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閑話4

……どうしてこうなったのか、俺にもわからない。気がついたら、ね?こういったことってあるよね?ね?

……コホン。

まあ、置いておいて、今回はなんとなくそろそろかな?って気分で閑話挟みました。久しぶりの真や朱莉、白の登場です。

次に月の話を乗せたらあとは飛ばされたメルたちについて書いていこうと思ってます。

ってことで物語スタート!


2016/01/12 誤字訂正いたしました

「あはは! また、僕の勝ちだね!」

「……なんで勝てないのよ」


 向かい合う形で朱莉と白は座っていた。テーブルの上には盤面がほとんど白く埋め尽くされたオセロが。


「これでまた、月の情報がもらえるね!」

「……ちっ」


 喜ぶ白とは正反対である負の感情を隠しもせずにだだ漏らしている朱莉。

 少しづつ情報を開示していくといった案を出した白だったが、それじゃつまらないとゲームを持ち出した。種類は問わず、朱莉の持ちかけた勝負に白は必ず乗らねばいけなく、勝った方が負けた方から月の情報を得られるといったシンプルなものだ。

 だが、ここしばらくは朱莉の連敗が続いている。

 そこへ、氷と麦茶を入れたコップを3つ、お盆に乗せた真がやってくる。


「朱莉姉、舌打ち抑えて」


 それぞれ白、朱莉の前にコップを置き、自身もイスに座って麦茶を半分ほど飲む。


「白さんは強いんですね」

「うん、月に色々と鍛えられたからね」

「兄さんが鍛えたのなら、白さんにそれほどの実力があったってことかな」


 手でコップを弄びながら白に目を向ける。


「あー……まあ、確かにそうだねぇ……」


 歯切れが悪い白に疑問を抱きながらも真は深く突っ込まず、テーブルに突っ伏している朱莉に目を向ける。


「朱莉姉、大丈夫?」

「……全然大丈夫じゃない。今からタイムマシン作って過去の私を殴ってやりたい」

「ははっ。……朱莉姉がそう言うと、あんまり冗談には聞こえないかな……」


 本当に研究所にでも引きこもって作りそうな雰囲気を醸し出す朱莉に真は苦笑いを浮かべるしかない。


「白さんの話術に朱莉姉が嵌り、こうなっているんだから、ちゃんと約束は守らなきゃダメだよ?」

「分かってるわよ……。負けたら月の情報を相手に与える。もう何回めだと思ってるの?」

「……それより、今更なんだけど、いつも兄さんの前で作ってるキャラは維持しなくてもいいの?」

「あんなバカなキャラ、本当は演じたくないわよ。だけど、ゆーちゃんと負けた方が勝った方の言うことを聞くで、負けた私はゆーちゃんの前でずっとあのキャラを演じる羽目に……ううっ、ゆーちゃん。どこにいるの? 早く戻ってきてよ……」

「ほう、朱莉は月の前ではキャラを作ってるのか。今回の情報はそれでいいよ」

「ありがとね、白さん。こうなった朱莉姉はなかなか立ち直らなくて」

「もう慣れたさ」


 机に突っ伏して泣いている朱莉を放って白と真は楽しげに話しを始める。


「今回ので何勝何敗になりました?」

「確か、127戦124勝3敗になるね」

「もう、それほどになりますか。まだ白さんが来てから1ヶ月ですよね?」

「いんや、もう1ヶ月、さ。1日に約4回ほど勝負をしていることになるのか」

「そろそろ朱莉姉には連勝してもらって、兄さんの元へ行きたいんですけどね。ヤンデレが発動している時の朱莉姉でも勝てない白さんは何者ですか?」

「んー」


 何者と尋ねられた白はアゴに手を当てて考え込む。

 今ここで神様と冗談めかして言うか、本当のことは言わないけれど、嘘もつかないように答えるか。


「そう、だね。僕は――」


 ――ピンポーン


 白が口を開いたとき、不意にインターホンが鳴り響く。

 おそらく、冗談めかして神様と言うつもりだったのだろう。楽しみを邪魔されたからか少し不機嫌になっている。


「誰だろ? テレビ局とか新聞社、警察関係にも脅しかけてこっちから連絡しない限りは接触しないようにしたし、宅配とか頼んでいないよな? 爺ちゃんか婆ちゃんが何か送ってきたとしても、事前に電話くれるし、親が帰ってくるのはありえない」


