四十四話
本当は昨日載せたかったけど、いろいろとリアルが忙しく今日になりました…
旧題はあらすじのほうに移動させます
文がおかしい?いつも通りの駄文だよ☆
月の口調がおかしい?それはあのとき色々とあったからだよ☆
まあ、ぶっちゃけ操られた?フリなんやけど
てなわけで物語スタート!
「ん、温泉気持ちいい。源泉かけ流し……?」
「そんなことまで知ってるの? ユエには知らないこと、分からないことは無いの?」
「俺にも分からないことはあるよ」
2人はいま、露天風呂に入っている。
ミリオナに収まるように月は座っており、逃げないようにとミリオナは腕を回し、豊満な胸を背中に押し付けている。露天風呂は木でなく石で出来ており、半分は屋根で覆われているが、もう半分は星が煌めく空を見上げられるように空が広がっている。周りには見ていて不快にならないように計算されて草木が生えており、中でも目立つのが桜だ。
正確には桜に似た種類の植物なのだが、見た目、花びらの形など、ほとんどが桜と似通っている。
いいタイミングだったのか、桜に似た植物は満開であり、月明かりと相まって非常に美しい景観となっている。
「これは……桜?」
目の前に散った花びらを手のひらで受け止め、それを指でつまんで見ながらつぶやいた月に優しく微笑みながら、ミリオナは浮かんでいた別の花びらをつまんで月によく見せながら説明をする。
「これはプラナスという名前の植物でな。今の時期。それも咲いてから1週間から2週間で散ってしまう花だ」
「……うん、俺もこの花、好きだよ」
「ユエもこれの良さが分かるのか。温泉のことや畳、屋敷についても知っているようだし、本当に底が知れなく――とても興味深い」
月の肩にアゴをのせ、頰に指を這わせる。
くすぐったいのか、月は身をよじりながら逃れようとするが、残った腕でしっかりと捉えられているためにそれは叶わない。
そしてミリオナの視線が下に向いたことにより、ソレを見つける。
「……ふふっ。妾で興奮してくれているの?」
「まあ、興奮しないほうがおかしいよ。俺も健全な男子なわけだし」
捉えていた力が緩んだ隙を見て、月はミリオナから距離を取る。
「だけど残念。妾は惚れたものに初めてを捧げると決めていてね。悪いけれど他をアテにしてくれないかな? ユエに興味は湧くけれど、そういった感情ではないからね」
「キスしたのに?」
「……妾も何故、キスしたか分からない。あれは忘れてくれ」
「ん、そっか。それは残念だ。メルかレイナがいればよかったんだけれど……」
月が他の女性の名前を出した瞬間、ミリオナの目は濁り、細められ、黒い影が漂ったが、それはすぐになくなり、先ほどまでのミリオナに戻るが、ミリオナ自身、今抱いた感情がよく分からずに首をかしげる。
「ミリオナ? どうかした?」
「いや、何でもない。大丈夫だよ」
「本当に? 少し顔色が悪いけど、そろそろ上がる?」
「そうしようか」
ミリオナが立ち上がったのに続いて月も立ち上がり、脱衣所へと向かう。
「お、浴衣じゃん」
「……浴衣まで知っているの?」
「うん。俺、こういったゆったりと着られる服って好きなんだよね。それよりも、そんなに水分含んだシッポとか重くないの?」
「魔力の熱で水分はすぐに飛ばせるからね。特に困ったことは無いよ」
「そう。……なるほど。そういった使い方もあったか」
「何か言ったか?」
「いい生地だね、って」
慣れた手つきで着ていく月と、女中にやってもらっているミリオナ。
浴衣を着て嬉しそうに微笑んでいる月を見て、ミリオナも顔を綻ばせるがどこか翳りが見える。着付けを終えた2人はあの部屋へと戻り、月は浴衣が乱れるのを気にしないで畳の上に寝転び、ミリオナはクッションに体を沈めて煙管をふかしてそんな月の様子を眺めている。
