第12話 Wiping All Out 前編
能力紹介
『トラスト・スクリーン』
効果・広範囲の遠方を透視する。また、対象の性質を解析する。
使用者・文月 栞里
道具・小学生時代の眼鏡
栞里が覚醒したのが小学生の頃のため、眼鏡も小学生の頃の物になっている。
レンズやフレーム等を交換しては『覚醒時と同じ眼鏡』と本人が認識できないため、交換しないまま使っており、現在はちゃんと今の頭と目に合う眼鏡を別に使用している。
過去に一度男子更衣室を透視しようとした際、同時に男子生徒の内臓まで見えてしまったことがあるため、それ以来悪用は自重している。さすが腐月。
移動中、車の中。
慎「ほら、これ。」
俺は一ノ瀬にあるものを渡す。
宮「これ……ありがとうございます!どこにあったんですか?」
ゆうべ、街中を捜索していると、道路脇にあったもんだから、回収していた。
当初の依頼内容である『クマのストラップ』だ。
慎「街中で拾った。場所は覚えてない。」
一ノ瀬はそれを嬉しそうに握りしめ、そして顔を引き締める。
宮「あとは、悠理を助け出すだけですね。」
ぶっちゃけ、戦闘能力持たないお前に張り切られても困るんだけど。
早苗「大丈夫です!私達に任せてください!」
天音「いくら空手部でも、相手はヒトを超えた力を使ってくる可能性もある。あまり突っ走るなよ?」
宮「わかってます。」
俺は東風谷が張り切って何かしでかす方が心配なんだけど。
魔理沙「なあ、まだ着かないのか?これなら空飛んだ方が速いと思うぜ。」
霊夢「同感ね。もっと速く行けないの?」
慎「この国はルールが厳しいんだ。勝手に空を飛んではならないし、自動車も、道路によって制限されたスピードしか出せない。」
魔理沙「なんだか色々と面倒なんだぜ。」
宮「え?今更?」
慎「こっちの話だ。気にしなくていい。」
天音「色々あるんだ。ほっといてやれ。」
宮「は、はい。」
色々と下らない話をしていると、目標の工場が見えてきた。
慎「文月。敵はどの位いる?」
通信・栞里「ざっと1000人位。それから、工場の丁度中心に、女の子とオッサンがいる。多分、その娘が悠理だな。」
宮「綺麗な真珠みたいな髪色です。」
通信・栞里「それだな。」
慎「そのオッサンは多分新島かその部下だろう。最上の周りには何人付いてる?」
通信・栞里「オッサン含めて5人だな。5人とも、拳銃を持ってる。」
慎「侵入経路上の敵の数は?」
通信・栞里「余り見られない。多分、最上達と接触した時点で袋叩きにするつもりなのだろう。」
慎「そりゃ助かる。仕事が楽に終わる。」
慎「さて、これから突撃する。準備はいいな?」
天音「ああ。」
霊夢「大丈夫よ。」
魔理沙「箒と八卦路の状態も最高だぜ。」
早苗「いつでも行けます!」
宮「はい、大丈夫です。」
慎「よし、文月のナビゲートで進んでいく。行くぞ。」
俺達は車から降り、工場の入り口となっているガレージから中へと入っていった。
工場・会議室
村正で扉を弾き飛ばし、中へ入る。
宮「悠理!」
女子高校生「宮……なの?」
新島「……『二人で』といったはずだが?」
あのプラチナブロンドの髪のが『最上悠理』か。
慎「『人型のカウントは任意に任せる』のだろう?俺がカウントしているのは俺と一ノ瀬だけだ。条件は満たしてる。」
新島「……ほう。では、一ノ瀬宮をこちらに渡してもらおうか。」
慎「『連れてくる』までが依頼だ。そっから先の事は知らん。それに、俺は一ノ瀬から、『最上悠理の救出』を依頼されている。そっちのが報酬の価値が高いのでな。」
新島「ならばその上を行く報酬をくれてやる。その小娘がいくら出したか知らないが、そうだな。今度は1億でどうだ?このぐらいの『はした金』、いくらでもくれてやる。」
慎「無理だな。それじゃ、一ノ瀬からの報酬は塗り返せない。」
新島「何だと?」
慎「貴様の報酬は『はした金』、一ノ瀬の報酬は『全財産』。価値なんて、比べるまでもないだろ。」