 様々な可能性をあげては消していき、結局は誰が来たか分からないまま玄関へと向かう。


 ――ピンポーン


 待ちきれなかったのか、もう一度インターホンが鳴り響く。


「あれ? 鳥宮とりみやさん? どうしたの?」

「ひゃっ、ひゃいっ! あ、あにょ、急に来てごめんなしゃい!」


 ドアを開けると、整った可愛らしい顔立ちに亜麻色の髪。学校指定の制服に身を包んだ少女が立っていた。

 真が声をかけると、二度目のインターホンを慣らしてからすぐにドアが開いたことに、ではない慌てぶりで噛みまくりながら頭を下げる鳥宮。真と目が合った瞬間、顔を真っ赤にしていることから、そういうことだろうと伺える。


「え、えっと、ここのとこしばらく学校に来ていないし、先生に聞いても家の都合としか教えてくれないし、天宮君のお兄さんが行方不明になって心配になって、その……」

「ありがとう、鳥宮さん。せっかく来たのだし、上がっていく?」

「へうっ!? い、いいんですか!?」

「うん。大したものは出せないけどね」

「あ、あの、お邪魔します」


 これでもかというほど、顔を真っ赤にした鳥宮をつれてリビングに戻る。そして真に続いて鳥宮もリビングに入ると――。


「んぅ? その子は誰だい?」

「――ふぇ?」


 お茶を飲んでいた白と目が合い、素っ頓狂な声を上げて固まる。


「彼女は鳥宮美玲(みれい)さん。俺と同じクラスの子。それで鳥宮さん……鳥宮さん?」


 白に鳥宮の紹介を終え、今度は鳥宮に白のことを紹介しようと彼女に目を向けるが、何も反応がないのでもう一度名前を呼びながら顔の前で手を振る。


「……どうしちゃったんだろ?」

「あはは。真も隅に置けないねぇ。気がついていない分、月よりもタチが悪いね。……いや、気がついて次々女に手を出す月もタチが悪いか」

「……?」


 白の言うことが分からないようで、首をかしげる真。そこでようやく、鳥宮が気を持ち直すが、すぐ目の前に真の顔があり、顔を真っ赤にして金魚のように口をパクパクと開閉させる。

