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三十三話

いやー…正直サボりました

昨日……一昨日には投稿できてたと思いますねぇ

ま、まあ!1話投稿できたわけですし、忘れましょ忘れましょ

そんなわけで物語スタート!

「………………」


 姉弟を買った次の日の朝食の席にて。


「なんでこんなにも空気が重いの?」


 ピリピリとした空気が張り詰めていた。

 張り詰めているのは勇者たちと姉弟だけで、レイナたちとグリスはいつも通りの様子で朝食を食べている。俺は不思議に思いつつも並んで座る姉弟のところに行き、それぞれの頭を優しく撫でてから向かいの席に座る。

 眠気を覚ますためにもいつも通りコーヒー(仮)を創り、一口。


「あ、ソリア」

「はいはい〜」

「何か軽く食べられるもので」

「分かりました〜」


 大きな声で名前を呼ばずともやってきてくれるのも気に入っている。これで長く話しているとアホの子だってことが分かるのが少し残念だが。


「そういえばさ、名前なんだっけ?」


 まだ寝ぼけているのか、昨日の事がはっきりと思い出せない。

 …………。また、記憶が抜けている……?

 原因としてはやっぱり1つしかないが、記憶の混乱は色々とまずい。

 白は普通の日のならば廃人になってもおかしくないほどの激痛が走るとか言っていたが、それはいつ来るのだろうか。……ってか、ここ数日は寝ても白の元へと行かないな。何か企んでいるのだろうか?


「私はレナ」

「……ミオ」


 姉の方がレナ。弟の方がミオ、ね。もう、忘れないようにしないと。何回も名前を聞いて不審に思われたら終わりだ。弟のミオは自分の名前があまり好きでないのか、言いたくなさそうであった。


「お待たせしました〜」

「ん」


 ソリアが出来上がった料理を運んでくる。皿に乗っている料理はフレンチトーストだ。材料を全部渡し、作り方を教えて俺のためだけに作ってもらうように約束した。

 他の人に出す場合は俺の許可を取るようにと言ってある。

 今の時点で食べたことがあるのはソリア、ソリアの両親、ここに来ている勇者たち、グリス、レイナたちにレナとミオの14人だ。俺を含めると15になるが。料理とナイフ、フォークを置いて引っ込んで行くソリアを横目に、俺はナイフとフォークを手に取ってフレンチトーストを食べ始める。


「ん、んまい」


 1度教えただけだが、ここまで美味く作ってくれるとは。教えた甲斐があったな。

 それよりも未だに空気が重い。せっかくの美味しい料理もこれでは不味く感じてしまうではないか。

 昨日やったことと言えば……ゴブリン狩りに行って、奴隷買って、何か話して寝たような。

 …………ああ。


「殺し合いをしてほしい。って言ったのか」


 勇者たちとレナ、ミオの手が止まる。


ゆえさん。……どうしてなのか理由を知りたいっす」

「そう言われてもねぇ……知らないでやる。ってところに意味があるから」


 人に教えられるのは簡単だ。

 だが時には人に教えられて、ではなく。自分で気付かなくてはいけない時もある。

 今回、俺がやりたいことは後者の方だ。

 人に言われただけで直るのならばとっくに言っている。ただ言うだけでは甘く、その甘さで命を落とすことも考えると迂闊に言うことができない。

 俺たちは確かに強い力を白に貰った。

 だけどそれは貰ったものでしかなく、自身で身につけたものとは違う。……いくつか例外はあるが、いまは外しておこう。

 話が少し逸れたが、言いたいことは強大な力を手に入れ、調子に乗っている勇者たちに少しお灸を据えるってことだ。特にひびきと、そいつが調子に乗っているのに気がついているかたなの2人が、ここにいる5人の勇者の中で一番危ない。

 響は単純に力を手に入れて浮かれているだけだが、刀は自身は大丈夫だと思っており、調子に乗っている響を心配しているのがいけない。そういったタイプは足元を掬われる。


「レナ、ミオ。さすがに5対2は無理だと思うから、俺も入って5対3でやるよ」

「……そんなに変わらないような」

「大丈夫大丈夫。2人に傷なんてつけないよ。守るって言ったからね」


 まだ不安げな様子だが、一応は主と奴隷の立場なので逆らえないことを理解しているのか、それ以上は言ってこなかった。




 朝食を食べ終え、食後のコーヒー(仮)を飲み終えて少しぼーっとした後、街から少し離れたところにあったそこそこの広さがある草原に来ている。

 俺の両脇にレナとミオが立ち、対面に勇者たち5人が。グリスとメル、ミーニャには手を出さないようにと言って少し離れたところに。レイナには審判を頼んだ。と言っても、反則も何もないからあまり意味はないが。

 審判を頼もうとレイナに話しかけた時、不機嫌だったような気がしたけれども何故なのだろうか?