新島「……ワシの稼ぎがガキの小遣いより価値が低いと。」
慎「客に媚びて得た金に価値なんてあるわけないだろ。」
新島「……あくまでこのワシを侮辱するかァッ!!!」
新島が拳銃で撃ってきた。
その弾丸を村正で迎える。真っ二つにし、その勢い、もとい割られた弾と刀身との摩擦で、側近二人にお見舞いする。
側近A「グッ!」
側近B「ガァッ!」
脇腹に命中し、二人は倒れる。致命傷は外した。『殺して』はいない。
新島「そっちがそのつもりならこっちにも考えがある。」
慎「最上は『交渉の重要なカード』なんだろ?」
新島「……こんのクソガキがァ!」
新島「お前らぁ!全員まとめてぶっ殺せぇ!」
全ての会議室の出入り口から、黒スーツの男が沢山入ってくる。
男共「『仮面』起動。」
懐から真っ黒な仮面を取り出し、装着する。
慎「いいぜ。お前みたいな天狗の鼻っぱし、へし折ってやる!」
天音「こちとら簡単にはやられていられないんでねぇ。礼には礼で応えようじゃないの。」
早苗「いいでしょう。奇跡の力、味わわせてあげます!」
魔理沙「よし、霊夢。どっちが多く倒すか勝負だ!」
霊夢「いいわ、付き合ってあげる。」
通信・栞里「その仮面、今は単なる身体強化だけだ!」
慎「よし……行くぜお前ら!」
新島「やれぇ!」
約1000人の男たちが押し寄せてくる。
慎「ロード、『巨人!』」
巨大化した拳のオーラで、まずは会議室の壁を吹き飛ばす。
そして、それが男共と文研部の戦闘開始のゴングとなった。
天音「『鳳翼』起動、封神、『朱雀』!さて、舞おうかね!」
天音の持っている舞扇が緋く光り、体に緋い衣を纏う。
そして、その上に朱い鳥のオーラを纏う。
男「おらっ!」
天音「あらよっ!」
男「はぁっ!」
天音「甘い!」
複数の男がナイフを持って襲い掛かるが、それらを全て舞うように躱していく。
そして。
天音「百花繚乱!」
天音が舞扇を振り払うと、自身の周囲に炎の渦が巻き起こり、
天音「はぁっ!」
その渦を舞扇で横切ると、そこから斬撃の形をした炎が男たちに向かっていく。
男共「ぐわあああ!」
天音「まだまだ行くよ!」
間髪入れず、斬撃を飛ばし続ける。
炎の渦に近づけない男たちは、次々と炎の斬撃に薙ぎ払われていく。
天音「次!」
上の足場から銃で天音を狙う男を見つけると、すぐさま狙いをシフトし、
天音「鏡花水月!」
天音をさらに激しい炎が取り巻く。その中心で、天音は舞い始める。
男「!?」
男はその隙を狙い、天音の頭を狙って引き金を引く。
だがその弾は、天音を取り巻く超高温の炎により、炎の中で文字通り『蒸発』した。
天音「その程度、今の私にゃ効かないよ!」
天音は炎の中で舞い続ける。それに応じて、炎も勢いを増してゆく。
天音「武は舞、舞は武。舞を極めんとするなら武を極めん!」
天音「業破抱擁!鏡花水月!」
天音を纏っていた激しい炎が天音の頭上に集まり、形を成していく。
それはやがて、巨大な火の鳥、朱雀となる。
天音「これにて終幕!」
その鳥は男共に突っ込み、大爆発を起こす。
鏡花水月を放つ頃には文研部は散開していたので、味方に被害はない。
男共「ぐわあああああ!!!」
その爆発により、天音の相手をしていた男は全滅した。
天音「我らが霜月家は、三千世界一!」
魔理沙「おらおらおら!外の世界の弾幕はこんなもんか!?」
男「くそっ、ちょこまかと目障りな!」
魔理沙「これが幻想郷の弾幕だ!喰らえ!」
男共「うわああああ!」
男共の銃弾を愛用の箒に乗って掻い潜り、八卦路による弾幕を浴びせていく。
魔理沙達幻想郷の連中にとって、直線的にしか動かない弾幕を避けることなど造作もない。
男「これならどうだ!」
男が手榴弾を投げ、別の方角からロケットランチャーが飛んでくる。
魔理沙「よっと!」
それを難なく躱す魔理沙。
魔理沙「だからこんなの全然……っ!」
