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五十四話

……だいぶお久しぶりでございます。残念ながら作者は生きておいでです

今回の話は、今までと同様に作者ワールド全開なうえ、作者でも展開が分かりませぬ(泣)

完結していないのにポンポン新しいものを書き出していき、もともと遅い筆はさらに遅くなる一方……

まあ、私は楽しいので!

前に書いたかどうかうろ覚えですが、主人公である月くんの話し方や地の文(心の声)がよく変わるのは仕様です。真面目な話、作者が書き方を忘れたとかではありませんので……話し方とか変わってますよね?

「ユエはどんなゲームを考えたの?」

「んー、正直に言うとこんな感じかなーとはあるけど、まだ固まってないんだよね…………いっか」


 まあ、お遊びなのだし気難しく考えたら負けだ。

 咳払いをして自身へと注目を集める。


「そんじゃ、ルールを説明しよう。まず、お前らの中で我こそはと思う我慢強いやつを一人選ぶ。選ばれたやつの体を俺は殺さない程度に斬り刻んだり、すり潰したりして声を出させようとする。もし声を上げれば、お前らの主人の体から一部を飛ばされる。我慢できたら見逃す。ね、簡単でしょ?」


 初めは何を言っているのか理解できていないのか、みな首を傾げている。しかし、その意味を理解していくにつれて徐々に憤りを隠すこともせず俺にぶつけてくる。

 隣にいるミリオナは楽しげな笑みを浮かべているけど。


「ふざけるな!」

「誰がそのような要求をのむと!」


 口々に言いたいことを言ってくるんだけど――。


「黙れよ」


 苛立った気持ちを隠さずに一言いうだけでみな一様に口を紡ぐ。


「お前らさ、自分の立場分かってる? ……いや、お前らは別にどうでもいいや。どうでもよくないんだけど、今は置いておいて。そこの貴族だかなんだか知らないけど考えることを放棄したゴブリン以下の人型をしたクズが勝手に突っかかってきて勝手にキレて、それで仕掛けてきたのを返り討ちにしたらこんな一個小隊引き連れて。お前、何がしたいわけ? なんでもお前の思い通りに世の中進むとでも思ってるの? 今すぐ殺さないだけ感謝して欲しいんだけど、文句があるなら今すぐ殺してやるよ?」


 なんかゲームするのさえ面倒になってきた。

 つか、なんで俺もこんなバカ真面目にこいつらの相手をしてあげてるんだろ。過去に戻って肩に手を置き、哀れみの目で見てやりたい気分である。

 そのうえこんなの相手にイライラして心に波を立ててるし。

 ……これは仕方がないな。夏場に蚊が周りをプンプン飛び回ってるのと一緒だ。

 いっそのこと全部潰してしまおうか。


「やっぱり、君らもう帰っていいよ。なんか飽きてきた。死体はそっちで片付けておいてね。明日にはあの子らも帰ってくると思うし、相手してるほど暇じゃないんだよ」


 そんなことを考えていたからか、途端にこいつらから興味が失せた。

 おそらく、二度と真面目にこいつらの相手をすることはないだろう。

 それに明日だったはずだ。予定が狂っていないならば。


「…………ミリオナ?」


 話は聞かんとばかりに背を向けて一歩踏み出そうとしたが、ミリオナに肩を掴まれたために止めざるをえなかった。


「あーあ……ちゃんと、奥の方でこっちを監視していたのも消したの?」

「いいや。あれは報告させとけばいいよ。こっちは人族相手に遅れをとるようなやつはいないからね」


 肩から手が離れたので、振り返ると同時にドサドサと音が響く。

 どうやったのかは直接見ていないが、ミリオナが全員を例外なくバラバラにしたのだ。

 女だけでも残しておけば、奴隷として価値があったのかもしれないのに。


「そんなことよりもユエ」

「ん?」


 名前を呼ばれたから反応してミリオナへと顔を向けたのだが。


「あの子らってのは誰のことか、きちんと妾に説明してくれるよな? それだけじゃなく、妾が『やっぱりユエのことを一番強いと思ってた』。そう聞いた時に『やっぱりそう?』って答えたことについての説明もしてもらおう」


 そこには笑顔であるはずなのに、般若や悪魔でさえ裸足で逃げ出すほどだと思われる迫力があった。

 久しくそういったことがなかったために、体の内から込み上げる喜びに震えた。


☆☆☆


 逃げようと思えば逃げられたのだが、それをやると面倒なことになるのが目に見えて分かるため。それに期待しているところもあったため、大人しく首根っこ掴まれて引きずられながら武家屋敷へと戻りました。まる。


