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十二話

久しぶりだね!更新遅くなってごめんね!

家の大掃除とか、年賀状描くので(書くではなく、描く!ここ重要!)忙しくて全然書けなかったよ!

ってことで物語スタート!

「……よしっ! 休憩していいぞ!」

「あーっ! 疲れた!」


 場所は、いつも兵士たちが鍛えている広場。

 無精ヒゲを生やしたおっさんの号令で剣を振っていた勇者たちが座り込む。

 声を出していたのは岩井いわいたくみで、今は大の字になって寝転んでいる。

 岩井の他に前衛職のスキルを持った面々。守一もりいちつるぎ伊田いだかたな佐倉さくらかえでらも、座り込んで息を整えている。

 ゆえとメルリーナが城から出ていって夜が明け、勇者たちは魔王を倒すための訓練を受けていた。

 今ここにいない面々は室内で魔法の講義を受けていたり、自分に合った弓を試射して探したりしている。


「しばらく休んだら今度は走るからな」

「うへぇ。……ちょっと厳しくないか?」

「俺はついてこれる内容しかやっていないと思うが?」

「それはまあ、そうなんだけどさ」

「それに、強くならなきゃ魔王なんて倒すのは先の先だな」

「なら、レベルを上げていったほうがいいんじゃないか?」

「そうだったな。勇者たちは何も知らなかったな。いいか? 何もしないでレベルを上げるよりも、鍛えてからレベルを上げるとステータスの上昇率が違うんだよ」


 そう言ってガハハと笑っているおっさんの名前は、グリス・エーズ。32歳で騎士団長の地位に就いている。

 人を見る目があり、その人物にあった鍛え方を指導するのが趣味。

 自ら毎日欠かさずに体を鍛えており、鎧の下には六つに割れた腹筋が。

 騎士団長に就いているため実力もあり、この国で一対一の勝負をして負けることはほぼ無い。


「さて、そろそろ走る……」


 グリスが勇者たちに休憩の終了を告げ、走らせようと声をかけたとき。

 城から爆発音が聞こえる。


「……っは。すぐに行かなくては」

「あの……たぶん、行かなくても大丈夫だと思います」


 呆然としていたグリスだが、すぐに爆発音がした場所へと向かおうとしたが、それを佐倉が止める。


「魔法の講義を受けている勇者の誰かが魔法を使ったからだと思います」

「まぁ……確かに、聞こえた方向にある場所は図書館だが……」


☆☆☆


 時は爆発する十分前まで遡る。

 場所は貴重な本がたくさん保管されている図書館。

 そこで上代かみしろゆう仁志田にしだ孝義たかよし影宮かげみやひびき北条ほうじょううらら白石しらいしこころの5名が魔法に関する説明を受けていた。

 教えているのは、見た目が小学4年生ぐらいの女の子だ。

 ……いや、年を考えたら女”の子”というのは語弊がある

 これで年は29ともうすぐで三十路なのだから。

 オカッパで紫色の髪をしている。白衣を纏い、メガネをかけていて、貧乳だ。


「それで。お前らに魔法がなんちゃらかを教える、ネム・ナリシュだ。私の言うことは黙って聞いておけ。それで何か質問はあるか?」


