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砕かれたコマンダーの計画

「本当に便利だな お前のスキル」


 ラックのダウジングに従いながら俺たちは地下下水路をただひたすらに歩いていた

 その精度は凄まじいもので


「お、また落ちてるな」

「…なんでこんなところに?」


 行く先々で金や小さな魔石を見つけていた


「これも運命の導きだな」

「お前の運命なら生きてくの簡単そうだよな。金には困らなさそうだし」

「いや、違う。そう言う意味じゃなくて」

「?」

「カオス、マッピングはしてるよな?」

「あぁ、してるぜ。一応な。初めてやるからちゃんとできてるかは分かんないけど」


 まぁ、ラックのスキルがあれば帰るのに問題はなさそうだけど

 そう思いながらマップに目を落としたカオスはあることに気づく


「マップの真ん中が空いてる まるで、なにかを避けてるみたいに」

「やっぱりか」

「どういういことだ?」

「俺の目には、そのマップのど真ん中が黒く塗りつぶされて見える」

「え、それってマップにも適応されんの?」

「そうみたいだ。ついでにいうと、そっち側へと向かう通路には黒い瘴気も見えてる」

「なんでもありだなお前のスキル」


 つまり、


「ここに、俺たちを殺す存在がいるってことか?」

「そういうことだ…帰る?」

「まぁ、依頼としては十分か」


 なんか、安全すぎて冒険者してる感じがしないな


「地下下水路だと?…よし分かった。急いでスキャナーの冒険者でチームを組ませてこの場所を重点的に調べさせよう。このマップ借りるぞ?」

「いいよそれもう。2度と行くつもりないし」


 ギルド長への報告も済ませた俺たちは


「ここって、こんなふうになってたんだな」


 のんびり街を探索していた


「ラックはこの街の出身じゃないんだな」

「まぁな。俺はギャンブル都市、デッドオアアライブの出身だ」

「なんか、お前にピッタリの街じゃん」

「…そんなこともねぇよ」


 くだらない話をしつつ、特にすることもないので歩き続けた俺たちは気づけば


「今朝はどうもありがとうございました!貴方のおかげで無事にお嬢様を保護することができました!なんとお礼を言っていいのやら」


 この街、オリジンで最も権力を持つと言われている商人「ダイ・ショー」の屋敷へと来ていた


「結局こうなるならハンカチ借りればよかった」

「え?ハンカチがどうしたって?」

「いや、なんでもない」


 ラックが今朝助けたのは、ダイ・ショーの1人娘、ダイ・ニンのお世話をしている執事だった

 事情はよく分からないが、ニンはこの屋敷から出られないように監視されているらしい。それがどういうわけか今日逃げ出したのだそうだ

 …どこの家にも家庭の事情というものがある。俺は正直、踏み込みたいとは思わない

 だが、


「お嬢様は今どちらに?」


 少しだけ、この家が怪しい、そう思った

 なぜおかしいとかではなく、あやしいなのか それは自分自身でも分からなかった


「今は部屋でご休憩なさっています。もともと身体はお強い方ではないので、外に出たことで疲れてしまわれたようです」

「なるほど。なら、もとから外出するような方ではないんですね。加えて、娘を溺愛しているご主人が外に出したがらないと」

「…そういうわけでもないのです」

「と、いうと?」

「旦那様がお嬢様を溺愛しているというのは確かですが、外出を制限すると言うことはありませんでした。むしろ、健康のために週に一度お忙しい中時間を作って外出されるほうでした。それが一月ほど前から急に制限されるようになられて。その頃から旦那様は少し変わってしまわれてお嬢様とのお時間も近頃は取られていないようですし」

「なるほど」


 …妙だな。そこまで娘を愛している人間が、急に変わるものなのか?


「なぁ、カオス」

「?どうしたラック」


 カオスが少し考えていると、部屋の扉を見ながらラックが話しかけてきた

 その表情には、若干の険しさが滲んでいた


「敵だ」

「!敵?どういうことだ?」


 カオスはラックの口から出た 敵 と言う言葉の意味を問いただそうとしたが、


「!旦那様!どうしてこちらへ」


 それよりも早く、ラックの指先は敵へと向いていた

 次の瞬間


 パッ


 なんの音もなく、部屋に入ってきた男は跡形もなく消えていた。そう、まるで、初めからそこには何もなかったかのようにその場から消えた


「な!?旦那様!」


 俺以外の眼には少なくともそう見えていただろう


「説明しろラック」

「今の男は人間ではない。ただの魔物だ。ただし、ドス黒く巨大な悪意を持ったな。ついてこい」


 そういうとラックは勝手に歩き出してしまう

 何がなんだか分からないままカオスは、突然の出来事に呆然としている執事を引きずるような形で引っ張りラックの突き進む方へと歩いていくとそこには、大きな倉庫があった


「ここは」

「ここは私たち商会がかつて使用していた倉庫です。現在は使われていないのですが」

「ほう、使われていないとはいえ、こんな大きな倉庫に鍵をつけないんだな」

「!ばかな。使われていないとはいえすべての倉庫への施錠は徹底して ついていない」

「すべての答えはこの中にある」


 そう言いながら、大きな扉を開くと


「まさか!旦那様!」


 そこには先ほどラックが消したはずの男 「ダイ・ショー」が縛られた状態で横たわっていた








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