一話
やあ、不思議ちゃんだよ
今日もこの話の二話をだいぶ書いたからもう一つの方よりもこっちを連続してのせるかもね
駄文だけど楽しんでくれたらいいさ
でわでわ物語スタート!
「お前ら〜。成績表渡すぞ〜。明日から休みだからって浮かれるな〜」
二学期期末テストが終わり、返ってきたテストに笑あり、笑ありなことがあった日の翌日。
教壇に立つ女性の先生が間延びした声で明日から長期休みに入るため浮かれている生徒たちを注意する。
一応は大人しく席についた生徒たちだか、近くに座っているもの同士で二学期の成績表について話している。
二学期の成績表には中間テストと期末テストの平均でクラスの順位が決まるので自分が何番なのか気になるのだ。
又は、クラス順位が近いもの同士でどちらが上か話し合ったりか。
だが、クラスに一人はそういったことに興味を持たないものもいる。
このクラスには二人、いるが。
「ねぇねぇ、私は何番かな? 何番かな?」
一人の女子生徒が前の席に座っている男子のイスを揺らしながら話しかける。
「んー、一番じゃないですかね」
寝ていた男子生徒は仕方なく後ろを向き、その女子生徒の相手をする。
「そっか〜そっか〜。一番か〜。やったね一番!」
「よかっ……ふぁぁ……眠い」
よかったな。そう言いたかっただろう男子生徒は眠気に負け、セリフの途中で欠伸をする。
その男子生徒の鼻先まで伸びた長い前髪から覗いて見える目の下には隈ができている。昨日の夜、遅くまで起きていたのだろうか。
「まったくも〜。ちゃんと最後まで言って欲しかったな!」
「んー、ごめんな」
「うん、許してあげる!」
「……それじゃ、寝る」
「まだダメだよ〜」
「そうだぞ〜。天宮、いつ成績表を取りに来てくれるんだ〜。わざわざ先生がここまで来てやったぞ〜」
「ああ、ありがとうございます先生」
「今回もすべての教科、六十六点か〜」
「ほんとだ〜」
男子生徒の名前は天宮月。出席番号が一番のため、一番に成績表を取りにいかなくてはいけないのだが、後ろに座る女子生徒との会話で名前を呼ばれても気がつかず、先生がわざわざ窓側の後ろから二つ目の席に座る月まで持ってきてくれたのだ。
「ふむ、十九位か。四十人居る中でなら今回もまあまあかな」
「ゆーちゃんなら本当は一番取れるのにね~」
「全教科満点を取る朱莉には敵わないよ」
「えへへ~。褒めて褒めて?」
「お前ら~。私の前でイチャツクのはやめろ~。虚しくなってくるだろ~」
「先生~! 早く成績表頂戴~」
「お~悪い悪い。あ、九十九の成績表も渡して置くぞ~」
月、朱莉と一緒に話していた先生がじれた他の生徒に催促されて教壇に戻っていく。
「本当だ本当だ~。ゆーちゃんの言ったとおり、一番だったよ!」
「よかったな。それじゃ終わったら起こしてくれ」
「うん! おやすみ、ゆーちゃん」
「こら~。天宮、寝るな~」
月は先生に手を振り、再び眠りにつく。
☆☆☆
「ゆーちゃん、ゆーちゃん。朝だよ~」
あれからホームルームが終わっても寝ていた月を朱莉が揺すって起こす。
「……朝、ではない。今は十一時だぞ」
揺らされて起きた月は眠たげに目をこすりながら上体を起こし、体を伸ばす。
「……先生は?」
「もう学校終わったよ?」
「……そうか」
「ゆーちゃん、とても気持ちよさそうに寝ていたよ~。ここの席は日当たりいいからね~」
「うむ、俺は悪くない。ここの席になったのが悪いのだ」
「なら他の人と席、変わってもらう~?」
「ここは俺の席だ。誰にも譲らん」
「早く帰ろう~?」
「……そうだな」
スルーされたことに納得がいかないような顔をしながらも、帰るための準備を始める月。
そこで月がカバンを開けたときに一瞬顔が引きつる。
朱莉はそれを見逃さず、目つきが鋭くなる。
「どーしたの? ゆーちゃん」
すぐにカバンのチャックを閉めようとする月の手を掴み、微笑む朱莉。だが、その目には光が灯っておらず、月の頬を冷や汗が流れる。
