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七話

…遅くなってすいませんでしたぁぁ!

二週間とか言いながら…ん?まだ二週間経ってないか

まあいいや!

久しぶりの駄文物語スタート!

「まずい」

「っちょ、何言って!」


 レイナの後を着いていくと食堂みたいなところに着いた。

 多くの人が座って食べられるテーブルには先客が六名ほどいた。

 全員が体を動かすことをやっている奴らだ。

 席に着くと、目の前にパンとスープが置かれる。

 パンは硬くパサパサとしており、スープは塩辛い。

 パンをスープに浸して食べると少しはマシになるが、如何せん、日本での食事に慣れている俺からしたら耐えられるものではなかった。

 そして素直に感想を言ったら隣に座っていた伊田いだかたなに注意され、他の五人からの視線も集めることになった。

 厨房へと続くのか、入ってきたのとは別の扉付近に立っている白いエプロンをつけた料理人と思われる男性の顔が引きつるのが見える。


「あ、天宮あまみやさん。もうちょっとオブラートに……」


 伊田が耳元に口を寄せ、何か言ってくるが俺は気にせず立ち上がり、料理人と思われる人のところへと向かう。

 その料理人のステータスを覗いてみると、スキル欄のところには。

 調理 LV3

 のスキルが見られる。

 一般の人が行う場合は”料理”。プロの人が行う場合は”調理”となる。

 この世界にスキルの進化があるのなら、料理スキル→調理スキルになると思う。もしくはもともと調理スキルしかないのか。……情報が足らない。

 それに今は、料理についてだ。

 このレベルならいっそのこと自分で作ったほうがマシだろうか。


「厨房まで案内してくれ」

「は、はい」


 その入り口とは別の扉。開けると厨房だった。

 そして許可も取らずに厨房へと俺は入る。

 目に映りこんでくる、日本では見たこともないような野菜。袋に入れて床においてある香辛料。

 片っ端からそれらを鑑定していく。


「火はどうやって使う?」

「そ、それはですね。こちらを使います」


 壁にかけてあった袋から五百円玉と同じくらいの大きさをした赤色に輝く石を取り出す。

 魔力感知のスキルを持っている俺は、その赤色に輝く石を魔石だと分かる。

 それをガスコンロと似ているが、真ん中にある点火する部分がない。

 その部分に先程の赤色に輝く魔石を乗せ。


「”ファイア”」


 男性がそう言うと、魔石はガスコンロの中火ぐらいだろうか。それと比べて申し分ないほどの火をともす。

 …………。


「……そこじゃなくて、スープの方に火を点してくれ」

「ああ、はい! すいません! ……”プットアウト”」


 火が消え、元の……いや、誤差の範囲内かもしれないが、少し小さくなっている。

 その魔石を素手で掴み、塩辛いスープの下に置き。


「”ファイア”」


 同じように火を点す。


「なあ、火を消してすぐに触っても熱くないのか?」

「は、はい。全然熱くないです」

「それと、火を点しているのはいいが、置いている部分が熱くなったりはしないのか?」

「はい。この部分だけ何故か熱くならない石を使っています。私たちは防火石と呼んでいます」

「そうか。包丁を貸してくれ」

「こ、これを」


 やっぱりこの男性は料理人なのだろう。どこに何が置いてあるか分かっている。

 すぐに包丁を俺に手渡してくれる。


「水は?」

「それはこれですね」


 シンクみたいな場所はあるが、蛇口がない。

 こんどは袋の中から水色に輝く魔石を取り出す。

 そしてそれをシンクみたいな場所の中に入っていた木で出来ている桶に入れ。


「”水よ”」


 …………んん?

