7月17日四葉学園文芸部03
「『とある12人の妹魔法少女が全員男の娘な訳がない。』と言うタイトルの新作小説だ。読んでみてくれ部長。」
吹雪がいつも通り、自信満々で提出した小説、特にそのタイトルに関して、花火は軽く目眩を感じたが、今回は「却下です」とは言い出さなかった。
なぜなら。
「今回は、僕との合作だから内容は安心して良いよ。」
そうなのである、あまりにもエッチな内容(小学生レベルのエロさ)の小説を書いてくる吹雪に、花火がついに対策をしたのだ。
具体的には、紅葉と吹雪の合作で小説を書いてもらい、内容がエッチにならないように紅葉に監視してもらっていたのだ。
だと言うのにだ。
「えーと、この小説のタイトルは一体何でこうなったの?」
タイトルからしてなんとなくダメそうな気配がする。
花火はなんでこんなタイトルになったかを吹雪と共に小説を作り上げた少年、紅葉に聞いてみる。
「なかなか良いタイトルでしょう、人気のある小説や事柄をいろいろ混ぜてみましたた、ちょっと古いのもありますが。内容についてもなかなか良くできていると思いますし、ああ、もちろんエッチな内容も入れてないですよ。」
満足げに答えるも紅葉を見ながら、花火は俺の失敗を覚る。
吹雪は、今はエロい小説ばかりを好んで書いているが、一年の時は全く違うジャンルの小説を書いていた、典型的なファンタジー小説で技術は拙くはあったが、キャラクター一人一人の個性付が上手くとても印象に残る内容の小説を書いていた。
花火はそんな彼の小説をもう一度読みたくて、紅葉との合作を指示したのだ。
エロに走りやすい吹雪を制して更に、紅葉の高い技術力で出来上がる小説のクオリティーを高めてもらおうとも考えていた。
だが花火は失念していた。紅葉は書く技術は高いのだがその内容がネタに走りやすい傾向がある事を、更に吹雪が関わるとその傾向が加速されるという事を。
確かに内容がエロに走ることは無かったが、紅葉がネタに走りだし、そのバックアップを吹雪が行うといった二人の相乗効果によって、花火の目論見とは全然違う方向に小説が作られていったのである。
(どうしてこうなった、吹雪君と紅葉君の合作ならまともなのができると思ったのに、もう一度、吹雪君に一人で書いてもらって・・・いいえ、どうせまたエッチな小説を書いてくるだろうし、なら、私と合作を・・・そうすると製作途中からエロな内容になりそうだし却下、桜花ちゃんとの合作は論外だし、後は一年の誰かと合作を・・・・・)
そんな事を、花火が考えていると、たった今論外扱いされた、桜花が声をあげる。
「この小説って、挿絵も付いてるのね。」
桜花は問題の小説を先に読み出していたようだ。
「ああ、なかなかいい出来だったので挿絵も入れてみたんだ、書いたのは一年の四季君ですよ」。」
桜花の問いに答える紅葉。
「ていうか、この挿絵に出てくる何人かの女の子、全員花火に似てない??」
「ほら、タイトルにあったでしょう、12人の妹って、だからみんな姉妹なので顔が似ているんですよ、まあその顔のモデルは、花火部長みたいですけどね。」
「へぇ、ちょっと、四季くん」
紅葉の話を聞き、好奇心が刺激されたのか四季を呼ぶ桜花。
ちなみに、描写されていないが、文芸部は、四人以外にも、各学年数人づつ在籍している。今回呼ばれた、四季 巡もその一人だ。
巡は何やら書いていた作業をやめて、桜花のもとへと来た。
「先輩どうかしましたか?」
「今ね、四季君が書いた挿絵について話してたのよ。」
「そうなんですか?恥ずかしいですね。」
「特に花火ちゃんをモデルにしたキャラの絵とか本人の特徴をうまく掴んでると思うわ」
桜花に褒められて、恥ずかしげだが笑顔を見せる巡。
「花火部長って書きやすいですから、今、吹雪先輩と紅葉先輩の合作小説が面白かったから、それの同人本を書いているんですけど、スムーズに制作進んでいますよ。」
「同人本??」
巡の言葉に怪訝な表情を示す桜花、なんとなく嫌な予感がするのだ、紅葉の方を見ると、彼も知らなかったことなのか、同じような表情で後輩を見つめている。
