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見えてきた自分の才能

 翌朝


「…なんだこれ」


 俺の目の前、で合ってるのか?眠りから目覚めて目を開けた瞬間から、どういうわけか、他の人からは見えない半透明な板が俺の目の前に出現していた

 普通に考えればこれだけでもかなり変なのだが、俺は特に、その板に書かれている言葉が気になっていた


 固有スキル <?>

 習得固有スキル <超運命的な幸運>×0.1%

 習得スキル <影と化す>×0.1%


 書かれていたのはこれだけだが、真ん中にあるスキル

 間違うはずがない、これはラックのスキルの名前だ


<超運命的な幸運>


 じゃあその横にある字はなんだ。習得?これは、何を意味するんだ

 それに、その下にある<影と化す> これはなんだ。今日までそんなスキル、見たことも聞いたこともないぞ


「これは、なんなんだ?」


 そう言いながら、板に対して手を伸ばし、字をなぞろうとすると


 !


 板に書かれていた文字が変化した


<超運命的な幸運>


 あなたは運命に選ばれた


「…なんだこれ」


 スキルの説明にしては、ずいぶんと大雑把すぎる

 他のはどうなんだ?


 そう思い、今度は別の字に触れると


<影と化す>


 あなたは影と共にある あなたの肉体は影と一体化し、影はあなたの新たな肉体となるであろう


 先ほどとは全く異なる文章が現れた


「なんだこれは、なんで急にこんなのが現れたんだ」


 そう俺がつぶやいた瞬間


 あなたはすべての枷から解放された


 再び、文章が現れた


 枷から解放された?どういう意味だ


 あなたは万能者となった あなたの才能を縛り付ける枷はすでに存在しない あなたはこの世のありとあらゆるスキルを己のものとすることができるでしょう

 これはギフトです。あなたは神から次の勇者の候補に選ばれました

 ただし、あなたがどのように生きるのか我々は制限しません。あなたは我々神の手からも解放されているのです

 しかし、私たちは望みます あなたがいずれ


「勇者へと到達することを だとっ なんだこれは!」


 思わず俺は、声を上げていた


 急に現れた板の謎を明らかにするだけのつもりが、それよりも遥かに大きな運命に俺は巻き込まれていたのだ


 スキル 枷からの解放 神 ギフト 勇者


 一度に受け止め切れるような情報ではなかった


「なんだ、なんなんだこれは一体」


 困惑してただ立ち尽くしていた俺は


 ドンドンドンドン 「おーい、カオス。もう朝だぞ?なんなら9時にすらなる。いつまで寝てんだ?早く依頼を受けに行こうぜー」


 ラックの声で現実に帰ってきた


 この事、ラックに話すか?いや、当人の俺が信じられないんだ ラックだったらなおさら、信じられるわけがない どうするか


「おーい、早くしろよー じゃないと、俺1人で依頼受けてきちまうぜ?」


 …時間がある時にゆっくり考えるか


「今行くー」


 そう考えて部屋のドアを開けた俺は


「…カオス、なんか昨日よりも、変わった?」

「!?」

「なんていうか、強くなったでいいのか?昨日とちょっと違くないか?」


 ラックに指摘されて大いに驚いた


「分かるのか?」

「あ、やっぱり?だよな〜。見た瞬間、なーんか違うって思ったんだよな〜。んで、何が変わったんだ?」


 …まぁ、話してもいっか


「実はよ…」


 それから俺は、ラックに朝起きてからの事を何一つ隠す事なく全て話した

 スキル ギフト 勇者 全ての話が終わるまで静かに聞いたラックの反応は


「今もその板見えてんの?」

「おう」

「へー、キモ」

「なんでだよ!」


 なんともあっさりしたものだった


「勇者とかw ウケるんだけど」


 かと思うと、今度は声をあげてゲラゲラ笑い出した


「はぁ…全く」


 無意識に俺は、ため息をついていた


 これじゃあまるで、こんな事に少しでも悩んだ俺がバカみたいじゃないか


「勇者w いいんじゃね?なっちゃえば?俺も応援するw」

「やかましいわ!たっく、ほら、行くぞ。依頼がなくなったらどうすんだ」

「こんな時間になったのはお前が遅かったからだけどな」

「細かいことは気にすんな」

