プロローグ タラン タッタッターン!
投稿頻度がゆっくりですがお付き合い下さいm(_ _)m
タラン タッタッターン!!
軽やかで愉快なファンファーレと同時に、ぼふんっと煙が上がった。
ここはアフィール公爵家の三男、リジュの部屋。
窓が開け放たれ、日が差し込む大きな部屋の真ん中にあるテーブルには鍋がひとつ置かれていた。
鍋はぼこぼことなっている。
「よしっ、今回こそ完璧なはず!」
紫の長髪をひとつに束ねたリジュは、わくわくしながら鍋の中を覗き込んだ。
……が
「……ぁう」
「さすが、リジュ様。見事な失敗っぷりで」
中にあったのは、完全に……炭。
素材の面影が、全く残っていない。
もちろん、何を作ろうとしたのかも分からない。
「やっぱりっ! 《闇鍋料理》って、役立たずスキルじゃんかぁっ!!」
テーブルに突っ伏すリジュの肩を、メイドのスーがそっと叩いた。
「お疲れ様です、リジュ様。……また黒焦げですね」
「また、って言うなぁっ! 前回よりは……香ばしいだろ!?」
「炭は炭です」
「炭の中にも、夢とロマンが詰まってるんだよ!」
クールビューティーメイドとショタ子息は、ふたり揃ってため息をついた。
リジュの部屋には、焦げた香りが充満していた。
けれどリジュはめげない。
「見てろよ、スー。いつかこのスキルで“伝説の神の食事”を作ってやるんだから!」
「……その前に、床の掃除をお願いしても?」
スーは、半眼で自分の主を見た。
「それは、メイドのすることだろう?というか、私のスキル、発動したら現れる鍋に素材放り込んだら、料理が出てくるって所まではいいんだけど、組み合わせ次第で思いっきりパターンが変わりすぎなんだよっ!」
リジュが、頬を膨らませて言うと
「ええ。この前は踊るステーキに紫色のオムライス。1年前、1度だけ高級料理店の品みたいなチャーハンが出てきましたが。」
スーが、そう返した。
「私が作りたいのは、踊るステーキなんかじゃなくて美味しい料理なんだよっ!」
廊下の向こうから軽やかなノックの音が響いた。
コン、コン。
「リジュ、いるか?」
穏やかな声とともに、扉が開く。
入ってきたのは、リジュの兄……シアン・アフィール。
綺麗な金髪に優雅に微笑む姿は“完璧な公爵家の跡取り”そのものだった。
「うわ、兄上!? 部屋、今ちょっとだけカオスだから入っちゃダメ!」
「リジュ、お前の“ちょっと”はヤバいだからな。」
シアンはあきれ顔で部屋を見回した。
床に転がる鍋、焦げたお玉、黒煙の名残。
「……実験の成果は?」
「黒く、口にすると苦く、形は…粉状です。つまり炭です」スーが淡々と報告する。
「スー!」
兄は小さくため息をつき、それでもどこか楽しげに笑った。
「まったく、そうだ9歳のお子ちゃま三男に父上からプレゼントだ。」
「プレゼント?」
リジュはリボンで結ばれた封筒を受け取り、恐る恐る開いた。
中から現れたのは、立派な地図と、公爵家の紋章が刻まれた書状。
「……これ、領地の譲渡書!?」
「そうだ。父上からだ。“リジュにも政治を学んでもらうために領地を渡そう”と。」
……アフィール領南部の霊峰、リジュの管理地になった。
そこには、そう書かれていた。
「私に領地!?本当か!?」
「正式な許可印もある。名義は“リジュ・アフィール”。
ついでに父上が“領民もいるから爆発は起こすなよ”だそうだ」
スーが小さく首をかしげる。
「……つまり、引きこもり陰キャも成長しろということですね」
「酷いな!?陰キャじゃないっ」
「はは。でも少しは実験してもいいってさ。」
「それは嬉しい…でも霊峰ブッ飛んだらどうしよう?」
「やめろ」
シアンはリジュの頭を軽くはたいた。
「ともかく、お前は領地を立派にしろ。好きなことはそれからだ」
「わかったっ」
シアンが去ると、スーが拍手した。
「リジュ様、おめでとうございます」
「うん。発展させつつ、実験も楽しもう!」
スーが急にお祈りのポーズをとって、呟いた。
「“黒焦げ領”にならないことを祈ります」
「縁起でもないこと言わないっ」
リジュは、そう突っ込み、目を輝かせた。
自分の“スキル”で食の街と呼ばれるような街を作るという夢を抱いて。
早く極上ステーキなどを作って欲しいものです。
皆さんの好きな料理はなんですか?
また、風邪ひいた団長ことりはベットで内容を考えてます。




