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三話

やっと書けた!

早くヤンデレさん出したいけど…

そんなことより物語スタート!

 綺麗な女の子の後を俺たちは誰も話すことはなくついていく。彼女の見た目について何か言っておくならば腰まで伸びた綺麗な金髪に、背は見た目からだいたい百六十あたりだろうか。胸の大きさははDかEぐらいだと思う。

 彼女の容姿よりも、ここに飛ばされたのが着替えた後でよかった。制服のままだったら堅苦しくてどうなっていたか分からないね。今、俺の格好は2XLのシャツにSサイズのズボンだけれど、ズボンは腿のあたりに手を縦で入れても余裕があるし、服もダボダボだ。ずれると肩なんてあたりまえに出てくる。

 そんなどうでもいいことを考えながら保険と実験を兼ねて、スキル欄から三つほどスキルを取得しておく。勿論、レベルは最大まで上げて。

 それにしても周りにローブに身を包んだ人たちに囲まれているため、嫌な圧迫感がある。……と思う。

 俺はそんなに気にしていないが、他の奴らの顔色が悪いように見える。


「なあ、どこ向かってんの?」

「ちょっ!」


 必要なことも終わったし、情報収集するか。

 歩きながらでも説明はできるだろう。

 実際、歩き始めて五分ほど経つが、俺たちはここに着たばかりで目的地の場所が分からないので、どれくらいで着くのか分からない。他の十一人の奴らは精神的に参っているようだ。ずっと石でできた壁ばかりで、たまに絵や花瓶があったりするだけ。俺も退屈すぎて欠伸が何度もでる。

 十一人の奴らが驚いた表情で一番後ろを歩いていた俺のことを見てくるが、どうでもいい。俺の意図に気づいた奴はいないと思うが、結局は自分のために聞いたことだ。


「そうですね……すいません。異世界から人を呼んだのは初めてですので、どうしたらいいか私たちには分からないので気が回りませんでした」


 立ち止まり、俺たちの方を向いて頭を下げる。


「初めまして。イーナ・イストワールです。今、向かっている場所は謁見の間です。そこで国王に会っていただきます」


 国王に会うのは決定事項なんだな。

 まあ、召喚されて真っ先に案内されるのは国王の下へだよな。テンプレテンプレと白が連呼するほどだし。


「後五分もあればつくと思います。その間にも何か聞きたいことがあれば何でも聞いてください」


 多少ましになったとは言え、すぐにほいほい質問できるわけでもなかろうに。

 …………俺のほかに落ち着いている奴はいないのか?

 それとも落ち着いているがあえて何も行動を起さないのか。


「ここが謁見の間です」


 結局、あの後も話すことはなく、目的の場所へと着いた。

 そして扉の脇にいた二人の鎧を来て槍を持った衛兵らしき人がその扉を開けてくれる。

 イーナが最初に入っていき、またその後を俺たちが続いて入っていく。

 ローブに包まれた人たちは入ってこないらしい。


「国王様。勇者様方をお連れいたしました」


 真ん中あたりまで進んでいき、ひざまずくイーナ。

 それに続いて他のみんなも跪くが俺は気にせずポケットから新しい棒つき飴を取り出し、袋を開けて口に含む。

 立ったまま、謁見の間とか言われていた部屋を観察する。

 まあ、真っ先に想像するものと大体一緒だな。

 床に赤い絨毯、天井には豪華なシャンデリア。国王が座っているところは雛壇になっていて、隣には妃だと思われる女性が座っている。その後ろにはメイドさんが二人ほど控えて立っている。

 入り口から国王の下へと続く道の脇……つまり、俺たちを挟むようにして国の重鎮たちが座っている。

 そして俺はいま、その重鎮と国王の視線を一人浴びていた。


「ちょっと何やってるのよ! 早くあなたも膝をつきなさいよ!」


 周りが静かで不思議に思ったのか、他の勇者たちが周りを見回し始める。そして白い部屋にいたとき、真っ先に俺へ声をかけた女性が俺と目が合い、立ち上がって詰め寄ってきた。


