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五話

やあ、遅くなってごめんね?

千と千尋とか見てたら、ね?

ってことで物語スタート!

「勇者様方。お一方ひとかたはどちらに?」

「部屋でもう寝ているので、そのままにしているっす」


 場所は飯の間。

 長方形をした大きな部屋に、白く綺麗なテーブルクロスをかけた、これまた大きな長方形のテーブルに勇者十一人が国王、謁見の間で国王の隣に座っていた女性、イーナ、銀髪の少女たち四人の対面に並んで座っている。

 それぞれ用意された食事の前に座っているが、一つだけ空席がある。

 言わずもがな、ゆえの席だ。


「さようでございますか」


 国王の後ろに立っていた執事服をきた老人が一礼する。

 老人の質問に答えたかたなもつられるようにして頭を下げる。


「……お腹空いた」


 どうするか悩んでいた国王たちだが、こころがお腹を押さえながら小さくもらした声を聞き逃さなかった。


「寝ている勇者様には悪いが、先に食べさせていただきましょう」


 国王の隣に座っている女性の意見に誰も反対しなかった。


「先にいただくとするか」


 国王が食べ始めたのを確認した勇者たちも続いて目の前に並べられた食事をそれぞれ手に、食べ始める。

 そして一口。


『……………………』


 全員が微妙な顔をする。

 パンはパサパサしており、肉も臭みが抜けていない。スープも味付けは塩と胡椒こしょうだけ。


「……勇者様方。口に合いませんでしたでしょうか?」


 勇者たちが微妙な顔をしているのを見た老人の執事が尋ねる。


「い、いえ。美味しいと思うっす」

「それはさぞ、料理長もお喜びでしょう」

「は、はは」


 そこはやはり日本人。

 愛想笑いを浮かべ、あたり触りのない答えを返す。


「国王様。自己紹介をしてはいかがでしょう?」

「おお、私としたことが。すっかり忘れていた」


 食事も中盤に差し掛かったところで再び執事が国王に進言する。


「私の名前はジグリオ・イストワールだ。国王をやっている。隣に座っているのは私の妻でフロリア・イストワール。そして娘が二人だ。金髪がイーナ・イストワール。銀髪がメルリーナ・イストワールだ」


 国王、ジグリオに紹介された妻と娘二人は執事にイスを引いてもらい、立ち上がって勇者たちに礼をする。


「なら、俺からするっす。伊田刀っす」


 月の部屋と同じ順番で自己紹介をしていく。

 一通り自己紹介を終え、食事を再開し、みんな食べ終えて今はティータイムとなっている。

 紅茶が料理と比べ、ある程度ましなことにホッとする勇者たち。紅茶が飲めない人はジュースを代わりに貰って飲んでいる。


「これから明日の予定について話しても構わないか?」

「はい、大丈夫っす」

「明日から、早速訓練に励んで欲しい」


 それを聞いた勇者たちは嬉しそうに笑うもの、面倒そうに口をへの字に曲げるもの。訓練の厳しさを想像して複雑そうな顔をするものに分かれる。


「たぶん、初日から厳しいことはさせないはずだ。今日は部屋に戻ってゆっくりと休んで欲しい」


 お開きになり、勇者たちはメイドに案内されて自分たちの部屋へと戻り、各々好き勝手に過ごす。


☆☆☆


「…………」


 夜も更け、執事やメイドたちも仕事を終えて眠っているであろう時間。

 月の部屋に一つの影が入り込む。

 その影は光が一切ない暗闇の中、物にぶつかることなく月の寝ているベッドへと近づく。


「…………」


 そのベッドには月のほかに、専属メイドであるレイナも一緒に寝ている。

 が、そんなことを気にした様子もないその影は月の頬へその手を伸ばす。


「…………」


 その影は月の頬を一度撫でる。そして音を立てずに部屋から出て行く。


☆☆☆


「今の、何してたんだろうね?」

「分からん」


 あの後、俺の部屋を移したまましろと話していたら誰かが俺の部屋に入ってきた。

 白の力で光がない暗闇でも色まで分かるようになっている。

 入ってきたのは銀髪の少女だった。

 一度も見たことないから誰だか分からないが、害がないのならわざわざ白と話すのを止めてまで起きる必要はない。

 白に、銀髪の少女を確認するために起きるのか? と聞かれたときにそう答えたら泣いて笑いながら抱きつかれたので白の頭を撫でたらいっそう強く抱きしめられた。


「それにしても本当に眠くならないな。不思議な体験を今、している」

「まあ、正直言うと僕も原理とかよく分かっていないんだけどね」

「そんなもんか」

「そんなもんだよ」


 今の格好は白に人をダメにするクッションを創ってもらい、俺がそこに座り、白が俺の股の間に座っている。


「月についた専属メイド。本当にあのまま寝ちゃったね」

「別に構わないさ。なあ、白。また聞きたいことがあるんだが」

「ん? なんだい?」

「白は俺たちが白い部屋にいて簡単に説明されたとき、テンプレという言葉をたくさん使っていたよな」

「うん」

「それで向こうの世界に召喚されて魔王を倒して欲しいと言われた」

「うん」

「だったら誰か一人は人間の国から出て、異世界を周り、自分の目で見て確かめなきゃな」

流石さすがだよ。月の言うとおり誰か最低でも一人は自由に周って貰わなきゃ」

「他の奴らは周る気、ないのか?」

「少し僕が心を除いた限り、やっぱり安全なとこに居たいらしいね」


 だからお願いしてもいいかな?

