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7月21日唸れ、天地無双斬03

「この武術大会と言うのは特にレベル制限を設けてはいないのだろう、ならば、ワシも出場できるはずであろう。」


納得がいかないと怒鳴り散らす筋骨隆々の大男に、武術大会の職員達は困り果てていた。


ゴウリキは背が高く体格もがっしりしている、そんな大男が不満を爆発させて詰めよって来ている、大概の者ならば腰を抜かしてへたりこんでもおかしくはない迫力があった、だと言うのに目の前の赤髪の職員は涼しい顔をして対応している。


これは、彼のの胆力が物凄い、と言うわけではない、ゴウリキのレベルの問題であった。


彼のレベルは現在22になっている。


この世界では、レベル差と言うのは絶対的な実力差の事を表す。


そう、たったレベル22の雑魚が、レベル50以上の人間でのみ構成されている大会職員達にかなう訳が無いのだ、普通ならば。


ゆえにゴウリキに対して駄々をこねる子供を相手にするような態度を職員達がとっても仕方の無いことなのだ。


「連れのアンタもなんとか言ってやれよ。」


ほとほと困り果てた、赤髪職員は男の連れである女性、キリノハに声をかける。


「私も武術大会に出るつもりなのですが駄目なのでしょうか?」


「因みにあんたのレベルは?」


「今はレベル30ですよ。」


予想外の答えに頭を抱える職員。


「あんたもかよ、この世間知らずが。」

思わず叫ぶ職員。


「良いか、武術大会は誰でも参加できるって言われているがな、実際に出られる奴等は決まってるんだ。」


「レベルの高さがそのまま、実力なんだよ、大会に出る奴は、全員レベルキャップが80で限界までレベルを上げた奴らばっかりなんだよ、時々、レベルキャップが90の奴が現れて優勝をかっさらう、それだって10年ほど前に当時13歳の少年が優勝したんだ。どれだけレベルが大事か分かるだろう、お前らみたいのが出てもまともな戦いにすらならないよ。」


因みにレベルキャップ80は一万人に一人、90は100万人に一人の才と言われている。

レベル100を超える者と言えば、物語や伝説と言ったレベルの話になる。


そんな職員の説得にも関わらず。


「もちろん、そいつらと戦うためにきたからのう」

と、ゴウリキ。


「レベル80、懐かしい言葉ですね。」


とキリノハ。


「ああ、もう」


再び頭を抱える職員。


そこへ、別の黒髪の女性職員が声をかける。


「もう、良いじゃありませんか、これだけ言っても無駄なら、大会に出させて現実を思い知らせれば。」


この職員も穏やかに話しては居るが内心はイライラしていた。


「さっさと、受付を済まして負けて帰って下さい。」


訂正、イライラが口から出ていた。


二人はその職員の態度に苦笑しながらも素直にそれに従う。


そうして、金属でできたちょうど人がひとり通れるくらいの長方形の前に連れてきた。


「お二人のレベルカードは先ほど頂きましたので、次はこちらのマジックアイテム検知器の枠内を通ってください。えっと、まずは、ゴウリキ・アカツキさんから。」


手に持ったゴウリキのカードを見ながら指示する。


指示通り、ゴウリキが金属の枠の中を通ると。


ビィーーーーーー。


高い警告音が響く。


「むっ?」


「ゴウリキさん、何かのマジックアイテムを所持していますね?今大会ではマジックアイテムの使用は禁止されています。即刻、外してください。」


赤髪職員は鋭く指摘する。


「たしかに、この腕輪がそうだと思うが、これを外してしまうと、まともな勝負にならなくなるのだが。」


ゴウリキのその言葉を聴いて、赤髪職員は憤慨した。


ゴウリキが強力なマジックアイテムを使用して不正に勝利を納めようとしていたのだと勘違いしたのだ。


彼は大会職員として誇りを持って仕事をしていたその為、特に悪びれもせず不正を告白するゴウリキに怒りを覚える


マジックアイテムは本来、足りない力を補う為に装備するものであった為、自らの力を封じる為に使うなど、頭の済みにも無い考えだった。


「そのマジックアイテムを即刻外しなさい、あなたもです。」

職員は敵意も隠そうとせずに、ゴウリキとキリノハに命令する。


「外してしまうと修行の意味が無くなるのだが。」


とまだ、訳の分からない言い訳を続ける、ゴウリキに今にもつかみかかりそうなほど剣幕で再び命令する。


職員は、レベル不足で大会に出ようとすることやその態度、そして、何よりも不正を働こうとしている事に対して痛く怒りを感じていた。


「外さないのならこの場で永久に出場資格を失って頂きます。」


「やれやれ仕方がないのうか。」


そう言って四つの腕輪を外すゴウリキ、その後ろでは、キリノハが3つの腕輪を外している。


赤髪職員は、鬼のような形相で、二人が不正をしないか監視している。


ゆえに気づかない、隣の黒髪職員が二人のレベルカードを見つめ今にも気絶しそうなほど青い顔をしている事に。


二人は、マジックアイテム探知機をくぐり、今度は問題なく通り抜けられる。そして、ゴウリキは一言。


「通れた事だし、本選は腕輪をしても良いか?」


なんとも自分の立場を分かっていないような彼の一言に、赤髪職員は本気で掴み掛かろうとするが、黒髪職員に必死に止められる。その顔は今にも泣き出しそうだった。


「マジックアイテムを装備して本選に出るなって言ってるだろう、反則になるんだよ!!、もういい帰れよ!!!」


手を出せなくなったが怒りを露に怒鳴り散らす赤髪職員、そこへもう一人の職員が割って入る。


「落ち着いて、落ち着いて、とりあえずこのカードを見て。」


泣きそうに懇願する同僚からレベルカードを受け取り、怒りの収まらぬままに、カードを見る。


レベルカードにはこう記載されている。


『キリノハ・リンド レベル240』


もう一つの方には、


『ゴウリキ・アカツキ レベル352』


声が聞こえる、いまだに興奮した頭では誰の声だか分からない。


「彼らの外した、マジックアイテムをよく見ろ半減の腕輪だ。高レベル犯罪者に使うアレだよアレ。」


腕輪の方に視線を送る、確かに半減の腕輪だった、本来は、手の着けられない高レベルの犯罪者に一生付けれる物だ、それも本来は一つだけ。それが3つと4つ。


しばし、思考が止まる。ギギキっと錆び付いた音をたてそうなほどゆっくりと、二人組の方を見る。


二人はなんだか居心地の悪そうな、愛想笑いのようなものを浮かべていたようだが、よく分からない。


なんとなく思考が動きだし、半減の腕輪が4つで、今が22にだったから、倍の倍の倍の倍で。


視線が手元のレベルカードへ戻ってくる。


カードにはこう記載されている。


『キリノハ・リンド レベル240』


もう一つの方には、


『ゴウリキ・アカツキ レベル352』


あえてもう一度言おう、この世界ではレベルの差が絶対的な実力の差であると。


ようやく思考が追い付いた彼は泡を吹いて気絶した。

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