「それで? 抵抗力が高いから始めっから薬が効いていたフリをしていたと?」

「まあ、簡単に言っちゃえばそうだね」


 ベッドへと放り投げられ、仰向けの状態で両手足を尻尾や足で抑えられた上、両手で顔を固定されている状態のまま至近距離で目と目を合わせながらの説明はなかなかに気恥ずかしいものがあった。

 なお、説明を終えたいまもその状態が続いている。


「…………いつまでこのまま、なのかな?」

「さあ? それはユエ自身が分かっているんじゃないかな?」


 少しでも顔を動かせばキスできそうな距離まで顔を接近させ、ドロドロと濁った眼が俺の眼をとらえて離さない。

 確かにこういった状況を体験したことは他の人と比べると多いかもしれないが、ほとんどの割合を朱莉が占めている。であるからして、長年の付き合いと朱莉の性格からどうすればいいのか分かるのだが……まだミリオナとはそれほど長い付き合いであるわけでもないし、そもそも今回に限ってはいつ俺にこういった感情を抱くようになったのかサッパリ分からない。

 それに加えてまだミリオナのこういった面は氷山の一角が出ているに過ぎない。

 一言、ヤンデレといっても種類などたくさんある上に人それぞれによって度合いも違ってくる。

 A子とB子の二人がいたとして、同じヤンデレだとしても沸点が違ったら許容範囲も違ってくる。ちょっとした行動、言動一つによって反応も様々であるし、時と場合、状況によってもまた変わってくる。

 ヤンデレとは長い付き合いの子であればそれなりの対処法や行動パターン、感情の揺れなどが分かるようになるが、日が浅ければ浅いほどに。付き合いが短ければ短いほどに地雷の数が増していく砂漠を彷徨っているようなものだ。

 道具一つ持ってなく、一つ間違えれば踏み抜きに行ってバラバラである。ちなみにこれは比喩表現にあらず、下手すれば足や腕の切断はもちろんのこと、目をくり抜かれたりなどもあり得るために神経を削る思いである。


「…………悪いけれど俺はいつ、ミリオナからそういった感情を持たれたのか分からない。出会ってからのこれまでを思い返してみても、だ」

「……………………」


 いくつかルートを考え、シミュレーションをしてみたが……ミリオナがどういったタイプか分からないために詰んでいる状態である。

 なので一種の賭けに出てみた。

 正直に、素直に嘘一つ、誤魔化し一つない本心をすべて話すことである。

 ものによっては一発アウトで即退場=死であるが、今の状態はすぐ死に直結することはないはずである。

 それとこの方法を選んだのは一つの勝算もあるからである。

 もし今が召喚される前の世界、地球であったならばこの方法は選択していなかったと思う。この異世界はステータスといった力の上下関係が存在する。地球でも確かに力の上下関係は存在するが、この世界では圧倒的な差があれば文字通り傷一つつけることが叶わないこともあるのである。

 あ、それとヤンデレ相手に黙っていることは絶対にしてはいけない。

 時間が経つにつれてだんだんとこちらの状況が悪くなっていくうえ、相手が上機嫌ならばまた別であるが、不機嫌なうえに問い詰められている状況であれば何かやましいことがあると勘違いを起こして死につながるか、監禁コースである。

 俺としては監禁コースなら喜んで受ける身であるが、ほとんどの確率で殺されるのでお勧めはしない。

 そのときのヤンデレはいつも以上に心身ともに不安定であり、殺してからやっちゃったと気づくのである。中には死体だろうと関係なくずっと一緒だという上級者の上級者も存在するが。


「確かに、何度か好意を持っているかのような素振りはあったような気もするが、それは今の状況を含めて考えた結果であり、それを除いて考えれば男女間での友情の範囲内だ。それに出会ってから今現在まで俺はミリオナに対して何か好感度が上がるようなことをやった覚えもない」

「…………確かに」


 声色からして今すぐどうこうするようではない。

 それに、雰囲気も少し大人しくなったような。


「確かに、妾がユエに惚れたと言ってないのに気づけってのもおかしな話だし……惚れたきっかけも本当に些細なものだからね」


 拘束を解いたと思ったら俺の隣で横になり、俺のことを何か話したげにジッと見つめてくる。

 体の向きをミリオナの方に向け、目を合わせる。


「惚れる理由なんて本当に些細なことでいいんだよ。落とし物を拾ってもらった。優しくしてもらった。害あるものから守ってくれた。……そんな、些細な事。だけど毎回そんなことで惚れていたら、体がいくつあっても足りないと思うかもしれないけれど……誰でもいいってわけでもないんだよ」