「何を言っているんだ? ここに勝手に呼んでおいて跪け? そんなのに従う義理はないよ」

「そこの少年の言うとおりだ。勇者様方よ、好きな体勢で話を聞いてくれ」


 お、国王わかるじゃん。

 ってことで俺は重鎮の座っているところに向かい、空いていた席を一つ拝借する。

 そしてさっきまで立っていたところまで持ってきて座る。

 他の勇者たちも地べたに直接楽な格好で座っている。

 イーナは国王の後ろに立っている。

 もしかしなくても、娘か。


「そうだな。まずは自己紹介からしておこう。俺の名前はジグリオ・イストワールだ。国王をやっている」


 やっぱり。ってことはイーナ、王女様か。

 だいぶ失礼な態度をとった気がするけど、問題ないか。


「そして頼みごとというのが魔王を倒してほしい」


 国のトップである国王が俺たちに向けて頭を下げる。

 周りにいた重鎮たちも同様に。

 そして魔王を倒してほしいと言われた勇者たちはと言うと。


「やっべ、テンプレのオンパレードじゃん」

「早く魔法が使いたいな」

「魔王を倒せとか……無理じゃね?」


 など、色々な考えがあるようだ。


「あの~」

「おお、なんだ?」

「俺の名前は伊田いだかたなって言うんすけど、いきなり魔王を倒せと言われても無理っすよ?」


 茶髪で右耳に二つほどピアスをつけ、チャライ格好をした伊田とか名乗っていた男が立ち上がり、国王に質問している。


「それについては大丈夫だ。こちらでしっかりとサポートする」

「そっすか」


 伊田は納得したようで軽く頭を下げてから座る。


「他に何か聞きたいことはあるか?」

「私から一つ」

「何でも聞くといい」


 今度は白い部屋にいたとき、白に元の世界に返して欲しいと言っていた女子だ。


「私たちを元の世界に返す方法はありますか?」

「ああ、ある」

「それならいいです」


 今の言葉をそのまま信じたのか。

 彼女が質問をしたとき、国王を含め、周りにいた重鎮たちの表情が微かにだが引きつったのを見逃さなかった。ほんの些細な変化だったのか、他の勇者たちは気がついていないようだ。

