二十一話
夜のテンションで昨日今日と考えなしに書いていったからおかしいところ満載かもね!
ってことで頑張って書いたよ!俺頑張った!
物語スタートじゃ!
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
その部屋は重苦しい雰囲気に包まれていた。
10人の男女が誰も口を開かず、俯いたままでいる。
「だたいまっす~! ここに来るように言われたっすけど、何かあった……って、みなさん、どうしたんすか!? そんな誰かが死んだような顔をして」
そこへ能天気な声を出しながら伊田が入ってくる。それにより、雰囲気が少しだけ柔らかくなる。
「……ああ、伊田。おかえり」
「あ、上代さん、ただいまっす。いや~聞いてくださいよ。初めての先頭でゴブリンと戦ったのはいいんすけど、あいつらって本当に酷い臭いなんすよ~。鼻が曲がるかと思ったっす」
重い空気など知るか。といった感じで矢継ぎ早に話していく。
「伊田」
影宮がボソッと呟く。
それまで軽薄そうな笑みを浮かべていた伊田が部屋の中にいたメイドを下がらせ、真剣な顔つきになる。
「言いたいことは分かってるっす。ステータスに気がついたらあったユニークスキルのことっすよね?」
「そう。そのことについてだ」
「了解っす。でもみなさん、なんとなく分かっているっすよね?」
真剣な顔つきから軽薄そうな笑みに戻した伊田は汚れるのも気にせず、その場にあぐらをかいて座り込む。
「なんとなく、と言っても考えられる理由は2つある」
影宮がベッドから立ち上がり、視線を集める。
「一つ目はあのときに出会った神様の気まぐれだ。少しの時間しか接していないが、そうとうな気まぐれだと俺は感じた」
「俺もそれは感じたっす」
伊田が手を上げながら影宮の意見の後押しをする。
他の面々も特にこれといって不満はないようだ。
「そして二つ目だが、城から抜け出していまどこにいるか分からない天宮月だ」
「城から抜け出したってことはやっぱりステータスを偽ってったってことっすよね?」
「それが一番可能性として高い」
「他に何か理由があるの?」
今まで黙って話を聞いていた甲本が口を挟む。
「甲本か。……さっき言ったステータスを偽っていた可能性が九割がただと思う。それで残りの一割だが、天宮が城を抜け出した日、一緒に第二王女のメルリーナ・イストワールもいなくなっている。その次の日……いや二日後だったか、天宮についていたメイドのレイナもだ」
「それが何か関係あるの?」
「あの2人のステータス、見ていないのか?」
影宮にそういわれ、甲本だけでなく、全員がメルとレイナのステータスを思い返そうとするが、誰もステータスを覗いていないことに気がつく。
「……俺たちはここの世界についてそれほど詳しくないんだ。ちょっとしたことで生きるか死ぬか分かれるからな。これはゲームじゃない。死んだら終わりだということを覚えておいたほうがいい」
そう忠告され、浮き足立っていた何人かは気持ちが地につく。
「それでだが、詳しく言うのは面倒だから大まかにいうが、第二王女から。体力が5万越え、魔力も1万を超えていた。一番高いのがSTRの1万9千で、レベルは70。次にメイドのレイナだが、体力は1万3千ちょい。魔力は2千5百弱。一番高いのがAGIの8千6百でレベルは32だった」
影宮からメルとレイナの大まかなステータスを聞かされ、伊田たちは絶句する。見た目とは裏腹にとんでもない化け物だったことに。
だが、影宮に続けて発せられた言葉を聞き、さらに驚くことになる。
「これはあくまで俺の推測だが、いま言った2人のステータスは本物でないと思う」
「か、影宮。それは……本当なのか?」
驚きすぎてろれつがうまく回らないながらも何とか言葉を紡ぎだして尋ねる上代。
それに首を横に振りながら答える。
「いや、あくまで俺の推測だ。エレナのほうは本当かもしれないが、仮にも第二王女のステータスがこんな簡単に見られるなら、暗殺者を送り込むときにそれより高いステータスのやつにすればいい。俺らがいるからステータスを偽っているんじゃなく、そういったことに対する牽制からだとすれば、この世界ないしこの国の恒例みたいなものかもしれない」
「な、なるほど……」
言いたいことを言い切ったのか、満足のいった顔をしてベッドに座る。
「ま、まあ、ユニークスキルが何故出てきたのかについての話はここまでにして、俺たちのステータスについて話して行こうか」
驚きからいち早く立ち直った上代が話を進めていく。
「まず、俺たちは昨日、今日と城の外に出て魔物と戦った。俺はもちろんのこと、みんなもレベルが上がっていると思うが、誰か、ステータス上昇の規則性を見つけた人はいるか?」