「…………」
「あー……落ち着く」
仰向けになったりうつ伏せになったりとゴロゴロしてあっちこっちに移動する月。浴衣はすでにはだけており、腰に結んだ帯と腕に引っかかっている状態である。
「ユエならば……大丈夫、かな」
「ん? 呼んだ?」
本人は聞こえないように呟いたつもりなのかもしれないが、ここには2人しかおらず、そのうえ周りで音も無いために小さな呟きであっても月に届いてしまった。
「……コレがなんだか、分かる?」
「ん?」
月は立ち上がり、浴衣を直しながらミリオナのもとに行き、渡された紙に目を通す。渡される際、ミリオナの手が震えていたが、月はそれに触れなかった。
「自動車? ……いや、この世界の場合だったら魔動車になるのかな?」
「分かるの!?」
「んぅ? まあ、分かるけど?」
「な、ならコレはどう?」
どこか興奮した様子を見せながら、また別の紙を数枚、月に手渡す。
「うん、まあ全部分かるけど……どうしたの?」
その紙に書かれていたのは飛行機に電車、扇風機や冷蔵庫などどいった、現代の日本では当たり前のように普及されているものばかりだった。
「妾の他に理解できる人がいるなんてな……思いもしなかった。いままで誰に見せても無価値な紙でしかなかったのに、今この瞬間、この紙らは値がつけられないほどのものに変わった!」
「…………」
嬉しそうに喜ぶミリオナとは逆の、どこか沈んだ表情をしている月。一通り浮かれたミリオナがその様子に気がつき、声をかける。
「どうしたの、ユエ?妾とユエでこの世界を発展させていこうよ!」
「でも、ね。ミリオナ」
「どうしたの?」
「一応、この世界はこれで均衡を保っているんだよ。それに魔法だってある。下手にすると逆にこっちが潰れかねないよ? それに、これを作るには2人だと時間がかかる。人手を増やすにしても教えるのに時間がかかるし、それで理解できなければさらに時間がかかる。いずれは出来るかもしれないけれど、さっきも言ったけど魔法っていうある程度便利なものがあるんだ。わざわざ環境を破壊するようなもの作らなくてもいいんじゃない?」
「…………」
「確かに、これらの発明はこの世界を発展させるのにはいいものかもしれないけれど、この世界だと失敗するのは確実だと思う」
「残念、だな。せっかく理解できる人が現れて一緒に作れると思ったのに」
月に否定され、目の端に涙を浮かべながら落ち込むミリオナ。
それを見た月にも、さすがに思うところがあるようで。
「まあ、こういった便利機器はダメだけど、それ以外でなら出来る限り教えてあげるから、さ。元気出して?」
紙をミリオナに返し、頭を優しく撫でる月。ミリオナは手で涙を拭いながらコクンと小さく頷く。
「そうだね。これから暑くなるし、障子があるんだから、和紙もあると思うし、アレが作れるね。あとはここに案内される途中でガラスもあったから、アレも作ってみよっか」
☆☆☆
「これは……?」
「ああ、うちわってのと、扇子って言うんだ。こうやって使うの」
日が昇り始めた頃。2人で寝ずに物作りを始めて今に至る。
月はまず、うちわを手に取り、扇いでミリオナに風を送る。
「これは涼しいな」
「こっちの扇子も似たような物だけど、こっちは自分を扇ぐ専用みたいなものかな? 後はうちわと違って閉じることができるから、持ち運びに便利ってとこ」
うちわをミリオナに渡し、月は扇子を広げて自身を扇ぐ。
興味津々に見つめてくるミリオナに微笑みながらうちわを受け取り、扇子を手渡す。
「持ち方が少し独特だね」
「その持ち方が安定するから、かな? うちわだって持ち手を持たないで扇子みたいな扇ぎ方をする人がいるくらいだし」
