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神话が史実の世界に召喚されたので、 神域を渡り歩いて神々の問題を解決することになった  作者: いちごオレ
プロローグ

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1/5

神は死んだって聞いたんですけど?

最初に思ったのは、

「あ、これ夢だ」

だった。


だって、目を開けたら空だったから。


雲もない。太陽もない。あるのは、どこまでも広がる青と、星みたいな光が点々と浮かぶ意味不明な景色。


「……いや、夢だろこれ」


そう呟いた声が、やけにちゃんと響いた。


息ができる。声も出る。

心臓がバカみたいに速く打っている感覚も、リアルすぎるくらいリアルだ。


恐る恐る足を動かす。


――踏めた。


地面は見えないのに、足の裏に確かな感触があった。

慌ててもう一歩出す。普通に歩ける。


「……なにこれ……」


一気に背中が冷たくなった。夢にしては感覚が生々しすぎる。でも現実にしては、あり得なさすぎる。


「ねえ、落ち着いて」


肩のあたりから、声がした。


「……っ!?」


叫びかけて、喉が詰まる。


振り向くと、そこにいたのは――小さな獣だった。

猫くらいのサイズで、毛はふわふわ。額に変な光る模様が浮いている。


「……ぬいぐるみ?」


「生きてるよ」


「喋った!?」


思わず後ずさると、身体がふわっと浮いた。


「うわっ!? え!? 浮いてる!?

 ちょ、待って、待って待って!!」


腕をばたつかせると、空気を掻く感触がある。

泳ぐみたいに動かすと、身体が変な方向に進んだ。


完全にパニックだった。


「落ち着いてって言ったじゃん」


「無理に決まってるだろ!!

 なんだよここ!! どこだよ!! お前なんなんだよ!!」


「質問多いなあ」


獣はため息をついた。


「僕はチム。君のガイド役。

 で、ここはアストラル界」


「知らねえよそんな場所!!」


「君たちの世界で言うと、

 “神話が現役で動いてる世界”かな」


「……は?」


頭が追いつかない。


神話?現役?


「ちょっと待て、俺さっきまで大学のレポートやって――」


「うん、召喚されたね」


「軽く言うな!!」


叫んでから、気づく。


――逃げ場がない。


地面もない。建物もない。

帰り道なんて、当然ない。


「……なんで、俺なんだよ」


声が少し震えた。


「ただの一般人だぞ。

 勇者でも天才でもない。文学部だぞ?」


「知ってる」


チムはあっさり言った。


「進藤傑、二十歳。大学生。

 特別な経歴なし」


「じゃあ余計意味わからんだろ!!」


「だから選ばれた」


「意味が増えたわ!!」


チムは気にせず続ける。


「この世界の神々は、今三つの派閥に分かれてる」


空間に、淡い光が走った。


「人間界を一度滅ぼして作り直す“滅ぼし派”。

 何も変えず様子を見る“中立派”。

 それでも人間を信じたい“救済派”」


「…………最初から物騒すぎない?」


「うん。で、君を呼んだのは救済派の神」


「その神に言っとけ。人選ミスだって」


「無理」


 即答だった。


「じゃあ俺は何すればいいんだよ」


「神々を説得する」


「神だろ?俺、教授すら説得できたことないんだけど」


「君はこの世界で、かなり特殊だから」


「へー、ナニガトクシュナンデスカ?」


「祝福を受けてないんだよ」


「……は?」


「本来この世界に存在するものは、必ず神の祝福を受ける。でも君だけがない。」


「……俺だけ?」


「うん」


「それってさ、

 俺だけ祝福もらえなかったの、

 “何か使命があるから”とか――」


「忘れてただけらしいよ」


「は?」


「君の世界の神がね。

 忙しかったんじゃない?」


「ふざけんな!!