 勇者たちをイスに座らせて前に立ち、胸を張って勇者たちに偉そうに話しているが……貧乳だ。


「あ、あの……なんて呼べばいいですか?」


 ネムの偉そうな態度に怯えながらも頑張って質問をする白石。


「ああ、そうだな……まあ、ネム。もしくは先生とでも呼ぶがいい。あと、そう怯えるな。別に怒っているわけではない。こういった性格だから慣れてくれ」

「は、はい」


 普段、笑わないのだろう。白石に微笑みかけようとしたらしいが、ぎこちない笑みになってみんなを少し、引かせている。……いや、みんなではなく二人だけだ。

 なぜなら。


「さて、さっそく教えていきたいところだが……おい、男ども。話を聞いているのか」

「「「…………」」」


 ネムに声をかけられても一切反応を示さない男三人。

 何をしているかといえば、今もっているポイントから何のスキルを取るか考えているのである。

 そのため意識が全てそっちに持っていかれ、周りで何が起こっているのかまったく気がつかないでいる。

 北条と白石は何故、男三人が反応を示さないのかわかっているため、これから起こすネムの行動にハラハラしている。


「ちょっと痛い目みないと分からないようだね」


 ネムが指を鳴らすと男三人の頭の上にそれぞれ土で出来た小槌こづちが。

 そしてそれらがネムの指の動きに合わせて振りかぶられ……。


「「「……いで!」」」


 振り下ろされた小槌から鈍い音と共に、男三人はイスから転げ落ち、痛みにのたうち回る。


「少しは反省したか?」

「痛いな! 何しやがる”貧乳”!」

「……あ?」

「あ、まず……」


 仁志田が放った一言。

 その場にいた全員が、何かの切れる音を聞いた。

 次の瞬間、爆発音と共に仁志田の後ろにあった壁が吹き飛んだ。


「何か言ったか? 小僧」

「いえ! 何でもありません!」

「まったく……面倒だな」


 ネムが手を振ると、吹き飛んで穴が空いていた壁が塞がっていき、まるで何事もなかったように元通りになった。


「な、何事ですか!」


 しばらくして、グリスが駆けつけてくる。

 後ろには勇者たちもついて。


「ああ、気にするな。ちょっと魔法をぶっ放しただけだ」

「なるほど、そうでしたか……じゃない! 何をしているんだ……」

「別にいいじゃないか。本は無傷なんだから」

「そういった問題じゃないんだが……」


 納得いかない様子だったが、勇者たちを連れて中庭に戻っていくグリス。


「さて、私たちもそこのバカのせいで時間をつぶしたが、授業に戻るぞ」


 男どもも、イスを立て直して今度はちゃんと話を聞く体勢に入る。


☆☆☆


「あはは。言っていた通りだったね」

「そうね」


 場所は日本でいうところの弓道場。

 壁には大小様々な大きさの弓がある。

 ここでは西木にしき蒼空そら甲本こうもと沙織さおりの二人が教えを受けている。

 ……二人とも、それぞれ弓道とアーチェリーでトップレベルのため、弓を射る事に関してはすでに十分といえるほどだが、あくまで止まっている的に当てることだけなので、動いている的に当てるにはどうしたらいいか、をこれから学んでいくことになる。

