命以外何も残っていないということだ。」
新島の顔が凍り付く。
慎「まず、お前はすでに会長でも社長でも何でもない。」
新島「……へっ?」
慎「今日は取締役会の会議があった。ゆうべ会員全員の所へ行き、それぞれの弱みを握り、ゆすってやった。」
慎「『新島武久を会社から追い出せ』ってな。今頃は新しい会長が選出され、お前は解雇されているはずだ。」
慎「お前、よほど嫌われていたみたいだな。会員の3割ぐらいは無条件でお前を降ろすと約束したよ。」
新島の顔が凍り付く。
慎「ついでに、お前がまで子会社にしてきた会社の社長への恐喝やパワハラなんかもまとめて警察にリークしてきた。」
慎「『証拠品だけを捜査一課に送り付ける』という形でな。貴様愛用のボイスレコーダー付きだ。」
新島「そ、そんな……」
慎「それと、貴様の口座の残高も0だ。」
慎「お前が俺に大金を振り込んだ講座。あそこから辿っていった。」
慎「5000万だけじゃなく、全額こっちに移動させたよ。」
慎「だがまぁ、『命だけ』は残ってるから、いいんじゃね?」
新島「……。」
新島が気絶した。メンタルの弱いヤツめ。
悠理「なにも、そこまでしなくても……」
慎「いや、敵なんだから、しっかりと潰しておかないと。」
宮「そうだよ。悠理をこんな目にあわせたんだよ。まだ軽い方だよ。」
早苗「全財産巻き上げるなんて……」
天音「ま、慎を相手にした時点でご愁傷様ってところだね。」
慎「さて、そろそろか……。最上、その銃を『終了』しろ。」
通信・栞里「全員、パトカーが来るぞ。後約15分くらいだ。」
俺が呼んだやつだな。さっき空から、『新島が工場にいる』と連絡したからな。もちろん匿名で。
俺は村正を仕舞う、もとい家に転移させる。
悠理「は、はい!えっと、終了!」
悠理「あっ、戻った!」
最上もガトリングをボールペンに戻す。
宮「クマさんも、戻っていいよ。」
クマさん「……。」
クマもストラップに戻る。
魔理沙「小さくなったぜ!」
宮「元々小さかったんですよ。」
慎「よし、急いで帰るぞ。」
俺達は急いで車に戻り、全速力で学校へ帰投した。
その後、工場内の男共及び新島が逮捕されたのは、言うまでもない。
こうして、霊夢達が現代に来て最初の『依頼』は、幕を閉じた。
どうも、観測者Sです。今回も読んでいただき、ありがとうございます。
『Wiping All Out』意味は『一掃してやる』といったところでしょうか。
新島の実動部隊っぽいのを綺麗に一掃しましたね。
その後の慎のやったことは少々どころではなくエグかったです。
それから村正のコピー能力。実は、今回やりたかったのはこれでした。
相変わらず慎はぶっ壊れ性能ですね。
それと、不知火が2話からずっと息をしていないので、出番をあげようかと思います。いつになるかはわかりませんが。
誤字脱字、日本語の間違い等ありましたら、教えていただけると幸いです。
それでは、また次回で。




