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7月29日 メタモルフォーゼ ~鋼の肉体を持つ男(バカ)~

俺の名前は、マイト・シルバメイタル。


魔法学院の三年生さ、成績はあと少しで退学になるラインギリギリで踏みとどまって居るという、俗に言う落ちこぼれさ。


ろくな魔法が使えない為にこんな成績で甘んじていた俺だったが。


ついに、


そう、ついに。


魔法の力に目覚めた。


目覚めた魔法はメタモルフォーゼと言って体を鋼に代える魔法だ。


なんでもレアで、強力な魔法らしい、


もう、アレだな、チートだ、チート。


この間読んだ小説みたいに、落ちこぼれの生徒が最強の力を手に入れて、モテモテになって、最終的にはハーレムを作り上げる事に決定だな。


そして、その手始めにまず女湯を覗く


なぜ、女湯を覗くかって?


最強の魔法を手に入れて女湯を覗かない男が居るだろうか?。いや、居ない!!


今日は、そのために授業を休んで隣町の温泉旅館に来ている。


出席日数がぎりぎりで落第しかけだったり、隣町のと言ってもかなり距離があるので多額の費用がかかる転移魔法を利用して来たりしたが問題ない。


転移魔法の料金を往復分も知り合いに借金して来たがそれも問題ない。


そうさ、今日の覗きを成功させて、フロンティアを発見出来れば、全てにおいて問題ない、あったとしても後悔しない。


そうして俺は下調べしておいた旅館へと向かう。


この旅館の露天風呂は基本24時間営業なのだが、毎週水曜に一時間だけ清掃を行う。


そして、その一時間のみ侵入者&覗き防止の結界が切られるのだ。


俺はその一瞬を突き、まんまと女湯に侵入を果たす。


そして俺は、見放しの良い一角でメタモルフォーゼの魔法で全身を鋼に変える。


上半身を裸にしてビキニパンツを装着し、両手を上に挙げ力瘤を作る、俗に言うボディービルダーのダブルバイセップスの格好で全身が金属と化した。


メタモルフォーゼは非常に珍しい魔法で専門家以外にはほとんど知られていない。


もしこの姿を湯に入りに来た客に見られても、魔法で変身した人間だと思わずにただの置物だと思うことだろう。


これで完璧、思う存分覗きができるぜ、おっと営業が再開されたようだな。


女湯に人影が入ってきた。


人影は三つ、入ってきたのは三人ともおばあちゃんだった。ちゃんとタオルを胸元に巻いて

いる。


まあ、ばあちゃんのものなど見たくはないが。


時間は現在お昼過ぎ、確かにこの時間帯なら時間をもてあましたおばあちゃんたちが入りに来ても可笑しくない。よくよく考えると俺のストライクゾーンに入りそうな女の子たちが入浴しに繰るような時間ではない。


今すぐ逃げ出したいが、あいにくとメタモルフォーゼの魔法を全身に使うとまったく動けなくなってしまうのだ。


仮に動けたとしても、動いた瞬間に覗きだとばれてしまう。


逃げたくても逃げられない、目を瞑る事もできず見たくも無い映像を永遠見せられ続ける地獄。


俺は、おばあちゃんが帰るまで心の中で悲鳴をあげ続けた。


おばあちゃんたちが帰ってしばらくしてから、また、風呂の入り口付近に人影が現れた。


今度こそ美少女かと思ったら、旅館の仲居さんだった。


まずい、俺は心の中で焦る。


なぜこの仲居さんがお風呂場に入ってきたかは知らないが、相手はこのお風呂場を熟知している。さっきまで無かった鋼の像(俺)がみつかれば不審に思われてしまうだろう。


とか思っていたら、仲居さんは何の迷いも無く俺の元に歩いてきた。


「これが、アイゼンのお婆ちゃんが言ってた、怪しい像ね。」


あれーーー?、なんかいやな予感がする。


「どこかの誰かの転移魔法が失敗したのかしら?まあ、とりあえず捨てましょうか、こんなのあると営業妨害だし」


っく、まさかお婆ちゃん達が仲居さんに報告しているとは予想外だった、しかし、仲居さんよ俺様を簡単に動かせるかな?


「うんしょ、あー重い」


仲居さんが動かそうとするが俺が重すぎて動かせないようだ。


そうだろう、そうだろう、なんたって俺の体は今鋼だからな。


「よし、ストロングっと」


ストロングとは、筋力強化の魔法だ、使えるものは怪力を得て今まで持てなかった物も持てるようになる、つまり。


鋼の像である俺は仲居さんに片手で軽々持ち上げられた。


俺はまるで中身の入っていないダンボールでも運ぶようにらくらく搬送されながら、仲居さんの魔法技術の高さに驚いていた。


いくら筋力強化の魔法を使っていたとしても人間サイズの金属を簡単に運べるほどの筋力などそうそう得られる物ではない、それはつまり、仲居さんの魔法の能力が非常にハイレベルであるということを示していた。ちなみに俺がもし同じ魔法を使ったとしても像を持ち上げることすらできない自信がある。


まあ、俺はストロング自体使えないが。


そんな事を考えていると、旅館裏手の廃材置き場のような所に運ばれてそのままそこに捨てられた。


「これでよしっと、それじゃあ今回は見逃すけど、こんどやったら『こうっ』だからね。」


仲居さんは俺の正体に気づいていたようだ。てか『こうっ』って言った時に仲居さんが近くにあった手頃な岩を殴って粉々にした。


こえぇぇぇぇぇぇぇ、生身だったら漏らしてたな。


この旅館はやばい、一刻も早く離れよう。


俺はそう判断すると、人目に見られないように変身を解いて、逃げ出すのであった。

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