 上目遣いに見てくる白の目がそう言っている。


「もともとそのつもりだよ。異世界に行ったならそういったスリルも含めて楽しまなきゃ」

「月は僕のこと、なんでも分かってるね」

「神様である白には敵わないさ」


 白を後ろから抱きしめて、頭の上にアゴをのせる。


「…………ん?」


 抱きしめている今、白の胸あたりに回していた右手から柔らかな感触が……。


「……月のエッチ」

「……え?」


 後ろから白の顔は見えないが、耳が赤くなっている。

 そして離そうとした右手を白が掴み、そのまま胸へと押し当てる。


「月、僕が女の子だって知らなかった?」

「……ああ」

「神様にも一応は性別、あるんだよ? そしてね、人と同じように欲求もあるの」


 先程のように白が上目遣いで見てくる。

 だが、さっきと違うのは頬が赤くなり、目も潤んでいて、なにより男の子だと思っていたのが女の子と分かったのだ。

 男の子だと思っていたときも可愛いと思っていたが、さらに白のことが可愛らしく思えてくる。


「ねえ、月」


 白が体の向きを変え、俺と向き合う形で座る。

 そしてそのまま目を閉じ、顔を少し上に向ける。


「…………」

「んっ」


 何も言わずに俺は白の唇に自分の唇を押し付ける。

 離さないとばかりに、白が両手で俺の頭を押さえ込み、舌をねじ込んでくる。

 それに抵抗することなく受け入れる。


「……ふぅ」


 ピチャピチャと音をたてながら一分ほどディープなキスをしていた白は満足したようで顔を離す。

 俺と白の間で唾液が糸を引いているが、すぐに切れてしまう。

 そして俺と白の口周りはお互いの唾液でベトベトになっている。


「もういいのか?」

「うん。”今回は”これでいいよ」

「……そうか」


 これから毎晩、何かあるような含みの言い方をされて、少し反応に困ったが嬉しそうに笑っている白を見ると何も言えなくなる。


「……なんだかやること一気になくなったな」

「……そうだね。話すこともあると言えばあるけど、ねぇ。なんだかそんな気分じゃなくなったよね」

「そうなったのは白が原因だけどね……」

「あ、あはは……嫌だった?」

「嫌ではないさ。美少女にキスされて嫌がるのは特殊性癖持ちとかだろう」

「美少女……美少女かぁ。……えへへ」


 乾いた笑みから泣きそうな表情に変わり、今は美少女と言われて頬を染めて喜んでいる。

 コロコロと表情が変わり、見てるだけで面白い。


「僕はずっとこのままでもいいけどね」


 そう言って白は前から俺に抱きついてくる。

 座っている俺は抱きついてきた白を抱きしめ返す。


「ねえ、月」

「ん? なんだ?」


 俺の胸に顔を埋めているため白の表情は見えないが、たぶん真面目な話だろう。少し声のトーンが下がっている。


「月はさ、僕と一緒にいるためにわざわざ一日中寝てるつもりなんだよね?」

「まあ、そうだな」

「でも、明日の朝にはちゃんと起きて欲しいんだ」

「……どうしてだ?」

「夜の限られた時間にしか会えない。この縛りが月と会うのを楽しみに待っていられて、そして会ったときが何よりも楽しいんだ。だけど月が夜だけでない時間も一緒に過ごすと僕は押さえが利かなくなりそう」

「そっか……よっぽどのことがない限りは頑張って寝るのは夜だけにするよ」

「うん。ありがとう、月」


 白が顔をあげて唇に触れるだけのキスをしてくる。


「今回はもういいんじゃなかったのか?」


 意地悪くニヤニヤしながら尋ねると軽く二の腕を叩いてくる。


「分かってて言っているでしょ?」

「ああ、お礼。だろ?」

「うん、お礼」

「なら、お礼のお礼をしなきゃな」

「え? ……んん!」


 俺は抱きしめるため白の腰に回していた手を白の両頬に移動させ、動けないようにしてキスをする。

 先ほど、白がやってきたように舌をねじ込む。


「……はぁはぁ……ふぅ。酷いじゃないかいきなり」


 しばらく白の口内を味わってから顔を離すと、頬を赤く染めて目の端に涙を溜めた白が睨むようにして見てくる。


「嫌、だったか?」

「嫌じゃないけどさ!」


 左手で俺の服を掴みながら、右手は股の間に挟んでモジモジとしている。


「……僕は神様だけど欲求もあるって言ったよね?」

「ああ。憶えているさ」

「やっぱり、分かっててやったんだね。……なら、ここから先も分かるよね?」

「ああ。分かっているさ」


 俺は左手を白の頬に、右手は腰に。


「俺は今から起きる。この続きはまた今度だ」

「……え?」


 白が俺の首に腕を回そうとしていたが、何を言ったのか理解できなかったのか、動きが止まる。

 そして、起きたい。そう思った俺は溶けるようにして消えていく。


「……ゆ、……ゆ、月のバカー!」


 その言葉を最後に、俺の意識はベッドで寝ていた俺へと戻る。

しばらくはこっち進めるのに専念しようかな…?

二つ並行して書くの、最初からは辛すぎた…

ってことでまだ決めてないけどどっちかのまた次回で!

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