四十五話
はい!遅れました!
頭が痛いのも悪い!最近おさまっていたはずの(完全にではない)偏頭痛がぶり返して来ました!
次もいつになることやら…
あと、旧題をあらすじ……やっけ?そこに書き写すとか言ってやってないです!ごめんなさい!
あとはあとがきで……物語、スタート!
誰かが頭に手を置いた。撫でるその手は優しく、とても心地がいい。
後頭部にも柔らかな感触と温もりを感じる。
ずっとこのまま、まどろんでいたい気持ちがあるけれど、人として?ダメな気もするから起きることにする。
「おはよ、ミリオナ」
「おはよう、ユエ。ゆっくり眠れたかな?」
「ん、……ん?」
目を開けると、まあ予想通りと言うか、ミリオナが膝枕をしていた。
よく眠れたには眠れたが、何か違和感がある。特にこれっていうのがないし、寝る前と起きた後の変化といえば俺の首に首輪がついているぐらいだし。
違和感が拭えないけれど、いつまでも考えて解決するものでもないと思うし、状態を起こそうとしたが、ミリオナに頭を抑えられて再び膝枕へと戻されてしまった。
「……ミリオナ?」
「ユエには悪いと思ったけれど、妾とずっと一緒にいてくれないか?」
「うん? どうしたの、急に」
「妾にもよく分からない。ユエが他の女を見たり話したりすると胸のうちから黒い感情が湧き上がってきて……気がついたら奴隷の首輪を」
「首輪くらいならいつでも外せるから、別に問題ないけれど」
「ユエ、『首輪を絶対に外すな』」
「んぅ? ミリオナがそう言うなら外さな――分かった」
……いま、口が勝手に?
この首輪、奴隷につけるようなものとは違うのかな?
試しに外してみようとしても、体が動かないし、外すっていう意思を持たなければ首輪に触れるし、そこから外す意思を持つと手に力が入らない。この首輪はだいぶ強制力が強いな。――なんて。
壊して外そうなんて思えばいくらでもできるし、さっきの分かった宣言だってミリオナが表情を歪めたからに過ぎない。おそらく、そこらの魔物でもこれをつけたら素直に言うことを聞くのだろう。ただ、相手が悪かっただけである。
「ミリオナ、お腹すいた」
横になって動いていなくても、腹はすく。
確か、昨日の……昼? ぐらいからかな? 食べていないのは。
それだけ食事を抜けば腹がなっても仕方がないと言えよう。うむ。
前にも考えたと思うけれど、この世界に召喚されてから飯を抜く回数が増えたな……。
「そうか。少々名残惜しいがお腹が空いたのならば仕方ないな。起きれるか?」
「ん、大丈夫」
仰向けの状態からでは無く、転がってうつ伏せになり、勢いよくなんてバカなことはせずにゆっくりと、状態を起こす。
仰向けの状態から腹筋を使って起きるよりはうつ伏せの状態から猫のように伸びをして体を起こす。その方が個人的な意見だが気持ちがいい。……ここに来てから初めての起き方だが。
「ここでの主食ってなんなの?」
「そうだね……米をよく食べる人もいればパンを食べる人。気分で決めるなんて人もいるね」
「米があるんだ。……パンは硬いの?」
「パンと言っても色々な種類や形があるからね。硬いのもあれば柔らかいの。フワフワやもちもちなのもあるよ」
……人間族の食生活よ哀れなり。
なんで敵対なんかしてるんだろ。アホすぎだと思うんだが。
これだけ技術が発達しているというのに、少し外見が違うだけで上下関係を押し付けて、パァにしている。
救いようがないな。
魔族だって話してみればいい人たちだし。いや、だった。が正しいか。それに他の魔族もいい人たちだって言えるかまだ分からないもんね。
「なら、米にしてもらおうかな」
「人間族には米が広がっていないと思っていたんだけど、違ったかしら?」
「ミリオナの言う通り、米は広まってないよ。ここに来る前に止まっていた宿に米の料理があってね。とても美味しかったから。あと、俺の故郷の主食が米だったのもあるね」
「なるほど。ここの料理も美味しいと思うから期待しといて」
手を繋ぎながら食堂? 食事処? に2人で向かう。
お付きの人とかいないの? と聞いたら、必要な時以外は呼ばないらしいと返ってきたけれど、表情を見る限り何かを隠しているような気がする。必要な時以外は呼ばないっていうのは本当の事なのだろう。嘘は言っていないが本当のことも言っていない感じ。
「おぉ……」
着いたのか、目の前の襖をミリオナが開けると、その部屋はミリオナの寝室のような洋室ではなく畳の和室で座卓がある。その上には米に汁物、和え物と漬け物が2人分、向かい合うように置いてあった。
見た目は日本食のそれと変わりないが、細かく言うならば食材についてと味を知らないといったところか。だが、お腹が空いた腹にはそんなことどうでも良く、食欲をそそる匂いに口からヨダレが溢れて……こないけれど、早く食べたいという欲求はある。
「……早く食べよう」
「そうだね。ユエの反応を見る限り食べられないものは無さそうだし」
上座にミリオナ、下座に俺が座り、向かい合う。
「それじゃ、食べようか」
「「――いただきます」」
食事の挨拶を俺がしたことにミリオナは驚いているようだが、そんな事は気にせずに箸を右手に持ち、左手に茶碗を。一口小ぐらいの量をつまんで口へと運ぶ。
「……美味い」
「気に入ってくれたようで良かった」
茶碗を置き、次にお椀を手に取り汁物だ。味噌があることに驚きを隠せない。腐ったものとして処分されていると思ってたのに。まあ、無かったら無かったで造って食べればいいんだけど、あるに越したことはない。
「……ユエはこれを見ても驚かなかったな」
「故郷のご飯がこれに似ていてね。和食って言うんだけど」
「和食、か。いい響きだね」
「ん、広めてもいいよ? この国内に」
この和え物も美味しいな。果物と違って見た目と味が一致する分、なおさらに。キャロッソウ……だっけ? あんな食材って実はレアだったり?