「はいはい…プッ、勇者様w」

「笑いながら言うのをやめろ!」


 それから俺たちはギャアギャア騒ぎながらギルドに向かった




 本日の依頼


「おい、ラック、本当にこっちでいいんだろうな?」

「あぁ、間違いない。こっちから感じる。こっちの方角からやつの気配を感じるぞ」

「…お前のスキルって気配も感じられるのか?」

「いや?無理だが」


 街の本通りから遠く離れ、ごく稀にしか人とすれ違わないほどに人気がなく、太陽の陽がほとんど入ってこないジメジメとした裏通り

 そこで俺たちは


「み〜ちゃーん。出ておいで〜」

「ミケ猫だからみーちゃんって、飼い主どんなセンスしてんだよ」


 迷子の猫の捜索をしていた


「豆柴だったらまーちゃんだろうな」

「ゴールデンレトリバーだったらゴーちゃんになるだろ」

「かわいいな」

「そうか?俺はゴーヤが連想されるから嫌なんだが」


 今回は特に身の危険もない街中での依頼ということもあり、俺たちは緊張感なく適当に話しながら捜索をしていた

 なぜこの依頼を受けたのかというと、


 俺たちが行った時にはすでに、討伐依頼が全て受領済みになってたからだ


「みーちゃん、なかなか見つからないな」

「近づいていってるのは確かなんだがな」

「お前のスキルどうなってんの?なんか、普通に強いし応用力高くないか?」


 そう言いながら俺は、ラックが手に持っているものに視線を向けた

 ラックは今両手に一本ずつ、L字型の金属の棒を持っており、俺たちはその金属の棒が反応を示した方向に向かって移動していた


「正直俺にもよく分からん。最初はこんなんじゃなかったんだが、少しでも運が絡む要素があればスキルが発動するからな。お、今度はこっちか」

「…ちょっと気になったんだが、これは木の棒を倒すのとどう違うんだ?」

「うーん、難しいな。俺の感覚的な話なんだが、木の棒が倒れた方角は運命と幸運に導かれる方角で、これは、なんだろうな、俺にとっての幸運?を探知して進むみたいな?」

「ふーん」


 わっかんね


 それから俺たちはぐねぐねとどこに繋がるかもわからない道を金属の棒を頼りに進み続け、気づけば


「…おい、これのどこに猫がいるって?」

「俺に聞くなよ」


 街を囲む外壁へと到達していた

 というか、


「なぁ、ここって、昨日来た場所の」

「たぶん、裏側だよな」


 昨日来たところまで来ていた


「これも運命の導きか」

「…なにを暗示してるんだ?」

「そうだなぁ…大体こういう時は、背後から第三者が現れて、実は俺たちが重要な場所に来ていたってパターンが一般的だと」

「あぁ?んなわけねぇだろ。一度街の門まで行って改めてこっちまでくるぞ」

「! 門まで行くのか?」

「猫は壁よりも外側に行っちまったんだろ?だったら外に出ないと」

「…そういうことか」

「?どういう事だよ」

「なぁ、カオス。猫がこの壁を抜けられると思うか?」

「はぁ?何いってんだ?」


 そう言いながらも目の前の壁を改めてよく観察する

 レンガ造りの壁、それを木や縄で補強しており、登り超えてくるのを防止するために上部は鋭く尖った木が括り付けられている


「無理だな」

「壁から無理ならどこから行く?」

「…地面…でも猫にそんなあなを掘る力があるとは」

「それこそが俺たちがここへと導かれた運命だ」


 そう言うとラックは壁に向かってまっすぐに歩き出した

 俺もそれに続くように壁に近づいていくとそこには


「なぁ、これ」

「そういうことだろうな」


 近くまで行かないと分からないほどに巧妙に隠された、人が2人同時に通れそうな穴が空いていた


 何かがおかしいぞ。昨日来た時は、少なくともこんな穴はなかった

 イビルスピリットにヒトが通れる穴、そして


 ズズ、ズズッ、ズズズ


 先ほどから、穴の奥から聞こえてくる何かを引きずるかのような不気味な音

 明らかに異質だ

 こんなの


「行くしかねぇな」

「…え?」

「こんなの、絶対に面白いことが起こるに決まってる」

「…フッ、ハハハ!なるほど、確かにな!これは行くしかないよな!」

「だろぉ?」

「行くぞ!」


 そうして俺たちは、謎の穴の中へと入っていった





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