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二話

やっと書けた…

今回は約6000文字だから!

でわでわ物語スタート!

「ここ、どこ?」


 いきなりこんな部屋ところに飛ばされながらも落ち着いて状況を把握しようと考えていたゆえは後ろから聞こえた声に反応して振り返る。そこには十一人の男女がいた。

 月とは違い、戸惑いや驚きを隠せない様子で当たりを見回している。

 しばらくして一人の女性が落ち着いて状況を観察している月を見つけ、そばによって行く。


「ねえ、あなた。何か知っているの?」


 その女性によって、いまだに戸惑ったりしてあたりを見回していた他の十人の男女も月へと視線を向ける。

 が、とうの本人である月は左手の人差し指を曲げて第二関節を噛み、考え事をしているのか気がついていない様子だ。


「ちょっと!」


 無視されて腹がたったのか、少し声を荒げる。

 そこでようやく自分に話しかけられていると気がつく月。


「ん?」

「ん? じゃないわよ! あなた、このことについて何か知っていないのか聞いているのよ!」

「そうイライラするもんじゃないぞ。質問の答えだが、俺もお前らと一緒で気がついたらここにいた」


 月は棒つき飴をポケットから取り出し、口に含む。

 この飴は月の机に備え付けで置いてある棒つき飴で、ベッドから起きたときにポケットにいくつか入れてあったものの一つだ。


「なら、なんでそんなに冷静でいられるのよ!」

「そういった性格なんだ」


 短気なのかいまにも月に掴みかかりそうな雰囲気だ。


「あはは! なかなか面白いね!」


 そこで不意に上から可愛らしい子供のような声が聞こえ、全員が上を見上げる中、月だけは正面を見据える。

 そこには白い髪に白い服を着た十歳くらいの子供が立っている。


☆☆☆


「あはは! なかなか面白いね!」


 僕が声をかけるとみんなはいっせいに上を向く。

 ちょっとした力で上から聞こえるようにしただけで本当は君たちの後ろに立っているんだけどね。

 一人だけ、引っかからずに僕のことを見ているけれど、どうやったのか不思議だな。


「僕はこっちだよ」


 改めて声をかけるよ、ちゃんと全員が僕のほうを向く。


「(お前が俺の考えたとおり、神様なら話したまま個人と意思疎通できるよな)」


 不意に、僕に向けて話しかけてくる子がいる。しかも、声に出してではなく、頭なのかに直接呼びかけるように。


「(確かにできるよ)」

「(それならそのまま色々と聞かせてもらう)」

「(君は面白そうだからいいよ。本当はそんな面倒なことしないんだけどね)」

「おい、お前は誰だ」


 おおっと。僕としたことが並行して話さなきゃいけないのに、集中しすぎたようだ。


「君たちは薄々分かっているんじゃないかな? 僕はテンプレもいいとこの神様だよ。そしてさらにテンプレ中のテンプレ。異世界に勇者として君たちは召喚されるんだよね!」


 僕がそうやって言葉にして表してあげると十人くらいの子達は嬉しそうにガッツポーズをしたり、嬉しそうな顔をしているね。だけど残りの二人は微妙そうだ。


「君たち二人は何が不満なのかな? これから僕にテンプレ通り、チートな力を貰って向こうの世界で俺強い! 最強! ってはしゃいだりできるんだよ? それに勇者として召喚されるからもうウハウハだよ?」

「俺の家は大金持ちだ。わざわざそんなことをしなくても元の世界で人生勝ち組なんだよ」

「私は普通の家庭ですが、向こうの世界で楽しく生きてました。友達や家族だっています」

「なるほどなるほど。君たちのいいたいことは半分ほど理解してあげるよ。僕も神様だけどできることに縛りとかあってね。まあ、向こうの世界に一回召喚されて、送還して貰えばいいよ」

「そんな無責任な!」

「世の中そんなもんだよ。無責任で溢れている」


 この二人の記憶をいじって静かにさせることもできるけど、そういったことはつまらないしやらないけど。

 ……それにしても、さっきから何も聞いてこないのだけれど。

 左手の人差し指を噛んだまま目を瞑ってるし。


「それでチートは何が貰えるの!」


 痺れを切らしたのか、興奮して頬を赤くしているどこの学校か知らないけれど、制服を着た男の子に詰め寄られた。

 可愛い女の子なら嬉しいんだけれどね。


「まあ、普通にステータスでもなんでも呟いたり念じれば出てくるでしょ」

「(いいか?)」


 お、やっときた。

 僕は少し期待しているんだよね。何か面白いことをやってくれそうで。


「(今いるこの場所とこれから召喚される異世界の時間軸はどうなっている?)」

「(召喚される異世界での一秒がここでは一日だね)」

「(俺だけ召喚されるのを遅らせることはできるか?)」

「(出来る出来ないで言えば出来るよ)」

「(なら、それをお願いできないか?)」

「(本当ならダメだけど、君には期待しているからいいよ)」

「(ありがとう)」


 ありがとう、か。

 なんだか温かい言葉だね。


「な~、神様~。ステータスって言ったらまあ、俺のなんだろうけどステータス表が出てきたわけよ。それで結局チートってなんなの?」

「ああ、それはだね。自分のステータス欄の状態異常ってのがあるでしょ? それの下にポイントってのがあるはずなんだけど、それは君たちにしかないんだよ。そこのポイントを使ってスキル欄からスキルを取るか、ステータスの上昇に当てて自分を強くしていってね。そのポイントは異世界にどれだけ憧れていたかを数値化したものだと思ってくれて構わないよ」