でも、草の部分入れるだけで美味くなるのもなんだかなぁ……といった感じだし。
「……もう、最高」
食事中の飲み物は麦茶だったけれど、食後にほうじ茶が運ばれてきた。
甘いものも好きだけれど、ほうじ茶も同じくらいに好きである。あと緑茶とか。それを話すとジジ臭いとかよく言われるけれど。
「食事がここまで発展してるのって、ミリオナが?」
「……妾ともう1人居たんだけどね」
「そっか。ごめんね、無神経で」
「もう何百年も前のことだし気にしていないさ」
……ん? 何百年?
女性に年齢を聞くのはよくあるラノベやマンガだと、結局は煙に巻いて答えないし。ううむ。
どうするかって? そりゃもちろん――。
「ねえ、ミリオナって何歳なの?」
――聞くに決まってるやん。
「ふふっ。ユエ、女性に年齢を聞くのはタブーだよ? 500から先は数えてないね」
「あ、答えてはくれるんだ」
それにしても、500から先は数えてないって……。婆さんもいいとこ。大婆様だな。
「何か失礼なことを考えていないか?」
「気のせいじゃない?」
「まあ、別にいいんだが」
500も生きていると勘が鋭くなるのかな。気迫とかも凄かった。
「それよりも、これからどうしようか?」
「妾は特に何もすることが無いんだよね。いつもはゴロゴロしているか、ゴロゴロしているか……ゴロゴロしているか……」
「…………」
もう、ニートみたいや。いや、みたいじゃなくてニートなのか? でも、こうなる前はその天才的な頭脳でいろいろ発展させていたらしいし。
「それじゃ、今は誰がこの国まとめてるの?」
「優秀な部下が頑張ってくれてる」
「……そか」
「そうだ、ユエ」
「ん?」
「レナとミオについて聞きたいことがあるんだけど」
んー、気づいたのかな。
起きてから、ミリオナとほうじ茶を運んできた女の子しか会っていないし。レナとミオ、起きていたら会わせているだろうしね。
「あの2人は長くないのか?」
「うん。そろそろガタがきて壊れるよ」
「そう……か」
ぼかすことも出来たが、意味の無いことだ。すぐに分かることなのだから。
確かに、造り上げたものが壊れるのは悲しいが、ミリオナのそれは何かが違う気がする。トラウマ……?人を失うことに? 人との繋がりを失うことに? まだ情報が少ないが、たぶん近づいているとは思う。直接聞くことは出来るが、簡単に心の内まで踏み入っていいものではない。
「この後は暇なんだよね?」
「あ、ああ。暇って言えば暇だね」
「なら、ゴロゴロしながらでも俺の話をしようか」
☆☆☆
食後の休憩を終え、浴衣から昨日来ていた服に着替えてからミリオナには、俺が神様に近い存在であること以外は全部話した。
違う世界から勇者として召喚されてやってきたこと。
3日と経たずに国から抜け出したが、その国の第2王女に懐かれてついてきたため、村に泊まった宿に置いていって魔族領に行ったことまで詳しく。
第2王女のメル、知らない間にこれまた懐かれたレイナ。魔族領に立ち寄った村の生き残りであるミーニャの話が出た際には不機嫌になり、濁った目を細めて俺を睨んできたが、話の方に興味があるのか口を挟んでくることは無かった。
あとは元いた世界の話も。
そこでの俺の暮らしを話した際にも朱莉が出てきたために不機嫌になったが、科学の話題を持ち出すとすぐにそちらへと意識がそれた。チョロい。
ミリオナには作らないことを約束に、その世界で発達している科学技術について話したりもした。魔法を使わずに空を飛べる飛行機やヘリコプターなどに強い興味を抱いていたので、紙とペンを用意してもらって設計図、理論を書き連ねた。
それと理論だけではさすがに理解できないため、航空力学や物理などの知識についても教えたりしている内に気がつけば日は暮れ、空には星が煌めいていた。途中、飴をなめたりコーヒー(仮)などを飲んだりしたが、昼食を抜いたことには変わりなく、ふとした瞬間にお腹が空いていると意識する。
「……お腹すいた」
「……そうだね」
夕食といっても夜遅く、軽くにしておこうとなったため、お茶漬けになった。
米の上に焼いた鮭の味がする魚の切り身をのせてほぐし、緑茶をかける。
「……美味い。もう一杯」
「妾もそうしよう」
おかわりのお茶漬けま食べ終え、今は並んで温泉に浸かっている。
「ユエの住んでいた世界はすごいな。妾の知らないことがたくさんあった」
星空を見上げながらそう呟くミリオナ。
「ミリオナが俺の住んでいた世界のことを知らないように、俺はミリオナの住んでいるこの世界の知らないことがたくさんあるんだよ」
そう答えると、何が面白かったのか、クスッと笑みを漏らす。
「そうだね。明日もユエのいた世界の話をしてくれる?」
「ん、いいよ。だけど今日はもう寝ようか」
こうしてノンビリと1日が終わっていく。
――だが次の日、大変なことに気がつくことを今の俺はまだ知らない。
いまから本当に旧題をあらすじ……?のとこに書き写してきます!
これと同様に、主人育成日記のほうもよろしくお願いします!(変わらず駄文ですが!)
ってことで、またいつになるかわからないけれども、また次回!