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四十三話

20万PV、お気に入り件数300突破、ありがとうございます!

っても、PVがなんなのかよく分かってないんですけどねー…

本当は昨日の夜(11時くらい?)に載せよっかなと思ってたら、主人育成日記との編集でこんな時間に…(途中サボりあり)

今回の話は飛ばされたメルたちですねー

正直、ここまで長くなるとは思わなかったなー(すっとぼけ)

ま、物語スタート!

「ここは……?」


 レイナが目を開けると、どこか洞窟のような場所だった。道幅、高さが10メートルほどもある大きな道だ。天然の魔石が光を発しているため、十分すぎるほどに明るい。右を見ても左を見ても、曲がりくねっている一本道でしかない。どちらかに行けばしばらく先に分かれ道などはあると思われるが。

 周りに人の気配はなく、何かが這い回る音や獣の唸り声などが響いている。

 どこかに水たまりがあるのか、そこに水滴がポチャン、ポチャンと滴り落ちている音も聞こえる。


「洞窟……よりは地下タイプの迷宮でしょうか」


 現状把握をしながらも、たったいま、背後から忍び寄ってきていた蜘蛛に似た姿の魔物をナイフで屠っている。


「食料と水はアイテムボックスにあるとはいえ。……魔物との戦闘などを考え、多くみて3日、ですね」


 蜘蛛型の魔物を倒したことでドロップした糸を手に取る。


「……スパイスパイダーですか。厄介なのを殺ってしまいましたね」


 ――スパイスパイダー。

 直訳すると密偵蜘蛛。

 戦闘能力は低いが、厄介な特性を2つ持っている。

 1つは隠密が得意であり、体色を変化させ背景に溶け込むことができる。

 正面切って戦う場合は戦闘能力が低いためそれほど厄介でもないが、あくまで正面切って戦う場合と、スパイスパイダー(・・・・・・・・)1体(・・)を相手にする場合だ。

 先に述べたとおり隠密が得意なため、知らないうちに背後を取られ意図によって動きを阻害される。そして肉を少しずつかじり取られていくのだ。

 2つめの厄介な特性は魔物間でのコミュニケーションの取り方だ。

 この魔物は死んだ時、魔物しか聞こえない特殊な超音波を発する。そしてその超音波は魔物を引き付けるのだ。

 そのため、本来はスパイスパイダーに遭遇したら死なないように加減をしながら機動力を奪い、そこから去るのだが、レイナは倒してしまった。


「……もう来ましたか」


 スパイスパイダーを倒したことによって集まってきた魔物の足音が右からも左からも響いてくる。当然、挟み込まれた形だ。

 レイナは手に持っていた短剣を鞘に収めてアイテムボックスにしまい、替わりに冒険者ギルドでメルニアから受け取った剣を鞘から抜き出す。

 片手で剣を持ち、切っ先を地面に触れさせ目を閉じる。


「…………」


 左右から魔物が姿を現わす。

 スパイスパイダーと同じ蜘蛛型だが、先ほどと種類は違い、1メートルから2メートルなど様々な大きさをした紫色をしており鋭い爪と牙を持っている。

 赤黒い色をした全長7メートルを越す大きさのムカデや桃色をした50センチほどの蛾など、他にも様々な虫型魔物の大群がすぐそこまで迫ってきていても動じないで、同じ姿勢のままジッとしている。


