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十九話

……遅くなってすいません

ゲームとかゲームしてました

こっちを書いているときにほのぼの学園系のほうの妄想が沢山広がりました…

まあ、物語スタート!

「んふふ。月さん」

「ん? どうした?」

「えへへ。なんでもないです」

「そっか」


 初めて会ったときのようにゆえはミーニャを背負って村へ向かう。

 月は転移していこうと考えていたが、ミーニャがゆっくり行きたいと言ったのでこうなった。

 そしてミーニャが頬を突きながら月の名前を呼び、問いかけるもなんでもないと返すやりとりを先程から何回何十回と繰り返しやっている。


「村に着いたら寝ているみんなを起こして壊れている家とかを直さないとな」

「……そう、ですね」


 嬉しそうに笑っていたのに、村を目の前にして月が放った言葉で表情を暗くさせるミーニャ。

 どうしたのか、と月が尋ねると首を横に振ってなんでもないと答え、暗い表情はなくなり、また嬉しそうな笑顔に戻る。


「…………ん?」


 そのことを不思議に思った月だが、深くは聞けなかった。

 村の様子が何かおかしいと感じとり、立ち止まる。が、何故か一度、来た道を振り返ってみるが再び村へと目を向ける。


「どうかしたの?」

「村から生きている人が2人しかいない。……広場にいる」

「私、気配察知とか出来ないから分からない……」

「それはしょうがない、とだけ今は言っておくよ。何か嫌な予感がするからミーニャ、気を引き締めておいて」

「うん、分かった」


 ミーニャは素直に頷いて月の肩に置いていた手に少しだけ力を込める。


「……っと」


 一歩。足を前に踏み出した瞬間。

 どこからともなくファイアーアローが計20を超える数が月に向かって飛んでくる。

 それを危なげなく避ける月。


「…………」

「月さん?」

「……いや、もしかしたらミーニャにとって辛いことがこの先にあるかもしれないけど……一緒に行く? このままここで待っていてもいいよ?」


 避けてからの追撃がなく、その場で立ち止まって考え事をする月にミーニャが心配そうに声をかけるが、月の表情は少し堅くなっている。

 月の質問にミーニャは少し考えるが。


「……大丈夫。月さんが一緒にいてくれるなら」

「分かった。先へ進もうか」


 ミーニャは笑ってそう答えたが、月からしてみれば無理しているのがバレバレだった。

 そのことに触れず、月は警戒した様子を見せない足取りで広場へと向かう。

 最初にきた炎の矢から攻撃がこなかったため、特に立ち止まるようなこともなく広場へとたどり着く。

 そして2人が見た広場の光景は……。


「…………」

「うぐっ……うっ、うえっ」


 広場全体が肉片や臓物、腕、足などで埋め尽くされていた。その大きさは様々で、子供だと思われる小さいものや大人の男だと思われる逞しい腕。女性のものだと思う細くスラリと伸びた足など。