「あ、あのゆえさん。本当にやるんすか?」

「別に手を抜いてもいいけど、死んでも知らないから」


 刀が何かを言っているが、未だに迷っているのは刀とうらら、響の3人で、孝義たかよし沙織さおりは覚悟を決めたのか戦闘態勢を整えている。


「あなたたちが本気を出そうともゆえ様に傷一つつけられないのだから早く構えなさい。私は審判を頼まれましたが開始の合図もしなければ、止めもしません。すでに始まっているのですよ?」


 不機嫌なレイナは戦闘態勢に入らない3人にイライラしてか、さらに不機嫌になっていく。

 それでも構えない3人を見て俺も面倒になってきた。来ないのならこっちから行くしかない。


「それじゃレナ、ミオ。一番弱いのでいいから、魔法放っちゃっていいよ」


 そう言ってから、獣人って魔法は使えないんじゃ? といった疑問が頭をよぎったが、レナとミオの周りにオレンジ色の火の玉がそれぞれ数十個浮かんでいるのを見て、考えるのを止めた。2人が片手を突き出すと周りに浮かんでいる火の玉が勇者の方に向かって飛んでいく。

 レオとミオの2人が特別なのか、それとも獣人全員が使えるのか気になるところだが、これが終わって覚えていたらレイナにでも聞いてみよう。


「横に飛べ!」


 突然のことに戦闘態勢を整えていなかった3人は固まるが、孝義が声を張り上げたことにより硬直が解けたのか、慌てて横に飛んで火の玉を避ける。


「あなたたちいい加減に構えなさい! あの様子だとゆえは本気よ!」


 避けた後に沙織から叱咤が飛び、ようやく3人も戦闘態勢に入る。

 やはり、今の状態だと孝義が一番厄介だな。次に沙織。

 本来なら響、刀が厄介だと感じるが心のどこかで油断しているのがなんとなく分かる。


「それじゃレナ、ミオ。俺はあの金色の髪をした孝義ってのと、弓を持った沙織を相手にするから、2人はのこりの3人をお願い。そのうちの1人は回復職だから先に潰すのがいいかもしれないね」


 先ほどの2人による火の玉でちょうどよく分けられているため、合流されないうちにレナ、ミオと共に間に入っていく。

 孝義と沙織のいる方を向き、3人いる方に背を向けるが、レナとミオがいるから安心して任せていられる。


「2人の相手は俺がしてやるよ」

「できれば逆がよかったな……」

「そうね……でも、グダグダ言ってられないわ――っと!」


 手を動かそうとしただけで沙織が弓を放ってくる。矢に魔力を纏わせているから貫通力が上がっているはず。このまま避けてもいいが、後ろではレナとミオが戦っている。……あえて避けるか。予想外の攻撃にも対処できなければ意味がない。

 頭目掛けて放たれた矢を、体を前に倒して矢を避け、孝義たちに近づこうとした。そして矢が頭上を通ろうとした時、沙織の顔が少し緩んだのを見て俺はすぐさま横に飛ぶ。


「――っな!」


 少し遅かったからか、左腕を少し負傷した。こんな傷程度なら手をかざしてどければ……手をかざしてどければ……治らない?

 少々予想外のことが起こり、固まったところを今度は孝義が魔法を放ってくる。なんてことはない、見た目はただの水の玉だが、先ほどの沙織のようなこともある。たとえスピードがどれだけ遅くとも、何か仕掛けがあると考えて放置するに限るだろう。

 2人の正面から側面に回るように移動し、再び近づこうと足を前に踏み出したが、水の弾ける音が聞こえた瞬間、今度は全力で後ろに飛ぶ。


「……おかしいだろ。どうして初見で避けられるんだ」


 孝義からぼやく声を聞きながら、さっき居た場所を見てみると地面に複数の穴が開いていた。避けていなかったら全身が蜂の巣になっていただろうな。未だに左腕の傷が治らないし、下手したら死ぬぞ、俺。


「でも孝義。左腕の傷がまだ治ってないから、いけるかも」

「ああ。このまま油断しなければな」


 いやー……否定出来ない。

 下手したら負けるかも。とか考えつつ横目でレナとミオの様子を見ると、圧倒していた。動物の本能なのか、未来予知に近い形で次にどんな攻撃をしてくるかを読んでいる。それに振り回されてスキが出来たところを突かれている。

