生徒会入隊試験?
やっと少し戦闘シーンあります
最園寺と会った日の翌日
授業が終わった後に生徒会室に来るよう言われた深羅は放課後すぐに向かう
そんな彼を目で追うしかできなかった水無瀬の姿があった
「はあ…結局謝り損ねたわ」
頭も抱える
話せそうなタイミング自体はあったがなんか素直になれずズルズルとしてたら一日が終わってしまったのだ
「あれあれゆかりん。どしたの」
水無瀬に一人の女子が話しかけてきた
黒髪お団子ヘアーをした見た目も体つきもロリ系な女の子だ
最園寺とは逆の意味で中学生に見えないロリっ子だ
名前は東国弓
水無瀬とは幼馴染で北斗達とも面識がある
ちなみに隣のクラスだ
「別にどうもしないわ。そっちこそどうしたのうちのクラスに用でも?」
「用がないと来ちゃダメ?」
「ダメじゃないけど私はちょっと用事あるから…」
「とはいえ用ないわけじゃないけどね!この間返ってきたテストの点で勝負勝負!そうだ負けた方は…」
聞く耳もたず自信満々に答案用紙を出す東国
「いや、だから…」
「あ、水無瀬さんテストの話ならあたしたちも…」
とクラスメイトの女子達がテストの答えを聞こうとよってきた…が、
「…はぁ!?何あんた達、弓とゆかりんの会話に入り込んできてんじゃね~よ!」
突然ブチ切れはじめる東国
水無瀬への態度とえらい違いだ
怒鳴られた女子達はごめんなさい!と謝ってそそくさと逃げるように去っていった
「あのさ、その態度いい加減改めなさいよ…あんな言い方ないでしょ淑女としてふさわしくないわよ。そもそも怒るような事でもないし」
水無瀬は呆れるように注意
「やーだね。弓のような優れた天才が下々の連中と話なんてしたらレベル下がりそうだし」
「話しかけられたのは私なんだけど」
「ゆかりんも弓と同じ立場なんだから下々の相手なんてする必要ないの!わかる?」
「わかんないわよ…」
内心めんどくさいと思ってる水無瀬
なんでか知らないけど彼女に気に入られてよくこうやって絡んでくるのだがわりとうっとおしいのだ
実力を認められているのはわかるが優れた者なら他にもいるのに…
「とはいえこの学年には下々の者ばっかで嫌になるよねゆかりん」
「同意求めないでよ。私は別に…」
「他だと弓と同じ名門貴族の南城くらいなもんだし低レベルだよね~」
「あまり人の事なめてると足元すくわれるわよ」
「へ?ないない」
笑いながら否定する東
「下から上がってきて私達を上回って来る人もいる…現に一人…」
深羅は少し迷いつつも生徒会室へと着いた
「ここか…」
ドアを軽く2回ノックする
「どうぞ」
誰かの返事が聞こえたため室内へと…
「失礼します…」
部屋の中には最園寺の姿が
生徒会長が座ると思われるイスに偉そうに座っている
他にも生徒会役員と思われる者達が複数人いる
なんかヤンキーみたいな見た目な奴が多くとても生徒会役員には見えないが
「ん?来たか美波」
最園寺が深羅に気づいた
「会長知り合いっすか?」
ヤンキー役員の一人が質問
「ああ。こいつは見込みありそうでな…生徒会へとスカウトしたんだ」
最園寺がそう言うと役員達は
「お、そうなんすか」
「結構カワイイ顔してる〜」
などなどわりと歓迎モード
特に女子達は
「自分は反対っす!」
一人の真面目そうな男が大声で意見
ヤンキーっぽい者が多い中彼は普通な少年だった
スポーツ刈りの髪型でやや小柄な体格をしてる
名前は山地武彦
「ん?何故だ山地」
「この男最近転校してきた生徒の一人っすよね」
「そうだが何だ」
「今年の転校生は得体がしれないともっぱらの噂っすよ。怪しいんすよいろいろと」
そう言い深羅をにらむ
そんなことより転校してきた一人といった発言が気になった
自分以外にもいたのか転校生…
いちいちここは全学年転校生の紹介とかなどしない。それによそのクラスともあまり関わりがなかったため知らなかった
「怪しい?こいつはあの英雄殿の息子さんだぞ。怪しくも得体がしれなくもなかろう」
「それと同時に世紀の反逆人の弟っすよね」
…どうやらいろいろと知られてるようだ
ため息をつく最園寺
「下らねえ…その手の話か。よくもまあ十年近くも前の話知ってるな。詳しいことは隠されてるし当時のお前は物心ついて間もないくらいだろ」
「親が詳しいもので」
何故か自慢気だ