 再び固まってしまったため、真は鳥宮の手を引いて白の隣に座らせ、麦茶の用意をするためにキッチンへと向かう。


「ねえ、鳥宮さん」

「は、はい!」


 コップに入っていた氷も全部噛み砕き終えた白は暇になったのか、固まったままでいる鳥宮の腕を突きながら話しかけ、暇を紛らわすことにしたようだ。


「真のことが好きなの?」

「ふぇ!? ――ふぇ!?!?」


 ストレートな質問に、素っ頓狂な声を出しながら固まる鳥宮を見てクスクスと笑う白。


「白さん。あまり鳥宮さんをからかわないでくださいね」

「はーい。あ、麦茶おかわり」

「分かりました」


 戻ってきた真は氷と麦茶の入ったコップを鳥宮の前に置きながら白に注意するが、気の無い返事に加えておかわりの要求を受け、再びキッチンへと赴く。


「鳥宮さん、面白いね」

「あ、あまりからかわないでくださいです……」

「うん、ほどほどにしておくよ」

「あ、あの……」

「ん?」

「鳥宮美玲、です」

「ああ、僕の名前は白。よろしくね」


 自己紹介をした白は鳥宮の手を取り、握手をする。


「そ、それで白さんと天宮君の関係って……」


 ここで白は考えた。この子はからかうと面白い、と。

 なのでどう返すか。

 真と恋人――それも結婚を前提としたといったものにするか、体だけの関係です。とでも言うか。


「そうだね。僕と真の関係は――」

「兄さんの繋がりだよ。僕と白さんは恋人関係になるような間柄じゃないし」

「まったく、真はつまらないなぁ」


 コップを真から受け取った白は一口飲み、不満そうに頬を膨らませる。

 その横では、安心したように鳥宮がホッと息を漏らす。


「それで鳥宮さん。最近、学校で何か変わったこととかある?」

「いえ、もう夏休みに入っているのでみんなどうしているか分からないです……」

「あー……そう言えばそうだった。学校行ってないし、すっかり忘れていたよ。家の外にもあまりでないから、暑いのもわからないからね」

「天宮君のお兄さんは、まだ……?」

「うん。ここにいる白さんが兄さんの情報を持っているんだけど……」


 そこまで言ったところで、真は未だテーブルに伏せたままでいる朱莉に目を向ける。


「朱莉姉が白さんの挑発に乗っちゃって、見事に負けっぱなしだから一向に得られないんだよね」

「はぅっ!」


 伏せたまま一度肩をビクッと震わせた後はまた、大人しくなっている。


「いつもなら暴れたりしていたと思うんだけど……違った?」

「いや、合ってるよ。だけど白さんが持ってた何で作られているか分からない薬で、ね」

「…………う、うん」


 そこまで話したところで2人は白へ目を向けるが、当の本人は特に興味がないらしく、首をかしげるだけで何も答えない。


「まあ、気にしなくていいじゃないか。副作用もなく落ち着いているのだから」

「まあ、そうなんだけれど落ち込む回数が増えたんだよね……。アレはアレで手に負えないけれど、こっちもこっちで面倒」

「我がまま言わない。家に傷がつくよりマシでしょ?」


 麦茶を飲み干し、氷を1個口に含む。


「そりゃ、そうなんだけどね……。ごめんね、鳥宮さん。せっかく来てもらったのに」

「い、いえ。そ、それで天宮君は、その……」

「ん?」

「夏休みが終わったら学校に、その……来ますか?」


 頬を真っ赤に染め、真っ直ぐにではなく、チラチラと伺うように真を見ながら口を開く。


「あー……学校、かぁ。たぶん、止めるかも」

「止めちゃうんですか。……や、止めちゃうの!?」


 重要なことを軽く言ってのけた真に、始めは脳が受け付けていなかったようだが、だんだんと理解が追いつき、イスから勢いよく立ち上がる。


「母さんたちも反対しないと思うし、いっかな、って。たぶん、朱莉姉も止めると思うし」

「あは、あはは……」


 体の力が抜けたのか、虚しく響く笑みを漏らしながらイスの背もたれに全体重を預けるようにして座りこむ。


「あ、私はもう、学校止めてるよ」

「……いつのまに?」

「ゆーちゃんの手紙を読んだ後にかな?」

「おばさんたちは何か言ってた?」

「好きにすれば、だってさ。まあ、残ってた家のローンとか私が全額払ったし、2人がある程度は自由にできるだけのお金も置いてきたから。お父さんも仕事辞めてさっそく2人で旅行に行ってるよ」

「……それでいいの?」

「お母さんは専業主婦で育ててもらったし。お父さんも結構重要な……取締役って言ってたっけ? まあ、何でもいっか。それのおかげか色々と子どもの頃に買ってもらったし。私がお金渡さなくてもだいぶ貯金あったらしいけど。払ったローンもそんな額は無かったから。一応、ゆーちゃんとめぐり合わせてくれた感謝ってことで」


