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Ⅱ【goodbye my normal life】

第2話となります。楽しんでください。


■□■□


とりあえず、何故こんなに俺が強いのか疑問に思っている読者諸君のため、その疑問に答えよう。だが、その為にはまず俺の家の事情について話さないといけない。

まず、俺の家は約30坪の敷地面積にその1.5倍大きい古武術道場が隣接している。

その古武術道場は江戸時代初期からあり(真実かどうかは怪しいが)今の十代目当主月影信越しんえつが俺の親父だ。

俺はこの親父に幼い頃から虐待とも言える修行をつけられてきた。時には、山の中で一週間過ごせだとか、熊と素手で戦わさせられたり。

よって、徒手格闘は勿論、刀や槍などの使い方も知っていたりする。それによって、俺は門下生の中では敵無しでこの頃は、親父にさえ段々倒せるようになってきた。まあ、そんな家の事情によりそんじょそこらの不良やチンピラなんかRPGのスライム相当の強さにしか思えない。

はい、説明終了~!理解できた?まぁ、理解出来なくても先に進むけどね。


―――自室―――


時刻は7時半、俺はとても腹が減っていた。

「ヤバい……、腹と背中がくっつく~、餓死する~」

と、そんな冗談を言っていると、俺のケータイが不意に鳴った。名前は【焔 雫】

「はいぃぃぃぃ、もしもし……」

『うおぉぉ!?どした!?そんなこの世の終わりみたいな声出して』

「うるせ…、お前なぁ、俺はまだ飯食ってねぇんだよ」

『それはお疲れ様~、というかお菓子でも食えよ?ポ〇チとか』

「無いんだよ……、残念ながら」

『ドンマイ!』

「うるせえ!!…で、なんか用があったんじゃねーの?」

『そうそう、お前あの後大丈夫だったのかよ!?』

雫は、心配そうに聞いてきた。俺の家の事は知っているだろ……と、脳内ツッコミをしつつ

「あぁ、大丈夫だよ。そんな心配そうにすんなよ」

俺は、そう言い元気付けようとする。

『そうか?ならいいんだけどな』

と、こんな事を話していたら、一階から待ちに待った「ご飯~」というお袋の声が聞こえてきた。

この時ばかりはお袋が天使におもえるぜ……。

「じゃあ雫、俺飯だから切るぞ~」

「あぁ、また明日な」

と、言って俺はケータイを閉じる。

……今日の飯は何かな~。


―――道場―――


さて、俺は飯食った後、親父と二人で食後の運動にいそしんでいた。

道場の中では、親父と俺が木刀と防具をつけ手合わせをしていた。

「はぁっ!」

俺は親父に向かって走り出す。

「ふんっ!」

しかし、親父は俺の動きを見切って、打撃を避け、俺の小手に攻撃をしてくる。

「こてぇぇぇぇぇっ!!」

俺は思わず舌打ちして、なんとか避けるが、その間にもう一回放ってくる。

「めえぇぇぇぇんっ!!」

ばしぃぃっ!!と、きれいな音が道場中に響き渡った。

「今日は俺の勝ちのようだな」

そう言い、親父は防具を外して俺に歩み寄ってくる。

この男が十代目当主、月影信越だ。性格が悪く嫌みな親父だ………残念ながら。

年齢は39歳

「くそっ!!もう一回だっ!!」

「まあ待て。そろそろ風呂だろう」

確かにもう8時半を超えている。

と、その言葉を待っていたかのようにアルトボイスが道場中に響く。

「信越さん、レイちゃん、お風呂ですよ~」

「お袋!!いい加減レイちゃんって呼ぶの止めろよ!?」

「なっ、レイちゃん、反抗期ですか?そんなことお母さんは許しませんよ!!」

「そうだぞ冷治、母さんを悲しませたらだめだ!」

「流石、信越さんです!愛してます♪」

「ありがとう、俺も愛してるよ」

そう言って、ひしっ!と、抱きしめ合う親父とお袋の二人。

………そう、この無駄にテンションが高い人が俺のお袋―――月影 瑠璃るりだ。