そのすぐそばで、投げられた手榴弾とロケランのミサイルが衝突し、爆発する。
魔理沙「ふぃー、危なかったぜ。しかしボムか。やっぱり弾幕はパワーだぜ!」
男「なっ!?」
この爆発を避けられたのは、魔理沙にとってはただの反射。
しかし、男共からしてみれば、それは予想外の出来事であった。
魔理沙「よし、それならこっちも行くぜ。彗星、『ブレイジングスター』!」
箒の穂先に八卦路を取り付る。
その八卦路から、極太のレーザーを放出し、それにより急激に加速する。
さらにそのレーザーから弾幕がばらまかれる。所詮軍隊ではなくただのチンピラくずれの男共には、避ける術などない。
男共「うわあああ!」
そのまま魔理沙は、男共を一直線に捉えられる位置まで高速で移動する。
男たちはそれを目で追うことすらかなわない。
魔理沙「これで終わりだ!恋符、『マスタースパーク』!!!」
先ほどよりも太いレーザーが男共を飲み込む。
光が収まるとき、その場に立つものはいなかった。
魔理沙「一丁あがり!」
早苗「秘術『グレイソーマタージ』!」
男共「ぐあああああ!」
星形の弾幕が男共を襲う。
早苗「開海『海が割れる日』!」
そして今度は津波が襲う。
男「水の無いところでこのレベルの津波を……」
男「常識的にありえねーだろ!」
早苗「幻想郷では、常識に囚われてはいけないのです!」
男「どこの話だあああああ!」
次々と男共が津波に飲まれていく。
早苗「さぁ、どんどん来なさい!」
たぶん本人はかっこいいと思っているポーズで、男共を挑発する。
男共「このメスガキが!舐めくさりやがって!」
そして見事に引っかかる。
命令としてではなく、単に個人的に殺意を覚えた男たちが、早苗に突っ込んでいく。
早苗「大奇跡『八坂の神風』!」
男「風のない所でこれほどまでの竜巻を……」
男「もういいよそのネタ!こんなんでやられてたまるかぁ!」
激しい竜巻が男共を巻き込み、ものすごく激しい風が男共を襲う。
その中で一人、早苗に一矢報いようと手榴弾を投げるものがいたが。
男「ウソだろ!?ぐわああああ!」
当然激しい風に阻まれ、自分に帰ってくる。
風が止むと同時に、男共は解放され、コンクリートに打ち付けられる。
激しい風に揉まれ気を失っているのか、立ち上がるものは一人もいなかった。
早苗「ふっ……またつまらぬ輩を倒してしまった……。」ドヤァ
霊夢「はっ!」
男「ぐおおっ!」
男の攻撃をかわし、お祓い棒を脇腹にぶちこむ。
男「これでもくらえ!」
男がロケランを放つが、
霊夢「『夢想天生』!」
そう叫ぶと、霊夢は『全てのものから浮いた状態』になる。
いうなれば、『不透明な透明人間』である。
ロケランの砲弾も、その他の弾丸も、全て霊夢を貫通しているが、霊夢自身には一切ダメージがない。
今の霊夢には、あらゆる干渉ができないのだ。
霊夢「夢符『封魔陣』!」
さらに、密度の濃い弾幕を放ち男共の進路・退路を断つ。
男「なんだこれは!」
男「銃も効かないし移動もできない!どうしろと!」
男「オワタ\(^O^)/」
霊夢「そう。これで終わり。霊符『夢想封印』!」
男共「ぎええええええええ!!!」
身動きの取れない男共を一網打尽にする。さすが巫女汚い。
まあ、戦いに汚いもクソも無いのだが。
霊夢「まさか『博麗の巫女』である私が、人間を相手にする日が来るとはね……。」
霊夢「『人間の敵は人間』、か……。」
殲滅を完了した所で、霊夢は少し悲しげに呟く。
そもそもこの戦いも、新島のエゴによる戦い。その理由も妖怪より複雑で、よく分からないが腹立たしいものだった。
不知火の言っていたことがわかる。いや、分かってしまう。
霊夢「……考えたって仕方がないわ。あとは、慎が片付けるのを待とうかしら。」
いつも通り深く考えず、己の勘を頼ることにした。
これまでの戦い、『仮面』による身体強化のおかげで、
瀕死の者はいても死んでいる者はいなかった。
後編へ続く!




