十七話
なんか微妙だけど…ま、いっか
そういえば、ブックマーク登録、100越えてたねぇ…不思議だねぇ…
ユニークユーザーはよう分からん
ってことで物語スタート!
「スライムの大群が攻めてきたぞ!」
大きな声が村に響き渡る。
その声を聞いた月は膝に座らせていた女の子を丁寧に立たせて立ち上がる。その際、ミーニャの支えが無くなってイスに頭を思いっきりぶつけるが、月はすでに駆け出していて知る由もなかった。
そして声がしたほうに月が向かうとすでに大勢の魔族たちが集まっていた。
「何があった?」
「人間のあんちゃん。危ないから後ろに下がってな」
「うるさい。今、どういう状況かだけを話せ」
集まっている魔族たちは男だけ。女の魔族は子供たちを協力して先程まで月が寝ていた広場に集めている。
月は集まっている間族たちを掻き分けて前に進み、リーダーらしき魔族に声をかける。
その魔族は月のステータスを見て弱いと思い、下がらせようとするが言っても聞かないため頭をかきながら状況を説明する。
「向こうに水色の物体が動いているの見えるか?」
「ああ、見える」
指差すほうに目を向けると、草原の先にうごめく水色の物体が見える。
「あれ全部がスライムだ。おそらく、後数分もすれば姿がはっきりと見える位置まで来ているだろう。……本来、ここ魔族側にはスライムなんていなかったはずなのに」
「…………そろそろ他の魔法も使いたい頃だったしちょうどいいな」
「あ? 何か言ったか?」
「…………」
「おい! 1人で行くなんてバカか! あれは百や二百じゃ足りない。軽く千、二千はいるんだぞ!」
ボソッと小さな声で呟いた白は1人でスライムの大群に向かって歩いていく。
止めるために、魔族の男が声をかけるが、月は足を止め、振り返って一度笑ってから再びスライムの大群に向かって足を向ける。
「お、おい! 畜生。俺たちも行くぞ!」
慌てて集まった仲間に声をかけ、月の後を追おうとした。
だがその足はすぐに止まることになる。
なぜなら……。
「お前の仕業だろ! 聞こえてるなら今すぐこの氷の壁を消しやがれ!」
氷の壁が進路を塞いでいた。
空にも横にも伸びており、飛び越えたり迂回して追いかけるには時間がかかる。
「どいてくれ。俺が壊す」
「ああ。頼む」
後ろにいた魔族が前に出てくる。
他の間族たちは後ろに下がり、被害が及ばないように離れる。
「っは!」
これでもかと盛り上がった筋肉をさらに大きくさせ、力いっぱい氷の壁を殴る。
この村で一番力が強い魔族の男は氷の壁に穴があいていると思っていた。
だが、そこを見ても傷一つついていない氷の壁がそこにあった。
これには他の魔族たちも同様を隠せない。
「今度は何だ!」
氷の壁が壊せずにイライラしているところ、広場から女と子供の悲鳴が聞こえてくる。
「……くそっ! 俺たちは一回、広場に戻るぞ!」
魔奥たちは悔しそうな顔をしながら悲鳴のする広場に足を向ける。
★★★
「……ほんとにたくさんスライムがいるな」
月の視線の先には数千のスライムたちが。
「今まで水系の魔法しか使ってこなかったし……他の魔法も使ってみるか」
それじゃまずは土から。そう呟いた月。
するとスライムの大群の一部分から土で出来た槍や剣などが下から突き上げるようにして出てくる。
だが、それで倒せたスライムは数体しかいなく、ほとんどのスライムは再びばらばらになった体をくっつけて村に向かって進み始める。
「んー、そういえば核、潰さなきゃいけないんだっけ?」
面倒だな、と呟く。
そして次は何をするか目を閉じ、考える。
その間にも当然、スライムは進み続ける。そしてスライムの一部分が月の姿を見つけ、そこに先行して進んでいく。
「火、水、風、雷、土、光、闇とあって使ったのが水と土。……次は風でいくか」
うん。と月が頷くと、今まさに触れようとしていたスライムが見えない刃によって全身をスライスされた。それにより核も壊され、解けて消えていく。
「それにしても、だいぶ近づいてきちゃったな。……ここで全部一気に試すのもいいんだけど、楽しみは取っておくか」
んー、と一度伸びをした月。
スライム全体を見回して頷く。
「ほい、終了」
手を二回叩く。
すると押し寄せていたスライムたちの動きが止まる。
「もう少し実験していくか? 村に男たち残してきたから侵入者ぐらい倒せるだろう。レベルがそれほど高くなくてもほぼ全員、ステの平均3万いってたと思うし……ん?」
月はあたりをキョロキョロと見回し始める。
「消えた? 誰かに見られていた気がするんだが……ま、いっか。本命……いや、騙された哀れな操り人形見つけたし」
月は転移魔法を使ってワープする。
★★★
「おかしいおかしいおかしい!」
スライムの大群のさらに後方。そこで1人の魔族が頭を抱え、取り乱していた。
「”私の村”にこれほどの水魔法を使える奴はいなかったはずだ! ……いや、落ち着くのだ私よ。そう落ち着くのだ。私は伯爵そう伯爵……」