その質問に誰も手をあげない。
「……あ、あの」
「北条さん、何か分かったの?」
誰も分からないなら仕方がないと、話を先に進めようとした上代だったが、遠慮気味に声を出して手を上げる白石に期待の目を向ける。
「えっと……分からない、ってことが分かったと思います」
「……ごめん、どういうこと?」
「は、はい……まず、人によってそれぞれ得手不得手があります。そのことから人によってレベルが上がったとき、ステータスの上昇値も人それぞれになります。次に、みなさんも教えてもらったと思いますけど、レベルを上げる前に自身を鍛えるとステータスの上昇値が変わります。これもさっき言ったように得手不得手が関係してきます。たとえば、上代さんと伊田さんが同じ筋トレをして、敵を倒してレベルを上げて上昇値を見ると一緒になることはないと思います」
「なるほど。自身のステータスだけなら規則性を求められると」
納得いった顔を上代がしているが、それを見た伊田、仁志田、影宮、佐倉、北条、白石の6人が可哀想な目を上代へと向ける。
「な、なんだよ……」
「いや……」
「なんていうか、その」
「上代さんってどこか抜けているんですね」
そんな視線を感じとった上代だが、ストレートに言われ、少し落ち込んだ様子を見せる。
「たぶん、自身のステータスも規則性だすの無理だね」
北条のあとを影宮が引き継いで話す、
「レベルを上げる前に鍛えるとステータスの上昇値が変わると俺たちは教えてもらった。だから始めは基礎的なことなどをやってきて、昨日やっと実践に行った。それで何か感じなかったか?」
「……何かってなんだ?」
上代はまだ俯いたままだが、話は一応聞いているようだ。
「実践で魔物と戦う。そのときにも経験を積んでいるんだよ。だから規則性なんて見いだせないのさ」
「……そういうことか。なら、そこらへんについては考えなくてもいいな」
「考えるだけ無駄だってことだ」
「それじゃ次に移るか」
立ち直ったらしい上代は立ち上がり、みんなの視線を集めて話し始める。
「みんなにも勇者って名前のユニークスキルがあると思う」
そう言って見回す上代。特に何かしらの声は上がらず、全員持っていることを確認する。
「このユニークスキルによって俺たちのステータスが初期の10倍になっている」
「それによって俺たちは強くなったが、それはあくまでステータスによるものが大きい。知能の低い魔物ならその力押しでいけるかもしれないが、俺たちよりもステータスが低くても知能が高ければ、気がついたときにはあの世だ。基礎を怠るな」
またも影宮が話の主導権を持つ。
そんな様子の影宮に伊田は心配そうな目を向けるが、誰も気がついていない。
「それと、ポイントを使ってスキルを取れる神様からの特典だが、取得できるスキルが自身に合ったものだけになっている。……だいぶ気が利くな、あの神様」
そこでドアがノックされる音が響く。
「一旦、話はここまでにしておくか。……入っていいぞ」
上代が許可をだす。
ドアを開け、メイドが一度頭を下げてから入ってくる。
「失礼します。勇者様方。食事が出来上がりました」
「それじゃ、行くか」
上代に続き、他の面々も立ち上がり、メイドの後に続いて部屋から出て、食堂へと向かう。
月の発見によってこの城での食事は改善された。
その月が出て行った後も、他の勇者たちが自ら食堂へと行き、納得のいく料理を料理長へと教えていったのだ。
食事だけでなく、ベッドの質感や、風呂なども元いた世界での知識を使って改善していった。
だが、改善していったそれらも必要最低限だけで、内政チートなどはやらなかった。話し合いで、この世界にはこの世界のルールや決まりごと、習慣などがあるため、むやみやたらと壊さないようにと話し合って決めたのだ。
☆☆☆
「喜ぶべきところ、なのだろうな」
夕食はすでに終わり、勇者たちは自身の部屋へと戻っている。
食堂には国王であるジグリオ・イストワール。騎士団長のグリス・エーズ。魔術師のネム・ナリシュ。西木と甲本の2人に弓を指導しているレーチェ・ニゲイルらが顔を合わせている。
「だが、勇者たちが反乱を起こさないか不安だ」
「その意見には私も否定できないな。あいつらは正直言って異常だ」
腕を組んで目を閉じていたネムが片目を開けて国王に視線をやりながら答える。
「まあ、俺も似たような考えだ」
「私もです」
ネムに続いてグリス、レーチェも肯定意見を述べる。
「気がついたら勇者たち全員にユニークすきる。そしてレベルはそのままなのにステータスが10倍ほどまで上がっていた。……昨日と今日で実践を行ったから、詳しく言うとレベルは上がっているけど」
