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7月20日唸れ、天地無双斬02

その山で目的の人物を見つけ、キリノハは彼に声をかける。


「そこに居られるのは、ゴウリキ殿ではありませんか?」


麓の町で彼の存在を聞いていたが偶然出会ったかのように声をかけるキリノハ。、わざわさ追いかけて会いに来たと知られるのは少し恥ずかしかった為である。


「おお、久しぶりであるな、キリノハ殿、その後、健勝であったか?どうぞ、そちらへ」


昼飯の途中であったゴウリキは、彼女を迎え入れると、自らの座る場所から焚き火を挟んだ反対側へと導いた。


「お陰様で、あなたに教えていただいた方法で無事にレベルキャップの制限も突破し、現在レベル240になりました。」


キリノハとゴウリキが初めて出会い、そして、彼のレベルを知った出来事。


その後に、キリノハは彼の強さの秘密を聞き出したのであった、すなわち、どうやってレベル320にまでなったのか、なぜレベルを下げて戦っていたのか、あの技はなんなのかと言うことだ。


彼女の質問にゴウリキは丁寧に答えていく。


彼は元々レベルキャップが90だったが、限界レベルまで達してもそれを気にせずに修行をしていたら、いきなりレベルが100ほど上がり、≪レベルキャップ上限突発≫のスキルが手にはいったそうだ。その後は、普通にレベルが上がっていったらしい。


レベルを下げて戦っていたのは、彼の目的に原因があった。


『ドラゴンを倒す。』


それがゴウリキの目的だった。


ドラゴンそれはこの世界における最強の魔物、レベルは軽く800を超え、その牙や爪は、あらゆるものを切り裂き、分厚い鱗に守られた体はその牙さえ弾き返す、更には口から炎のブレスを吐き辺りに一帯を火炎の地獄に作り替えるという。


ゴウリキははレベルが300を超えた辺りから急激に上がり辛くなっていることに気づいた、このままでは、寿命が来るまでにドラゴンと同じくレベル800にたどり着くのは不可能だと考えた、ならば、レベルが低くてもレベルが上の者を倒せるようになれば良い、そのための修行。


そして、最後にあの技は、ドラゴンのブレスを防ぐために作り上げた技であった。


ゴウリキの全力での天地無双斬を見ていたキリノハは、アレだけの威力ならドラゴンくらい軽く倒せるんじゃ無いの?と思ったが、言わないでおいた。


実物を見たことも無いのに勝手な事を言うべきでは無いと判断したからだ、ドラゴンがあの天地無双斬でさえ片手であしらえる程の化け物である可能性もあるのだ。


ゴウリキはその後も、キリノハの質問に快く答え、2日ほど町に滞在した後に旅立って行った。


そして、キリノハも町外れにできた大穴や、犯罪グループな後始末、警備隊への引き継ぎを済ませると町を旅立った。


もっと強くなるために修行の旅に出ることにしたのだ。レベルキャップの為にもう上がらないと思っていたレベルが上昇する可能性がある事や、ゴウリキの剣技を見て自分ももっと修練できると思い至ったからだ。