二度、三度と深呼吸を繰り返す。
そして状況を整理するために目を閉じた瞬間。首から下が氷漬けにされる。
「……っ! なんだこれは!」
「落ち着けよ」
氷漬けにされた魔族の後ろから1人の少年が姿を現す。
動くことが出来ないため、魔族はその少年の姿を見ることは出来ないが。
「だ、誰だ! 私は伯爵だぞ! 今すぐ動けるようにしろ!」
「うるさいよ。…………ミーニャの父親かよ」
「今、後半なんて言った?」
「聞こえてないならいーよ。まあ、聞こえないように言ったんだけど」
「それよりもお前は誰だ!」
「本当にうるさいな。……天宮月。もう死ぬから憶えておかなくていいよ」
少年、月は鑑定を使って名前を確認して一瞬。目を細めるがすぐに表情を元に戻す。
「し、死ぬってどういうことだ!」
「そのままの意味なんだけど……正直に話したら殺さないであげてもいいよ?」
「わ、分かった! 何だ。何が知りたい」
殺されないと聞いてホッとするミーニャの父親。
「それじゃあ、まず最初に。このスライム、どうした? 本来、ここ魔族側にはいないと聞いている」
「あ、ああ。それは俺の右手に指輪があるだろう。これはアイテムボックスの役割をしていてこの中に入れていたのだ。……す、素直に話したのだからもういいだろう!」
「誰が質問は1つと言った? ……この指輪に、ねぇ」
月は氷漬けにした男の右手の人差し指部分だけ氷を解き、指輪を抜き取る。
「……む?」
その指輪は男の指から離れ、月の手のひらに乗せられると粉々に壊れてしまった。
「た、確かその指輪は使用者以外に取られると壊れるって聞いていた。おそらくそれだろう」
「へー。そう」
「そろそろ見逃してくれないか……? 冷たすぎて手足の感覚がなくなってきたのだが」
「人間と同じ感覚なんだな。……まだ、大事なこと聞いてないぞ? お前にこの指輪を渡したのは誰だ?」
「ああ、名前は……」
「いや、やっぱりいい。名前なんて聞いても分からないし」
「そ、それならこれを……」
月は男を意識の外に持っていき、人差し指を曲げて第二関節を口に咥える。
「……こいつは捨て駒。ほぼ確証。……スライムの数。魔族の男たち。……逃げずに戦う。……戦力がいなくなる。…………でも、今回はそれを考えて俺1人で来たけどこのいやな感じは何だ」
「そろそろこれを……」
「なあ、お前」
月は指を口から離し、何か言いかけていたことなんて気にせずに質問する。
「お前、なんでこんなことしたんだ?」
「それは俺が魔王になるためだ!」
「…………」
「この作戦が成功したら、魔王を倒してくれると約束してくれたからな!」
「…………」
「だから今すぐこれを」
男は最後までセリフを言えなかった。
月に全身を氷漬けにされたため。
「…………こんなカスに時間使うんじゃなかった。さっさと殺しておいても問題なかったじゃないか」
月は頭だけを右ポケットに突っ込み、体は粉々に粉砕した。そして先程と同じようにワープを使って村まで戻ろうと考えていたが、それは止めて走りながらスキル欄を開き、あるスキルをレベル最大まで取得する。
「やっぱりあの時、スキルを取得していたか」
ステータスにもの言わせて先程、スライムと戦っていた場所まで戻る。
氷漬けのスライムたちを粉々にするのも忘れない。
そしてそこで村の状況が見えるわけだが……。
「たった1人にここまでされて……しかもそいつは無傷、か」
炎を背に、誰かがこちらに向かって歩いてくるのが見える。
月も焦る気持ちを抑えて歩いて向かう。
「何がしたいのか知らないが、まだ全員生きている。……苦しんで死ねってことか」
そして侵入者と月は互いの顔が見える位置で止まる。
「ねえ、何してくれちゃってんの?」
日が沈みかけ、空が赤く染まっている。
燃えている村と相まって月にはそらがさらに赤く感じた。
「ふん。あんな奴らに情でも移ったのか」
「……イライラするね。元いた世界の人種差別を見ているようで」
「人種差別……? 言葉の意味は分からない。が、お前が私と対照的な意見を持っていることだけは理解した」
金髪の女性は腰から剣を抜き、構える。
だが、月は自然体で立ったまま構える素振りを見せない。
「……構えないのか?」
「必要ないね」
「そうか。……私の名は」
「お前の名前なんてどうでもいいよ。お前の名前を一生覚えているとか死んだほうがマシだね」
「…………お前の名前は」
「それこそ教えるわけないじゃん。何言っているの?」
「…………」
「そんなことより早くかかって来たら? ……ってもう聞こえないか」
月は指を鳴らし、氷漬けにされた女性を粉々に砕く。
「……逃げたのか」
粉々に砕けた氷の一つを蹴り飛ばす月。
すぐに興味をなくし、炎に包まれた村へと走って向かう。
「……まだ、無事でいてくれよ」
明日また投稿できるかなぁ…
まぁ頑張りまふか
ってことでまた次回〜