「どーしたの? ゆーちゃん」
「……朝、ラブレターを貰ったこと忘れてた」
「それって、これのこと?」
おもむろに朱莉が空いているほうの手を月のカバンに突っ込み、中からピンク色の紙を取り出す。
その紙には可愛らしい文字で『天宮 月さんへ』と書かれている。
「行ってきてあげなよ」
「いいのか?」
「その子は今でも待ってるかもしれないでしょ? ……それに」
「…………」
「約束、破ったらどうなるか、……月には分かっているよね?」
「それは分かっている」
「うん。なら、行ってきてあげなよ~」
「……行ってくるよ」
「校門で待ってるからね~」
目に光が戻った朱莉はそう言って教室から出て行った。
残された月は助かったとばかりにため息をつき、カバンを持って女の子が待ってくれているであろう校舎裏へと向かう。
その場所に向かうと校舎の壁に背を預けている女子生徒が一人いる。
「待たせてごめんね」
「いえ、大丈夫です。私なんかのために来てくれると思ってなかったですから。今、とても嬉しいです」
月に気がつき、壁から背を離して月と向き合う形に立つ。
「話ってのは……やっぱり?」
「はい。私は天宮月さんのことが好きです。……私と付き合ってくれませんか?」
月の目を真っ直ぐに見つめ、恥ずかしげに頬を染めながらも思いを伝える女子生徒。
「ごめん」
腰まで伸びた長い黒髪を肩の辺りで一本の三つ編みにまとめ、黒縁のメガネをかけた女子生徒。
放課後の教室や図書室で本を読んでいるのが似合いそうで、百七十センチある月より十センチほど小さな体。十人中六人くらいは美人だと思うであろう容姿。
その彼女からの告白を月は断る。
「……月、さんは九十九さんと付き合っているのですか?」
「朱莉とは彼氏彼女の関係じゃないよ」
「月さんは今までにも他の人に告白されていますけど、誰とも付き合ったことがないのは……何故ですか?」
「朱莉と約束したんだよ」
「約束、ですか」
「うん。どんな約束をしたかは言えないけどね」
「そう……ですか。わざわざ私のために時間をとってくれてありがとうございます」
彼女は月に軽く頭を下げ、月が来た道と反対のほうへと歩いていく。
月はそれを見送ってから朱莉の待つ校門へと足を向ける。
「帰ろうか、ゆーちゃん」
「そうだな」
二人は肩を並べて歩く。
「今日、ゆーちゃんの家に行ってもいい?」
「別にいいけど、俺は部屋で寝てるぞ」
「うんうん。それでいいよ~。真が家にいるでしょ?」
「んー、たぶん家にいると思うぞ」
「着替えたらすぐに行くから~」
「分かった」
校門を出てから三十分。
家が隣同士である二人は途中で分かれることなく家に着く。
玄関先で別れた二人はそれぞれ自分の家へと入っていく。
「ただいま」
「おかえり、兄貴」
「真もおかえり」
月の二つ下の弟である天宮真。
兄の月とは違い、爽やかな笑顔の似合う二枚目で運動部に入っているのか引き締まった体つきをしている。
その真がエプロンをつけた姿で帰ってきた月を出迎える。
「今日、朱莉が来るらしいから来たら適当にもてなしといてくれ。俺は着替えて寝る」
「うん、分かったよ」
真はキッチンへと戻り、朱莉を迎えるためにお茶とお菓子の準備を始める。
それを傍目に月は自分の部屋に入り、着替えてベッドへと倒れこむ。
「きたよ~」
「いらっしゃい、朱莉姉。こっちに朱莉姉の好きなお菓子とお茶、用意しておいたよ」
「わ~。真、ありがとう!」
インターホンが鳴った後、真と朱莉の話す声で目が覚める月。
「……寝ぼけてるのか?」
ベッドから立ち上がり、下の階へと向かおうとしていた月の足元に光り輝く魔法陣が浮かび上がる。
そして月は一瞬の浮遊感を味わった後。
「……ついに頭がおかしくなったか」
白い部屋にいた。
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でわまた次回な!