「ステータスが10倍になっている理由は勇者全員が持つユニークスキル、勇者ってのは分かる。だけどどうしていままで見えなかったのが急に見えるようになったのか、だ」
「私たちの知らない何かが勇者たちにある。ってことか……」
「もしくは神の気まぐれか」
色々な意見を交え、推測していくが、話を半分ほどしか理解していないレーチェは頷くだけで最初以外話していない。
そして次に根を上げたのがグリスだった。
「だぁぁ~! やっぱりゴチャゴチャ考えるのは面倒くさい! こういったのは直接聞いたほうが早いんだよ」
そう言い、席を立って勇者の下へ行こうとするグリスをジグリオが冷や汗を浮かべながら止める。
「待て、グリス」
「国王には悪いが、俺はもう頭がパンクしそうだぞ」
「この件も私とネムで考えておく。下手に刺激をしないでいてくれ」
「まあ、それなら大人しくしているが……」
グリスはジグリオにそう言われ、しぶしぶながらも席へと戻る。
「次に、城を抜けてどこにいるか分からない、私のお気に入りだった月についてだが」
「ああ、あいつの後をメル様と……”あの”レイナが後を追って行ったんだよな」
「メルから月の本当のステータスについて教えてもらったが……」
「メル様が嘘をつくとは思えないが、さすがにちょっとばかし疑うよな」
4人はすっかり冷めてしまった紅茶を口に含む。
「メル曰く、裏切ったりはしないと思う。だそうだ」
「そうなることを願っているよ」
「私とてあんな化け物と戦いたくはない」
「私も遠慮したいですね」
紅茶を飲み干したものから席を立ち、部屋から出て行く。
最後に残ったジグリオはカップの底に残った紅茶に反射して写る自身の顔を見て一度ため息をつき、飲み干して席を立つ。
☆☆☆
「それで、話って何なの?」
場所は北条麗の部屋。
そこには西木、白石、佐倉、甲本らが北条に呼ばれて集まっていた。
「少し、話しておきたいことがあって……」
「男たちは呼ばなくてもいいの?」
「私、男の人が少し苦手で……」
「ま、そんなことはいいから話なさい」
早く自身の部屋に戻ってベッドに潜り込み、眠りたい甲本が若干イライラした様子を見せる。その様子に北条、白石らが怯える。
「沙織さん。そんなにカリカリしていたら進む話も進まないですよ~」
同じ弓を扱う西木が張り詰めた雰囲気を解かしにかかる。
「蒼空……。そうね、ごめんなさい。2人とも」
「い、いえ……大丈夫です」
素直に自分が悪いと認めた甲本は白石と北条に頭を下げる。
2人はワタワタと手を振って頭を上げるように言う。
「えっと、それでですね。話したかったことなんですけど、まず、私が元いた世界でラノベ作家だったんです」
「それで?」
「は、はい。それでですね、サイン会とかをやったりしていたりしたんですけど、そのときに天宮さんが来ていたんです。あの真っ白な空間で見たときからどこかで会ったことあるな、といったことは感じていたんですけど……確証が無かったので混乱させないようにと誰にも言ってませんでした」
「でも、どうして急に?」
「一昨日……? ユニークスキルが増えたと思うんですけど、私は勇者のほかに『完全記憶』って名前のユニークスキルがあるんです。昔の。それこそ普通は覚えていないであろう1歳のときの記憶とかを思い返すことが出来るんです。それで元いた世界でサイン会をやったとき、天宮さんが来ていたことを思い返しました」
何か役に立ちますかね? と続け、反応をうかがう。
「私の推測なんだが」
佐倉が手を上げ、視線を集める。
「もしかしたら北条だけでなく、私たちも天宮と一度は会ったことがあるのかもしれない」
「どうしてそう思ったの?」
「天宮がまだ城にいたころ、私たちは一度、話をするために天宮の部屋へ行ったのを覚えているか?」
「ええ、それで自己紹介をしようとしたらすでに知っていた、あのときのこと……ってまさか?」
甲本は話している途中で何かに気がついたように佐倉へと目を向ける。
北条たちも同じ考えに至ったようで、甲本に続いて佐倉に目を向ける。
「まあ、私たちが元いた世界で会っていたからといってどうこうなるって訳じゃないんだけどね……」
申し訳なさそうな顔をしながら頭を掻く佐倉。
4人もそのことが分かっているからか特に責めることもなく、その後は普通の女子会へと変わり、夜が更けていく。
一章が終わって、登場人物紹介を改めて載せるって話だけど、その登場人物紹介は3つに分ける予定だからー
あと、テスト一週間切ったから、2週ほど空くけどそこは怠けて書いてないとかじゃないからね!
それじょまた次回に!