「……乱舞【(きく)】」


 今まさに、魔物の牙が左右からレイナに襲いかかる。

 だが、そこにレイナの姿はなく、左右から攻撃を仕掛けた魔物同士が互いに牙で挟んでいる状態だ。

 後から続いていた魔物もレイナの姿が消えたことに困惑している。

 そして互いに牙を挟んでいた魔物たちが離れようと動いた時。

 その魔物を中心に半径5メートル内にいた魔物たちが弾け、血肉を辺りに撒き散らす。

 血肉の弾け方はさながら菊の花のようであった。


「思ったより削れませんでしたね。残りは8割といったところでしょうか?」


 ――天井には服に汚れひとつ付いていない状態でレイナが立っていた。




「まったく。面倒でしたね」


 レイナの周りにはドロップしたアイテムがたくさん散らばって落ちている。

 それはスパイスパイダーを倒したことで集まった魔物を全滅させたことの証でもある。


「……ま、レアものが3つほどありますしチャラですかね」


 アイテムを端から全部拾ってはアイテムボックスへと入れていく。

 全てを入れ終え、ため息をつき、愚痴をこぼす。


「面倒ですね。入り口からきたのならまだしも、こう中途半端な場所へと転移とは」


 右か左かの二択ではあるが、どちらかを選んだことによって未来が変わる。

 運が良ければ地上へと。

 運が悪ければ更に下層へと。


「まあ、悩んでいても時間の無駄ですし、右に行きますか。印をつけておいて損はないですし」


 そう言って剣を構え、壁に自身が進む方向の矢印を描く。

 そして地上に向かって、もしくは攻略に向かって歩き始める。


「これでいいですね。最悪、地上に出れなくても迷宮クリアすればいいだけですし。問題は月様が他の女に取られたことです」


 が、すぐに足を止める。


「月様が他の女に取られる……? ……ふふっ。なんでしょう、この胸の内からふつふつと湧き上がってくる興奮は」


 そして目をトロンとさせ頰を朱に染め、口の端からヨダレが垂れる。


「これが月様の言っていた寝取られというものでしょうか? メルやミーニャでも感じていたものですが、レベルが違います。あはっ。この胸の内を駆け巡る快感。今頃、あの女が月様とヤっていると考えるとさらにキますね。……妄想よりも実際に目の当たりにすると、もっといいとも言っていましたね。そのとき、私は話せないようにされながら縛られて転がされておく、とも。ふふっ……ふふふ。これは早くイかなくては」


 口の端から垂れているヨダレを拭きもせず、先ほどよりもテンションを上げながら再び歩き始める。

 下層へと向かっていることを知らないまま。


☆☆☆


「ここはどこ? 私は誰?」


 レイナがスパイスパイダーを屠った頃。

 ミーニャは、両腕両足を切り落とされているオークの頭を掴んで引きずりながら洞窟内を歩いていた。


「ここはどこ~? 私は誰~?」


 語尾に音符がつきそうなほど機嫌が良さそうにしながら歌うように言葉を繰り返し発する。


「月様が知らないところに連れて行かれた時? こう言えばテンプレって言っていたけど……意味は分からないんだよね……ん? なんだろ、これ」


 道の一部が不自然にへこんでいる場所がある。


「…………」


 洞窟のようなつくりなため、ここまでの道のりもそれなりにデコボコしていたのだが、ミーニャが見つめる先は見落とさなければ誰もが違和感を覚えるへこみ方をしているのだ。

具体的に言えば。


「……歯? 牙?」


 直径30センチ、深さ20センチほどの大きさをしており、弧の部分から尖ったものが等間隔で生えていた。


「ていっ」


 可愛らしい掛け声とともに引きずっていたオークをそのへこみへと放り投げる。

 ミーニャが放り投げたオークは、見事にそのへこみへと放物線を描きながら吸い込まれるようにして頭から入っていく。

 そしてオークの一部が生えている突起物に触れた時――。


 ――キシャアァァァァ!


 地中からワームが顔を出し、オークを捕食していく。

 だが、途中で命尽きたオークは消え、アイテムがワームの腹へと入っていく。

 その後、何事もなかったように地中へ戻っていこうとしたワーム。

 だが、そう簡単にはいかないわけで。


「面白いね!」


 胴の部分を両手で掴んだミーニャは、そのままワームを引っ張り上げる。


「うわっ……気持ち悪い」


 全貌を見たミーニャはそう言って引っこ抜いたワームを真っ二つにする。


「それより、いつまでも遊んでいたらダメだよね。早く月さんのところに戻って、あの雌ブタを殺さなきゃ」


 そう言いながらも途中で遭遇する魔物を弄ぶのを止めない。

 だが、その進む先は地上ではなく下層へと向かっていた。


☆☆☆


「アハハハッハハ! アハハハハハ! 月様! 月様月様月様月様月様! 私の月様!」


 壊れた人形が歩いていた。

 普通に歩いていたと思えば立ち止まり奇声をあげ、歩き始めたと思えば何もないところで転び、時折痙攣を起こしたり、自身を抱きしめて顔を上に向け、何事かをブツブツと呟いていたりしたと思えば、先ほどのように光の失せた焦点の定まらない目をし、口の端からヨダレを垂らしながらそれを拭きもせずに叫んだりしている。