 桶の中に水が溜まっていくのを見ながら頭の中ではハテナが一杯だ。

 何故、先程まで英語だったのにいきなり日本語になったのか。


「なあ、さっきの赤色をした魔石に火を点すときはなんて言ったっけ?」

「”火よ”です」

「……消すときは?」

「”消えろ”です」

「そうか。そろそろ桶から水が溢れるぞ」

「ああ、ありがとうございます。”止まれ”」


 プットアウト。put out。火を消すって意味だが、消えろだと意味的に微妙な気がするがまあいい。


「なあ、お前らは一回目に火を点すとき、なんて聞こえた?」


 桶に溜まった水に包丁を入れ、手を切らないように気をつけながら軽く洗う。

 そして食堂と厨房を繋ぐ扉から覗くようにして見ていた勇者様六名に問いかける。


「ええっと。”火よ”と”消えろ”っす」

「ああ、ありがと。もういいぞ」


 六人の勇者様たちから『何言っているんだこいつ』みたいな顔をして見られたが、どうでもいい。

 原因が分かったからだ。あいつしかいない。

 食材の中からニンジンに似た形をしているが、葉っぱの部分はホウレン草みたいな形をしている食材を取り出す。

 そして葉の部分だけを包丁で切り取り、残りはまた元あった場所に戻す。


「ゆ、勇者様? その葉には毒がありまして……」

「知ってる」


 この食材はキャロッソウで、まんまキャロット(ニンジン)とホウレン草を掛け合わせた名前だった。

 ニンジンにあたる部分はまあ、ニンジンみたいな味だが、とてつもなく甘い。

 そしてホウレン草に似た葉の部分には毒があるため、一般では切り取ったら捨てると、鑑定のスキルを使ってみた限り書いてあった。

 毒の効果は麻痺と下痢だ。

 書いてないが、磨り潰して矢の先に塗り、毒矢として使うことはあるかもしれないが。

 そして説明の下のほうに、沸騰させた水に塩を入れて煮ると、毒の効果がなくなると書いてある。

 毒の効果がなくなると美味しくなる。とも

 ……どう美味しくなるのか分からないけど。


「知っているからこそ、入れる」


 包丁でみじん切りにし、スープへと入れる。


「あああああぁぁぁぁぁぁ…………」


 隣で男性が落ち込んで手と膝を床についてうな垂れている。

 そんなことは気にせず、この世界にもあったお玉を使ってかき混ぜる。

 最悪、毒が残っていたとしても、全状態異常に耐性のある俺には関係ないし。


「ん? …………お、美味くなった」


 しばらくかき混ぜていたら匂いが変わったので落ち込んでいる男性に小皿を取ってもらい、少しだけ味見をする。


「ポトフみたいになったな……」


 まあ、さっきよりはマシか。

 まだ落ち込んでいる男性にスープを入れるために皿を持ってきてもらう。


「……お前、いつまで落ち込んでるんだよ」

「わ、私の料理をまずいと言われ……毒を入れられて……ううぅ」

「鬱陶しい。これでも飲め」

「毒入り飲んだら…………うぐぅっ」


 うだうだと五月蝿いからスープがこぼれるのを気にせず、男性にスープの入った皿を顔面パイよろしく押し付ける。


「……う、美味い」


 顔全体、服、床などをスープで汚しているが、そんなことお構いなしに俺から皿を奪うようにして取り、お代わりをして食べている。

 それに釣られるようにして勇者たち、専属のメイドたちも群がっていく。

 俺は群がってくる前に二皿分のスープよそってある。それを手に、食堂へと戻る。


「ほら、レイナも食べろ」


 レイナだけは群がらずにずっと離れた位置で眺めていた。


「ありがとうございます」


 レイナと並んで座り、落ち着いて朝食を食べる。

 時折、厨房から大きな音が聞こえるが、知らない方がいいことも世の中にはある。


「ん? どうしたの?」


 急にレイナがイスから立ち上がり、俺の後ろに立つ。

 暫くすると入り口から国王と妃、第一王女と深夜に俺の頬を触った娘とその後ろにメイドが三人入ってくる。

 なるほど。そういうことか。


「おお、勇者様。昨日はお楽しみでしたかな?」

「ん? 昨日は寝てただけだけど?」


 朝から下ネタとか飛ばしてくるなよ。


「なんだ、そうなのか。……それよりも厨房のほうが騒がしいのだが、何か知っているか?」

「さあ?」


 正直に答える義理はない。答えない義理もないが。

 国王は厨房へと続く扉へと向かっていく。

 妃と第一王女、俺の頬を触った銀髪少女は席に着き、その後ろにメイド三人が立つ。


「レイナも座って一緒に食べようよ」


 後ろに立つレイナに声をかけるが、首を横に振るばかりだ。

 身分とかやっぱりあるのだろうか。……それなら何故、さっきは横に座ってくれたのか。


「んー、それなら部屋に持って帰って二人で食べようか」

「おお、勇者様。もう戻ってしまうのか?」

「まあ、レイナと二人きりでユックリ食べようかと」


 厨房のほうに消えた国王が戻ってきた。

 ……右手に大きな皿によそったスープを。左手にスープの入ったナベを持って。

 あのスープ、まだ残っていたのか。

 国王の後ろには扉の少し開いた隙間から、勇者たち、料理人、メイドが重なるようにして横に倒れているのが見える。


「ならレイナもここで一緒に食べるがいい」

「国王の許可が出たぞ」

「ほら、お前たちも座れ」


 国王は妃たちの後ろに立っていたメイド三人にも座るように声をかける。

 始めは戸惑っていたが、国王が六人分のスープを用意すると恐る恐るといった様子で席に着く。


「おお、美味しいな」

「あら、本当」

「凄い美味しいです」

「……美味しい」


 みんな一口含んでは美味しいと言ってくる。

 正直、五月蝿い。


「これは勇者様が手を加えたと聞いたが?」

「ああ、キャロッソウの葉を入れた」

「「「「「「ブフッ!!」」」」」」


 理由を知っているレイナが吹かなかったのはいいとして、知らないはずの銀髪少女が吹かなかったのは以外だった。他のみんなは吹いたのに。


「ゆ、勇者様? キャロッソウの葉には毒が……」

「知ってる。だけど沸騰させた水に塩をいれて煮ると毒の効果はなくなって美味しくなる」

「そ、そうなのか。勇者様はこの世界についてよく知らないと思っていたが……」

「んー、確かに”知らなかった”よ。だけど色々とあるんだよ。深く聞かないでもらえるとありがたいけど」

「ああ、分かった。……それはそれとして勇者様?」

「なんだ?」

「勇者様の名前を教えてはくれまいか? 他の勇者様は昨日の夜に聞いたのだが」

「ああ、天宮あまみやゆえだ。呼ぶときは月でいい。様とかさんとかいらないからな」

「ああ、分かった」


 食べ終えたし、部屋に戻って寝るか。


「レイナ。俺は部屋に戻って寝るだけだから、ユックリ食べてていいぞ」


 俺は立ち上がって部屋に戻ってベッドにもぐり、目を瞑る。

 そしてあの白い部屋に気がつくと立っている。

 目の前にはしろ


「……まずは落ち着いて話し合いから始めよう」


 今の白は不機嫌なのか雰囲気が違う。

 俺は無事に起きられることを願おう。

今回、閑話でも書こうかな、と思ったけどまだ早いと思って辞めたんだよね…

あ、内容は元の世界の話ね?

でわでわまた次話に〜

明日も学校休みだから、たぶん….きっと書けるよ!

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