 これで、あいつらは何が自分に足りないのか気づいてくれたらいいんだがな。やっぱり、本当の(・・・)殺し合いじゃなきゃダメか。

 ってか、守るとか傷つけないとか言ったけど、この2人を相手にするので精一杯だ。


「――っと」


 完全に意識を考え事に向けていたため、反射で避けたけれども、今度は右足の腿をやられた。先ほどの水とは違い、見えにくい風を使ってきたのも負傷した理由の一つにあがる。孝義は人を見る目がある。それは嘘をついているかなどの判別なども出来るが、今みたいに油断して隙を作ると丸分かりなためにすぐ攻めてくる。

 だけど、いまのは俺が逃げる先を予測して沙織が追い打ちを仕掛けるべきだったな。減点1だ。


ゆえ。その足だともう無理だろ?」

「そうだと思う?」


 止めるようにと説得を試みたのだろう。だけど、この程度で止めていたらそもそもやっていない。

 それに俺はまだ、近づこうとしただけで攻撃を1回も仕掛けていない。そのことに気づいているのだろうか。


「特別に魔法を口に出して言ってあげるよ。――氷茨の庭園(アイススオン・ガーデン)


 負傷していない右腕を前に出し、技の名前を口にする。……初めてじゃない? 技の名前を口に出すのって。

 なんて無駄なことを考えている間にも魔法は発動されていく。

 沙織と孝義がいる場所を中心に半径5メートルの地面が凍りつき、2人を覆うようにそこから氷の荊が生える。前後左右に上までも氷の荊に覆われている2人だが、焦った様子はない。


「あ、生半可な攻撃はしないほうが……いいよ?」


 言い切る前に孝義が火の玉(ファイアボール)を2発、放っていた。

 それが氷の荊に触れた瞬間、凍りついた。


「おいおい……嘘だろ」

「でも、孝義。生半可じゃなければいけるみたいよ」

「なら、任せた」


 うん、壊されるな。

 なんてことを考えつつ、またレナたちのほうを見てみると、響たちの動きが少しはマシになっていた。

 レイナが近くにいるから、アドバイスでもしたのだろうか。

 それでも、レナとミオに決定打を与えられていないようだけれど。


「余所見なんてずいぶんと余裕なのね」

「なんだ。また、不意打ちで矢でも放てばよかったのに」


 目線を戻してみると、氷荊の庭園が完全に壊されていた。っても、簡易版だしこんなもんか。本来使うべきとしては……別に考えてなかったな。でも、使うとしたらもっと広範囲で、いばらももっと強力にして壊れにくくするから、簡易版といえば簡易版。


「ってか、2人で弾幕張れば早かったと思うんだけど?」

「それじゃあ、ゆえよりも強いって分からないじゃない」

「いや、時と場合で戦略は変えろよ……」


 こいつら、どこか抜けてる。

 でも、そう言うのなら俺にも手が無いわけではない。


「なら、2人でくるように仕掛けてやるよ。――氷矢の雨(アイスアロー・レイン)


 いま創った弓と矢に壊れる限界まで魔力を注ぎ込んで上空に向けて矢を放つ。放った直後に弓は耐えきれずに壊れたが、もともと使い捨て用に創ったので問題ない。

 放たれた矢はグングン上昇していき、最高点に達したところで矢が壊れる。そこから氷の矢が無数にでき、沙織と孝義目掛けて降っていく。


「これも、生半可だと相殺すらできないよ。それに、重力による加速度も加わっているから、普通に放たれたときよりも威力はだいぶ上がっているし……防ぐか避けなきゃ――死ぬよ?」


 避けるってのは無理だと思うけどね。結構な広範囲に高密度で放ったし、落ちない場所は俺より後ろと、メルたちがいる場所。今から移動しても到底間に合わないし、俺より後ろには何があっても行かせない。


「沙織。俺の近くに寄れ」

「分かった」

「さっきと同じ様に、生半可でなければ防げるはずだ。だけどこの後も続けるとなると、魔力は温存しときたい」


 ほう、考えたな。

 普通は頭上に盾やら壁やらを作って正面から防ごうと考えるはずだが、孝義は水で出来た盾を5個ほど作り、斜に構えて力を馬鹿正直に受け止めず、流している。

 ん、及第点をやろう。

 そろそろ向こうの方は決着がつきそうだし、こっちも終わらせるか。

誤字脱字、文がおかしいなどあったら本当に教えて下さいな!

明日からテスト1週間前に入るのですが、前にもたぶん話した通り、もしかしたら低い確率ですが、1話ぐらい載せるかなー?と思ったり思わなかったり?

何か書こう思ってたけど忘れたから……まあ、いっか

ってことでまた次回〜

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