 家の壁に月が座って寝ていたイス。そのどれもが例外なく血で染められている。

 広場には赤黒い池が出来ていた。

 その光景を見ても月は眉一つ動かさなかったが、ミーニャは月の背から降り、少し離れたところで吐いている。


「君、なかなか強いんだね」


 血で赤く染まるイスの上に立っている青年が月たちに背を向けたまま声をかける。

 右手は前に伸ばされていて、その手は月と一緒にイスで寝ていた女の子の首を掴んでいた。


「……色々と言いたいことがあるけど、まずはその手を離せ」

「話の主導権は俺にある。機嫌を損ねるとどうなるか知らないよ?」

「……うっ、……お、おにい……ちゃ、ん」

「…………」


 青年が手に力を込めたため、喉が絞まり、呼吸が出来ない女の子は苦しそうに呻きながら浮いている足をじたばたと動かす。


「……分かったよ」

「分かればいいんだよ。と言うか初めからそうしろ」

「けほっけほっ」


 手の力を緩めたのか、女の子は辛そうにしながらも不足した酸素を取り戻そうと息を吸い込んでむせている。

 青年が振り返り、月たちのほうを向く。


「……お前、俺がスライムの大群と戦っているときに見ていただろ」

「おお、よく分かったね。凄いすごい」


 青年は鋭い目を月に向けたまま表情を変えずに答える。


「まあ、分かっていると思うけど一応、ね。ここにある肉の塊はこの村に住んでいた奴らだよ。そこで吐いている子と俺に首を絞められているこの子が村の生き残り」

「それで俺にどうしろと?」

「なに、簡単な話だよ。俺のところにこないか?」


 そう言って青年は左手を月に伸ばす。


「…………」


 しばらく黙ってそれを見ていたが、月が青年へと近づいていく。

 後ろでミーニャが絶望に打ちひしがれた顔をして月を見るが、足を止める気配はない。

 そして月は青年の左手を……。


「誰がお前の下なんかにいくか」


 叩いた。

 そして首を絞められている女の子を青年から奪い取り、距離をとる。

 だが、青年は月の答えを気にした様子もなく、笑っている。


「まあ、そうだろうね。俺も逆の立場ならそうしていただろうさ。……だけど」


 叩かれた左手をヒラヒラと振り。


「格上である俺を相手にそれは間違った行動だよ」


と続けて左手の指を鳴らす。


「きゃっ!」

「…………」




 月に抱えられていた女の子がただの肉塊へと変わった。




 女の子の体が膨らんだと思った瞬間、体が弾け、脳を肉を内臓を撒き散らした。

 間近にいた月は女の子だったソレを全身に浴びる。だが、表情一つかえずに手に残ったもともとは女の子だった肉の塊を優しく抱きしめる。


「なんだなんだ? お前はもしかしたら死んでいる女の子に興奮するたちか?」


 それを見た青年がはやし立てるが、月は相手にしないで俯いたままでいる。


「……おい、お前。人の話を聞けよ」


 無視されてイラついた青年が手加減されたファイアーボールを月に向けて2発放つ。

 避ける素振りを見せなかった月は直撃し、手加減をされていたとはいえ火傷を負う。


「……ねぇ、何しているの?」

「あ?」

「どうして月さんを傷つけているの? 月さんの所有物である私から月さんを奪おうとするなんて……死ねばいい」

「何を言っているんだ? 二人とも死ぬんだ。変わらな……っく!」


 気弱なミーニャはどこへいったのか、目の端を吊り上げて青年のことを睨んでいる。

 そして姿が消えたかと思えば青年の目の前に移動しており、蹴りを放つ。

 ミーニャが放った蹴りを青年はギリギリのところで右腕を使って防ぎ、ミーニャから距離をとる。蹴りを受けた右腕は折れていた。


「痛いな、おい。俺を誰だか知っているのか? ああ?」

「お前のことなんて知るわけないじゃない。月さん以外なんてゴミ以下だもの。……そんなことよりお前、月さんを傷つけた分、死んで償うよね?」

「お前こそ俺を傷つけた罪、死んで償え。後でその男も殺してやるから安心して……死ね!」


 青年は最後のセリフに力を込めながらミーニャに向かって3メートル程の大きさをしたファイアースネークを放つ。

 ミーニャはギリギリを狙ってそれを避け、青年に近づいていく。


「お前は対人戦闘の経験が無いのな。……ここでそれは致命的だ」

「何を言って……きゃっ!?」


 炎の蛇を出してから魔法を使ってこない青年にミーニャはその程度と油断していた。

 そのため、炎の蛇の噛み付きを避けて胴体に沿って走っていたミーニャは油断しきっていた身体に横から尻尾を思いっきり打ち付けられて吹っ飛び、ぶつかった家の壁を突き破り、壁の向こうへと見えなくなる。


「甘々だな。この俺がいまので全力なわけないじゃん」


 そう言って青年は炎の蛇をさらに4体作り上げ、計5体の炎の蛇を自身の周りに集める。その内の

2体を止めを刺すためにミーニャが吹っ飛んでいったほうへと放つ。


「少し焦ったけど、まあいいか。次はお前の番だよ」

「…………」

「お前もお前で俺が話しかけているのにいつまで黙っているんだよ。……面倒だからさっさと死ね」


 左手で頭をガシガシと掻きながら、折れて”いた”右手を軽く振り、炎の蛇3体を月の息の根を止めるために放つ。


「…………4人か」


 炎の蛇が迫っているのに月は慌てるどころか動こうとさえしない。そのうえ、すぐそこまで死が近づいているのに訳の分からないことを呟く。

 そして月まで残り1メートルと迫ったとき。

 炎の蛇3体は横から飛来してきた物により消し飛んだ。


「……まだ生きているのか」

「あはは。私自身は傷ついてもいいの。だけど月さんが傷つくのは許さない。絶対に許さない。……ありえないと思うけど、月さんが許可をした場合は別だけど、ね? ほら、私は月さんの物だから。言うことを聞かないと褒めて貰ったりご褒美をくれなかったりしたら困るから」