 そこで一度区切り、手を俺の頬へと伸ばして愛おし気に撫でる。


「見た目が良くてちょっと優しくされたから惚れるような子はアホさ。その人となりをきちんと見分けなきゃ。どんなことでもいいから二言三言でも話して、ね。誰もがそれで人の本質を見抜けるとは思わないけれど、本当にこの人が運命の人なのか。女の子は本能で理解するものさ」

「なら、ミリオナはどんなことがきっかけで?」


 『そう、だね……』と呟いて俺の頬は未だに撫でたまま、尻尾をゆらゆらと揺らし始める。


「妾を一人の人として見てくれた、からだね」

「…………そう」


 それだけで分かってしまった。

 肩書きなどどうでもいいと思っていたから。そんなもの、考える意味がないから。

 無意識のうちにか、そういったことを忘れていた。

 下の者には下の苦労があるように。上には上の苦労がある。

 今回のミリオナが悩んでいた上に立つ者の苦労は非常に珍しいといえようか。

 ほぼ一人で民を導き、誰にも理解できない発想を持つがそれは国の発展へと繋がっていくもの。いつからか人として、一人の女性として見られることはなくなり、崇拝される存在へとなったのだろう。


「妾の話を理解でき、意見交換ができるものが……いや。そんな高望みをしなくとも、対等な関係が。友人といったものが欲しかった。何を言っても『はい』としか言わないようなロボットではなく、間違っていたら叱り、道を正してくれるような。そんな対等な関係を望んでいた」

「…………」

「昔に……妾がまだ二十も生きていないとき。そういった関係とも呼べるものが一人おった。話を理解してくれなくとも一人の人として扱ってくれた。それだけで嬉しく、なんでもできるような気がした。…………それも数十年経ち、寿命によって彼女を失ったとき。まるで胸に穴がぽっかりと空いたような気がした。虚無感が胸の内を満たし、数年はなにもやる気が起きなかった。何度も死んで楽になりたいと思った」


 当時のことを思い出してか、目が潤み、目の端に涙が溜まる。


「だけど妾が死んだら後のこの国が不安であった。完全にとは言わんが、妾の足元でも考えの及ぶ後継ぎが必要であった。国にお触れを出し、試験を実施し、任せられるような人材を育成しようとしたが駄目であった。幸いにして、感覚的にだが妾は長生きできると確信していた。現在もこうやって生きているように、おそらくはあと千年単位で生き続けると思う。……だが、妾に任せきりであったらいなくなったときの穴が大きい。今でも十年に一度は試験を国全体にお触れを出して実施し、いい人材がいないか探しているが見つからなかった」


 『話が少しズレてしまったな』と言いながら目の端に溜まった涙を拭う。


「感傷的になると話がどんどんずれてしまう。…………何が言いたいかというとだ。妾の話が理解できる……いや、妾の上をいく発想を持ち、一人の人として接してくれたユエは妾の空いた胸の虚無感を満たし、コロッといっちゃったわけだよ」

「なら、ミリオナはこれからどうしたい? 俺はずっとここにいるつもりはないよ。まだ、この世界の全てを見て回っていないからね」

「諦めるつもりはないよ。要はユエを妾に依存させればいいだけのことであろう?」


 確かに、俺がミリオナに依存すれば離れられることはなくなるだろう。それにまだ、あの三人を確実に仕留めようなどや、監禁するなどといったセリフがこの場面で出ないということは、ヤンデレの素質はあるもののまだ見え隠れしている状態だ。

 俺よりも他に優先順位が上なものがある時点で二流もいいとこ。ヤンデレと名乗ることさえおこがましいとさえ言えようか。

 藪をつついて蛇を出す……は、俺にとって悪いことはないから誤用だな。揺さぶって目覚めさせてもいいのだが、それは後々の楽しみにしてもいいだろう。

 とりあえず俺は簡単に落ちるようなことはないし、それほど時間も無い。

 だから代案を提供してあげよう。


「ミリオナが俺と一緒に世界を見て回ればいい」

「……話を聞いていたかい? 妾がいなくなれば国が回らなくなるんだよ?」

「二人、ミリオナの後を継げるのがいるじゃないか。とても優秀なのが」

「…………?」


 どうにも考えが至らないようで、キョトンとしている表情がなんとも可愛らしい。

 ただ、このままゆっくりしていてもいいのだが……下手に長引くとこれからのこと・・・・・・・に支障が出る。

 ちゃっちゃと解を言わせてもらおうか。



「――レナとミオの二人がいるじゃないか」

分からないことだらけだと思いますので、感想やメッセージなどにでも尋ねたいことを書いて送っていただければと

確か、感想は非ログインでも書けたと思います

また一ヶ月以上開かないように…努力だけしてみたいですね。努力は嫌いですが…

新しく書いた小説も読んでいただければ幸いです

……お気に入りユーザーに登録されると何かあるんですかね?

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