「そういうものなのか。……それでユエ。それはなんだ?」
「これ?」
ミリオナは、扇子で自身を扇ぎながら月の近くに置いてあるガラス出来ている物にキラキラとした目を向ける。
「これは風鈴って言ってね。軒先とかに吊るしておくと風によって音がなる仕組みになってるの。まあ、試しに聞いた方が早いか」
月が魔法を使って軒先に風鈴を吊るすと、タイミングよく風が吹く。
「いい音色だね」
「特に暑い日なんかだと効果があってね。精神的に涼しく感じるでしょ?本当はこんな無色のガラスだけじゃなくて模様があったり、絵を描いたりするんだけどね」
「そうなのか。……この紙は何のために?」
「風受けを良くするためにね。これが無かったら風が吹いても音が上手く鳴らないんだ」
説明を聞きながらミリオナは下から色々な角度で風鈴を眺める。
「なるほど。この紙が風を受けて紐を揺らし、紐についているガラス玉がこのお椀型になっているガラスにぶつかる事で音が鳴るのか」
仕組みを理解したのか、ミリオナは満足した顔でクッションに体を沈める。
「そう言えばさ、レナとミオはどこいったの?」
「あの2人なら、疲れたと言って寝てるけど? 本来なら私たちも寝てる時間なのだし」
「そうだったね。もう、日が昇ってきてるし、今から寝ると次に起きた頃には昼かな? ……状態異常の睡眠不足が消えてる。神様だから?」
「ユエ、何か言った?」
「うん。もうこのまま寝ないでいた方がもしかしたら楽かもね」
「楽だけど、睡眠は大事なのだから。布団もある」
こっちだ。と言ってクッションから体を起こし、歩き始めるミリオナのあとに月は続いていく。
角を右に曲がって左に曲がって。しばらくまっすぐ歩いて1つの襖の前で立ち止まる。
「ここだ」
そう言って開けられた部屋は和室ではなく、床がフローリングの洋室であった。部屋の真ん中には天蓋付きの大きなベッドがドンと置いてある。
「…………。ん、高級品」
黙ったまま月は部屋に入り、布団の感触を確かめるように触れて一言漏らす。
そしてある程度感触を確かめた後、靴下を脱いで床にほっぽりだし、ベッドへと倒れこむ。
「……んぅ、おやす……み」
そしてその言葉を最後に、月は眠りにつく。
☆☆☆
「…………」
何なのだろう、この気持ち。
ユエが他の女の話をしたときに湧き上がるどす黒い感情。
いま、こうして2人きりで居られることに対する、胸のうちから湧き上がる興奮。
「…………」
何も話さないままアイテムボックスから黒い首輪を取り出す。
なんとなくで作ってみた、使い道なんてないと思っていた最悪の首輪。レナやミオが付けていた奴隷用の首輪は、そこまで拘束がつよいわけでもない。奴隷にも意思が持てる。
だけど、コレはそんなに甘いものじゃない。主人の命令には絶対遵守。さすがに死んだら生き返れって命令しても無理だけど、どれだけ私のことを嫌っていたとしても、命令に背くって意思すら持たせない。
これをつければユエは私の。私だけのもの。
初めて私のことを理解してくれた、私以上の天才。
まだまだユエに関しては分からないことだらけ。さっきなんて『この世界は』と言っていたし、色々と聞かなくちゃいけないことがたくさんある。
……温泉に浸かっているときはあんな事を言ったけれど、本当はあげてもいいかな? って思っていたりする。
「ユエは妾を1人にしないよね?」
そう言って妾はユエの首に、手に持っていた黒い首輪をつける。
分かりにくいところ、誤字脱字などあったら気軽にコメントなどくださいな
参考にさせていただきます
こういったストーリーを入れてほしいなども入れることが出来ますゆえ、気軽にどーぞです
プロットも何もない妄想を書き連ねた文ですのでね!
ってことでまた次回〜