 月から視線を外した青年の目線の先には、両手に土魔法を使って作ったと思われる土の短剣を逆手で持ち、土や木屑を被った頭を横に振ってそれらを落としながら穴の空いた家の壁から出てくるミーニャがいた。

 口の中を切ったのか、端から血が流れているがそれを気にした様子もなく、瞳を潤ませて頬を上気させている。


「えへ、えへへ。そう、褒めて貰ってご褒美! あいつを倒していっぱいいっぱい頭を撫でてもらいながら褒めてもらうんだ! ……わ、私は別に撫でるのは頭だけじゃなくてもいいんだけど……むしろ色々と撫でまわして欲しいと言うか……きゃっ! 私ったら!」

「お、お前……頭おかしいんじゃないか……!」

「おかしくなんてないよ? 頑張ったら褒めて貰ってご褒美を貰う。ただそれだけだよ?」


 両手に短剣を逆手で持ったまま頬に手をあてて嬉しそうに体をクネクネと動かす。

 その様子を見た青年が怯えた目をしている。そして2歩3歩と後ずさる。


「あれあれ? さっきまでの勢いはどこにいったのかな? ねぇ? ねぇ?」


 ミーニャも2歩3歩と青年に近づき、開いた距離を埋める。……そこでふと。青年から視界の端に移っていた月へと目を向ける。


「あれ? ……あれ? んんん?」


 不思議そうな声をあげながら首をかしげて月を見ているミーニャは隙だらけだが、青年は油断せずにミーニャに目を向け、気を張り詰めている。


「あ、なるほど! さすが月さん!」


 しばらく首をかしげながら月を見ていたミーニャだったが、納得したと言った感じで剣を持ったまま手を叩く。そしてなぜかそのまま頬を赤くさせ、体をクネクネと動かす。


「も、もう月さんったら! こんなこと気付けて当然じゃないですか! 月さんのことはまだ全部じゃないですけど、大体のことは分かりますから! ……ぁ、えへへ。ぎゅーって抱きしめて……あぁ! 月さんの匂いが! ……だ、ダメですよ月さん! 女の子の頭の匂いを嗅ぐなんてそんな! で、でも月さんにだったら私は別に……えへへ」


 このミーニャの様子に、青年もさすがに油断しきっていると思い、この隙を見逃したら自分が死ぬと考えた青年は自分を奮い立たせ、今殺すために、殺傷能力が高く、かつ素早く仕留めるためにどの魔法を使うか考える。


「…………」


 そしてどの魔法を使うのかをすぐに決め、魔法を放とうとしたところで。


「やっと見つけました」

「は、はいいぃぃぃ!」


 青年の後ろに転移したのか、いつの間に女性が立っていた。

 そしてその女性に声をかけられた青年は魔法を放つために集めた魔力を霧散させ、気をつけの姿勢をとる。


「私の授業を抜け出して……あまつさえ村を1つ滅ぼしたのですか。そうですかそうですか」

「い、いや、あのな……」

「言い訳をしようとしたのでお仕置き2倍……いえ、3倍にしますか」

「…………ごめん」


 青年の後ろに現れた女性は背中に蝙蝠こうもりのような翼を生やし、藍色の髪を後ろで1つのお団子に纏めている。そしてその女性が言葉を発するたびに青年の頬を冷や汗が伝う。


