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十四話

六日ぐらい空いた…よね?

…二次創作読むの面白いんだもん

1話にかける時間って三時間〜五時間くらいなんだよね…俺の気持ちの問題か

ってことで物語スタート!

「ほら、もう歩けるなら早く行くといい」

「で、でも……」


 少年、天宮あまみやゆえは少女、ミーニャ・ゴラスミトを背負い、村にたどり着く。

 が、その村の入り口から少し離れたところで立ち止まっている。

 なぜなら。


「人間……っ! 子供を盾に……相変わらずやることが汚いな!」

「私たちが同胞を切り捨てることが出来ないのを逆手に卑怯な手ばかり使って!」


 入り口に、その村に住んでいるであろうほぼ全員の魔族が集まり、先程のような言葉を繰り返し言っているのだ。

 月もあまり刺激しないように、村から一定の距離を離れたところで背中から優しくミーニャを降ろし、その場から動かないでいる。


「これ以上、ミーニャがここにいるほうが悪化すると思う。だからちょっと説明してきてくれないか?」

「……うん。頑張る」


 月は背から降ろしたミーニャの頭を一度撫で、背中を軽く押す。

 ミーニャは不安そうに月のほうを振り返りながらも村へと足を向ける。


☆☆☆


「ご、ごめんね……助けてもらったのに」

「気にするな。お前は何も悪くないんだから」


 ミーニャの説得により、村に入ることが出来た月。

 今は二人で村の広場みたいな場所にある木で出来たベンチに並んで座っている。

 そしてその二人を遠くから監視している魔族の方たち。

 一応の納得はしたものの、まだ完全に月のことを信用したわけではない。

 そう簡単に何年。何十年と続いてきた多種族との溝は埋まらない。


「……眠いな」

「少し眠ります?」

「ああ……気が向いたときにでも起こしてくれ」


 そう言って月はミーニャの腿に頭を乗せる。所詮、膝枕だ。


「……ふぇっ」


 突然のことで驚くミーニャだが、すでに月は眠ってしまっている。

 すぐに気持ちを切り替えたミーニャは声は出さず、起こさないように優しく月の頭を撫でる。


「…………」


 この世界で魔族は忌み嫌われており、どこに行っても酷い扱いを受けている。

 だから何故、あの時に襲われていた魔族のミーニャを月は助けたのか。

 そんな考えがミーニャの頭を占めている。


「本当なら、こうやってさわるのも嫌だと思っていたのに……」


 そこで言葉を区切り、目線を月から周りへと向ける。

 先程まで隠れて監視していた魔族たちが姿を現し、寝ている月とミーニャの周りを逃がさないようにと囲んでいた。


「……何?」


 先程まで月の頭を撫でて微笑んでいたミーニャ。

 いまだに、優しく月の頭を撫でながらも今は至福の時を邪魔されて険しい顔をしている。


「今すぐその人間を渡すんだ」

「……嫌だと言ったら?」

「多少傷を負ってでも」

「誰が、誰に傷を?」

「……今回ばかりは”いくらあんたでも”」

「そんなに怖いなら家の中にでも引きこもっていればいいのに」


 少しずつ近寄ってくる魔族たちを見てもまったく動じず、淡々と返していく。


「……っ!」


 死角から一人の魔族がミーニャを取り押さえるべく飛び出す。


「……え?」


 ミーニャはそれに気づき、上半身だけ動かして後ろを見るとそこには氷の壁に体を打ち付けて伸びている魔族の姿が。

 この光景にミーニャだけでなく、二人を囲んでいた魔族たち、家の中、遠くから成り行きを見守っていた魔族たちも呆然としている。

 しばらく経ち、全員の視線がミーニャに膝枕をされて寝ている月に集まる。


「……起きてます?」


 ミーニャがそう声をかけるが返事はなく、小さな寝息だけが場を支配する。


「…………」

「…………」

「……あの」

「……ああ」

「月さん……起きてからにしませんか?」