そして、一年ほど旅をして、フラりと立ちよった麓の町でゴウリキの噂を聞いた為に追いかけて来たのである。


ゴウリキに勧められるまま、お昼ご飯を頂く、ちなみにおかずは、何かの動物の肉を焼いたものだ。


「ゴウリキ殿、これから少しお時間はございますが?実は一つ技を産み出しまして、それをゴウリキ殿に見ていただきたいと思っております。」


食事を終える頃をみはかり話を切り出すキリノハ、それに快く受けるゴウリキ。


「よかろう、ワシもその技とやらを見て見たいからな。」


焚き火を消し、戦いやすいよう広い場所へと移動する。互いに武器を構え。


「どうぞ、天地無双斬を放ってください。」


キリノハの自信ありげな宣言に驚くが、わざわさ言うのだからと、手加減しつつも技を放つ事にするゴウリキ。


「ゆくぞ!!天地無双斬!!!」


「行きます、はっ!!!」


ゴウリキの産み出した竜巻をキリノハの斬撃が切り裂く。


「お見事!!!」


ゴウリキが褒め称え、それにキリノハが満足そうに頷く。


「天地無双斬を参考に私が作り上げた技です。破山と名付けました。」


「そうか、流石キリノハ殿ですな。」


そんな会話をしていると、物音を聞き付けたのか岩場の影より魔物が現れる。


その魔物は、全長が五メートルほどあり、トカゲのような姿で、赤い鱗におおわれていた。


口元からは鋭利な牙が覗き、背中にはコウモリのような形の巨大な翼、長い尻尾は強靭にしなり、叩きつけただけで近くの岩を砕いていた。


「ふむ 、赤トカゲかこやつでの修行も十分したことだし、そろそろ山を降りるかな。」


「あの魔物、赤トカゲと言うのですか?山を登る間に二、三匹倒しましたがわざわざ修行相手にするほど強くは無いようですが。」


シャャャャャャ、っと、声を上げて威嚇している赤トカゲを全く恐れずに会話を続ける二人。


「うむ、以前話した、『ドラゴンを倒す』という目的の為にな、赤トカゲは勝手にワシが読んでいる名で本当の名は知らぬが、こやつはドラゴンと一緒で炎を吐くらしくてな、本物の前にこれらで練習をしておるのだ。このようにな」


赤トカゲの口元から焔が吹き出る、頭を振りかぶり凪ぎ払うように振ると同時に口を開け、炎のブレスを解き放つ。


それを天地無双斬で迎え撃つゴウリキ。


結果、産み出された竜巻は、炎どころか赤トカゲさえも巻き込み吹き飛ばした。


それをさも当然という様子で見守っていたキリノハは、一つ疑問に思った事を聞いてみた。


「そういえば、ドラゴンはどの様な姿をしているのですか?」


キリノハは、ドラゴンがどの様な容姿をしているか知らなかった。


それに対するゴウリキの答えは。


「知らぬ。」


予想外の答えに肩透かしをくらうキリノハ


「知らぬが、相手は伝説とまで言われる魔物だ、きっと山のようにでかく、一目見ただけでそれだと確信できるにちがいない。」


ゴウリキの言葉にキリノハはうなずく、確かにゴウリキが全力を持って戦うと言うのなら、山一つくらいの大きさが無ければ張り合いがないと思ったからだ。そして、それほどの魔物ならば自分も一目みたいとも思う。


「ゴウリキ殿、もしドラゴンと戦う事になったら私にも一声かけてください。」


彼女の言葉に力強くうなずくゴウリキ。


「うむ、ドラゴンと戦う事になったら、きっと一声かけよう。」


「そ、それで、見事ドラゴンを討伐したあかつきには、わ、私と、け、けっ、こ」


話の途中から赤くなりだす、キリノハを不振そうに見つめるが、彼女がコホン、と一度、咳をするといつもの調子に戻り別の話題を振って来たのでそれ以上気にしなかった。


「ゴウリキ殿はこれからどうされるおつもりですか?」


「ふむ、西の都で武術大会が開かれれらしいので、それに出ようかと思っておるぞ」


「そんなものが西の都で、ならば私もそれに出場してみたいですね。」


「ならば、キリノハ殿、共にに行かぬか?」


「ええ、ご一緒致しましょう。」


そうして彼らは二人そろって下山するのであった。



麓の町にて。


一旦、麓の町まで戻ってきたキリノハは、宿に預けていた自分の荷物を取りにゴウリキと別行動をとっていた。


「ちょいと、お嬢ちゃん、無事たのかい?よかったよ。」


そんな彼女に声をかけてきた中年の女性が居た。以前キリノハにゴウリキの事を見たと言った女性であった。

彼女は、キリノハの様子を一頻り確認すると再び安堵の声をもらす。


「ああ、よかったよ、まだ、山には行って無いようだね。」


山頂まで行って降りてきた所ですとは言えそうに無い雰囲気なので適当にお茶を濁す。


「ええ、まあ。」


「良いかい?お嬢ちゃん、あの山には入っちゃいけないよ、あの山には世にも恐ろしい伝説の魔物、ドラゴンが住んでいるからね」


彼女の口から出てきた聞き捨てならない単語にキリノハは驚いて言葉を返す。


「ドラゴン!!!」


「そうさね、鋭い牙と爪を持ち、硬い鱗におおわれていて、炎を吐く化け物さね」


キリノハは嫌な予感がして聞き返す。


「もしかして、トカゲみたいな姿で、コウモリのような羽を持っていて、おおわれている鱗は赤かったりしますか?」


「よく知ってるわね、そうよ、そのドラゴンが住んでいるのよ。」


語られた事実に目眩がする、この女性は、自分が山に行っている間にドラゴンを軽く五匹は狩ったと告げたらどんな顔をするのだろうか。


(まさか、赤トカゲがドラゴンだったとは、とりあえず、この事実はゴウリキ殿には話さないでおこう。)


キリノハはそう心に誓いその場を後にするのであった。

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