 人生の伏線みたいに言うな!!」


チムは悪びれない。


「結果的に、その“祝福の空白”が鍵になった」


「鍵って……」


「この世界では、君はルールに縛られない」


淡々とした声で、チムは続ける。


「理屈の上では、重力も無視できる。

 水の中で呼吸もできる。

 死んでから蘇ることも、ね」


「ま、マジで!?」


「実際できないと思うけど、だって結局人間なんだもん、人間がギリできそうかなこと が限界なんじゃない?」


万能じゃない。

でも、無力でもない。


中途半端で、いちばん危険な立場。


「待ってじゃあなんで俺今空飛べてんだ?!まさか今度こそ秘めてた力が———」


「それは僕の能力のおかげだよ」


「ほほーん、お前人の心ないんか?」


「ないよ、僕人間じゃないし、君は基本ただの人間だよ」


「くっ...くぅー!!」


「あでも」


チムがさらっと言った。


「この世界では、君の攻撃は基本的に全部効く」


「……攻撃?説得役なのに物騒すぎない?」


「説得に応じない神もいるからね」


「え、つまり神にも?」


「うん。祝福がないから」


「神様ぶん殴れるのか、、罰当たりそう...」



チムの視線が、遠くの星へ向いた。


「最近、この世界は不安定なんだ。

 神々同士の関係も、前よりずっと張りつめてる」


「…なんかリアル...」


「まあね。だから君が呼ばれた」


「だから俺呼んでも意味ねえって!」


「…でもさ」


その声は、どこか迷っていた。


「神々が人間を滅ぼそうとしてる理由は、

 怒りとか、傲慢とか、そういう単純な話じゃない」


「は?じゃあ何だよ」


「人間を“考えすぎて”しまったんだ」


「考えすぎ?」


「うん」


チムは続ける。


「人間はもう、神を信じてない。

 でもそれは“無関心”じゃない」


「……」


「分析して、分類して、言語化して、

 神話を“理解したつもり”になった」


胸の奥が、少しざわついた。


「神は“死んだ”って聞いたことあるでしょ」


「ああ。ニーチェの」


思わず答えてしまう。


「うん。その言葉、神々はちゃんと知ってる」


チムは言った。


「神は死んだ。

 正確には――意味を失い始めた」


「意味……」


「信仰じゃなく、教材や娯楽になった。

 神話は“消費される物語”になった」


それは、耳が痛い話だった。


「だから滅ぼし派は、こう考える」


チムは静かに言う。


「このまま人間を残せば、

 世界は神話だけを食い潰していく。

 なら一度、人間界を壊して――」


「作り直す、ってわけか」


「そう」


チムはうなずいた。


「人間を嫌ってるわけじゃない。

 恐れてるんだ」


「……神が?」


「理解しすぎる人間を、ね」


一瞬、言葉が出なかった。


「でも」


チムはそこで、俺を見た。


「それは、神々の欠点でもある」


「欠点?」


「神は人間を“知ったつもり”になりすぎた」


チムの声が、少し強くなる。


「滅ぼせば答えが出ると思ってる。

 でもそれは逃げだ」


「……」


「人間を滅ぼすことは、

 神々自身にとっても毒になる」


チムは、はっきりと言った。


「意味を失った神は、

 本当に死ぬから」


空気が、重くなる。


「だから君が呼ばれた」


「俺?」


「うん」


チムは、まっすぐ俺を見る。


「神々に、人間の良さを伝えてほしい」


胸の奥に、何かが引っかかった。


「戦ってほしいんじゃない。

 勝ってほしいわけでもない」


「……」


「神々を、救って欲しい」


その言葉は、思った以上に重かった。


「……無茶言うな、俺は自分でも救えてねえんだぞ」


「知ってる、だから君にも自分を救って欲しいんだ」


デカいため息をついて



「……俺は、進藤傑。よろしくな、チム。」


チムは満面の笑みになり


「知ってる、こちらこそ宜しくね、傑!」



「で、これからどこに行けばいいんだ?」


俺がそう聞くと、チムは少し笑った。


「北欧神域・世界樹統治圏ユグドラ・アース


「おお、、凄そうな場所だな、でどうやってその木?ってとこに行くんだ?」


「このまま飛ぶんだよ」


「え、瞬間移動みたいなの」


「ない」


「即答かよ!」


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