「・・・・よかったら、見せてもらえるかしら?」
「今、書いている途中なので、完成してからじゃダメですか?」
「えっと、できることなら今見せて欲しいかな?、防衛ライン的な意味で。」
「?、わかりましたそこまで言われるのならお見せします。」
巡は、先ほどまで書いていた用紙を取りに行き、桜花の元まで戻ってくるとそれを手渡した。
「はい、アウトーーーーー!!!」
なんとういか、バリバリだった、バリバリの18禁の同人本だった。
なんでこんなの書いてんの?こいつとか言う意見はおいといて、あまり高校生が見るような内容では無い、というか、ピンポイントで花火にだけは絶対に見せられない。
吹雪のエッチな小説(小学生レベル)でも赤面し大変なのに、バリバリ18歳未満閲覧禁止な内容なうえメインのヒロインが花火に非常によく似た少女であるという点も重要だ。
こんなのを花火本人に見せたら、どのような事態になるか想像も付かない。
(ちょっと見せたい気もするけど、さすがに友達としてやめておくわ)
桜花が非常に珍しく友情を発揮し、花火に知られずにこの危険な本をどう処分しようかと考える。
「えぇ、だめなんですか?ボクの自信作なのにぃーーー!!」
「高校生なのだからもうちょっと抑え目な同人本にしてほしいわ、特にある人物の為にも」
「抑え目な本なら、今書いている同人本を書き終わった後に書きますから、続きを書かせて下さいよ」
といった、感じで桜花と巡が押し問答していると。
「どうしたの?何かトラブルでもあった?」
そこへ花火がやってくる。もともと面倒見が良い彼女は何かトラブルがあると解決しようと積極的に関わってくるのだ、ある意味ありがたい存在ではあるのだが、トラブルの元が彼女を大暴走さる可能性の非常に高い危険な爆発物であったため、今回だけは関わって欲しくなかった。
「大丈夫よ花火ちゃん、ちょっとした事だから、気にしなくて良いわ。」
やんわりと、花火の介入を断ろうとする桜花、そこへ巡が抗議の声を上げるが。
「花火部長聞いてください、桜花せ・・・・「大丈夫ですよ僕達でも解決できる、簡単なトラブルなので、わざわざ部長の手を煩わすほどのものでもありませんから。」」
すかさず、紅葉が桜花のフォローに回る、彼もさすがに、花火にあの禁書を見せるべきではないと判断した。
「そ、そうなのじゃあ、私はあっちで・・・・」
「花火部長待ってください、この本を読んでください!!」
「あ、こら!!」
二人の気迫に押され離れようとする花火、そこへ隙を見て同人本を取り戻した廻が、彼女にそれを見せようと迫る、それを必死に阻止する。桜花と紅葉。
三人の同人本をめぐる争い、訳が分からずおろおろする花火。
そんな、混乱の渦中にある現場を収めたのは、ただ一人の少年だった。
「なにやってるねん、この騒動の原因はこれか?」
吹雪は、攻防を続ける三人の隣にふらりと現れたかと思うと、まるで手品のように、原因であろう本をスルッと抜き取った。
そして、手に取った本の表紙を訝しげに眺めた後、本を開いく。
「ん?え!は?きゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
吹雪がまるで漫画の一ページのように盛大に鼻血を吹き出した。そして、そのまま床に倒れると気絶した。
どうやら、同人本の内容は彼にとっても少々過激すぎたようだ。
あまりの出来事に一同が唖然としている中、一番最初に復帰したのは桜花であった。
「花火ちゃん!!吹雪君を保健室に運んで!!そこのあなたも手伝って。」
「「は、はい!!!」」
花火と近くにいた一年に指示を飛ばす、その間に、自分は、鼻血まみれの同人本を回収すると同時に、廻を捕獲。
「え?あ?」
花火と一年が吹雪を保健室へと連れて行ったのを見計らって、いまだ呆けている巡へ桜花と紅葉のお説教タイムが始まるのであった。
四葉学園文芸部の面々は、今日もまた混乱の隙にいろいろなことをうやむやにするのであった。