「……そうする」


 なんとも言えない空気になり、完全に毒気を抜かれた魔族たちは頭をかきながら一人。また一人と自分の家へと帰っていく。

 そして広場にはミーニャと寝ている月だけになる。


「……私、どうすればいいんだろう」


 太陽が沈みかけ、オレンジ色に空が染まりつつある。

 広場にミーニャの呟きが誰に聞かれることなく虚空へと消える。


☆☆☆


「……そいつはまだ寝ているのか? ……いや、その前にミーニャ。一晩そのままで?」

「……うん」


 月が起きることはなかったため、そのまま一晩を過ごしたミーニャ。

 陽が沈んでもしばらく起きていたが、睡魔に負けて座ったまま眠ってしまったのだ。

 そして陽が昇り、ミーニャも起き、中途半端に終わった昨日の続きをすべくまた集まってくるがその数は昨日よりも多い。

 家の中から、遠くから見ていた魔族たちが興味を示したのだ。

 ……そしてその興味の対象である月はまだ寝ている。


「……どうする?」

「……どうしましょう」


 起こして話をしたいにしても、昨日のように氷に阻まれるかもしれない。と考え、近づきたくても近づけず、ミーニャと共に困り果てていた。


「だ、ダメよっ!」


 静寂に包まれていた広場に、声が響く。

 腕を組んだり、目を瞑って何か解決策は無いかと考えていた魔族たちの意識が声の方へと向かう。

 5、6歳くらいの女の子が母親の手を離れて月のほうへと向かっている。

 母親が追いかけるために一歩、前に足を出したが、すぐにその足を戻してしまう。

 氷の壁がいつ現れるか分からないからだ。

 そんなことをしている間にも、女の子は膝枕をされて眠っている月の元にたどり着いてしまう。


「……え?」


 誰が漏らしたのかは分からないが、魔族たちは女の子が氷の壁に阻まれることなく月の元へたどり着いたことに驚いている。


「お兄ちゃん! いつまでも寝ていたらメッ! なんだよ!」


 女の子は月の腹に手を置いて揺すりながら大きな声を出す。

 その光景を見て、他にも近くまで来て見ていた子供たちが寄ってくる。


「早く起きないと朝ごはん食べちゃダメって言われるんだよ!」

「おやつもダメって言われるんだよ!」

「お外でも遊んじゃダメって言われるんだよ!」


 手や足、頭に肩などを揺すられる月。


「…………おはよう」


 流石にここまでされたら誰でも目が覚める。

 体を起こして月が挨拶をすると子供たちが笑顔を向ける。


「俺のお父さんよりもなかなか起きなかったな!」

「私のお父さんでも大きな声で叫んだら起きるのに!」

「お兄ちゃんはお寝坊さんだね!」


 月はあくびをしながらも、起こしてくれた子供たち一人ひとりの頭を撫でていく。

 ミーニャは子供たちが月の周りにいけるように、立ち上がって少し離れた位置から見守っている。

 一通り子供たちを撫で終えた後、右ポケットからいつもの飴を取り出し、口に含む。


「……何色が好き?」

「赤!」

「私はピンク!」

「青色!」

「俺、俺……ええと、黄色!」


 月の周りに集まっていた子供たちに、答えてくれた好きな色をした飴を渡していく。


「……噛んだらダメ。舐めるの。それとこの棒は食べられないから」

「「「「ありがと~!」」」」

「……それを口に入れたまましゃべったらダメだから。あと、歩いたり走ったりするのも」

「「「「うん!」」」」


 飴を受け取った子供たちは月にお礼を言い、何も考えずにそれを咥える。


「ま、待て! それを食べるな! 毒かもしれない!」


 魔族の一人がそう叫び、他の魔族たちも慌てだす。だが遅く、すでに飴は子供たちの口の中。

 耐え切れず、涙を流したり気を失ったりしている大人の魔族たちをよそに、子供たちはちゃんと口から飴を取り出して月にキラキラとした目を向ける。小さく、説明が理解出来なかった子も年上の子に優しく教えてもらってしっかりと手に飴を握っている。