 会話を邪魔された気分で少しイラッとしたけど、それを出さずに振舞う。


「そろそろ時間だから、後は向こうでゆっくり考えながら振り分けたりしてね~。ポイントはレベルが上がればまた貰えるから~。後、ギルドでギルドカードを発行してもらうと、そこに異世界の人にはポイントだけが見えないステータスが表示されるようになるから」


 僕はあの気に入った子以外を異世界へと送り込む。

 二人きりの楽しい時間の始まりだ。


☆☆☆


 無事、俺以外を異世界に召喚したな。


「ちゃんと話すのは初めてだな。俺の名前は天宮月あまみやゆえ。神様なら分かるかもしれないが、一応自己紹介しておく」

「始めましてだよ、月。僕には名前がないから好きに呼んでくれて構わないよ」

「それなら見たまんましろと呼ぶことにするさ」

「ああ。そうしてくれたまえ」

「安易な名前で悪いな」

「シンプルイズザベストだよ」

「そう言ってもらえると助かる」


 さて、色々と聞くことにするか。


「まずは手始めに。あいつらを飛ばすとき、最後に言っていたレベルがあがるとポイントがもらえるってところ。個人差はあるのか?」

「あるよ。みんな同じだとつまらないと思って。そのレベルアップ時にもらえるポイントも異世界にどれだけ憧れていたかで決めているから」

「なるほどな。それで次の質問だ。俺のステータスについてなんだが」

「うんうん。何か分からないことでもあった?」

「いや、まずは一般的なステータスについて教えてくれ」

「そうだね今から目の前に出すよ」


 白がそう言って俺が瞬きをするとそこにあった。


=======================

一般人の平均ステータス   LV10前後

HP 150/150

MP 10/10


STR 50

VIT 40

DEX 30

AGI 30

INT 10

SPI 10

=======================

冒険者ステータス   LV50~

HP 5000~/5000~

MP 500~/500~


STR 1500~ 

VIT 1500~

DEX 750~

AGI 1000~

INT 50~

SPI 50~

=======================

冒険者ステータス (魔法使い) LV40~

HP 800~/800~

MP 4000/4000


STR 80~

VIT 80~

DEX 400~

AGI 400~

INT 1200~

SPI 600~

=======================


「まあ、こんな感じかな? でもこれはあくまで平均であるし、それも正確ではないから参考程度のほうがいいね」

「俺のステータスは偏っているのか」

「ん? どれどれ。見せてみて?」

「ほら」


 ステータスと念じて出てきたステータス表を白と共に見る。


=======================

天宮 月   LV1

HP 200/200

MP 測定不能


STR 40

VIT 40

DEX 4800

AGI 200

INT 測定不能

SPI 測定不能


状態異常 睡眠不足(解除不可)


ポイント 10000000


スキル

全状態異常耐性 LV5

苦痛耐性 LV5

気配察知 LV5

気配遮断 LV5

空間把握 LV5

=======================


「まず、状態異常で睡眠不足ってのが気になる」

「いやいや! そこじゃないよ!」


 白に突っ込まれてしまったが……ぼけたつもりはないのに。


「測定不能って……魔法関係ってことは元いた世界では相当。いや、人として扱うのがおかしいくらいに頭がよかったんだね」

「そんなもんか」

「それにしてもなんでこんなにスキルを持っているのか……しかも、全部最大レベルの5だし」

「レベルって5までしかないのか?」

「うん、そうだよ。だからその分上げるのが難しいのに……元いた世界でどんな生活していたのさ」

「なかなかにスリリングだった。とだけ言っておく」

「……深くは聞かないでおくよ」

「……助かる」


 なんだかしんみりとした空気になったが、まだ聞きたいことがある。


「全状態異常耐性があるのに、睡眠不足っていう名前の状態異常は解けないのな。ご丁寧に解除不可とまで書いてあるし」

「それは、力の代償とでも思っておけばいいよ」

「白にも分からないことあるのな。……そうしとくよ」

「うん。それがいい。それにしても、ポイントの数が多いね」

「他のやつらはどのくらいなんだ?」

「これまた言ったらいけなんだけど。……ま、いいか。他の人たちは多くても10000くらいだね。一番低くても1000ぐらいだね。そう考えたら君のステータスは本当に偏っているね」