「俺はその事も承知の上だ。それでも推薦すると言ってんだよ。そもそも会長の俺が入れると言ってる。いち生徒会役員の、それもたった一人の意見を聞く義理はねえな」
「なら何故推薦したんすか」
「言ったろ見込みがあると」
「聞いた話だと急に強くなったらしいすよこいつ。なんかよからぬ事してるに違いないっす」
「関係ねえんだよ」
最園寺がひと睨み
すると山地は当然としても他の関係ない役員達もビビった
だが山地は引かない
「な、なら他の、こいつよりも見込みある男がいたらどうすか!」
「あん?」
「今の2年の役員の空きは一人分すよね?」
その問いに最園寺は隣の役員に目で合図
役員は資料を取り出し
「間違いはないですぜ。定員はあと一人」
「…で?」
何が言いたいと言いたげな最園寺
「こいつ以上の者を推薦するっす。その男をどうか生徒会に!」
「そこまで反対か。何がお前をそうさせるのかはわからねえが…」
鼻で笑う
「まあいいその男呼んでみろ」
「おまかせを!」
山地は走って部屋を出てった
奴がいなくなったとたんに役員が話しだす
「なんかいつもと様子違ったな」
「そうそう常に会長に従ってる会長命みたいな奴がよ」
どうやら元々は会長の最園寺に逆らうような男ではないようだ
むしろ心酔してる
そんな男が深羅の加入だけは反対
深羅自身少し居心地悪い
普段ならこんな嫌がられてるならと入るのをやめるところだが今の深羅には引けない理由がある
生徒会会長最園寺の強さ、それを間近で見てみたいからだ
幸い加入反対派は山地だけのようだし一人の意見くらいならさほど気にしないでもいい
二、三十分くらいたつがまだこない
「おっそ、何してんだあいつー」
役員達がボヤく
「…俺としてはハッタリだったと思えるな。ハッキリ言って2年にそんな骨のある奴がいるとは思えん」
最園寺は言い切る
「わかりませんよ会長。なんかもう一人の転校生もやり手らしいですし」
「あの言い分じゃもう片方の転校生ではないだろ」
「他にもトップクラスの奴らが3人くらいいるらしいですぜ。魔力ランクがF超えてるような」
「フン。Eランクそこらで調子に乗られても困るわ」
「いえ、実はその中の一人は…」
ドアの開く音が鳴り響く
山地が戻ってきたのだ
一人の男を連れて…
「遅れて申し訳ねえっす!おら!早く挨拶しろ春人!」
と、その春人という人物に叫ぶが…
そもそも部屋に入ってこない
「何してんだ!お前がモタモタしてたから遅れたんだろ!」
「うるせえな…」
頭をポリポリかきながらめんどくさそうにしている
「そもそも俺は生徒会なんざ興味もねえし入る気もねえっつったろ」
「何言ってんだ!才能あるお前が、人の上に立つべき天才のお前が入らないなんて許されるわけねえだろ!」
「知るかよ」
「去年まさかお前が生徒会志望届けを出さなかったことに俺が気づいていればいちいち今年から入る必要もなかったのにな!」
息荒く興奮してるかのようにデカい声をだす山地
「つうかこんなもんに入る理由なんぞねえんだよ。実戦できるとか内申がどうだとかどうでもいい。俺は俺のやり方で軍に入隊するからな」
「またでかい口を!生徒会には入りたくても入れない者もいるのに失礼だぞ!」
「ならその権利そいつらにやるっての」
「あのなあ!最園寺会長の元で働けるということがどれほどの名誉かお前はわかってないんだ!いいか!まず」
…話が長くなりそうだ
それを察したのか最園寺が
口を開く
「やかましいんだよ。この生徒会室は無駄な私語、ましてや罵詈雑言などもってのほかとわかってるのか山地」
静かに…だが圧のあるような言葉を投げかけた
対し山地は
「も、申し訳ねえっす会長!」
深々と何度も頭を下げる
「お前も頭を下げろ春人!」
しかし黙って最園寺を睨みつけたまま直立不動
「お、おい!」
「別にこいつに謝る義理はねえし断るわ」
「こ、こいつだと!?お前先輩に、それも会長に向かってなんて口を!」
「言っとくが俺は年上だの先輩だので敬語なんざ使うきねえからな。使えないんじゃねえぞ使わないんだ」
と、ガムを噛みだす
「本当に敬意をしめせる人物、認めるに値する年上に限るぜ使うのはな」
と、生意気な口を叩いてから風船ガムを膨らませ始めた
「ほう、度胸はありそうだな。その口に違わぬ実力があるかは知らんがな」