 とんでもない話を始めた2人を側で見ながら『はわわぁ……』と声を漏らす鳥宮のことを白が笑みを浮かべてみている。


「つ、九十九(つくも)さんと天宮君、凄いんだね……」

「まあ、……まあ、だね。俺と朱莉姉よりも兄さんの方が凄いから、自分が凄いなんて思ったことないんだよね」

「私も、ゆーちゃんに全部教えてもらっただけだし」


 月のことを思い出して2人の表情が沈む。話題を振った自分のせいだと、目を回しながら頭の中で他の話題を、と必死に思考をめぐらせる。


「あ! 天宮君のお兄さんってどれほど凄いんですか?!」


 言ってからすぐに心の中で『ちがあぁぁう!』と叫びながら冷や汗を流す。これでまた2人が落ち込んだりしたらと、鳥宮はネガティブ思考に陥っている。

 だが――。


「兄さんがどれほど凄いかって? それはもう言葉に表せないほどにだよ! 兄さん1人でこの世界をどれだけ進歩させたか!」

「そのゆーちゃんのこと、嫌ってたのはどこの誰かな?」

「うぐっ! だ、だけど心を入れ替えたし、昔の話さ! 兄さんも俺のこと受け入れてくれたもんね!」


 ――鳥宮の想像とは違い、2人でどれだけ兄さんが素晴らしいのかを言い合っていた。


「鳥宮さんのおかげで月についていろいろ聞けそうだよ。もう、気にしなくていいんじゃない? 2人ともなんだか楽しそうだし」

「ひゃう!? ……は、はい」


 いきなり白に話しかけられ、鳥宮は変な声を出しながら驚いて白に目を向けるが、そこから白が指差す2人に視線を戻す。


「…………」


 鳥宮は真と朱莉を――いや、朱莉を羨ましそうに眺める。

 恋人関係にならない事は理解している。それと同時に真が鳥宮に気がないことも。たとえ恋人関係ではなくても、今の朱莉のようにくだらない話をしていられるような、細くとも確かな糸で繋がっていたい。

 だけど鳥宮には朱莉と真の間に入っていくような度胸もそこまでの気持ちも持っていなかった。


「……天宮君、そろそろ帰るね」

「――だから朱莉姉は! ……え? あ! 鳥宮さん、本当にごめん!」

「ううん、大丈夫」

「……?」


 月について朱莉と話し、鳥宮のことをすっかり忘れていた真は頭を下げる。だが、帰ってきた返事が、雰囲気がいつもと違っていることを感じ取り、下げていた頭を上げて鳥宮を見るが、分からないといったような表情をしている。


「手土産でもあげたら?」


 ずっと黙ったまま傍観に徹していた白が口を挟む。それに返事を返し、玄関で待ってるよう鳥宮に告げ、真はキッチンへと向かう。


「またね、鳥宮ちゃん」

「バイバイ」

「はい。お邪魔しました」


 朱莉と白に頭を下げた鳥宮は玄関へと向かい、靴を履く。


「お待たせ、鳥宮さん」

「ありがとう」

「俺も来てくれて嬉しかったよ」


 その言葉に鳥宮はお世辞だ。心から思ってい言った事ではない。と自身に言い聞かせ、真のことを諦めようとしていた。


「結局、何もできなかったけど楽しかったよ」


 だが、続く言葉に涙を流すことを止められなかった。


「あ、え? お、俺、何か変なこと言った?」

「ううん、違うの」


 いきなり泣き始めた鳥宮に真は動揺し、慌て始める。


「私、今日ここに来て、天宮君に会うの、最後にしようって決めたのに」

「え? ……え?」


 突然の告白により真の動きが止まる。


「な、なんで……? 俺、鳥宮さんのこと好きなのに」

「――え?」


 そして突然の告白に頭が真っ白になった真が無意識のうちに言ったセリフにより、鳥宮も真の目を見つめたまま固まってしまう。

ここで言うのもなんだけど、主人育成日記にでてきたウルちゃん(笑)の容姿について。手足がついた2頭身の人形を連想しとけば問題ないですね、はい。容姿とかはお任せします。一言で表せば可愛らしい、といったとこですかね?自分でも分かり兼ねます。

さて、月のいる獣人の国で桜が咲いているわけですが、日本ではいま、夏(リアルでも物語内でも)です。

時間軸が一緒なら、桜咲いてるのおかしくね?とも思うと思いますが、それはおそらく次回の話に書くでしょう(たぶん)

おかしいな、と思ったところや誤字脱字があれば教えてくれると有難いです!はい!

長くなったけど、また次回〜

あ、次は主人育成日記のほう載せるから!

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