「それでは戻りましょうか。……あと、このことは”魔王様”に報告させていただきます」

「ま、待ってくれ! ”父さん”にだけは……」

「いえ、待ちません」


 振り返り、女性に講義の声をあげていたが、聞き流され、肩に手を置かれた青年は消えてしまった。


「……あれ? ゴミはどこにいったの? ……まさかそこにいる女がさっきのゴミだとか!」


 女性が青年を消したあたりでミーニャの意識も妄想の世界から帰ってきた。そして周りを見回して青年がいなくなり、新たに女性がいたことでそう勘違いした。

 それを聞いた女性は苦笑いをしながら。


「いえ、違います」

「あ、そうなんだ」


 一応、否定をしておく。内心では青年と一緒にされたのが嫌だったのかもしれない。

 女性は先程まで青年に接していた態度とは180度違い、丁寧な物腰になっている。……が、それは見た目だけで今もミーニャが何をしても反応できるように身構えている。

 そんなことは知らずに、ミーニャは女性が青年でないことで興味をなくし、月のほうへと歩いていき、そしてそのまま横を通り過ぎる。


「…………?」


 女性の不思議そうな視線を気にせずにそのまま家の壁際まで行って止まる。


「月さん月さん。終わりました!」

「よく分かったね、ミーニャ」


 始めはミーニャが壁に向かって話しかけていると思っていた女性は目を疑った。

 いつのまにかミーニャの目の前に月がいたからだ。慌てて先ほどまで肉塊を抱きしめて蹲っていた位置に目を向けるが、そこに月はいなかった。

 そして女性はもう1つ、驚いていることがある。

 月の腕の中に死んだと思われる女の子が抱かれて眠っていることだった。


(あのとき、確かに死んだはずなのに……いつのまに?)


 やっと見つけた。と言いながら青年の後ろに現れた女性だったが、本当は最初から青年の後を追っていたのである。よっぽどのことが無い限りは出てこないつもりであったが、手をだしてはいけないことにまでだそうとしていたのであのときに出てきて止めたのである。


「明確な理由が欲しいと思ったけど……”君たち”は科学的な根拠に当てはまらないからね」

「何のことか分からないですけど……私は頭を撫でてもらうことを希望します!」

「それぐらいならいつでもいいよ」

「えへへ」


 女性のことなど忘れているかのように、2人だけの世界を作る月とミーニャ。

 月の腕には女の子が眠っているのだが、ミーニャは月に頭を撫でられてご機嫌でいるため、気にしていないようだった。

 最初は大人しく撫でられていたミーニャだが、しばらくすると月の手に自分の頭を押し付けはじめる。


「とっても気持ちいい~」

「それはよかった。……それで、まだ何か用?」


 月は撫でる手を止めないまま、ずっと月たちを見ている女性へと目を向ける。


「……自己紹介がまだでした。私の名前はキルムです。それと先程までその女性が戦っていたのは現魔王の息子でブロイッシュと言います。私は彼の教育係をしています」

「それで?」

「それで……とは」

「この惨状、どう説明してくれるの?」

「…………」


 キルムは口を紡ぐ。ここで下手なことを言えば自分の首が飛ぶ未来が脳裏をよぎったからだ。


「その、件に関しては……」

「…………」


 何かを言おうとしていたキルムだが、月と目を合わせてしまい、セリフが途中で止まってしまう。


「…………」

「…………」


 そのまま目を合わせたまま時だけが過ぎていく。

 キルムが月から目を外さないのは、もし目を外してしまえばこれから話すことについて何も信用されないと感じたからだ。

 だが、今のキルムはたとえ信用されなくてもいいから今すぐ目を外したかった。

 何を考えているか分からない目で見つめられ、いつ気が変わって殺されるか。といった精神的な重圧がこれでもかというほどのしかかっているキルムは全身に脂汗を浮かばせ、それによって服が肌について不快感も限界まできている。


「あ……お兄ちゃん。助けてくれてありがとう」


 キルムの中で何かが粉々になって壊れそうになったところで、月に抱かれて寝ていた女の子が目を覚ました。


「お兄ちゃん……怖い」

「ん? ああ、スキルが発動していなかったのか……怖がらせてごめんね」

「ん~ん。気にしてないよ」

「私はさっきまでの月さんもカッコいいと思いますけど……」


 女の子に言われて顔に手を当てた月は一度目を閉じ、すぐに目を開ける。

 するとさっきまで無表情だったが、いまは”心のそこから楽しそうな”笑顔を浮かべている。

 それによって緊張の糸が切れたキルムはその場に崩れ落ちるようにして座り込み、股の部分にシミを作る。


「大丈夫?」

「ひゃっ!?」


 それを見かねた月がキルムに近づいていき手を差し伸べる。キルムは月が軽いトラウマになっており、尻をつきながらも頑張って月から離れようとしたが、無理やり手を掴まれて小さく悲鳴をあげる。