「少なくとも学年じゃ最強だと思うぜ。いや、学園最強かな?本校入れたとしてもな」
その発言に役員が机を強く叩いて
「おいこら!舐めた口聞いてんなよガキが!それは会長よりも上と言いてえのか!」
「自信はあるぜ。俺はすでに軍入隊の条件をすでにクリアしてるからな」
すると南城の体から魔力のオーラがにじみ出てくる
ゆっくりと…
「う、うぐ…」
役員は尻すぼみ
その様子からかなり南城は格上と思わされたのだ
ただ魔力を出しただけ、それだけで圧を感じたのだ
断っておくが生徒会役員は学年で優秀な魔力を持ち戦闘実績などが高い生徒がなれる役職
つまりここにいるものは成績優秀者のみ
おまけにビビった男は3年だ
そんな相手に実力差を見せた南城は間違いなく強いと言える
「ただたれ流した魔力を他者に見せれるとはな。まあ言うだけはあるようだな」
攻撃魔術なり使うなら誰でも視認することはできる
だが攻撃や防御するわけでもないただの魔力が見えるのはそれほど密度なり質の良さがある強い魔力を持つものだけができる芸当なのだ
「だがその程度俺も、それにそこの美波もできるんだよ」
急にとばっちり、ってわけでもないが不意に自分の名を出されたため少し驚く深羅
(そんなことやったことないが…)
「…何?」
南城が深羅を見る
「見慣れないツラだが…役員じゃねえな。一体…」
はっとする
「まさかお前が英雄の息子、もとい転校生か?」
「ああそうだ」
本人ではなく何故か最園寺が答えた
「お前さっき学年最強とかほざいていたがこの美波はお前と同級生だ。学園どころか学年最強も嘘っぽいな」
ニヤリと煽りだす最園寺にイラついたか南城は会長席の机にガムを吐き捨てた
「てめえ!」「おいコラ!」
役員の何人かがキレだし殴りかかる
が、軽くいなして足元を蹴り崩し全員こけさせる
「うが!」「ぬぎゃ!」
あっさりと先輩らを退ける
「だいぶイライラしてやがるな。だが事実だ
だから俺はお前じゃなくこの美波深羅を役員に指名したんだ。俺の片腕として働いてもらい将来的にはこの座を渡す気もあるしな」
「…え」
つい声が漏れた深羅
そこまで評価してもらってたのは驚いたし片腕というのも恐れ多いが嬉しい
…だが会長の座?それはさすがに…と思わざるおえないようだ
人には向き不向きがある
深羅にはそんなもの不向きというレベルじゃないと思うほど向いてないと少なくとも本人は思っていた
ていうか事実向いていないだろう
「お、お言葉ですが会長…南城は名門の南城家に生まれかつその一家の中できっての天才、天下の鬼才とまで言われてる男っすよ。そんな転校生より劣ってるわけねえですよ」
山地が意見
「お前、美波の実力見たのか?」
「え、いや」
「なら憶測にすぎんわけだ。それでよくもまあ言えたものだ」
最園寺は少し考えるように顎を指でいじる
数秒後
「だが俺もまた南城を知らんことだし憶測はお互い様か」
というか深羅の実力だって本当にわかっているのか疑問がある
実際二人は会って間もないし
「なら手合わせしてみろ。それを入隊試験にしてやる」
「手合わせ?俺が美波と?」
「ああそうだ」
「…」
南城自身は興味もない生徒会なんぞの入隊試験なんて受ける理由がない
…だが美波深羅との手合わせ…
興味があった
「面白え。やろうぜ」
「よし、ならグラウンドにこい二人共」
流れるように話が進んだ
当人の深羅はほぼ何も言っていないのに
とはいえ断る理由もなかった
グラウンドに皆でやってきた特に人気はない
野次馬は役員だけ
審判は最園寺がするもよう
「互いに大怪我しないくらいに俺の判断で試合は止める。所詮手合わせ程度だがらな。だがちゃんと勝敗はつけるつもりだ」
「わかりました」「ああ」
互いに了承
向かい合う深羅と南城
「ガチの戦いしたいところだがまあいい」
多少不満があるようだ
「…あんた俺と戦いたかったのか?」
深羅は1つ聞く
あんなに生徒会どうでもいいと言ってた男が自分と戦えると言いだしたらそれを受けたのだ
自意識過剰などではなくそう思うのが自然だ
「同級生に敵は誰一人いねえ。そう思い退屈してたんだよ。同い年じゃねえと張り合えねえしな」
「…俺は違うと?言っとくがそんなたいそうな男じゃないぞ俺は。ガッカリするかもよ」
「その判断は俺がすることだ」
互いに黙り静けさを感じる…
「始めろ!」
最園寺の一声が鳴る
刹那!
