7月10日 カタツムリの思い人
私とガリガッターは幼い頃からの大親友だ。
クニャール星人の私の両親が、この惑星、『トーロロゴーハン星』に移住してきた時に、たまたま隣に住んでいたのが、ロックン星人のガリガッターの両親だった。
以来、家族ぐるみの付き合いが続き、そんな私達が親友になるのにそれほど時間はかからなかった。
そんな私達はいつも一緒だ当然今日も一緒に行動する予定なのだけれど。
「フニャリー起きろ。約束の時間だぞ」
ガリガッターが私を起こす声が聞こえる、その声に反応して私はなかば無意識に奥へと潜る、昨日は深夜までテレビを観ていて寝たのは明け方なのだもう少し寝かせて欲しい。
「早く起きないと、殻叩き割るよ。」
その言葉に私の意識は急速に覚醒した。
ガリガッター達ロックン星人は、形こそ人型だが、全身がゴツゴツとした岩のような外皮に覆われている、そんな彼等は、非常に力持ちだ、彼女が本気を出せば、私の薄っぺらい殻などガラスを割るように簡単に砕く事ができるだろう、事実、以前酔っぱらった彼女が力加減を間違えて大事な殻にヒビを入れられた事がある。
あんな経験は二度とごめんだとばかりに私は殻から’ニュルン’と飛び出した。
私達、クニャール星人は、この星で言うところのカタツムリという生物に外見が非常に似ていた。
他の星人達は、カタツムリをそのまま人間サイズまで巨大化させれば正にクニャール星人の姿だと口を揃えて言う。
でも、私に言わせればカタツムリとクニャール星人の姿は全くの別物だと断言できる、第一あんな、ぬめっとした生物にときめく事などあり得ないのだ。
まあ、今は、理不尽な外見の話より、ガリガッターをなだめる方が先だろう。
「おはよう、ガリガッター。ちょっと寝坊しちゃった。」
「まったく、今日の話しは、貴女が言い出したんでしょう、早く支度しなよ、」
「はぁい、ちょっと待っててね。」
私の言葉に部屋を出ていくガリガッター、いつものように下のリビングで待っていてくれるのだろう
。
私はすぐさま出掛けるしたくに取り掛かった。
出掛ける準備をととのえリビングへと降りる
「それじゃ、行きましょうか」
そう、言ってガリガッターが殻をつかみ私を持ち上げる。
私の移動速度が非常に遅いため、急いでいる時や、距離が遠い時はいつもガリガッターに運んでもらってる
二本の足で力強く歩くガリガッターを非常に心強く感じる、私はそんな彼女のとなりで殻から目玉と顔だけを出して寄り添うのだ。
今回二人で出掛けたのは、なんと婚活パーティーに参加するためだった。
お互い29歳と言う年齢と彼氏いない歴がイコールな身の上なので参加したのだけれど。
「全く、失礼しちゃうわ、あの木人野郎、あなたの豪腕で握られたら僕の腕が折れちゃいますよ、ですって、男なら耐えなさいよね、どうせ生えてくるんだし」
婚活は見事に失敗、私もガリガッターもパートナーを見つけられず、行きつけの喫茶店で愚痴をこぼすのだった。
ガリガッターの話を聞きながらふと考える、彼女とはいつも一緒だった、彼女の事なら何でも知っている、好きな事から嫌いな事、細かなクセまで知り尽くしている、大雑把にみられがちだが、繊細で細かな事に気がつき、とても優しい女性なのだ、時間に追われて居ない時は歩みの遅い私の隣を共に歩いてくれる、他にも色々とめんどくさい私の頼み事を嫌な顔せず聞いてくれる。
そんなことを考えていたら、私はなかば無意識で声をだしていた。
「今まで言って無かったど、実は私、自分の意思で、女にも男にもなれるんだよね。」
と意味ありげに彼女を見つめる。
彼女は、「えっ!?」と呟いて固まる、やがて私の言った言葉の意味が解ってくると、ゴツゴツした岩のような肌がどんどん赤くなってきた。照れている証拠だ。
やがて、その赤みが最高潮に達した頃、彼女が口を開く。
「えっと、よ、よろしくおねがいします。」
「こちらこそ。」
私達の新しい関係が今日始まった。




