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7月30日 バトルもの試験

キィン


大男がその見た目通りの力強さで放った大剣は、重厚な戦斧に防がれた。二つの接点からは、その外観からは予想できないほどの、軽く澄んだ音が辺りに響き渡る。


「おぉぉぉぉ!!」


少年は戦斧を横に振るう、牽制しつつ、大男から距離を取った。


少年は小柄な体格ながら、巨大な戦斧を自在に振るえる筋力を持っていた。



だが、それ以上に大男の力は強力だった。まともに後数回打ち合えば、こちらが負ける少年にそう確信させるほど。



少年は相手を力ずくで打ち払いなぎ倒す戦い方を得意としていたが、その戦法は通用しないと考えを改める。


戦斧に魔力を込める、すると戦斧がまるで紙でできているかのように軽くなった。


それを確認すると一気に全身に力を込めて、大男へと走り出す。


大男は少年の動きを冷静に見つめている。


少年が横凪に戦斧を大男へと叩きつける、それを大男は大剣で受け止めるが、すぐさま違和感に気づく。


反射的に大男が素早く腕を引く、その瞬間、切り替えされ元の重さに戻った戦斧が腕のあった空間を切り裂く。


少年は、悪態を付く、今の技は数々の強敵を屠って来た実績のある物なのだが相手には通じなかったのだ。


このまま、戦っていても基本的な能力に劣る少年は不利だろう。


ならばと、一気に勝負を決めることにする。


再び距離を取り、戦斧に魔力を込める。


すると、少年の持っている戦斧の柄の部分が自動的に上昇していった。


そして、柄が、戦斧の刃の根元つまり、斧頭の部分までせり上がるとそこで、『パシュー』っと空気の抜ける音と共に停止した。


つまり、大斧は、刃と斧頭そして握りこぶし分の長さにまで縮んだ柄で構成された、なんとも不格好な武器へと変貌を遂げたのである。


そんな端から見たら、明らかに戦力の下がった武器を持って突撃をかける少年。


それを迎え撃つ大男。


少年は、限界まで体をひねり戦斧を振りかぶる正に全力攻撃といった攻撃だ、だがしかし、圧倒的に距離が足らない。


柄が短くなった戦斧では、少年の居る位置からどう振るったとしても大男には届かない、いや届かないはずだった。


少年は戦斧内に留めていた、柄を縮める際に圧縮をかけていた魔力を一気に開放する。それによって戦斧の刃は黄金に輝き、その裏からは魔力がジェットのように吹き出した、戦斧は今この一撃分の時間のみ、伝説の名剣に並ぶ切れ味と強烈な推進力を得た。


それと共に、縮んでいたはずの柄が伸び始め先ほど振るっていた長さよりもさらに長くなる。


相手の振るう武器の間合い、それは戦いに重要な要素だ見誤れば、相手の攻撃を受ける、または、逆に攻撃のチャンスを失う。


そして、少年の振るう戦斧は、大男が相手との間合いを見誤るに十分な働きをした。


斧後部から吹き出す魔力に加速されさらに距離感を狂わされた少年の攻撃、並の人間ならば斧が振るわれたことすら気づかず、気づいたとしても有効な防衛ができないであろうその一撃。


だが、大男はそれに反応してみせた。


大男は、その恐るべき反射神経と戦闘経験で反射的に、自身と戦斧の軌道上に自らの大剣を滑り込ませた。


再び、武器と武器とがぶつかり合う音が辺りに響く、もし第三の誰かがこの光景をみていたら誰もがそう思ったであろう、だがしかし、現実はそうならなかった。


戦斧は大剣に触れると、まるで紙を切るかのようにそれを軽々と切断してしまった。戦斧の刃に込められた魔法の効果である。


そのまま、戦斧は速度を落とさず、いや、速度を落とすはずもなく大男を切り裂く。


はずだった。


少年の戦斧は大男の手前、薄皮一枚という位置で停止している。


見ると大男が戦斧の根元、ちょうど斧の柄が圧縮された時に少年が握っていた部分を同じように掴んでいた。


「弟子よ、やっぱりメイン武器を斧にするのはやめたほうが良くないか。こんなふうに止められちまうぞ」


大男に弟子と呼ばれた少年が返す。


「いえいえ、師匠、今の攻撃の中で斧の柄を正確に掴むなんて普通の人間じゃできませんよ、真剣白刃取りするみたいなもんですよ、できたら化物ですから。」


「しかし、弟子よ、ワシはこれが確実にできる人間を自分以外にもう一人知っておるのだがな。」


「マジっすか、俺その人と敵対したら速攻で逃げ出しますよ。」


「まあいい、一休みしたらもう一度模擬戦するぞ、大剣は使い物にならんし今度は刀で行くぞ。」


「いやいや、刀って師匠のメイン武器じゃないですか。俺死にますよ。」


「なに、そう言って昨日も生き残ったじゃないか、今日も生き残れる、な」


「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


弟子の悲鳴があたりに響いた。

唸れ、天地無双斬の外伝かも。

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