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すべての始まり

「おいおい、嘘だろ」


 ここは魔王城の目の前


 戦場に降り注ぐ無数の矢と魔法、それらは雨のように一才の隙間なく、地に足をつけているものを容赦なく貫き殺して行く

 そんな中で


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 矢を回避するでも、防御するでもなく、ただまっすぐに敵の本陣へと歩く2人組がいた

 2人組はとても若く、まだ成人していないぐらいな青年に見えたが、その堂々とした足取りからは、攻撃が自分たちに当たるはずがないという確固たる自信が見受けられた

 よほどのマヌケでなければもう気づくだろう


 この2人こそが、現在世界中で最も強いという最強の名を冠する勇者たちだと


 当然、魔物たちや魔族はその2人対して攻撃を集中させるわけだが


「!なぜだ!なぜ1発も当たらないのだ!」


 2人には攻撃がかすりもしない。魔法などは発動してからはしばらく操作が効くので狙いがかなり正確になるはずなのに、それでも2人には1発も命中しなかった


「こ、これが、最幸の勇者たち。魔王様の言っていた通りだ。幸運だなどという簡単な言葉で片付けていい存在じゃない。コイツらは、異質だ。…魔物たちよ!前にでよ!」


 魔物たちの指揮官が指示を出すと、ゴブリンを始め、オーク、トロール、オーガ、などと言った身体能力が高く、知能の低い魔物が魔王軍の前へと集結した


「いくら運が強いと言えど、限りなく近い接近戦ならば攻撃が外れることなどないはずだ!奴らは己の能力を過信しすぎている。その証拠に味方であるはずの人間どもの軍からは絶対に助けが来ない場所まできている。行け!魔物たちよ!奴らを殺し人間どもの心をへし折ってやれ!」


 指揮官が言い終わると同時に、魔物たちは一斉にその2人に向かって走り出した

 そこでようやく


「カオス」

「分かってる。ラックはそのまま突き進め」


 2人に動き、というか変化が生じた

 カオスと呼ばれた人間が前に出て縦に一列なったのだ

 これではまるで


「あの男1人であの魔物たちを相手するつもりか?」


 俺1人で十分、そう動きだけで伝わってきた

 そしてそれは、魔物たちにも伝わったようで激昂した魔物たちはさらに加速して2人に向かって走っていき

 ついに衝突する

 そう思ったところで


 ニヤッ


 カオスは先ほどまでの感情の感じられない無表情から打って変わって、


「WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY」


 狂気的な笑みを浮かべ、おたけびを上げた

 その変化に魔物たちは一瞬戸惑い、次の瞬間には


「なっ、なんだと」


 細切れのミンチ肉と化していた

 カオスの歩みは誰にも止めることができず、あとから続々と現れる魔物たちを次々と切り伏せ、二人が通ったあとにはドス黒い死体でできた道だけが残されていた


「そうか、あっちが超才の勇者 カオス か。それじゃ隣のが」


 そう言いながら魔物の指揮官は、カオスの隣を歩くもう一人の青年に目を向ける


 カオスの切り刻んだ魔物の肉体がド派手な血飛沫を上げ周囲に大量の血液と肉片をまき散らす中、その青年の周囲にだけどういうわけかなにも飛来することはなかった

 遠くからでも分かる純白のシャツを着こんだその青年に真っ赤なシミができることはなく、それとは対照的に全身を真っ赤にコーティングしたカオスがいることで、その青年の異様性は際立っていた


「あれが超運の勇者 ラック 魔王様が最も気を付けるようにおっしゃられていた勇者か」


 この戦場において、二人の歩みを止めるものは、何一つ存在しなかった


「行くぞ、ラック」

「あぁ、行こう。決着をつけに、魔王のもとへ」


 これは、超運命的な幸運と、この世の誰よりも強くなる可能性を与えられた二人の青年の物語である




 この世界 神の意志(ゴッド・ウィル) は、スキルによって支配されている

 スキルとは、誰もが生まれたときから持っている固有のものである。別の人間が持っていても、欲しいからと習得できるものではないのだ

 そのため、希少性の高い有用なスキル使いは国から重宝され恵まれた生活を送ることができる。だが、同時に、似通った系統があふれている、または有用性の低いスキルを生まれ持った人間は死ぬまで幸福な生活を送ることが難しくなる。俺がこの世界がスキルによって支配されているというのはそういう理由からだ

 そして、この俺、カオス・オーバーロードにもスキルが存在する

 全く役に立たない、今日まで発動したことないクソスキルが

 スキルの使い方は誰もが産まれた瞬間に理解するらしく、俺も同じく理解している。俺のスキルの使い方は、他人のスキルを見る。ただ、それだけなのだ

 だというのに今日まで発動した試しがない。俺を育ててくれた親は、


「スキルがなくとも働くことができる場所がある」


 などと言っていたが、俺はそんなのはごめんだ。一生を家畜のように生きてただ死んでいくのなんて到底許せない

 それなら俺は、短い人生でもいいから、俺らしく生きたい


 そう考えて俺は、今、冒険者ギルドの前に来ていた

 冒険者ギルドは、金銭を代価に依頼をこなす、ようは何でも屋の集まりだ。学がいいとは言えず、近隣住民と騒ぎを起こすこともしょっちゅう。そんな連中だが、金さえ払えばなんでも依頼をこなすという点と、命がかかる魔物の討伐を行うという点で存在しつづけている

 そして、この魔物の討伐だが、これが稼ぎが良くて場合によっては一回の稼ぎで1か月暮らせるほどになるのだ。当然、命の危険は伴うが、それでも俺は


 冒険者になって自由に生きたい


 今日が俺の人生を変える第一歩になるんだ

 ギルド内にいる屈強な戦士たちの姿に臆することなくカオスは真っ直ぐと受付へと向かった


「「すいません、冒険者登録したいんですけど、え?」」


 そしてこれが、


「これも運命の導きか」

「なんだお前」


 俺の人生を大きく変える相棒 ラックとの出会いだった




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