 本当。楽しくなりそうだ。

 ……だけど。


「なあ、白」

「ん? なんだい?」

「手紙を二枚ほど書いて元いた世界に届けて欲しいんだ」

「どうしてだい?」

「ちょっと、ね。もし無事に元の世界に帰ってきたとき、殺されないようにするため、かな?」

「それは……うん。机とイスも用意したから」

「本当に助かる」


 気がついたらそこにあったイスに座り、真と朱莉に手紙を書く。

 五分と経たずに真と朱莉、それぞれに三枚ずつ手紙を書き、用意してもらった封筒に入れる。


「これを俺の机の上においてくれればいい」

「うん。……はい。これで大丈夫だよ」

「ありがとうな」

「もう、僕と君の仲じゃないか」

「それもそうだな。……後、聞きたいことといったらステータスにポイントを振った場合だな。上昇値はどれくらいだ?」

「ああ、そうだね。これはステータス表を使って説明したほうがいいね」


 再び、目の前にステータス表が現れる。


=======================

HP 100/100

MP 100/100


STR 100

VIT 100

DEX 100

AGI 100

INT 100

SPI 100

=======================


「これは説明するために簡単に作ったものだよ」

「ああ」

「それでポイントだけど、HPとMPには直接振ることができない」

「そしたら……いや、VITとSPI、か?」

「さすがだね。君が言ったその二つに振ることでHPとMPがあがる。全部にポイントを1振ったステータスがこうなる」


=======================

HP 150/150

MP 130/130


STR 105

VIT 105

DEX 103

AGI 103

INT 103

SPI 103

=======================


「なるほどな。STRとVITは5ずつ、そのほかは3ずつあがる。そしてVITが1増えるとHPが10、SPIが1増えるとMPが10増える仕組みか」

「そういうこと。飲み込みが早いとこっちもなんだか楽しくなるよ」

「それはよかった」

「それで、他に聞きたいことはないのかい?」

「ほぼ全部、聞きたいことは聞けたな」

「そうか……。そろそろ君も行くかい?」

「その前に最後の一つ、質問がある」

「何かな?」


 俺はステータス表をまた開き、ポイントを使って取ることのできるスキル欄の一番下を白に見せる。


「…………」 


 そこには。

『君の案内をしていた神様を一緒につれていこう!(必要ポイント 10000000)』

 と書かれている。


「なあ、白。俺と一緒に異世界に行くか?」

「…………」


 白はしばらく俯いていたが、五分ぐらいだろうか。白の表情は悲しげに笑っていた。


「僕は……大丈夫だよ。それに、それについていっても僕の力はなくなってただの一般人と同じくらいのステータスだ。君の足手まといになるよ」

「それくらいあったほうが楽しいさ」

「でも、僕は君に甘えすぎると思う」

「構わないよ」

「でも……でも、僕は神様なんだ。一個人だけを相手していてはいけないんだ」

「俺はそんなこと聞いていない。白に聞いているんだ」

「僕は……」

「白はどうしたいんだ?」


 俺は白に手を差し出す。

 だけど白は手を掴もうとしては引っ込め、また掴もうとしては引っ込めを繰り返している。

 そしてついに。


「やっぱり僕はここにいるよ」

「……いいのか?」

「うん。ここでずっと月のことを見守っているよ」

「そうか。……また、会える日を願っているよ」

「ありがとう。……これは情けない僕からの贈り物だよ」


 白が俺の右手を取る。


「これで僕のことを忘れないでくれよ?」

「安心しろ。何があっても忘れないさ」

「うん。それじゃあ行ってらっしゃい」

「ああ。楽しんでくるよ」


 涙を流しながら笑って送ってくれる白の頭を一度撫でる。

 撫でていた俺の手を取り、頬に一度当ててから寂しそうに一歩、俺から離れる。

 そしてまた、ここに連れてこられたときに味わった浮遊感をまた味わう。

 一瞬のうちにまた、知らない場所に連れてこられた。

 今度は石に囲まれた場所だ。明かりは魔法具なのか分からないが、ランタンみたいなものにオレンジ色の光が灯っている。

 周りには俺と一緒で連れてこられた十一人の男女。そしてローブに身を包み、杖を手に持つ二十人ほどの人。性別は顔まで隠されているため分からない。

 不安がないとは言い切れないが、俺は"首から提げた白い三日月のペンダント"を一度握る。

 それだけでそばに白が居る気がする。


「初めまして。勇者様方」


 どこからか、澄んだ声が聞こえる。

 ローブ集団の奥からドレスに身をつつんだ綺麗な女の子が俺たちの前まで来て頭を下げる。


「勇者様方にも言いたいことはおありだと思います」


 頭を上げ、俺たちの顔を一人ひとり見る。


「けれど、まずは私の後をついてきていただけないでしょうか?」


 何も分からない俺たちはまあ、頷くしかなかった。

この物語にヤンデレがまだでてこないから、もう一つのほうにヤンデレ書いちゃった…だけど反省も公開もしてないよ!

ってことでまた次回!

又はもう一つの作品で!

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