 今はそれぞれ自分に合った弓を選び、試射を終えたところで先程の爆発音についての説明を兵士が教えてくれたところだ。

 西木はアーチェリーで使う弓と似たような形をした弓を。甲本も、弓道で使う弓と似たような形をした弓を選んだ。


「二人とも、違う弓を選んだのね」

「はい。同じ弓を使うといっても種目が違いましたので」

「まあいいわ。まさか試射なのに二人とも、全部真ん中を射るとは思わなかったけど」

「……ま、まあ」


 二人とも、弓を射る前に弓術のレベルを最大まで上げていたといったことがある。

 ポイントについて教えていないため、言葉を濁すしかないが。


「動く的に当てる前に、この世界での弓の扱い方を教えましょう」


 彼女、レーチェ・ニゲイルが二人の先生だ。

 金髪のショートヘアで、スタイルがよく、西木と甲本は会ったときに軽く落ち込んだ。


「よく見ていてください。今から二回。矢を的に向けて放ちます」


 一本。矢を放つ。


「これが先程まで試射していた西木さん、甲本さんと同じです。次に」


 先程と同じように矢を放つ。

 ただ、一つ違うことといえば、矢が的に当たった瞬間、矢が的を突き抜けたことだ。


「「……え?」」


 二人は呆然と立ちすくむ。


「これがこの世界での弓の放ち方です……どうかしましたか?」

「い、いま……何をしたのですか?」

「……ああ、失礼しました。魔力感知のスキルを持っている前提で進めてしまいました。すいません」


 二人に頭を下げるレーチェ。


「私は今、矢に魔力を込めて矢を放ちました。この世界ではある程度弓が扱えるものだと誰もが使っています」

「「……魔力を……込める」」


 二人とも矢を手に取り、構えて目を閉じる。


「失礼ですけど、そんな簡単には……。弓をある程度扱えると言いましたが、みんなが最低でも一年は…………え?」


 途中で言葉を止めたのは二人が放った矢が的に当たった瞬間、的が爆発して粉々になったからである。


「……い、いま、何を……?」

「何……って、先程レーチェさんがやったように私たちも魔力を込めたんですけど……」

「貫通……しなかったね」


 西木と甲本が顔を見合わせてえへへ、と笑う。

 今度はレーチェが呆然と立ちすくむ。


「魔力の込め方が違うのかな?」

「もう一回、試してみようか」


 それぞれ違う的の前に立ち、構える。


「「…………ふぅ」」


 心を落ち着かせ、二人同時に矢を放つ。


「「やった」」


 今度は的に当たっても爆発して粉々にはせず、レーチェがやったようにど真ん中を貫通することに成功する。


「まさか、勇者様の成長速度がこれほどとは……」

「レーチェさん。次に行きましょう」

「いえ、今日はもう、終わりにしましょう。予想していたよりも成長速度が速かったのでメニューを作り直します」

「……それは……すいません」

「いえ、私の甘さです。こうなることも予想して複数のメニューを決めておくべきでした」

「ありがとうございます」


 西木と甲本はレーチェに頭を下げ、弓を元の位置に戻してここから出て行く。

 そしてレーチェ一人、残る。


「……練習を始める前に鑑定したときと今では大違いですね」


 西木のスキルは始まる前が。

 弓術 LV3

 遠視 LV2

 気配察知 LV1

 鑑定 LV5

 だけだったのに、終わった後だと。

 弓術 LV5

 魔力操作 LV3

 魔力感知 LV3

 と、弓術のレベルが上がり、二つスキルが追加されているのだから。


 甲本の場合。

 弓術 LV3

 遠視 LV3

 空間把握 LV1

 鑑定 LV5

 から。

 弓術 LV5

 魔力操作 LV3

 魔力感知 LV3

 となっている。


「勇者様たちには何か私たちの知らない何かがある……?」


 レーチェはそう呟いた後すぐに頭を振り。


「そんなことよりも明日からのメニューを考えなければ」


 そう言ってレーチェもここを後にする。そしてこの考えはすでに忘れている。

 ……勘が鋭いが、頭が少し弱く、他のことを考えるとすぐに忘れてしまう残念な子だった。


☆☆☆


「私は今、何をしているのでしょうか……」


 レイナは今、ベッドで横になっていた。外は暗く、部屋もロウソクの火と最低限の明かりで照らされている。他のみんなはすでに寝ていることだろう。

 ただ、そこはいつも使っていた自分の部屋ではなく、城から出て行った月が使っていた部屋だが。


「…………はぁ」


 月が城から出て行ったため、レイナは月専属メイドではなく、他の勇者全員のサポートをすることになった。メイド長は別にいるが、役職としては似たようなものだ。

 月がいなくなり、専属でなくなったレイナが解雇されなかったのは優秀だったためだ。

 そしてその優秀なメイドであるレイナは月の寝ていたベッドで横になり、ぼーっとしている。


「……私も連れて行って欲しかった」


 シーツを強く握りしめる。

 そして目の端から涙が一粒。零れ落ちる。

 今、レイナは勇者たちが召喚された次の日の朝を思い返していた。

 国王に仕えるメイドの家系に生まれ、今まで誰にも優しくされずに厳しく育てられていたレイナ。

 あの時、初めて人に優しくされ、ささくれだち、乾いた心を満たしてくれた月になんともいえない感情が胸の内を占めていた。

 生まれたときから今まで我慢し、氷の中に閉じ込めていた感情もの。その氷が溶けたときの幸福感。

 だけど今は胸にぽっかりと穴が開いている状態にある。


「月様……月様月様月様月様月様月様月様月様月様月様月様月様月様月様月様」


 レイナは名前を連呼するのを止め、涙を拭き、何かを決心した目をする。


「…………ふふっ」


 そして光のない目でどこかを見ながら小さく笑い、目を閉じて眠りにつく。

そういえば、週間ユニークユーザー?

1000人超えてたね!不思議だね!なんでだろうね!

あ、あと、登場人物紹介は随時更新していくから!

ってことでまた次回!

…クリスマス?年末年始?

そんなの関係なく書くね!

書いて欲しいってあったら…書くよ?

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