「安心しなよ。俺は別に怒っていないからさ。それとこれ以上ここにいる意味もないし、そろそろ仲間と一緒に帰らない?」

「…………」


 月はキルムの耳元に顔を近づけ、小声で伝える。キルムは黙って首を何度も縦に振る。

 手を引っ張ってキルムを立たせ、服を綺麗にして1歩離れる。


「あ、ちょっと待って」


 どうやったのかは不明だが、転移して移動しようとしていたキルムを手を叩くことによって止める月。


「あ、あの。何でしょうか」


 何をされるのかとビクビクしながら月に尋ねるキルム。


「あの女の子。お前が責任持って育てて」

「は、はい。それなら」


 月は女の子のところへ行き、状況を説明してキルムと一緒に行くことを伝えたが、嫌だと拒否される。そこで諦めたら提案した意味がなくなると、なんとか妥協案をだして認めて貰った。


「じゃあね~お兄ちゃん~!」

「またね」


 手を振って別れを告げ、キルムと女の子はどこかへと消えてしまう。

 その場に残るのは広場を埋め尽くすほどの死体と月、ミーニャだ。


「それで月さん。あの女の子とどんな約束をしたのですか?」

「ああ、もう一度また会ったとき、出来る限りあの子の願いを叶えてあげるって約束」

「…………そう、ですか」


 月の顔を下から覗き込みながら質問してきたミーニャ。

 約束の内容を教えてもらうと月から離れ、陽が沈みかけてオレンジ色に染まる空を見上げる。


「そういえばミーニャ。ここ、どうする?」

「燃やしちゃうのが一番じゃないですか?」

「そう。なら行こうか」


 平然とそう答えるミーニャ。月も表情を変えずにそれを聞き入れ、村の外へと移動する。


「何か必要なものとかないのか?」

「私には月さんがいればそれで十分です」

「分かった」


 最後の確認を終えた月は村に手をかざす。

 すると村全体を火が覆う。

 それから5分とかからずに焼け野原へと変わり果てる。


「さて、魔族側こっちは一回いいや。違うところに行こうか」

「私は月さんの物ですから。どこまでもついていきますよ」


 焼け野原に背を向け、花畑があるほうへと歩いていく月。その後を嬉しそうな顔をしながらミーニャがついていく。


「それで月さん。どこに行くのですか?」

「んー、まだ決めていない。2人ほど合流すると思うからそっちにも聞いてみようか」

「……その2人って女ですか?」

「そうだけど?」

「…………」


 月が合流すると言った2人が女だと知ったミーニャは黙って月の右腕に抱きつく。

 そして腕に頬ずりをする。


「安心しなって、ミーニャ。お前を捨てたりなんかしないからさ」

「……本当?」

「ああ」

「本当に本当?」

「嘘ついてないって」

「2番でも3番でも。愛人でもいいからずっと月さんのそばに置いてくれる?」

「ああ。ずっと一緒にいろ、ミーニャ」

「うん!」


 何度も確認を取ったミーニャは嬉しそうにし、体をさらに密着させる。


「ここで待ってればくるよ思うから、ノンビリしていようか」


 そう言って月はミーニャに密着されたまま、花畑の真ん中で横になる。


「ちょっと寝るけど、何かあったら起こしてくれ」


 目を閉じる月。

 花に囲まれているから甘い香りが全身を包みこむため、月が眠りにつくまでにそう時間はかからなかった。


「また、新しい女が増えたね」


 眠りについた月が待っていたのは目が据わっていたしろだった。

 すぐにベッドへと押し倒され、マウントポジションを取られて見下ろされている。


「お、落ち着いて話さないか、白」

「そうだね……”あっち”のほうで話そうか」


 そう言って白は月の服を脱がし、自分も裸になって攻めていた白だったが、しばらくしたら攻められて喘ぎ声をあげているのは毎回のことだった。

次回も何時になるかわからないや…

なるばく早くするようには頑張りたいけど…

誤字脱字とかあったら教えてねー

また次回〜

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