親父が十代目当主になる前にお袋が門下生として入って来てそれが運命の出会いだったとお袋が言っていた……たぶん。

そして親父もそんなお袋にデレデレなのだ。

俺の横でラブラブオーラを出してるこの状況がいい証拠だ。

「………と、いうかさぁ、他所でやってくれないかなぁ!?俺の当てつけか!!」

「なぁに、そんなカリカリして、ねぇ? 信越さん?」

「そうだぞ、冷治。別に俺と母さんはイチャイチャしてたりしてないぞ?」

「と、思うなら、そのニヤケ顔なんとかしやがれ!」

俺がそう言ったら親父は慌てて顔を直し始める。

「はぁ………、風呂入ってくる」

その後、俺はさっさと風呂に入って寝た。

……何か嫌な予感を抱えながら。


■□■□


翌日、雫と二人で学校に行くとクラスの中が妙にざわついていた。

その理由はすぐにわかった。

それは、俺の机に書きこまれた酷い誹謗中傷の数々だった。

「おい、レイどうしたん……………!?」

雫も俺の机を見て、言葉を無くした様子だった。

しかし、その顔は徐々に怒りで歪んでいく。

そして雫は出口に向かって歩き出した。

「おい、お前どこ行く気だよ」

俺は慌てて雫を立ち止まりさせる。

「体育館裏だよ!」

やっぱり………

「止めとけ」

俺はそう言って諭す。しかし

「何でだよ!?絶対アイツらだぜ!?」

「まだ、あの不良達がやったという証拠が無い」

「何でお前はそう冷静でいられるんだよ!お前は悔しくないのか!?」

…………そうだ、俺も悔しくない訳が無い。でも、

「でも、次はお前がこんな事されるんだぞ!!」

「だけど!」

「頼む………」

「…………わかったよ」

「ありがとな」

「………………」

雫はそのまま席に座ってそのまま黙りこくった。

そして、俺と雫はそのまま何事も無く今日の授業を消化していった―――――


■□■□


俺は放課後、珍しく一人で帰って、公園に来てベンチに座っていた。

「にぁぁーー」

俺の目の前には幸せそうに野良ネコが、キャットフードを食べていた。

「はぁ、癒やされる~」

こんな光景を見ていると、怒りや悩みなんかが、消えていく。

…………そう思えるあたり、俺もそろそろ末期なのかも知れないがと、苦笑する。

そんな事を、考えいると、疲れていたのか徐々に睡魔が襲ってきた。

「ん~、眠い………」



「――――ん~?」

俺はまぶたを擦りながら周りを見渡した。

いつの間にか寝てたみたいだ。

「げっ、もう7時過ぎてるし」

もう空は夕陽に照らされていた。

俺は急いで公園を出て、道路を渡り帰路についた。しかし―――

「やっべ、キャットフード忘れた」

俺はキャットフードを取りに戻るため、道路を渡る。

「ラノベだったら、ここで偶然素敵な美少女と出会うんだけど」

しかし、そんな淡い幻想は真横の曲がり角を猛スピードで走ってきた車によって打ち砕かれた。

停止無しの堂々の道路交通法違反。

そして、車は俺の方へ曲がってくる。

ようやく運転手も気づいたようで、ブレーキを踏み始め、ブレーキ音が鳴り響くがもう手遅れ。

「うそ…………だろ?」

そして俺の視界が黒く染まった。


■□■□


…………………俺、死んだのかなぁ。

でも、意識あるし。

あっ!あれかな、転生って言うやつ。

…………んなわきゃねぇか。

天国か地獄だろ~な。

……親父とお袋、大丈夫かなぁ。

お袋は号泣して、親父はどうだろ?以外にも泣きそうだな。

はぁ、死ぬのは嫌だな。

そんなことを考えていると、急に眠気が襲ってくる。

………あっ、雫にまだ約束のギャルゲー借りてなかった。

そんなくだらないことを思いつつ、俺は意識を手放した。

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