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反術のワルツ  作者: 東屋
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第2話  先輩たちのワルツ

シスターは巨乳美人。ヨツキは超絶美人。カグラはちょっと低身長で、ハルヤはTHE平均。

バトルばっかの反術のワルツ2話、始まります。

化け物はこちらに向かって勢いよく足を伸ばしてきた。

足は細長いと言ったが、それはあくまで体に対してアンバランスだということ。受け止めれば間違いなく死ぬ太さをしている。


足に血液を集中させ、放出してそれを結晶化させ、この時の反動を利用して左へ飛ぶ。ギリギリのところで避けられたが、あとコンマ1秒遅れていたら死んでいたかもしれない。


カグラさんの動きを見て次の動きを…… え?


「何やってるんですか!」

驚きの余り声が出てしまった。

カグラさんは壁に寄りかかって腕を組んでいる。命をかけた戦闘の最中だとは思えない。

「いや意外とやるなぁって思って。ちょっとこいつにどれだけ太刀打ちできるか見せてよ。安心して、死にそうになったら助けるから。」


……そう言われたんじゃあやるしかない。


廃ビルの1階で疫獣化してくれたおかげで、疫獣は屋根にめり込んで身動きが取れていない。倒すなら今がチャンスだ。俺はそのまま祭器を持って壁に向かって走る。足の裏の血液を結晶化。靴底を反術で厚くしながら壁に飛びかかる。


「解除!アンド再結晶!」


血液は一瞬水風船を割ったかのように弾けた後、再び足に集まる。それを勢いよく蹴る。


意識を祭器に向け、剣を形成しながら飛び掛かる。この一撃でどれだけダメージが入るのか分からない。だから、全力を出す。剣は太く鋭く、槍のように。


「食らえぇぇぇぇぇ!」


ゴリ。という音と共に剣は刺さった。そしたら内側から抉る!

全身の血液を剣に集中させ、疫獣の体内で根を張るように反術を流し込む。


「……あれ?」

頭がぼーっとする。まずい。貧血だ。血液を使いすぎた。とはいえ確実に効いている。疫獣は悶え、悲鳴を上げながら暴れている。


……あ。


剣から手が離れてしまった。体から力が抜け、疫獣から落下する。景色がぼやけてきた。間髪入れずにひどい音がした。疫獣が屋根を貫通して、2階をぶち抜いたようだ。


「よく頑張った。あとは俺がやる。」

カグラさんに抱えられ、近くの床に降ろされた。

「そういえば言い忘れてたんだけどな、小型とそうじゃないとじゃ強さに天と地ほどの差がある。中型相手に初めてでこれだけ応戦できたのは凄えよ。」

疫獣が暴れている。このままだとビルが倒壊するんじゃないか。

「よーく見とけよ〜。狭いところほど俺の反術は強いんだ。」

そういうとカグラさんは左手首を疫獣に向けた。


連鎖マキシマ


左手首から凄い勢いで鎖型の結晶が出てきた。鎖は壁に当たると跳ね返り、そのまま疫獣を貫いた。

貫いた後も勢いは衰えず、跳ね返っては貫き、跳ね返っては貫きを繰り返した。


数秒もすると、疫獣は何も言わなくなった。残っていた人間の体は、溶けて内臓が見えている。

「人間の体が溶けていたら死んだ証拠だ。」

死体を見ると吐き気がする。そう考えると、カグラさんは結果的に人を殺したのか。小型疫獣は基本的に死体から生まれるから殺したことにはならないけれど、今回は別だ。

「今俺のこと人殺しだと思っただろ。」

見透かされていた。

「こうなった以上しょうがないんだ。汚れ仕事なんだよ。反術使いの仕事ってのは。とはいえ、どう思うかは自由だ。自分を人殺しだと思って生きていくのも良いし、殺しているのは化け物だからと割り切ってもいい。それは自由だ。ただ、責任感の強い奴が残ってるのを見たことがないな。もし長くこの仕事を続けたいなら、疫獣になる前の人のことなんて考えるな。」

そのあとは遺体を鑑識に引き渡した。身元を特定して遺族がいた場合には引き渡すそうだ。

基地に戻ると実力テストの類はすでに片付けられており、優勝はソラということになっていた。まあ初日のテストだ。結果がどうであれたいしたことないだろう。

それよりも部屋だ。俺は寮生活を希望したので、今日からこの基地に住むことになる。こういう施設に住むというのは昔から憧れがあったので、今結構ワクワクしている。早速部屋の鍵を受け取り、広場の奥に行ったところに居住区域がある。俺の部屋は514号室だ。中はホテルのようになっていて、広いって程じゃないが狭苦しくはない。俺は眠い目をこすってシャワーを浴び、着替えてベッドに入った。そこから先の記憶はない。


時を同じくして、パトロール中のヨツキに、1件の連絡が。

「首都高にて疫獣反応を確認。直ちに向かってください。」

ヨツキは大型バイクの進路を変え、首都高に入る。

「にしても意地悪ですよねヨツキさん。カグラさんには2人で行けって言ったのに、自分は1人で行くなんて。」

「彼一人でも問題ないと思っているに決まっているでしょ。彼は今この国で最も強い反術使いよ。でもね、それじゃダメなの。“強い人”じゃなくて、“強い組織”を目指さないといけない。新人には足を引っ張ってもらって、カグラに後輩の育成を学ばせてほしいの。」

そうこうしている間に、目的地が見えてきた。疫獣の姿が目に入る。


「……これはひどいわね。大きさだけで言ったら中型レベルよ?これ。」

元の人間の体は真ん中で裂けていて、そこから反術の細長い胴体が生えている。元あった手足はさらに伸び、関節は2つほど増えている。頭は反術に覆われ、肥大化している。例えるなら体と手足が長すぎる猫と言ったところだが、可愛げなんてものはない。


疫獣は4足歩行なのか2足歩行なのかよくわからない歩き方でこちらに近づいてくる。

ヨツキは速度を落とさない。それどころかさらに速度を上げ、真正面から疫獣に向かう。


「スーツどうします?」

「腕だけ頂戴。」

そういうと、ヨツキのバイクのハンドルが変形し、ピッタリのサイズで、機械的な真っ赤のアーマーが取り付いた。

バイクで疫獣に近づきながら、ヨツキは舌を出す。舌から結晶が突き出し、反術の槍を創り出した。


これがヨツキの能力である。ヨツキは筋肉から槍を創りだすことができる。しかし、創り出した部分の筋肉は劣化してしまうため、舌などの戦闘にあまり関係のない筋肉から創り出すことが多い。


「呂律が回りにくくなっちゃうから…… ゆっくり、話さないとね。」

ヨツキはバイクを踏み台にし、疫獣の顔面目掛けて槍を突き刺す。

槍は少し刺さっただけだが、疫獣の体はメキメキと割れていき、崩れていった。5メートルはあったであろうその体は、既に跡形もなくなっていた。


「……おっそろしい。絶対敵に回したくないね。」

「聞こえてるわよ。」

ここまで読んでいただきありがとうございました。ここまで読んでいただいたお礼として、次回の展開をチラ見せさせて頂きたいと思います。


さーて!来週のワルツさんは?

ハルヤです!涼しくなってきましたが、その分寒暖差も激しくなっているので、体調にはお気を付けください!次回の反術のワルツは


俺とドドロが疫獣討伐!

ソラの反術とは?

高火力お姉さん。好き。


の三本でお送りします!ぜひ見てくださいね!


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