 別に帰れなくても困るのは二人だけだが。


「勇者様方は慣れないところで疲れているだろうから、部屋に案内してあげなさい。一人一部屋用意してある。出来るだけ良いものを用意した。気に入ってくれるとありがたい」


 入り口からメイドが十二人入ってくる。

 一人につきメイドが一人、案内役としてつくようだ。


「みんな、ちょっと待ってくれ」


 謁見の間から出て、部屋に案内してくれる。といったところで誰かがみんなを呼び止める。


「俺の名前は上代かみしろゆうだ。みんな、俺の部屋に集まってくれないか?」

「なんでっすか?」


 俺の部屋に集まってくれ。そう言った上代の提案に伊田が理由を聞く。


「一人で考えるよりもみんなで集まったほうがいいと思うんだ」

「なら俺、その提案に乗るっす」


 誰に対してもそういった話し方なのか、伊田は常に低姿勢だ。

 他の人たちも反対する人はいないらしい。

 まだ答えていない俺に視線が集まる。


「俺は自分の部屋で寝る」

「でも……」

「寝させろ」

「……分かった」


 俺が折れないと分かったのか、大人しく引き下がってくれる。

 メイドに部屋まで案内してもらう。

 部屋に入ると五十畳ぐらいの大きさで、ベッドにテーブル、イスが二つに四人ほど座れる大きさのソファーがある。

 そしてメイドも俺の後に続いて部屋へと一緒に入ってくる。


「案内するだけじゃないのか」

「はい。レイナと申します。このたび、……えっと」

「ああ、名前言ってなかったな。天宮あまみやゆえだ。よろしく」

「よろしくお願いします。月様」


 俺が大きなベッドに寝転んでもレイナは扉の付近に立ったままだ。


「レイナは何をしてくれるんだ?」

「はい。月様の生活補助をさせていただきます」

「そっか。俺は今から寝るから、何かあったら揺すって起こしてくれ」

「分かりました」

「起きなかったらベッドから落としてくれ。そうすればたぶん起きれるから」

「……え?」

「おやすみ。イスに座っていたりと自由にしていていいよ。……なんなら一緒に寝る?」

「……えっと」


 ベッドは硬く、毛布もゴワゴワとしているけど、許容範囲内だ。

 彼女が困った顔で俺のことを見ていたが、気にせず寝る。ちょっとした冗談のつもりだったが。なかなかに面白い子だ。

 そこで俺の意識は彼方かなたへと飛んでいった。


☆☆☆


「それで何について話すっすか?」

「その前に、まずは自己紹介でもしないか? 今のところ名前言ったのは俺と伊田だけだが、もう一回俺たちもしておこう」


 上代かみしろゆうに用意された部屋にゆえを除いた全員が集まっている。

 十一人いたメイドは夕の部屋の前で並んで立っている。

 召喚された勇者たち十一名はそれぞれベッドにソファー、壁に背を預けて立っていたり石の床にそのまま座っているものもいる。


「あ、なら俺からするっす」


 石の床に座っていた刀が立ち上がる。


伊田いだかたなっす。こういった口調なのは自分、剣道を習っていたからっす。高校一年生っす」


 一度、頭を下げ、また石の床に座る。


「次は俺が行こう。上代かみしろゆうだ。部活や習い事はやっていないが、親が医者で少し医療の心得がある。高校三年生だ」

「私が次に行きますね。私の名前は甲本こうもと沙織さおりです。弓道部に入っています。高校二年生です」


 イスに座っていた夕の自己紹介が終わり、ソファーに背筋を綺麗に伸ばして座っていた長い黒髪の女の子。沙織の自己紹介が終わって沈黙が訪れる。


「そうだな。順番を決めなかったのが悪かったな。甲本さんから時計回りで自己紹介していってくれないか?」

「……仁志田にしだ孝義たかよしだ。高校二年生。帰宅部」


 壁に背を預けて立っていた金髪の男の子。孝義はそのままの姿勢で自己紹介を済ませる。


影宮かげみやひびき。高校三年生。帰宅部」

「次は私ですね。佐倉さくらかえでです。剣道部に入っていて高校一年生です」

北条ほうじょううららと言います。高校二年生で文芸部に入っています」

「し、白石しらいしこころです。高校一年生です。ほ、保険委員です」


 ベッドに座っている四人の自己紹介が終わる。


守一もりいちつるぎだ。高校三年生で薙刀を習っている」


 もう一つあったイスに座り、腕を組んで目を閉じていた剣の自己紹介が終わる。


岩井いわいたくみ。高校三年生で柔道と空手をやっている」

「最後は私ですね。西木にしき蒼空そらです。高校一年生でアーチェリーをやっています」


 全員の自己紹介が終わり、再び沈黙が場を支配する。

 それから五分ほど経つ。

 沈黙を破ったのは刀だった。


「あの、一ついいっすか?」

「あ、ああ。なんだ」

「全員は分からないんすけど、何人かはテレビで見たことあると思うんすけど」

「ああ。俺も……いや、みんな気がついていると思う」


 みんなが顔を見合わせる中、一人だけ下を向いてブツブツと何かを呟いている。


「影宮……君だっけ? どうしたの?」


 近くに座っていた楓が声をかける。

 が、聞こえていないのか振り向く気配すらない。


「影宮君?」


 楓が肩を揺すろうと手を伸ばしたとき。


「そういうことか?」

「きゃっ」


 顔を勢いよく上げ、楓が驚いて小さく悲鳴を上げる。


「何か分かったのか?」



みんなを代表して夕が響に声をかける。


「確証はないけどいいか?」

「ああ、話してくれ」

「ここに勇者として召喚されたのはそれなりに力のあるやつ……おそらく世界レベルで、だ」

「どういうことだ?」

「分かりやすく例をあげるとた。そこに立っている仁志田。知らない奴はいるか?」


 響がみんなを見回すが、誰もが首を横に振る。


「仁志田は日本だけでなく、世界にまで企業が発展している超お金持ちだ。仁志田自体、何度かテレビにでている。そして西木もアーチェリーで世界ランク一位だったと記憶している」

「なるほど。影宮さんも模試で二位だったかと。それに、数学オリンピックで何度も優勝してますよね?」

「ああ。つまり、テレビに出てなくても、世界レベルで実力があるやつがここに呼ばれたと推測している。外国人が居ない理由は分からないが」


 みんな納得したようで、響に好印象の目が集まる。

 それが恥ずかしいのか頬が少し赤くなっている。


「あ、いいっすか?」


 刀が手を挙げて発言の許可を求める。


「どうしたんだ?」

「一人、寝てる人がいるじゃないっすか。その人のこと、誰か知っている人いるっすか?」


 今まで、あえて誰も触れてこなかったのに、空気を読めない刀はそれをぶっ壊した。


「謁見の間に移動する間、空気が重かったじゃないっすか。あの人がイーナさんに話しかけてだいぶ楽になったと思ったんすけど、みなさんはどうっすか?」


 心当たりがあるのか、近くにいる人と顔を見合わせる。


「みんなで部屋に行って見ないっすか? 俺、あの人に凄い興味があるっす」


 誰からも否定の声が聞こえてこなっかったので、問題ないと判断した刀は扉を開け、近くで待機していたメイドたちにゆえの部屋まで案内してくれるように頼んだ。


「悪いんすけど、今から一人で寝ると言っていた人のところまで全員連れて行ってくれないっすか?」

「分かりました。こちらです」


 刀がどんどん話を進めていくので、他のみんなも”仕方ない”といった雰囲気を出しながら後をついていく。

 なんだかんだ言って、みんな気になるのだ。

 歩いて一分と経たずに月の部屋へと案内される。


「レイナ。勇者様方がこちらでお休みになられている勇者様にお会いしたいと。開けてください」

「はい。少し待っていてください。月様を起こしますので」


 中から返事があり、しばらく経ってから部屋の扉が開き、中から少し残念そうな顔をしたレイナが出てきて、月の部屋へと招き入れる。

 メイドを含めた全員で中に入ると、まだ眠いのか目をこすりながらも上半身を起こしている月がいる。

 寝癖があり、髪がところどころはねている。


「何か用?」


 突き放すような月の言い方に、なかなか言葉を発せられずにいる。

 微妙な空気が流れる中、刀が覚悟を決めたようで、口を開く。


「ま、まずは自己紹介をしませんっすか」

誤字脱字とかあったら、Twitterでリプ頂戴な

名前は一緒だから

また次回!

もしくはもう一つのほうで!

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