「おらぁ!」
南城は火の玉を作り出し放ってきた!
「ファイアーボールか。2年にしてはなかなか威力ありそうだな。あれだけの質のものは本校にもあまりいねえかもな」
最園寺が解説
深羅は初めて見た魔法のような攻撃に驚きつつも対処する
手刀に魔力を集中し火の玉を風で割くかのように一刀両断
「かまいたちか?つまり木属性か」
そう言うと何か対策でもあるのか距離をとり始める南城
「なるほどな」
一人納得する最園寺
すると山地が聞く
「会長、何がなるほどなんすか」
「木属性、それも得意なのは風と見抜いて離れたんだよ奴は」
「何故です?。だって風なら遠距離攻撃もできるでしょうにあまり意味ないのでは?」
「確かに遠距離攻撃はできる。だが風の技は距離が離れれば離れるほど普通の空気に触れ少しずつ魔力が消えただの風になる。つまり遠距離向けの技じゃねえんだ。近中距離技だな」
「そ、そうか離れれば威力が減るわけっすね!さすがだ春人」
合点がいき嬉しそうな山地
「とはいえそれが絶対ってわけでもねえがな
それに自分が遠距離技ないんじゃ本末転倒だ」
「なあにやつにはファイアーボールが…」
「あの程度の速度遠距離で放っても当たりゃしねえだろ。現にわりと近くで撃っても対処されたんだからな」
野球の投手が投げる速度で言えば150キロ近くはある速さではある
一般人で言えばけして遅くないしむしろ速い
…とはいえそれはさっきの場所からの速度だ
遠くからなら体感速度は減るし脅威度は薄いだろう
「まあそれくらい奴もわかってるだろうがな」
南城は両手からファイアーボールを作成
「ん?手数で勝負ってことか?」
南城はそれを交互に投げる
「…」
深羅はあっさりと回避
「だろうな」
なぜか笑う南城
すると避けたファイアーボールはバウンドして深羅めがけて追ってくる!
「なに…」
それならと深羅は先程のように手刀で…
切り裂く!
またも両断し火の玉は消滅
もう片方の火の玉もバウンドして追ってくるが
そちらも同じように対処
すぐさま南城の動きを確認する
続けざまに連発してくるかそれとも…
「いない」
先程の場所から南城の姿はなく深羅の視界から消えていた
「遅え」
背後から南城の声が!
一撃お見舞いしようと燃える拳を深羅へ…
「そこまでだ!」
最園寺のでかい一声で二人の動きが止まる
「このままやらせたいところだがこれは単なる力量を見る試験だ。怪我などされたら困るからな。終いだ」
「ち、つまらん」
南城は不満気
「よっしゃ!なら合格は春人一人で決まりっすよね会長!どう考えてもあのまま続けたら今の一撃で春人の勝ちだったでしょうし!」
ウキウキお祭り騒ぎな山地だったが…
「あ?何言ってんだ。なんでそうなる」
「え?だってどう見ても…」
「今の手合わせの事なら引き分けだ」
一瞬の静寂…
そして
「は、はああああああ!?何言ってんすか会長!いくらなんでも贔屓がすぎるっすよ!あれのどこが引き分けなんすか!あの拳が決まって終わりでしょ今の他戦いは!」
怒り狂う山地
「お前は南城の動きしか見てなかったのか」
「え?」
確かに山地は後ろをとり一撃与えようとした南城の事しか見てなかった
「で、でもあいつの位置は把握してましたし回避するような素振りもなかったし…」
「美波は避けようとなどしてねえむしろ…」
「まあ録画してたから見てみなよ」
役員の一人が割って入り映像を手品のように写し出す
あの南城が一撃かませようととした瞬間の深羅の動きだが…
背後を取られると読んでいたかのような動きで振り返りざまに手刀で南城の首筋付近を狙う姿があった。つまりカウンターを狙ったのだ
しかも集中された木属性の魔力は刃のように尖り手刀の倍以上の長さになっていた
もちろん当たるとは限らない避けて拳がヒットした可能性もある
だがリーチを考えると避けれなければ深羅の一撃のほうが先に当たっただろう