 その数々の奇行によって、髪は乱れており、それがさらに不気味さに拍車をかけている。


「――邪魔」


 魔物たちは、メルの視界の端に少しでも入ってしまったならば、次の瞬間にはアイテムへと変わっている。

 だが、メルはそのアイテムを拾うことなく歩みを進める。


「ふふっ、ふふふふふ。アハッ……アハハハハハ」


 再び足を止めると、短剣を逆手で右手に持ち、振りかぶる。


「……エヘッ。エヘヘ」


 振りかぶった先にあったのはメルの左手。

 短剣はメルの左手のひらをしっかりと突き刺していた。

 左手から短剣を引き抜くと、当然血が溢れ出てくる。


「…………」


 それを濁った瞳でしばらく見つめた後、舌で手のひらを一回舐めると傷を治し始める。

 メルは回復職ではないため、傷が塞がったあとの左手のひらには傷跡がしっかりと残っている。


「…………アハッ」


 その傷を無表情のまましばらく眺めた後、寒気のするような笑みを浮かべた後にスキップをしそうなほど高いテンションで歩みを進める。




「あれ? フロアボス?」


 先ほどまでのように、突然の奇行に走ったりせず、テンションが高いまま敵を屠り、進んでいくとメルの目の前に大きな扉が立ち塞がる。

 扉の左右には獅子が向かい合うようにして描かれている。


「なんだ、下層に潜ってたのか。戻るのも面倒だし、なんなら、このまま迷宮攻略したほうが早いかな?」


 本来ならばレイドパーティーを組み、斥候などでボスの情報を得てからしっかりと対策を立ててから挑むはずのフロアボスを、来た道を戻って地上を目指すのが面倒だという理由だけで、対策も何も立てずに右手に剣を携えて挑もうとしている。

 メルが扉に手を触れさせると、力を加えてもいないのに勝手に開いてゆく。


「ん~、んん~。んん~んんん~」


 そしてその扉へと鼻歌を歌いながら軽いノリで入っていく。


 ――グォオオオオオオ!

 ――グォオオオオオオ!


 そんなメルを迎えたのは扉に描かれていた絵と同じ2匹の獅子の咆哮であった。体長は20メートルほどあり、1匹は炎を身に纏い、もう1匹は周囲に冷気を漂わせている。

 それを見たメルの反応はというと――。


「……あ?」


 浮かれていた気分はどこへやら。

 2匹の咆哮でテンションが下がっており、さらに機嫌まで悪くなっている。


 ――グ、グルゥ

 ――グ、グルゥ


 それを真正面から受けた2匹は戦意を失っていた。

 フロアボスであるはずの2匹を不機嫌だというだけで戦意を失わせ、脅えさせるメル。

 戦意を失ったフロアボスを見て、メルは面倒くさそうに頭を掻く。奇行によって乱れていた髪が、それによって少し整う。


「――んっ」


 軽い掛け声とともにメルの姿は消え、2匹の獅子の後ろに立っている。

 2匹の獅子は気配でメルが後ろにいることに気づいて振り返るが、視界の端にメルを入れたところで細切れになり、しばらくして光の粒子となり、消える。


「弱いなぁ。……だけど、剣がダメになっちゃった」


 メルの持つ剣は刃がボロボロで、ヒビも所々に入っている。

 おそらく、一振りも持たないだろう。

 炎と氷の獅子を交互に切って細切れにしたからか、加熱と冷却を繰り返しやったようなものだ。脆くなるのは当然と言える。


「ん? ……なんだ、双剣か」


 ボスドロップなのか、片方は炎のように赤く、もう片方は氷のように青白い色をしている。さながら先ほどの獅子のように。

 刃渡は40センチ程。何か文字のようなものが小さく書いてあるが、メルは気づいていない。


「んー、ボスドロップだし、双剣を使えないことはないからコレでもいっか」


 試しにその場で数回、型をやって感覚を覚える。

 そのまま型を続け、5分ほどで感覚をつかんだのか、アイテムボックスの中に双剣をしまう。


「うん、それじゃ行こっか」


 そう言ってメルは、ボスを倒したことで現れた下へと続く階段に足を踏み出す。

前も思ったんやけど、俺は主人公(男)を白髪にするのが好きらしいんよ

最初に書いてたヤンデレ日常ものの主人公が白髪やん?最近載せた主人育成日記も白髪やん?ネタバレやけど、ほのぼの日常系の主人公も白髪なんよね〜

あと、この主人公も副作用で苦しんだ時に白髪に、しようと考えていたり…

まあ、次回も週一以内目指して頑張ります!

おっす☆おっす☆ばっちし☆

ってことで、また次回〜

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