「兄ちゃん! これすっごく美味しい!」

「甘いよお兄ちゃん!」

「これ、なに!?」

「教えて教えて!」


 最悪の未来を考えていた大人の魔族たちはこの光景を見て呆然としている。


「……これ、飴っていうんだ」

「「「「あめ?」」」」

「……うん。飴。……美味しい?」

「「「「うん!」」」」

「……それはよかった」


 また飴を口に入れてニコニコとしている子供たち。

 月は近くにいた女の子の頭を優しく撫でる。


「兄ちゃん兄ちゃん! これ、だんだん小さくなっていく!」

「……うん。それが全部なくなったらただのゴミだから。俺に渡して。他の子にも言っておいて」

「分かった!」


 月の言うことをきちんと守って飴を舐めている子供たち。

 そしてそれを優しい目をして微笑みながら見ている月。

 大人の魔族たちは酷く混乱していた。


「……ミーニャ」


 月は子供たちが自分から少し離れてはしゃいでいるときに離れたところで見ていたミーニャを呼ぶ。


「は、はい」


 ミーニャは嬉しそうに顔を綻ばせながら月の元へ向かう。


「……これ、ミーニャの分」

「あ、ありがとうございます」


 ミーニャの髪と同じ色の飴を手渡す。

 お礼を言って受け取ったミーニャ。だが、その飴を大事そうに持って見るだけで食べようとはしない。


「……食べないの?」

「え? あ、はい」


 なかなか食べようとしなミーニャを不思議に思い、月が声をかける。

 それでも少し渋っていたが、目を少し潤ませながらも飴を口に入れる。


「あ、甘くて美味しいです」

「……それはよかった」


 月はミーニャが飴をなかなか食べようとしなかったのは、始めて見るもの。だから怖くて食べることが出来ないと考えていた。

 実際はそんなことないのだが、勉強が出来る。頭がいい。そんなことがあったって人の気持ちまでリアルタイムで考えたり予測したりするのは不可能だ。

 今回はその人の気持ちによるものだったため、月は間違えたままでいる。


「……なあ」

「……ん?」


 月のすぐ近くに大人の魔族たちが立っていた。


「俺たちはお前に危害を加えないと約束する」

「……急にどうしたん?」

「色々考えたんだがな……。俺たち魔族はいままで他種族のやつらに酷い扱いを受けていた。ただそこにいただけで殺された知り合いや同胞なんて数え切れないくらいに。……だが、お前は俺たちをいつでも殺せる力があるのにそんなことをする素振りな一切無い。どころか子供たちに優しく接している」


 そこで一度区切り、月を見据える。


「一つ聞きたい。……お前は俺たちのことをどう思っている?」

「…………さあ?」


 少し間を空けて返した答えに、魔族たちは狐につつまれたような顔をする。


「……俺はお前たちと昨日会ったばかり。それに俺はほとんど寝ていて直接話している時間なんてそんなにない。それでお前たちをどう思っているか、なんて仮に答えたとしてもそれは表面的なものだけで、お前たちが本当に聞きたい答えにはならない」

「…………」


 大人の魔族だけでなく、先程まではしゃいでいた子供たちまで月の話を黙って聞いている。


「……でも、俺はお前たち魔族を。いや、お前たち魔族だけでなくエルフだろうがドワーフだろうが。見た目だけで偏見を持つようなことはしないさ。ただ見た目が自分と違うからって排除する奴らと一緒にされたくはないし。……それに、この子たちはこんなにも可愛いのに」


 月は近くで飴を舐めながら見ている小さな男の子の頭を優しく撫でる。


「……そうか」

「……こんな俺でよければ仲良くしてくれないか?」

「ああ、俺たちはお前を歓迎するよ」


 男の子を撫でていた手を離していた男の魔族に向ける。

 そして男の魔族は差し出されたその手をしっかりと握り返す。

いま、ヤンデレっ子が出ないほのぼの系学園ものの小説がすっごい書きたい…

……書いちゃうか

な、なんとかなると信じて

でわでわまた次回〜


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