故に引き分けの裁定を最園寺はしたのだ
「理解したか」
「は、はい…」
とは言うものの不満そうというか悔しそうな山地
「あのバウンドする火の玉には驚いた…追尾もするとはおもわなかったし」
素直に感想を述べる深羅
「単なる囮だがな。回避が間に合わねえなら最初見たく切ってくるだろうがあの距離からの、回避も容易な状況でお前ならわざわざ魔力使ってまで切り裂いて来ねえと思ったからな」
「その容易さで油断させてからのアレか…」
バウンドする火の玉に驚き意識がそちらに集中してしまった事で南城を視界から消してしまったのはミスだった
そしてそのスキをつき背後に周り重い一撃を見舞うはずだったのだろう
「結局囮も失敗みてえなもんだ瞬時に反応してくるとはな」
「続けたらどうなってたか分からないからなんとも言えないが」
「…1つ聞くがお前の最後の首筋めがけた一撃」
首筋…普通に考えたらそんなところに攻撃なんて殺す気かと言われかねない
だが南城はそういう事を言いたいわけではなく
「続いてたとしても寸前で止めるかそれとも当てるきなかっただろ」
「…ああ。気づかれたか」
「殺気もなかったしな。まあ稀に何も考えず切りに来るやつもいるがお前は甘ちゃんに見えたからないと感じた」
最園寺の一声で互いに止まったかに見えたが深羅はどちらにせよ止めるつもりだったようだ
カウンターされると思い南城が逃げると思ったのだろうかそれとも…
「あのまま止められなければお前だけくらってたかもしれんぞ。俺は止める気なかったからな」
「かもな。それだと負けてたな」
「よく言うぜ…」
そうなってたとしても素直に勝てると思えなかった
(こいつ、底が見えねえ)
「美波の奴…俺が止めると読んでたのかもな」
最園寺は思う
怪我する前に止めるといった手前あの状況なら止めに入ると思っててもおかしくはない
だがそれだと勝つ事はできない
どういうつもりだったのだろうか
勝てないと思ったから引き分けねらいをしたのか。はたまた手の内を見せたくなかったからかそれとも…
最園寺の真意に気づいたか
「よし、二人共生徒会役員だ。よろしく頼むぞ」
と最園寺は言い放つ
「え、会長?どういうことっすか」
首をかしげる山地
「見込んだ美波と渡り合ったんだ。南城を合格にしてやると言ってる。入れる枠とかなら気にするな特例を認めさせる」
「それだと南城だけの試験みたいじゃないっすか?あ、あいつは…」
「美波は試験もクソもない最初から入れると言ったろ」
「な、なんでっすか!南城が勝ったらなしになるんじゃ…」
「俺がいつそんなこと言った」
よくよく考えると最園寺は南城を呼んでみろだの手合わせしてみろとしか言ってない
入隊試験にしてやるとは言ったがそれは南城に対してしか言ってないのだ
誰も南城が勝てば美波深羅の生徒会の話はなしなんて言っていない
「そもそも引き分けだからどの道同じことだ」
「うう。春人のバカチンめ…」
引き下がるしかなかった
「俺は生徒会なんぞどうでもいいが…」
深羅を見る南城
「お前とは決着つけねえと気持ち悪いからな。サボりありなら入ってやってもいいか」
(それはまずいんじゃないのか)
と内心思った
「一応言っとくがあんなお遊びで俺の本気を見抜いたと思うなよ。俺自身下らん技しか使ってないからな」
「…別に思ってない」
深羅自身この南城は実力者だと察している
これからもまだまだ強くなる逸材だろうしコピー前なら次元が違うほど差があっただろうし
「しかし下らん学園生活の中でいい退屈しのぎが見つかったぜ。まあ感謝してやるよ」
「…そりゃどうも」
深羅の未来、これから先の二年後にはライバル関係とも言える人物が三人いる
南城はその中の一人となる人物だった
「ところでこいつらと同期の東国はどうした」
「あれ?サボりっすかね…」
次回は生徒会の仕事少しと一部のメンバー紹介とかです